なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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見て!クラインさんが元気に刀を振っているよ、かわいいね

「多分、かようちゃんのことだからある程度予測とかはしてると思うんだよね」

「……あの子、こっちが思っている以上に強敵じゃないですか?」

 

 

 私の言葉に、リリィがげんなりしたように声を返してくる。

 いやまぁ、うん。見た目の年齢からすると、ちょっと大人びているどころではないレベルで深い知性を見せるかようちゃんなので、その感想も仕方のない話ではあるのだが。

 ……あれかな?一回死後の世界に渡っているようなものだから、物事に対して達観してるところがあって、その延長線上みたいな感じ?

 

 まぁともかく、火力云々を除いてもかようちゃんが特筆して注意すべき人物である、ということに間違いはないだろう。

 そこら辺を踏まえると、ある程度こちらの動きを読んでいてもおかしくない、ということになるわけなのだが……。

 

 

「だからこそ、そこら辺の読みを外せそうな人が重要になるってわけ」

「……え、俺?」

 

 

 ゆえに、相手の裏を掻くのに必要な人材は?……という質問に、クラインさんを挙げることとなるのであった。

 

 確かに、かようちゃんは子供らしからぬ知性の冴え渡りを見せる少女ではある。

 ……あるのだが、同時にコナン君とかに比べればまだまだ子供である、というのも事実。いや、見た目だけだと明らかにコナン君の方が小さく見えるけどね?

 

 とはいえ、かようちゃんの読みは流石にコナン君ほどではない、というのもまた事実。

 ゆえに、彼なら読んで対応して来そうなことでも、ある程度はこっちも強行できてしまうのではないか?……ということになるのである。

 

 そういうわけで、重要になるのがこの面々の中で相対的に弱キャラ(※私ことキーアを除く)扱いになるクラインさん、ということになるのであった。

 

 

「……なぁ、遠回しにいじめられてんのか、これ?」

「全然?今の話だと私を抜かしてたからちょっとややこしいけど……仮に私を含んだ場合、君らにとって私の強さの位置付けってどこになる?」

「「「「一番上」」」」

「……デスヨネー」

 

 

 で、面と向かって弱い、というようなことを言われてしまったこともあり、若干不貞腐れたような状態になってしまったクラインさんに対し、補足とご機嫌とりをする羽目になる私である。

 

 ……今の反応でわかるように、周囲からの私の扱いは「ぼくのかんがえたちーとおりきゃら」だ。

 だがしかし、私の設定的な──【星の欠片】の原義に従って考えるならば、本来私の位置付けは()()()というのが正解、ということになる。

 

 これは、【星の欠片】の定義する弱さと、周囲が評価している弱さが別軸のモノであるがために起きるバグ、みたいなものだ。

 何度も言うように、【星の欠片】にとっての『勝ち』というのは、それこそ無限回の試行の中で必然的に現れる『ハズレ』……というとややこしいが、まぁともかく本来は出てこないはずの数値である。

 それがたまたま世間で言う『勝ち』と同じものである、というだけの話であって、【星の欠片】的には特に意味のないモノでしかないのだ。

 

 ……X回戦って一回だけ勝てました、ではなくX回やると一回くらいは失敗(かち)が出ます、の方が感覚的に近いというか。

 いやまぁ、その一回をこうして活用している奴がなにを言うのか、みたいな感じでもあるのだけれど、それはともかく。

 

 話を戻して、【星の欠片】は基本無限の負けを積み上げるモノというのは間違いないが、それでもその中で程度の違い──無限的な話をするのであれば『濃度』の違い、みたいなモノが生まれてくるのも事実。

 基本的にはその『濃度』の濃いモノほど凄い【星の欠片】ということになるわけだが……この考え方は、単純に【星の欠片】を道具として使う場合にも適用される。

 

 

「ええと……?」

「噛み砕いて説明すると、実力の高い相手に使わせるより、実力の低い相手に使わせる方が効果的……みたいな感じかな?」

 

 

 例えば『神断流』の場合、技の中には人の手で次元を砕く、みたいな意味不明の技がある*1のだが……これは()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()というのが近い。

 要するに力量を加算しているのではなく、端からそういう効果を持つ技なのだ、というパターンか。

 そのため『神断流』の持つ補助効果と言うのは、そんな技を使う際に本人に返ってくるはずの負荷を軽減する、という意味合いの方が強い。

 

 なので、例えば元々武器を使えば次元を砕ける、みたいな力量の人に技を使わせるのと、武器どころか箸より重いものを持ったことがない、みたいな力量の人に技を使わせるのでは、後者の方が『神断流』による補助の量が大きい……ということになるのだ。

 

 

「……それがさっきの話となんの関係が?」

「普通、道具が良いからと言って、本人の力量が上手い人に追い付く、なんてことはないのよ。だってそれ、同じ道具を使ったら上手い人は更に上手くなるはずなんだから」*2

 

 

 この話の肝は、『神断流』は確かに道具のようなモノではあるが、その実細かく見ていくと相手を一定の力量に変身させる、ある種の平均化装置である……という方が近いというところにある。

 本質は流派だが、誰でも使えるという道具としての性質があり。

 道具ではあるものの、誰が使っても同じ成果を上げるという平等的な性質も持ち合わせている……。

 

 つまり、『神断流』が一番その性質を活かせるのは、単なる一般人に使わせること、ということになるのだ。

 

 

「……確かに。見た目的には一般市民にしか見えないような人が、突然ワンパンマンの如く敵を一撃で粉砕し始めたりしたら……インパクトとかの面で相手にかなりの精神的ダメージを与えることができるかもしれません……!」

「戦力上昇幅の更に大きな銃器、みたいなのが感覚的には近いかもねー」*3

 

 

 銃のように、誰でも手軽に相手を倒せるだけの力量を得られるモノ……。

 それが『神断流』の持つ性質の中で、一番特筆すべき部分というわけなのだ。

 

 まぁ、実際にはそれだけがクラインさんにこれを勧める理由、ってわけでもないのだが。

 

 

「こ、これ以外にもあるのか……?」

「言ったでしょー、これは【星の欠片】だって。……強い人に使わせても強化幅が狭いってのは間違いじゃないけど、それ以外にも()()()()()とかの面でも結構な違いが出てくるのよねー」

「覚えやすさ?」

 

 

 そのうちの一つが、()()()()()()()()()()()という性質にある。

 

 ……元々『神断流』という【星の欠片】は、神という理不尽に対してそれを涙を堪え歯を食い縛りながら耐えてきた人という()()の願いを由来としたモノである。

 その性質は結果として『神への毒染みた効力』という形で残っているが……それとは別に残っているモノが、()()()()()()()()()()()()()()()()()と、そこから伝わる『神断流』そのものの性質だ。

 

 弱者が弱者なりに強者へと挑もうとしたことの軌跡、とでも言うべきか。……ともすれば無駄な努力、となりそうなことをやり遂げた奇跡、とも言えるかもしれない。

 要するに、流派として体系化してこそいるものの、真面目に考察すると『何故この動きでこの成果を得られるのか?』の部分がかなり無茶苦茶だというか。

 

 柳兎(なぎと)なんかがわかりやすいが、単なる歩法が認識阻害に繋がる、というのも変な話だろう。

 ……いやまぁ、そういう技も世の中にはあるにはあるが、それらのキチンとした技術と比べるとあまりにも無理矢理感のある部分が散見されるというか。

 柳のように視線も避ける、ってなんやねんというか?

 

 そういうツッコミ処を無理矢理説明付けてしまっているのが【星の欠片】としての性質、というわけで。

 ……要するに、その理屈を納得するためには、ある程度モノを知らない人の方が都合が良い、ということになるのだ。

 

 

「先に他の武術とか習ってる人だと、動きの無駄とか意味の無さとかが目についちゃってまともに覚えられない……みたいな?大雑把な方が空を飛ぶのには向いてる、みたいか感じかも」

「……いや、一時期のクマバチの話じゃねーんだからさぁ」*4

 

 

 もしくはイリヤと比べると、最初全然飛べなかった美遊みたいなものというか。*5

 ……ともかく、ここにいる面々の中で、戦力的には特別ななにかを持たないクラインさんと言うのは、この付け焼き刃を真っ先に付けるのに向き過ぎた人物である……ということになるのは事実。

 それゆえ、これからの戦闘においても彼を基軸にした方が上手く行くだろう、という話になるのでしたとさ。

 

 以上説明終わり!

 

 

「……結局褒められてたのか、これって」

「褒めてる褒めてる。……あ、確かにクラインさんが『神断流』覚えるのに適してるのは本当だけど、だからってここ以外でまともに使えるわけでもない、ってのは覚えといてね?」

「え?なんでだよ?」

「神を断つ、って言ってるでしょ?……ここでは非殺傷設定が既に敷かれてるから問題ないけど、そうじゃないところで人に向けて使うと寧ろペナルティ食らうのよ、この流派」

「なん……だと……?」

 

 

 なお、なりきり郷以外で人に向けて使うと、もれなく凄まじく体が重くなるとか、下手すると自分へのダメージの方が大きくなるなどの不利益(ペナルティ)が発生する可能性が高い*6、という注意を後付けで加えたところ、クラインさんはなんとも言えない表情で固まってしまったのでありましたとさ。

 ……うん、ぬか喜びさせてごめんね?

 

 

*1
覚えれば普通の人でも使える(一応奥義の類いなので、覚えるのに相応の時間は必要とする)

*2
木のバットと鉄製のバットだと明らかに飛ぶ飛距離が変わる、みたいなもの。この場合の力量は『バットに当てられるか否か』となり、そうなれば上手い人の方がヒットやホームランを乱発できる、というのもわかりやすい

*3
なお、銃の場合は結局当てるのが上手いとか下手とかの差があるので、微妙に例えとしては間違っている模様

*4
航空力学的に見るとクマバチは空を飛べないはず、というとある時期に流行っていた議論。実際、クマバチを()()()()大きくすると飛べなくなる。これは、クマバチくらいの大きさだと空気は液体としての性質が強くなり、粘度を持つようになる為。雑に言うと、彼らは空を泳いでいるのである

*5
『プリズマイリヤ』でのやりとりから。理屈ばったところのある美遊は、漠然と空を飛ぶということに納得ができず、暫くの間飛行ができずにいた

*6
具体的には、本来発生する負担軽減が機能しなくなる・場合によっては自分にその技を使った時のような衝撃が来る……など。あくまでも神の理不尽に対しての対抗手段なので、間違っても殺傷してしまうような用途には使えない




時限強化的なモノだったと知って自棄になってしまいました。あ~あ()
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