なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「どうしてそうなったぁ!?」
「だって……ねぇ?これ、基準値に関しては互助会・運営の場合の二回使い回すのよ?ってことはね、ある程度基準値を想定の値に戻しとかないと、普通に組織間の問題に発展しかねないわけでね……?」
「わりと世知辛い話だった!!?」
聞くところによれば、現状予測されている最終的な運動量は、当初予測していた運動量のおよそ三から五倍ほどになるのだとか。
……そのまま対策もなく放置していたら、最大五倍の運動を互助会の人達にも味合わせなければならない、ということになる。
そのため、他の運営メンバー的にもてこ入れは必須事項、という認識になっているのであった。……なんでやねん(真顔)。
「というか、何故そこまで頑なに当初の予定に拘っているんですか?そんなに問題なのであれば、ちゃんと説明すれば皆さんわかってくれると思いますが……」
「甘いわねアーミヤちゃん。この話はそう簡単なモノでもないのよ」
「……と、言いますと?」
「既にお上に書面でお伺いを立ててる上、映像データの提出も義務付けられてるから。……つまりこれまでの話を反故にする場合、自動的にもう一回サバゲーを最初の一回戦からやり直す羽目になるのよ!」
「バカなんですか!?」
普段大人しい(?)アーミヤさんにまで、おバカと罵られる始末だが……それもやむ無し。
だって、ねぇ?……よもや丼勘定というか皮算用というか、ともかく曖昧な見通しで話を通した結果、自分の首を絞めることになったという、いわゆる現場猫案件だったんですもの。
……いやまぁ、やるんなら郷の運用を一度全部ストップさせる必要があったため、上司にお伺いを立てないわけにもいかなかった、という理由はわかるんだけども。
昨今、電力の需要というのは極端に上がり続けている。
SDGsだのなんだので持て囃されている電気自動車を筆頭に、高性能な電化製品などに必要とされる電力は右肩上がりに伸び続けている。
とはいえ、それを賄うのにも限度というものがある。
……原子力発電が現状一番電力量の多い発電方法だが、安全面の話を持ち出されてしまうとどうにも使い辛い……というのも事実だろう。
この辺り、日本人の『失敗を許さない』精神がネックになっている部分も少なからずあるような気がしないでもない。*1
……無論、メルトダウンのようなことが起きてしまえば、世論が反原子力に走るのはわからないでもないが……。
事実として、まったく問題の起きない発電、というものは存在しない。*2
クリーンな発電方法として持て囃されている風力や太陽光発電などでも、問題というのは普通に起きている。
風力の場合は、利用できる風力に限りがある……というのが一番の問題点だろう。
大きな電力を生むためには、必然風車は大きくなる。大きくなれば、それを動かすために必要となる風の強さもまた大きくなる。……要するに、風車を動かすための風の強さに下限ができる、ということでもある。
そしてその反対に、台風のような強すぎる風を受けた場合、風車が耐えきれずに破損する可能性も存在する。
強い台風であれば、人が吹き飛ばされるようなことも普通に起こりうる。そんな規模の風を受けて壊れない風車、というのは中々に難しいモノなのだ。
あとはまぁ、その規模の風車だと保守点検にも相応の手間が掛かる、というのも問題の一つかもしれない。*3
太陽光の場合にも、台風というのは大きく関わってくる。
……というより、太陽光パネルの設置の仕方自体が、天災と相性が悪いと言うべきか。
一つ一つの発電量がそこまで大きくない太陽光の場合、必要な電力量を確保するために広範囲の敷設面積を必要とする。
それは言うなれば
特に、台風による風や大雪による圧壊などは、太陽光パネルを保守運営していく上で決して避けては通れぬ問題である。*4
それの解消として、自然災害に左右されない遥か高所に敷設しようという動きもあるが……それは必然、設営場所の制限を伴うモノである。
なにせ、
低所にあるうちはそう問題ではないが、高所に設置するとなると日照権の問題などに発展するのだ。
そのため、その辺りの問題を避けようとすると、設営できる場所に限りができてしまうのである。*5
まぁ、それ以外にも問題点は幾つも存在している。しているが、それでもそれらの発電方法は廃れることなく続いている。
ある程度の問題は起こるものと認知し、問題が起こっても適切に対処することで問題点を是正しているから、というところが大きいだろう。
原子力も、本来はそういう風に運用するモノなのである。
確かにメルトダウンしてしまうような状況がダメなことは確かだが、普通に原子力発電を運用する場合、
そもそもの話、人は原子力と言うものの持つ危険性を既に知っている。
一度問題が起これば、防御すら容易にできない目に見えない波によって、全てが崩壊する……という事実を知っている以上、些細なトラブルすらも『それが重大な問題を引き起こす』と認知し、余裕を以て対処できるように設計されているのだ。
いわゆる
では何故それが起きたのか?……ということになると、身も蓋もなく
例えば、である。
今目の前に、原子力を使った装置があるとする。
この装置は手順を守って運用している分には、危険は一切存在しない。
更に、なにかしらの問題が起きたとしても、しばらくの間はなんとか持たせてくれるような、安全装置も設けられている。
無論、その安全装置は永続的なものではなく、その装置が稼働している間になにかしらの対策を高じる必要はあるが……それは一分一秒の決断を強いるようなモノではない。
最低でも一時間、最高で丸一日持つようなものだ、と思ってくれていい。
さて、この状況下において、貴方はこの装置を暴走させてしまうだろうか?
答えは
わざわざ安全装置を壊そうとでもしない限り、対処の時間は十二分に与えられている。
そして、これらの装置は
……つまり、普通に運用し、普通に対処すれば問題なぞ起きるはずもないのだ。
現実の原子炉も、基本的にはそういう風に設計されている。
原子力は危ないものと知らないのならともかく、その危険性は十分承知したうえで、設計者は安全面の対策を高じているのだ。
ならば、それらが突破されて問題が起きる時というのは、それこそ問題点が複数重なった時にしかあり得ない。
そしてそれは、頻度の面だけを見れば
それなのに何故、ここまで非難を受けることとなったのかと言えば……発生する被害が大きすぎるということが、一番の理由だと言えるだろう。
一度のミスをとかく誇張する気質と、そのミスが(頻度は別として)発生した時に起きる事態の大きさ。
その二つが相乗効果を生み、現状の原子力を取り巻く空気を生み出した、というわけだ。*6
……長くなったが、前置きはここくらいにして。
さて、どれほど原子力が危険だと言われても、現状の必要電力量や、火力発電による二酸化炭素の排出を抑えなければいけない、という世論を纏めると。
現状、日本という国が電力不足である、という部分に恐らく反論はあるまい。
省電力化、という形で対抗しているものの、それにも限度はある。というかこれ以上の社会の発展を望む場合、電力受給の逼迫は避けられぬ問題でしかないわけで。
──そこへ現れたのが、『逆憑依』という存在である。
彼らは創作世界から飛び出したかのような存在であり、現実の物理法則を嘲笑うかのようなことができる存在でもある。
それゆえ、それらの存在を多く擁するこの場所に求められた一番のモノが──、
「何度か口にしているように、電力ってわけよね。……まぁうん、ピカチュウちゃんとかがわかりやすいけど、創作世界の電気系能力者って、現実の人からすると喉から手が出るほど羨ましいってパターンが多いわけでね……」
「なるほど。特に生身で電気を発するような人は、現実非現実を問わず発電所に付き纏う問題のほとんどを無視するため、需要が大きすぎるというわけですね」
「そうなのよ。だからほら、そういう人達まで休ませようとすると、お上どころか世間様を納得させる理由が必要になってくるってわけでね……」
……まぁうん、そこら辺はなりきり郷の資金源、みたいな話を何度かしてたことからみんなご存じのはずだけど。
これがまぁなんというか、こっちの認識以上に注目を集めてたみたいでねー。
内容は不明ながら、安定した供給に加え、そこらの原子炉も真っ青な電力を供給してくれる謎の場所……ってな感じで、評判と注目がいいらしいのである、このボーダー電力(株)。
まぁ、実際は生物発電ってことなので、一部の場所に実態を知られると色々うるさいことになりそうな気もするのだけど。
ともかく、互助会側に交代してはいるものの、向こうはこちらより遥かに小規模のため、発電量も明らかに減少中。
その分普通の発電所が頑張る、みたいなことにはなってるらしいけど……まぁ、それにも限度はある。
それゆえ、この健康診断と言う名の電力供給縮小宣言、あまり引き伸ばすこともできないという話になるのであった。
……いっそ永久機関でも作って投げてやればいいのでは?……みたいな気持ちもないではないが、それはそれで問題になりそうなのでアレかなー?とか思うキーアさんなのでした。