なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「大丈夫なん?かよう」
「あいたたた……あーうん、大丈夫大丈夫。ちょっとビックリしただけ」
おおよそ一分後、プレゼントの山から救出されたかようは、引っ張り出してくれたれんげに感謝の言葉を返しつつ、先の攻防について思いを馳せていた。
その姿は既に元の彼女のそれに戻っており、憑依していた二匹はその周囲で彼女を心配そうに見上げている。
……つまりはまぁ、あの強化は時限式ということ。
その事実を相手に見せずに済んだのは僥倖、ということになるのかもしれないが……。
「……いや、お姉さんならその辺りは推測済み、かな」
「だろうな。……つーか、ありゃこっちの予想外の手札抱えまくってる顔だったぜ?」
「おっとコナン君。お相手さんは?」
「痛み分け、かな。こっちもこっちでやり過ぎ注意ってされてるから、普通に相殺されたっつーか」
「あー……」
そこまで考えて、相手がキーアであることを思い出す。
……あの人なら、こっちの技が時限式であることくらい、幾らでも推測していることだろう。そもそも『解析』とかは制限の範囲外だし。
というようなことをぼやいたのち、それを肯定するような言葉に視線をずらす。
そこにいたのは、向こうのチームと一度ぶつかったあと、そのまま下がったらしいコナン君。
……彼も大概火力高め扱いされる人物であるため、どうにも相手を仕留めきれなかったらしい。
まぁ、どこからでも飛んでくる殺人級サッカーボール、という時点でわりと問題児なので仕方ないところもあるのだが。
そう、見た目の小ささから想像できないかもしれないが、コナン君は普通に火力的にはエース級の人物なのである。
……まぁ、映画やら何やらで結構無茶苦茶やらかしているので、まったくそのイメージが湧かないという人も早々居ないだろうが。
ついでに言うなら、サッカーボール射出ベルトの性能が大概おかしいので、一時的なシールダー的運用もできたりする。*1
いわゆるリベロ的な役割、ということだろうか?*2
……などと益体もないことを考えつつ、かようは次の動きを思案する。
「……こっちの思っている以上に、あれこれ考えてるんだろうね。ってことは、多分クラインさん狙いも深追いし過ぎるとよくない……って感じかな?」
「つっても、流石にクラインさんにオルタみたいな変化は無いんじゃないか?」
「うーん、やるんなら【継ぎ接ぎ】ってことになるもんねー。……まぁ、そうじゃなくともクラインさんを囮にして他で囲んで叩く、くらいはしてくるかもしれないから、一人で突出するのはなしにしとこっか」
「りょうかーい」
「それと、イッスン君は?」
「あー、ほっといたら一番ヤバイからって、滅茶苦茶マークされてるよ」
「え?イッスン君が?……おかしいな、イッスン君って気配遮断持ちだから、向こうにずっと見張っておける人員は居ないはずなんだけど……」
「それこそキーアがなにかやってる、とかじゃないのか?」
「あー……うん、あり得る。あの人ができること、私達多分一割も知らないだろうから」
「い、一割かぁ……」
あれこれと考えながら、彼女達は森の中へと消えていくのであった。
「それを遥か上空から見る私……っと」
「なんか言ったか?」
「ううん、独り言。とりあえず敵が居ないのはそっちだね」
「へいへい。……いや、やっぱおかしいわそれ」
「そう?バスケ選手にもできる人居るよ?」
「それはどっちかというと、そのバスケ選手がおかしいんだと思うんですけど……」*3
はてさて、相手チームの作戦会議を覗き見していた私ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?……卑怯臭い?こっちの方が圧倒的に不利なんだからこれくらい許して?
ともあれ、改めてさっきなにをしていたのか、ということを説明すると。
なんのことはない、
類似する技能としては、いわゆる天眼だとかシャナの『審判』だとか、はたまた『黒子のバスケ』に出てくる『鷹の目』みたいなもの……ということになるこれは『涅槃寂浄』といい、すさまじく大袈裟な言い方をするのなら
……まぁ、正確には仏みたいな見方ができる、ということになるわけだが。
仏様の視座とは三千大千世界に及ぶ、とされる。
つまり、かの存在の視座は広く遠大であり、あらゆるものを見逃すことはない。
……この視座を、
なおこれ、別に『虚無』を使っているわけではないため、覚えようと思えば普通の人にも覚えられる『技術』だったり。
……まぁ、バスケ漫画に出てくるキャラだってできることなんだから、別に覚えられてもおかしくはないというか?
え?範囲が広すぎる?あれは大体コート一つ分?お前のそれは下手すると本当に地球全土が見れるやつだろうって?ははは(ごまかし笑い)
……普通の人にも覚えられる、ってことは本当なので許してほしい。
変なオカルトに頼ってないんだから、別に使ってもいいでしょうというか?
まぁ、読唇術とかも混じっているため、視た先の人物の声を
ともあれ、これだけだとイッスン君を見逃さない、というのは難しいのも確かな話。
あくまで全体を俯瞰できるだけであって、一部に注視する場合全体視が難しくなる、というのは他の類似技能と変わらないわけだし。
……そういうわけで、そこを解消するために他の仲間に伝授したのが、もう一つの技術である『虎視眈々』である。
「なんだっけか?広い視界を持ってても、その中の一部分に注視するなら利便性は変わらない……だから、
「意味不明です!まったくロジカルじゃありません!!」
「そう?わりとわかりやすいと思うけど。視界を広くして視力を滅茶苦茶上げて、動いているモノをひたすら見逃さないようにする……ってだけだし」
「十分意味不明なんだよなぁ……」
一番意味不明なのは、そんな技術が誰でも覚えられるものだ、ってことの方だが……とはクラインさんの言。解せぬ。
ともあれ、『虎視眈々』とは元となった単語と同じく、一度
分かりやすく説明するのなら……あれだ、狩りゲーとかにあるターゲット機能。
あれって相手が
なおこれ、『涅槃寂浄』の派生技術であるため、実はエグい視界誘導性能を持っていたりする。
具体的には『気配遮断:EX』であれ、事前に
ともあれ、並みの『気配遮断』なら天敵級に見破れる技術をみんなに教え込んでいるため、イッスン君は思うように動けていないということになるのであった。
……まぁ、視線を外さない技能なので、本来なら
「あー、本来なら一人だけを見続けてたら周りのことがおざなりになる……んだっけか?」
「まぁ、普通はそうなるね。……言い方を変えると一つのことにひたすら集中してる状態ってことになるから、その集中を乱されたり、一瞬でも視線を外さなければいけなくなると
こちらの言葉に、クラインさんが以前の解説を思い出しながら声を返してくる。
……この辺りもゲームのターゲット機能に近いというか、それを保てる状況になくなった場合にターゲットが外れてしまう可能性があるのだ。
まぁ、普通ならその集中が乱されることはまずあり得ないので、この場合の問題点は他の人に無理矢理視線を外させられる場合……ということになるわけだけど。
そこら辺に関しては、私が『涅槃寂浄』で『虎視眈々』を使っている仲間の近くに敵を寄せ付けない、という形でカバーしてるわけだが。
念話は禁止されたけど、トランシーバーを使っての情報交換は禁止されなかったからね!仕方ないね!