なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……思わず驚いちゃったけど、よくよく考えたら『なりきりパワー』が溶け込んでるってのは最初から判明してたんだから、別にそう変なことでもないんじゃないの?」
「いやいや、なんやかんやで重要なことなんだよ?件の『なりきりパワー』は、それ自体には
「……そうなの?」
さて前回、あの雨水が本来の純水より遥かに強い絶縁性を持つ、ということが判明したわけなのだが……一頻り驚いたあと、
確かに、純水そのものの限界を越えた絶縁性を発揮しているのであれば、その原因を別のモノ──溶け込んでいる『なりきりパワー』に求めることは、そうおかしなことではない。
だがその考えには、一つの落とし穴があった。『なりきりパワー』は純度の高いエネルギー……すなわち雑味・
指向性というのはある種の雑味であり、それが含まれていないとされる『なりきりパワー』は即ち……。
「……もしかしてだが、『絶縁性』というのも一種の雑味だ、ということか?」
「はぁ?いやいやそんなわけ……」
「そう、ルドルフ大正解!」
「なんでよ!?」
──
なにせそれは、性質という色の一種。
無色透明であることが求められるモノには、含まれていてはいけないはずのモノなのだから。
無論、これはあくまでも
本来【兆し】が持つエネルギーであるそれは、
ゆえに、ここから導き出されることはただ一つ。
「こいつは『なりきりパワー』のふりをした別物の力だってことだーッ!!」
「な、なんですってー!!?」
──そう、こいつ【星の欠片】案件だ!
「……え、ってことはなに?この長雨アンタのせいなの?」
「そういうことになる……って言いたいところなんだけどねぇ」
「なにやら歯切れが悪いな……なにか気になることでも?」
はてさて、この雨水に含まれる『なりきりパワー』が【星の欠片】の偽装である……とするのであれば、疑問の幾つかはあっさりと解決される。
ピカチュウの放った『一千万ボルト』を防いだのは、【星の欠片】共通の無限残機で説明が付く。
……正確には絶縁と言うより誘導なのだが、結果として
また、不純物の含まれない単なる水になっている……というのも、
……早いのだが、同時に看過できない疑念が浮かぶのもまた事実。
それゆえに、私は
「……【星の欠片】に
「いやまぁ、雨が流れに流れて最後に海に帰る……って考えるのなら、
「なによ、居るんならそいつが犯人でいいんじゃないの?」
「いやー、それは絶対にないと言うか……」
「ぴかっ?」*1
今回の事件に関わりのありそうな、雨関係の【星の欠片】にとんと覚えがない、ということになる。
……いやまぁ、つい漏らしてしまったように、一応『海』というくくりなら一人、該当しないでもない人がいなくもないのだけれど……。
「……
「「「
その人が【星の欠片】として世界に現れる、ということそのものがバッドエンド確定みたいなものなので、まずここに現れるはずがないというか。
……言い換えると、実現した瞬間人々の意識が落ちて無くなってもおかしくないというか?
まぁ、そんな感じのある意味『成立すること自体があり得ない』タイプの人なので、端から勘定から抜いていたというか……。
というようなことを説明したところ、三人から返ってきたのは「なに言ってるのこいつ」という眼差しなのであった。……だから言いたくなかったんだよぅ。
「ぴっか、ぴかぴかちゅーぅ?」*2
「……余計な心労を掛けそうなのと、区分的にはどこぞの『白痴の魔王』*3的な
「ぴ か か !」
「ひぃーっ!怒らんといて!一応他にも理由があるからー!!」
ゆかりんにはその人のことを知らせていない、ということを知ったピカチュウに雷を落とされたが、それでも弁明はせねばなるまい。
なので、矢継ぎ早に『今回その人が関係していない』理由を挙げていく私である。
「ぴぃーっか?」*4
「ええっと……まず出てきた時点で終わる、って言ったけど……それ自体がまずあり得ないんだよね」
「ほう?それは何故だ?」
「わかりやすいのは……『逆憑依』とかでは呼べない……もっと正確に言うと
「……ふぅん?」
一つ目は、出てくるのなら必ず本人であるはず、という点。
これは他の【星の欠片】にも言えることだが……再現に必要な単位が小さすぎること、及び再現体と本体に優位差がない点がとても大きい。
──そしてその性質が、その人に関しては顕現の邪魔をするのである。
「……と、いうと?」
「その人は【星の欠片】だけど、歴とした人間でもある……というと分かりにくいだろうからもっと簡略化すると、完全に【星の欠片】だけになるのは
「……???」
当該人物は、元々とある成り行きにより【星の欠片】を後付けされた存在である。
……まぁ要するに主人公的なポジションの人であり、その人がバッドエンドを迎えた時だけ完全に【星の欠片】になってしまうのである。
で、件の『出てきた時点で終わり』なのは、バッドエンドを迎えたその人のこと。……分かりやすくいうと設定だけ存在するもの、ってわけである。
「【星の欠片】が呼び出される時は必ず本人、って縛りがある以上、その人を呼び出す時に優先されるのは
「……あーうん、魔王アデルは普通は呼べない……みたいな?」
「それわかる人どれくらいいるかなぁ……」*5
……ま、まぁわかって貰えたのならなによりである。
さて、一つ目の時点で大概だが、一応の二つ目の理由も語っておく私である。
「まだなんかあんの……?」
「あるよー、でっかいのが。──『あのお方』のパートナーだから、その人。なんで、仮にバッドエンドの方じゃないのが来てたとしても、こんな大雨程度で済むわけがないんだよね」
「ぴっ!?」*6
「……?」
で、その理由と言うのが──『あのお方』の対となる人物である、ということ。
……言うなればキリアよりヤバイ人ということになるわけで、そんな人が出てきたとなれば、こんな長雨程度の生易しい天候変化で済むはずがないのである。
ただこの説明、前から『あのお方』についての解説を聞いたことのあったピカチュウはともかく、その辺りの話に触れたこともない他二人には今一通りが悪かったようで。
「……アラヤに対するガイア、みたいな?」*7
「「!?」」
試しに他の例えを出して見たところ、目に見えて二人が動揺し始めたのであった。
……ああうん、ルドルフ用には別の解説持ち出そうかと思ったのだけれど、そういえば元となるビッグビワはケルヌンノスの要素が混じってるから通じてもおかしくないのか……。
通じなかったら三女神辺りを交えて話そうかと思ったのだが、手間が省けて良かった。……良いのか?
まぁともかく。
推定される相手が相手だけに、こんなタイミングでは出てこないでしょう……というのが主な否定理由である。
つーか、仮に出てこられると『あのお方』までこっちに出てくる、なんて阿鼻叫喚どころではない事態になりかねないので丁重にお断りしたいところだし。
……まぁそうなると、今回のあれこれがよくわからなくなってしまうのだが。
「……ええと、そうなの?」
「私は立場こそ【星の欠片】でも偉い方に据えられちゃったけど……修練はまったく足りてないから潜んでいる【星の欠片】が誰なのか、ってのは正確にはわかんないわけで……それでも、まったく縁のないモノを再現している状態なら、なんとなくはわかるんだよね」
「……はい?」
「……要するに、水に全然関係ない相手が水を騙ってるのならわかるよ、ってこと」
「ああ、なるほど」
私は【星の欠片】としては若輩者だが、それでもそこにどれくらいの【星の欠片】が集まっているのか、ということくらいは感知できる。
……【星の欠片】はあらゆるモノを形作る極小数であるがゆえに、ある程度数を集めれば他のものに
つまり、水に関係する【星の欠片】は実在しない、ないし出てくるはずがない以上、この水の中の【星の欠片】は水になりすましているはず、ということになるのだが。
その気配が感じられない以上、これが本当に【星の欠片】なのか、微妙に確信が持てないでいる……というわけだ。
「……ええと。ってことは話はふりだし、ってこと?」
「まぁ、【星の欠片】が関わってる可能性が高い……って警戒できるのはいいことじゃないかな?」
「それなんにもできてないのと一緒じゃないのよバカー!!」
なお、そこまで話したところ、
……私が悪いようなものでもあるから、