なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「うーむ、別に侮ってたわけじゃないけど……」
「まさか戦艦・赤城相手に正面から競り勝つとはねぇ」
「腐っても元・ビーストってことでしょうか……?」
うむむ、と唸る私たち。
いやまぁ、別に侮っていたとは思わないんだけど、それにしたってかようちゃん達が勝ち上がるとはなぁ、と感慨深くなってしまう私であった。
なにせ、先の彼女達の対戦相手は、あの赤城さん達率いる『船舶チーム』であった。
リーダーである赤城さんを筆頭に、最早熟達のコンビネーションを見せるハーミーズさんとの組み合わせは、早々崩れることのない堅牢さだと思われていただけに、その勝敗はまさに皆の度肝を抜いたというか。
「おおっと、あの二人だけでなく私についても語って貰おうじゃないか」
「あ、イッスン君に
「あ、キーアんインしたお!……じゃねぇ!!というか私にそんなのやらすんじゃないよ!?」*1
「そもそもインしたの、どっちかというとこっちですしねー」
そんな話をしていたせいか、件のチームのメンバー達がなんだなんだと近付いてきたのだった。
……実は私たちが話し込んでいた場所、食堂だったんですよね、部屋ではなく。
そんなわけで、話題に挙がってるのを聞き付ければ、近付いて来る奴らもいる……ということになるのであった。
で、この話題で近付いてきたのが、件の『船舶チーム』だったというわけなのである。
……え?束さんは船舶ってよりパワードスーツだろうって?
「ふふん、聞いて驚くといい!これこそ私が総力をあげて造り上げたこの世界での最高傑作!『
「はい、改めましてたまごです。よろしくお願いしますね」*3
「……初めて見た時も思ったけど、ツッコミが追い付かなくなるようなものお出しするの止めません?そんなことしても単に取っ付き辛い人ってイメージしか持たれませんよ?」
「だからなんでお前達はみんなして、私への当たりが強いのかなぁ!?」
それもこれも、彼女が
そう、彼女ってば艦娘……KAN-SEN?……まぁどっちかなのかどっちでもないのかはわからないけど、とにかく彼女達のフォーマットに沿った存在を
……いやまぁ、一応【兆し】ありきの話ではあるらしいんだけどね?
「つい先日、【兆し】を封じ込めることに成功したのですよ~。いわゆる『モンスターボール』みたいな奴ですね~。これで、無秩序に発生する【顕象】への対抗手段になる、と技術部が湧きに湧いたんですけど~……」
「それを私が、『これってISとかのメインコアに使えるのでは?』と思い付いて、ちょっとちょろまかしたのさ!」
「うーん、ナチュラルに責任問題発生させてるぞこの人……」
郷の内部・外部を問わず、私たちにとって一番の仕事は突発する『逆憑依』関連現象への対処である。
なりきり郷そのものが
寧ろ、発生件数が減った分個々の厄介さが上がったような気すらしているくらいだ。
そんなわけで、話せば意志疎通ができる『逆憑依』組はともかく、最早天災の如く周囲を破壊しようとする悪性の【顕象】に関しては、さっさと封印なり隔離処理などができるようにする必要に迫られたのだ。
そして、それらの嘆願を受けて技術部が作り上げたのが、『汎用顕象封印装置』──通称モンボである。……え?どっから出てきたのその単語、だって?
「正式な名称は別にあるんだけど、なによりも使い方がねぇ……」
「どっからどう見ても、誰が確認したとしても。……あからさまに
「というか、【顕象】の封印の原理自体、わりとモンボに発想とかを依存してるんじゃなかったっけ……?」
それはこれが正確には、封印というよりは勧誘に近いものだから、というところが大きいだろう。
日本には
人の人格が複数のそれを纏めたモノと言われるように、神もまた複数の顔を持つものである、とする概念だ。
これはすなわち、人の言う『良い』『悪い』はあくまでも人間の観点上のモノでしかない、ということを如実に示すものでもある。
一つの神格が時に人に富をもたらし、時に人に災いをもたらすというのは、ともすれば別の神がそれを為したのだと言い換えたくなってくるほどの変化である。
──しかし、そこまでの変化があったとしても、それらは同じ神格なのだ。
ゆえに古来日本人は荒ぶる神を崇め奉り、その怒りを抑え人にとって良き神になるように促した。
それが荒魂と和魂というわけだが……これは、現代でも似たような概念の残るモノでもある。
「怒ってる人が悪い人である確証はない、みたいな?温厚な人をキレさせた相手の方が悪い……みたいなのと同じというか」
「現在人に災いをもたらしているからといって、いつも同じように被害しかもたらさないというわけでもありませんからね~。特に【顕象】なんて最早現代に生まれた神格のようなもの。迂闊に消滅させるべきではないですし、そもそもさせたくてもさせられるものでもないですしね~」
人の抱く印象と言うのは、基本その場その時の相手の動きで決まる。
最初に酷い面を見せられれば、そのあと良いところを見せても評価にはなり辛いし、その反対に最初に良い面を見せておけば、後に酷いことをしても悪い評価にはなり辛くなる。
言ってしまえば、人の評価というのはどこまでも主観的なのだ。それゆえ、時に本来の価値を見出だせず、必要なものを失わせてしまうこともある。
……まぁ、この辺りの話は長くなればなるだけ説教臭くなるため、この辺りで切り上げるけど。
ともかく、初対面の印象が最悪だからといって、そのあとの付き合いをそのまま断ち切るのは早計、ということに間違いはない。
そういう意味で、【顕象】というのは中々扱いの難しいものだ。
中身に核となるものがないからこそ、暴走するように周囲を害するそれらは、されど核さえあれば人に寄り添う良き隣人になる……というのは、リリィなどの実例を見れば容易に察せられる。
とはいえ、暴走中の【顕象】を鎮めるのは並大抵のことではない。そして単純に倒すにしても、それもまた容易なことではない。
だからこそ、【顕象】の対処というのはとても時間と労力を食う仕事だったわけなのだが……それをなんとかできないかと考えたわけである。
で、そのプロセスに近いものがあることを思い出したのだ。それが、ポケモンなどに代表される『モンスターを仲間にできる作品』である。
「バトルして強さを認めさせて仲間にする……みたいなのが一般的だけど、これってある意味神に奉ずる祭事に通じるんだよね」
「それに気付いたあとはもう一直線でしたね~。まぁ、必要な素材だとか再現する概念の制定だとか、他の問題も結構山積みだったのですが」
そういう作品からそういう概念を持ち込み、かつ現実にも存在する概念などで補強・この世界で機能するように調整を加えること数年。
ようやっと、悪性の【顕象】をどうにかする手段が開発に成功する運びとなった、というわけだ。
とはいえ、これにも問題が残っていた。
捕獲……もとい封印したあと、それを暴れない【顕象】にする手段が思い付かなかったのである。
「より正確に言えば、リリィさん達みたいに自由に行動させてあげるためのプロセスがわからなかった、とあう感じですね~。なにせこれ、形式はモンボに近いですけど、その実仕組みとしては専用の神社を相手に奉じる……みたいな感じですから~」
「携帯神社……だと……?」
見た目こそ
誤解を恐れず言うのであれば『相手に神社をプレゼントし、そこの神として奉っている』ようなものであるこれは、逆に言うと
……というか、迂闊に出すとまた暴れる可能性があるというか。略式にし過ぎてあくまでも
まぁ、そもそも暴走の原因である核を埋められていないのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが。
そんなわけで、今度はここからどうするか?……みたいなことを話しているうちに、束さんが勝手にこれを持ち出して……。
「彼女の起動コアとして利用してしまった、というわけですね~☆」
「ねー、ってそんな軽く言うことではないような……?」
「結果上手く行ってますからね~。これで暴走してたらアレですが、成功している以上は殊更に問題しないのが技術部なのです☆」
「即刻解体しろ、そんな危ない部署」
「キーアさんどうどう、どうどう」
彼女の横で微笑む、謎の艦娘っぽいものに使われた……というわけである。
つまり、横の彼女は人工的に作り出されたリリィみたいなもの、ということになるわけなのだが……いやマジか、と驚愕してしまう私である。
いや、だってさ?
「名前的に遊戯王の『軍貫』が擬人化した、みたいなことになってるんでしょ?しかもその上、実際には存在しないカードが原型になってるみたいだし……なんなんです?バカと天才は紙一重、みたいなことを主張したいんですか?」
「なぁんで素直に私を褒めないのかなぁ君は!?」
やってることのベクトルが違うだけで、結局束さんらしい迷惑を周囲に爆撃するスタイルは変わってないんだもの。
……そんなことを口にすれば、当事者の束さんは涙目でこっちに食って掛かってくるのであった。
うーむ、性格面はわりと取っ付きやすくなってるのに、結局やってることでマイナスになりかかってるのは勿体ないなー(襟首捕まれて頭を前後に揺さぶられながら)
【水族/エクシーズ/効果】
レベル4モンスター×2
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがX召喚に成功した場合に発動できる。
そのX召喚の素材としたモンスターによって以下の効果を適用する。
●「しゃりの軍貫」:自分はデッキから1枚ドローする。
●「たまごの軍貫」:このカードが自分フィールドに表側表示で存在する限り、自分フィールドのこのカード以外の「軍貫」モンスターの効果は無効化されない。
②:自分フィールドの「軍貫」カードが破壊される場合、代わりにこのカードのX素材を一つ墓地に送る事ができる。