なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、まさに大虐殺といった様相のレイドイベントから早一日。
ついに第三回戦の開始となったわけなのだが、その第三回戦は初戦から波乱の幕開けとなっていたのであった。
「幾らなんでも意外な伏兵過ぎませんかぁ!?」
「あはは。まぁ、実際の戦闘ならともかく、あくまで遊びですからね、これ」
そう、なんと優勝候補の一角・BBちゃんの率いるチームが、ここでまさかの敗北を喫したのである。
相手はそう、まさかのゆかりさんの率いるボイロチーム。……いつの間にかボイロ組も、わんさかと増えていたらしい。
「どもどもー、茜ちゃんやでー」
「姉妹で言葉遣いが違うって言うのも、なんだか不思議だよね。こんにちわ、葵ちゃんだよー」
「……え、これって私も自己紹介する流れなんですか?ええと……皆さんご存じ、東北きりたんです。頭に東北って付けてないと、なんだかぶりっ子の名乗りのような気がしてきますね。あ、キュケオーン食べます?」
「きりたん、それって中の人が漏れ出てるんじゃないかな……あ、私は弦巻マキだよ。因みにあかりちゃんは何故か居ないよ」
「どうして居ないんでしょうね……あ、リーダーの結月ゆかりです。そんなわけで、ボイロチームです宜しくお願いします」*1
「どこぞの
「あー……可哀想にBBちゃん。昨日の
ご覧の通り、である。……いや、なんでホントにあかりちゃんだけ居ないんだろうね?
……え?際限がなくなるから?そもそもあかりちゃん以外にもずん子さんとかタコ姉さんとかも居ない?そりゃごもっとも。*4
まぁともかく、そんな感じで唐突に?計五人に増えたボイロ達だが、その実力は意外と高い。
「と、言いますと?」
「アーミヤさん他新人組は知らないだろうけど、ゆかりさんはあのビーストⅡiの尖兵に選ばれるくらいに、基礎スペ意外と高いからねー」
「やめてくださいあの時のこと掘り返すの!わりと黒歴史なんですからねあれ!?」
そう、そのスペックの高さを示すこととなった出来事が一つある。それが、かつて起きた停止世界における擬獣との戦い。
あの時の彼女は結月ゆかりのシンボルの一つ・チェーンソーを振り回して戦っていたが……その姿は鬼滅の刃の上弦の陸・妓夫太郎の如き様相であった。
要するに、あれ自体が時間制限式のパワーアップみたいなモノだったのだ。
そしてそれが可能になったのには、彼女達の性質に理由がある。
「彼女達の
「あー、公式から語られるのは必要最小限であって、それ以上の部分については作者の裁量に任されている……みたいなことか?」
「そうそう」
東方の場合はゆっくり解説だろうか?
それに似たような感じで、ボイロ達にも『ボイロ解説』というものがある。
それだけではない、彼女達は自由に音声を当てられるため、二次創作でも簡単にボイスドラマなどを作ることができるのだ。
そしてボイロの場合は更に発展して、
……つまり、二次創作でありながら一次創作に近い属性を持っている、ということなのだ。
まぁ、『逆憑依』の際に優先されるのはあくまでも公式の設定、ということになっているようだが……寧ろそれゆえに、彼女達は【継ぎ接ぎ】をまるでライダーのフォームチェンジのように扱うことができる、という性質を得ることに成功したのだ。
「まぁ、それも最近になってようやく実用化した、ということになるのですが。そもそも【継ぎ接ぎ】って人格の増設とか切り替えに近いですからね。それを多用する運用法なんて、そうそう許可が降りるモノでもありませんし」
「なるほど……では何故実用化したんですか?」
「それはまぁ、キーアさん達の協力のおかげ、ということになるんですかね?」
「……はい?私?」
まぁ、そもそも【継ぎ接ぎ】って別の人格をくっ付けて、上手く行ったらその人格に紐付く能力が使える……みたいなノリの現象だから、それを使い捨てにするかの如く使うというのは危険すぎる、というのも頷く以外無かったりもするのだが。
話題に挙げられた仮面ライダーに例えるのなら、暴走フォーム一歩手前みたいな?*5
なんでまぁ、そんな危ない使い方を現在許可されてるっぽい彼女達に疑念が浮かぶ、というルリアちゃんの言葉もわからないではない。
それに対して返ってきたのは、全く身に覚えのない『私のおかげ』という言葉なのであった。
「はい、どうやら主に協力して下さったのはキリアさんの方みたいですが……キーアさんの変身プロセスのデータを解析し、横から口を出すキリアさんの監修の元出来上がったのが、このVカートリッジ*6なわけでして……」
「なに考えてるのあの母親???」
続いてゆかりさんの口から放たれたのは、この【継ぎ接ぎ】の多用には私達【星の欠片】のデータが使われている、という耳を疑う言葉。
……いや、真面目になにやってるのあの人?面白がってるわけじゃないんだろうけど、それにしたってやっていいことと悪いことがあるぞ???
まぁ、多分その内必要になるなにかが起こる、という警句でもあるのだろうから、迂闊に文句も言えなかったりするのだが。
……この辺り、ちゃんと状況を俯瞰して見れるがゆえの問題のような気がするなぁ。
ともあれ、なんだか変身ヒロインみたいな戦い方をするようになったゆかりさん達だが、どうにも【継ぎ接ぎ】を封入した形態変化アイテム・Vカートリッジとやらの雰囲気が自分達のやり方と似ている、ということもあってかライダー達も面白がってあれこれ手伝っているようで……。
「おかしいですよね!?あれ絶対メダガブリューでしたし!?」
「私の強さに、貴女が泣きました」
「それ斧は斧でも別キャラぁ!?」*7
涙目で訴えるBBちゃんに、ポーズを決めながら台詞を述べるゆかりさんである。……ノリノリですね(白目)
そう、今回のゆかりさん達の武器は、仮面ライダー達のそれをモチーフにしたものとなっているのだ。
ソリッドビジョン仕様なので火力面の問題もなし、である。……極論おもちゃで遊んでるだけだからね、これ。
なお、今回はライダーモチーフの武器だったが、どうやら他にも幾つか試作されているらしい。
……そういうのありなん、と運営側のゆかりんに確認を取ったところ、『可能性を示してくれるのだから寧ろウェルカム』などという言葉が返ってきたのだった。
んー、理不尽感。まぁ、優勝しても貰えるものは自己満足なので仕方ないね!
「まぁ、あくまでも試作品で本当の戦闘に使えるかはまだ未知数だからね。キーアさんも言ってた通り、ダメージ部分に関してはARサバゲーであることに助けられてるところが大いにあるし」
「はい。なのでこういう時でもないと目立てないでしょう、みたいな打算も少なくなく……」
「うちらかてたまには目立ちたいからなー」
「もし優勝できたら美味しいもの食べようね、お姉ちゃん」
「……もし優勝できへんかったら?」
「そしたら、いつか来るかもしれない次の大会のための英気を養うために、美味しいもの食べようねお姉ちゃん」
「どっちも変わらんやん、しょーがないなー葵はー」
「えへへー」
「……はっ!?唐突なてぇてぇ空間に文句とか感想とか全部吹き飛んでしまいました!?」
「BBちゃん……」
あとはまぁ、そういう緩い大会だからこそ、普通なら戦闘要員ではない自分達にもスポットライトが当たるのでは?……みたいな打算もあったのだと、彼女達はぽやぽやしながら明かすのであった。
……その空気感にBBちゃんが巻き込まれていたが、それは置いといて。
とはいえ、意外な伏兵だと言えるだろう。
真っ当に戦闘が得意な方であるBBちゃん達を下したところからわかるように、彼女達の戦い方は付け焼き刃ながらに洗練されている。
それもそのはず、彼女達のそれは
それゆえ、本来なら新しい力に振り回されるなり、力側からの干渉を受けるなりの不具合が発生するところ、それらをほぼ感じないままに動けている。
しかもそれは、前提として多数の技能を動かす私達【星の欠片】の実動データを元に補正までされているのだ。
……これが強敵でないのなら、誰が強敵だと言うのだろうか?
「ふふふ、どうやらキーアさんにも私達の恐ろしさをわかって貰えたようですね。では、決勝戦でお会いしましょう」
「……なんかすっごいライバル面して去っていったわね、アイツら」
「まぁ、普段ならできないことで活躍してるわけだから、感動とかテンションとか凄いことになってるだろうからねぇ」
そんな私たちの言葉を受け、いつも以上ににこやかな表情で去っていくゆかりさんと、その仲間達。
その背を見送りながら、私たちは波乱を告げる大会の行方に想いを馳せるのであった。
……なお、ガチ泣きし始めたBBちゃんを慰めるため、その辺りの空気感は数分も持たなかったことも合わせて記しておく。