なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「そーいうわけだから、とりあえず何人か連れて見てきて貰える?」
……というようなゆかりんからの要請を受け、なりきり郷の外へと飛び出した私たち。
そうして集めた今回の構成メンバーは、次のような感じになっていたのであった。
「長雨、ねぇ?……世界が沈むほどの雨となれば、それこそ
「あー、ノアの大洪水*1的な?……どうだろ、一応この雨が続いてるのは日本国内だけ、ってことになるみたいだけど」
まず一人目。いつもの黒いコートとは別の、黒いレインコートを身に纏って鬱陶しそうに空を眺めているのは。
最近なりきり郷に加わったばかり……にしては、まるで昔から居たかのようにあちこち連れ回されてる感じのする復讐者、ジャンヌ・オルタ。
彼女は未来視軍団からの熱い()推挙により、探索チームに組み込まれた人物なのだが……そのせいなのか、不機嫌そうな様子を隠すふりすら見せていないのであった。
「っていうか、よくよく考えてみなさいよ。……主のお怒りならばまだマシな方。雨がずっと降り続いているとかいう今の状況、
「あー……」
その理由は……あー、マスターならわかるんじゃないかなー、とだけ。姉怖いよ姉(真顔)。*2
……冗談はともかく、この長雨が未だ指向性を持っていないのであれば、なにかの間違いでかの『姉名乗る者』に変化・ないし乗っ取られて()しまう可能性は十二分にあるといえる。
ゆえに、その可能性が脳の隅にこびり付いてしまった
……後々姉に対しての人身供物にされかねないということを危惧している、とも言う。*3
もし仮にそんな状況に追い込まれた日には、アンタ達も道連れにしてやるわよ……という
「にしても……珍しいね、君が外行きの仕事に同行するの」
「ぴか、ぴかぴーか」*4
視線を下げた先──私の足元付近を歩いていたのは、黄色いレインコートを纏った背丈の低い人物。
……発言を聞けばわかると思うが、これは目深にコートを被って顔などを隠した、みんな大好きピカチュウさんである。
彼はごまかしバッジによる隠蔽がそこまで効果を発揮しない*5こともあり、普段はなりきり郷から出てくることはないのだが……今回は大雨が降り続いていることで周囲の視界が霞んでいるため、辛うじて外に出られたのであった。
……え?そこまでして彼が外にいる理由?
「ぴか、ぴかぴーかぴーか」*6
「うーん不穏というか、先の
「止めなさいよ予想をちゃくちゃくと事実に変えようとすんの!?マジぶっ飛ばすわよ!?」
……ポケモンである彼が
あれだよあれ、噂の海底ポケモン*7出てこねーだろうな、みたいな感じというか。……大地が沈みそうな大雨、って時点である意味確定みたいなもん?そうねぇ……。
で、噂の彼が来るのであれば、それにつられて姉が来る可能性も高まるわけで。
……いやでも、一応指向性の方はまだ定まってないから、という希望的観測である。
「と・に・か・く!
「ああうん、そうだねー。……ただまぁ、今のところはとりあえず、道すがらそこらの街々を助けるところから……かなぁ」
そんなわけで、今回はこの二人に私を加えたメンバーでやっていこうと思います。
……え?構成メンバーが少なくないかって?
今回のこの異変、範囲が広すぎるのと被害が大きすぎるのもあって、わりと住民総出での作戦みたいになってるからね。そりゃまぁ、あんまり大所帯では動けないというか。
具体的には、私たち三人は主に元凶探しを優先し、他の面々は各地の洪水などの対処を優先する、という形である。
……無論今口にしたように、私たちも元凶の捜索だけではなく、道中の危険そうな街の救援をやったりするし、他のチームも救援だけでなく元凶の探索を行ったりもするのだが。
「……体の良い現場の使い方、って言うべきかなぁ」
「ぴか、ぴかぴーか」*8
ゆかりんが日本全土にスキマを開けるのなら、もうちょっといい手段があったのかも知れないが……生憎そこまで便利でもないので、地道な捜索が主な手段になるのは仕方がないというか。
……というか、仮にスキマで捜索するとなっても、指向性のないエネルギーの元締めを探すとか、砂漠の中に落ちた宝石を探すようなモノになるので、必要な労力が大きすぎるというか。
……今の言葉で、なんとなくわかる人もいるかも知れないが。
歩けばトラブルに行き当たる、なんてことも言われたりする私ことキーアに。
陸地を海に塗り替えるなどという、大層な目的に心当たりがある人物二人。
……これらを一纏めにしておけば、トラブルの元凶の方からこっちに来てくれるのでは?……みたいな期待が上から掛かっていてもおかしくない。
そういうわけで、一人で「
彼女に雰囲気を合わせているだけで、私とピカチュウの二人は端から
そんなわけで「ジャンヌどうでしょう」、始まります。()
「ここ数年で『水って怖い』って意識が民間に浸透したような気がするよねー」
「まぁ……そうね。一昔前なら、大雨で休むとかふざけるな……みたいな風潮も少なくなかったし」
決壊しそうな川の補強を手伝いつつ、雨の中を動き回る私たち三人。
他の住民と協力して補強することもあるが、それだと結局単なる一般人と同じくらいの協力しかできないため、基本的には誰もいないところに積極的に向かう、という形になる。
……具体的には、水量がぎりぎり過ぎてもうみんな避難しているところとか、果てはもう決壊しているところとか。
なお、既に決壊しているところに関しては、他の人にやらせると危ないので私単体での作業だったり。
「ぴか、ぴかぴー」*9
「って言ってもねぇ。この大雨だと、決壊したところを放置するとマジで沈みかねないし……」
まぁ沈むというのは大袈裟なので、正確には水が一切
本来なら排出されていくはずの雨水が、それより遥かに多い量の水が流れ込むせいで結果的に排出口が詰まる……みたいな感じでも良いかもしれない。
ともかく、このまま放置すると誰も住めなくなるので、どうにかしておこうという話になるのは仕方のないことなのであった。
で、それをやろうとすると『水に流される』という現象そのものをスルーできる私が適任、というか。……ティキ・ミックみたいに、任意透過できる人ならなんとかなるんだけどねぇ。*10
「まぁ、仮にこの場に彼がいたとして、手伝ってくれるとも思えないんだけども」
とかなんとかぼやきながら、ざばざばと水を掻き分け決壊部分に近付いて封鎖すること数回。
……水のパワーがヤバいこともあって、生半可な補強では再度決壊するだけということもあり、結構本格的な補強を繰り返している私である。
なのでまぁ、いい加減この作業も慣れが出てきたというか……。
「良くないんだけどねぇ、そういうの」
そう呟きながら、補強部分に条件付きの海への直通路をくっ付けつつ、街の中の雨水を移動させていく私なのでありましたとさ。