なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、熱心な練習かと思いきや、実は普段触れられない夜の空気に興奮していたから……みたいな理由を聞かされたわけだけど。
「まぁそれでも、さっきまで練習してたってのは本当なんでしょ?……だったら結構お疲れだろうから、さくっと夜ご飯食べてお風呂に入ってさっさと寝るんだよー」
「はーい。じゃあれんげ、ご飯取りに行こっか?」
「わかったん。うちは今日エビフライの気分なん」
「んー……病院食ってそこまでレパートリーあったかなぁ……?」
この時間帯まで動いていたのなら、疲れもたっぷりたまっているというのは間違いあるまい。
ゆえに、私は彼女達にささっと夜の必要事項を終わらせて休むように、とだけ言い含めたのだった。……ふ、子供達の善きお姉さん、というわけだな。
「え、キモいんだけど。アイツを思い出すからそういうの止めてくれる?」
「はっはっはっ。……くらえ姉ビームッ!!」*1
「うわ危なっ!!?なにすんのよアンタ!?……ってぎゃあ!?連発すんなっ!?」
「うるさい妹には教育が必要ですねー」*2
「のわっ!?やめ……ヤメロォーッ!?」
なお、隣の
文句はそこの
はてさて、そんな一騒動も終わって次の日。
今日は準決勝ののちに三位決定戦、さらには決勝までの試合を全て行う過密スケジュールとなっている。
……まぁ、それまでの試合とは違って、実質的には二回しか試合をしないからこそできる、ある意味での強行軍でもあるのだが。
「二回、ですか?」
「三回戦目まではチームが多かったから会場足りてなかったけど、準決勝以降は各回で四試合しかしないからね。余裕で同時進行できるし、なんなら決勝戦は余ったフィールドを統合しての超巨大フィールドでのバトルだっ」*4
「はぁ、なるほど。……えっと、フィールドが大きすぎると試合が長引いたりしませんか?」
「ふっふっふっ、そこについてはこの八雲紫・ぬかりはないわ」
「あ、八雲さん」
なりきり郷の全ての人が参加している……と言ったことからわかるかと思うが、最初──特に一回戦目は、参加チームの数も意味がわからないくらい多かったのである。
大体一チームに五~八人くらい所属していることを思えば、総数で五十万人以上居る住民を単純に振り分けた場合、そのチーム数は多ければ十万近く、ということになるのだ。
まぁ、正確には五十万人全てが参加しているわけではない(医療スタッフ組とか)のだが、それだって誤差のようなもの。
そうしてチームが多くなれば、必然的に試合回数や必要なフィールドの大きさも相応に拡大するわけで。
十万→五千→十六→四という阿呆みたいなふるい落としには、流石のキーアさんも苦笑を浮かべるほかなかったのでしたとさ。
……え?なんか試合数がおかしい?
そのチーム数なら、
その辺りはまぁ、空間拡張技術を持っているとはいえ、フィールドの大きさにも限度があるって話に理由があるわけでね?
「チーム間の戦力差の同期は取ってる、みたいなことを言ってたでしょう?……それでもまぁ、やっぱりどう足掻いても覆せない差、みたいなものはあってね。……じゃあどうするかっていうと、
「その結果が強いチームを先にフィールドに放って互いに潰し合わせておき、そのあと
「まぁ、初期チームの疲弊分を考慮してのやり方だからねー」
今回用意されたフィールドでは、一つの場所に付き大体五チームほどが適正な値として定められている。
……だがそれだと
単純に考えると、十万を五千に減らすには五千の試合を行えばよい、ということになるが……その場合、一つのフィールドに参加するチーム数は二十ということになる。
一つのフィールドあたりの定員が五チームなのだから、実にその四倍の参加チーム数だ。
さらにはそのあと……五千から十六にチームを減らす場合、必要な試合数の最低値は十六試合だが、その場合一つのフィールドに投入されるチームの数は三百十二もしくは三百十三ということになってしまう。
数が割りきれないことも踏まえ、色々と無茶があるプランニングと言わざるを得ないだろう。
じゃあ試合数を増やせばいいのかと言えば、そちらも難しい。
なにせ、私たちの試合を思い出して貰えばわかると思うが……三試合目の時点で残りのチーム数は十六だった。
……え?その辺りは描写されてなかった?いやほら、二回戦目の時点で三チームで戦ってた辺りでおかしい、と思って貰えれば……。
まぁつまり、あの時語っていたのは
最後の辺り微妙にぼかされていたのは、逐次投入チームまで描写してたら時間がどれだけあっても足りないから……という、とても切実な理由によるものだったのだ。
……まぁ、あさひさんが勝手に盛り上がって、途中参加組を乱入ペナルティでも食らったかの如くワンキルしまくってたから、見てて面白いモノでもなかったというのも理由の一つなんだけど。
それと、その流れを見て笑顔が引き攣った遊矢君がかわいそうだった、みたいなところもなくはない。*5
ともかく、普通なら継戦させられればさせられるだけスタミナやら手数やらが減る、というのは確かな話。
そのため、この逐次チーム投入システムは(人数消化的な意味も含めて)受け入れられ、結果一つの試合に何百ものチームが投入される地獄絵図と化したのであった。
そういう意味では、先のレイド戦はそんな戦いに巻き込まれた上に敗退したチーム達の恨みを、他の比較的平和そうだったグループにおすそわけする意味合いもあったのかもしれない。
……え?そのわりには目立ってたの銀ちゃんだった?そりゃまぁ、相手がなにしてくるかを(全部ではないとはいえ)知ってる銀ちゃんと、ほぼ初見で相手させられる他の面々とでは、対応できる攻撃の範囲に差があるからね!仕方ないね!
これがサッカーとかなら、前日の試合を確認して対策を練る……なんてこともできたのだろうけど、生憎今回のあれこれを撮影した映像が一般公開されるのは、全てのプログラムが終了したあとのこと。
つまりはあさひさんの攻撃手段を窺い知れるのは、実際に相対した数百のチームと、彼女がミラルーツの化身であることを知る一部の人達のみ。
それにしたって、当日はサプライズゲストとしてあさひさん以外に二人も参戦していたし、なんならあさひさん自身もいつもとは違う攻撃方法を選択したりしていたので、事前学習してた人ほど罠に嵌まる……みたいなことにもなったりしていたわけだが。
……あ、あとモンハン予習組が絶望の表情になったりもしていたっけ。
まさかの禁忌組同時クエストだったとか、騙して悪いがどころの話ではないし、仕方ないところもあるのだけれど。
……話を戻して。
まぁそんな感じで、半ば無理矢理に準決勝に駒を進めるチームをふるい分けたわけだけど。
最大で五千試合同時に行えるようなフィールドを、今日だけ四つしか使わない……というのも勿体ない。
しかし、それをそのまま使うとなると、一つの試合に数千分のフィールドの使用ということになり、正直広すぎて敵に会えない……なんてことにもなりかねない。
そこで、ゆかりんが考え出した秘策。それこそが、
「決勝戦は、敗退組も全部混ぜての大合戦にします!」
「バカかな?」
まぁこれ、腐っても健康診断の延長線上だからね、仕方ないね。……いやほんとに仕方ないのかこれ?