なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
わぁ、まさかの憑依合体かー。
……とまぁ、間抜けな顔を見せてしまったわけなのだけれど、皆様如何お過ごしでしょうか?
私は目の前で無茶苦茶やり始めたかようちゃんに、びっくりどっきりしている最中でございます。
いやだって、ねぇ?
まさかの憑依合体である。……オーバーソウルじゃなかっただけマシ、か?*1
とはいえ、現状余り良い状態だとは言えないだろう。
この試合、基本的には
そういう意味で、基本的にはオリジナルっぽい存在になっているかようちゃんは、殊更に
……私が言うな、みたいなツッコミが飛んできそうだが、ともかく。
現状、向こうのチームの中でも特に警戒すべき相手の一人、かようちゃんがなにをしてくるのかは注目の的だったわけで。
必然、こちらとしても少なからず『見』の姿勢だったのが、裏目に出た形となるだろう。
さて、当のかようちゃんの現在の様子だけれど。
その姿は、端的に言うと『小さなミクさん』みたいな感じになっていたのであった。
……かつてのビーストⅡiを思い起こさせるそれは、恐らくある種の回帰とでも言うべきモノになるのだろう。
かようちゃんの体を触媒として、その姿を再び現世に現した彼女は、しかしてかつてとは違い、自身と敵対する者として定義されていた半
……構成要素を共有している以上、恐らくこの三体合体の上──れんげちゃんを加えた四体合体も手段としては持っているのだろうが、ここでそれを使わなかった理由は……流石に元とはいえビーストに近付きすぎるから、とかだろうか?
ともかく、この戦場に降り立った彼女は、自らの半
「やっべ!!クラインさん回避回避ーっ!」
「うおおおおおっ!?」
「Aaaaaaaaaaa───ッ!!!」
ハイパーボイス、とでも言うのか。
物理的な衝撃を伴うそれは、まるで真のビーストⅡ・ティアマトを思い起こさせるような威力を発揮し、声の通った箇所を粉々に打ち砕いていったのであった。……って、
「ちょっと運営ー!?あれ殺傷力バリバリじゃないのー!?反則でしょ反則ーっ!!?」
「仮に直撃しても
「クソがーっ!!?」
ふざけんなよマジで!?……みたいな思いから溢れた訴えも、ゆかりんの前にはまさに柳に風の如く。
……うん、一応叫んでみたものの、そういう反応が返ってくるのはわかってた。
だってほら、アプリの方だと霊基を変えたとかじゃなく、正真正銘のビーストのまんまでやって来たやつが増えたんだからね!そりゃこっちだって突然のビースト再来にも寛容になるわ!……え?そういう話じゃない?*2
ともかく、この大会の仕様上あからさまにやりすぎな攻撃でも、それが制限を受けるのは
そしてこれは準決勝──次の決勝が半ばエキシビションのようなものになることが決定している以上、その制限は半ば有名無実化している、という風にも解釈できる。
──すなわち、あれを止めることは実質的に不可能、ということである。
まぁ、一つ安心できることがあるとすると、流石にビースト二体揃い踏み、みたいなことにはならないだろうということだろうか?
「なんでだよ?あの嬢ちゃんができたんだから、もう片方もできてもおかしくなさそうだが」
「かようちゃんには無くても、イッスン君の方にはあるからね。……忌避感が」
「なるほど……?」
向こうのチームに所属する、もう一人の要注意人物──イッスン君だが、彼がかようちゃんのようにビーストⅣiに回帰する、ということはほぼないだろう。
出来ても精々『一寸法師の元ネタに少彦名命があることによる、一時的な能力向上』くらいのものであり、そして仮にその手段があったとしても、彼がそれを使用することはないだろう。
なんでかって?……彼は、
それもそのはず、現在のイッスン君の構成要素の大半は、『わらべうた』の方の一寸法師。
同じキャラクターを描きつつも、その性格に決定的な差異のある両者は、決して混じりあわない水と油のようなもの。
そりゃまぁ、そっちの方が強いからといって容易く使える訳もない、というか?
「そういう意味では、エミヤんと仲が良いのも頷けるんだよね」
「
「そういうことー」
「──随分と、余裕そうだね?」
「おおっと!散開散開ー!」
なおこの会話、かようちゃんの無差別爆撃の中行われていたものだったりする。
そのため、向こうからは余裕そうに見えたみたいだが……そんなことはない。寧ろそう見えるように煽ってたくらいである。
戦場では、冷静さを失った者ほどやられていく……というのは常識。
ゆえに、戦士達は誰もが
──そんな戦場で、追い立てられる側の弱者が狙うべきこととはなにか?
「──随分と、嘗めてくれたじゃない」
「……っ!?」
こちらに気を取られていたことで、周囲への警戒が薄れたかようちゃんの背後。
鬱蒼と繁る木々の合間から、怪しく輝く
恐らく、出会い頭にかようちゃんに吹っ飛ばされていたのであろう
(なんで無事──いやでも、今のオルタお姉ちゃんの攻撃なら──)
「なんてこと、考えてるんでしょうねぇ!うざったいのよこのクソガキ!いいからとっとと──」
とはいえ、最初の出会い頭に
その辺りは有名キャラクターゆえの、対策のしやすさゆえというわけだが……だがしかし、それは同時にこうも言えるだろう。
──油断、慢心。
一度あしらえたのだから、次もあしらえると言うのは──その相手がまったく成長しないことを前提とした、とても傲慢な物言いであると。
「──堕ちて下さい!!『
「なっ──!?」
飛んでくるのは炎、そんな先入観から足元に注意を払っていた彼女は、しかして一瞬の間に
そして、その隙を逃すリリィでもなく──かようちゃんは、大量に降ってきたプレゼントに埋まって見えなくなるのであった。
「──こ、これはどういうことだーっ!?ジャンヌ・オルタ選手、何故かサンタリリィの姿に変身したーっ!!?」
「──う、うむ?何故それを私に聞くのだ?……なんだか詳しそうだから?いや、別に私はビーストと対峙したことなどないのだが……え?キーアなんてビーストみたいなもの?ううむ……」
司会席からは、三者それぞれの感想が漏れだしている。
とはいえ、それを素直に聞いている場合ではない。
「よっしゃー!!見ましたか?見ましたね!マスターさんマスターさん、私頑張りましたよー!」
「はいはい、いいからさっさと退却!絶対あれ倒せてないから!」
「えー!?そんなことないですよーぅ!あれは絶対倒せましたー!ロジカルじゃないですー!!」
「うーん、びっくりするくらいにキャラが違う……」
ごねるリリィの首根っこを掴み、早急にこの場から退避する私である。
……クリティカルヒットしたのは確かだろうが、撃破判定が出ていない以上はまだかようちゃんは健在のはず。
外に出て来ないのは、あのプレゼントの山ではこちらからも手出しができないことを察し、現状の考察に時間を当てているからだろう。
ゆえに、このままこの場に留まり続けるのは悪手。
一度退避し、こちらも体勢を立て直す必要があるのだ。……というようなことを、走りながらリリィに伝える私である。
……さて、いい加減スルーするのもあれなので話題に挙げると。
現在
それは正しく効果を発揮し、かようちゃんの裏を掻くことに成功したわけだが……とはいえ、一回でも使った以上は向こうも
「一時的な若返り薬……原作でもそういう成立過程だったから、上手く行くだろうとは思ってたけど……上手くいきすぎたかもしれんね、これ」
「完全にリリィだもんなぁ、今のこの人」
「なんだかよくわかりませんけど、貶されてるのはわかりますよ!?」
小脇に抱えられたまま、抗議の声を挙げるリリィに苦笑を返しつつ、森の中を走り続ける私たちなのであった……。