なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はて、小粋な(?)トークを終えた私たちがやってきたのは、浸水した公園であった。
……どうやら、近くの川が氾濫した結果、このような事態になってしまったらしい。
つまり、今回の私たちに求められているのは、ここの水をすべて捌けさせること、ということになるのだけれど……。
「ふぎゃー!!水だにゃ洪水だにゃ大雨だにゃー!!にゃんでこんにゃ時ににゃーに仕事を任せるのにゃあいつらーっ!!」
「おおう……?」
浸水した公園の真ん中、ジャングルジムの上。
その頂点にて四つん這いになりながら、周囲に叫ぶ人影……人影?が一つ。
疑問符が付くのは、相手がすっぽりと全身を──それこそこっちにいる
しかしてその幼稚園児ほどの背丈や、特徴的な声色と語尾から、その正体を察することはできる。
ゆえに私は遠慮なく、傍らのピカチュウにこう告げたのであった。
「……ピカチュウ、でんきショック」
「ぴかっちゅ」*1
「ぎにゃぁーっ!!?」
──そう、電撃による撃墜である。
まぁほら、想定される相手ならこれくらい余裕で受けられるだろうから……ね?
まぁともかく、ジャングルジムの上に陣取っていた件の人物はそのまま地面へと落下し、そのフードの奥に隠された姿を露にする。
それはこちらの予想通り……、
「……ここであったが百年目、って言っておくべきかな?」
「ぴーか、ぴかっちゅ」*2
「……にゃにゃ!?ピカチュウとジャリガール達!?にゃんでこんにゃところに!?」
ポケットモンスター・ばけねこポケモンのニャース、その人なのであった。
……流暢に喋れる辺り、ロケット団の個体でいいのかな?*3
「あわわわ、予定ににゃい邂逅にゃ、このままだと帰ったら怒られちゃうにゃ……」
あわわわ、と実際に言ってしまうほどに慌てているニャースは、しかしその衝撃のせいで自身がいる場所についての意識が逸れている様子。
……いやまぁ、そもそもアニメ中のニャースって、
とはいえそれを指摘するのもあれなので、そのまま話を進めようとして……。
(´^`)「尻尾も濡れたし……」
「濡れた……?……うにゃぁー!?」
「うわ」
どうやらここに来る途中で尻尾が濡れてしまっていたことに気付いたルドルフが、ぽつりと呟いた言葉によりニャースは自身の現状を思い出し、慌ててジャングルジムの上に戻ってしまった。
……ううむ、これでは振り出しである。地味に上を見続けるのは首が痛くなるので勘弁して欲しかったのだが。
とはいえここで再度彼を落とそうにも、流石に避けられるだろうことは目に見えている。
そのため、私たちはまるで
(´´^`)「ご、ごめんだし……」
「……まぁ、アンタを責めても仕方ないから、もういいわよ。……で?こんなところでそんなところでふんぞり返ってるアンタは、一体どこのどなた様なのかしら?」
まぁ、すぐさまその空気も霧散したわけなのだが。
わざとじゃないし、本人も気にしてるし。
そういうわけで、話を戻して。
それを受けたニャースはといえば、しばらく『?』みたいな顔をしていたが、やがてなにかに気付いたように顔を輝かせると、一つ咳払いをしたのちにジムの上に仁王立ちをしたのであった。
「ふっふっふっ。にゃんだかんだと聞かれたら!答えてあげるが世のにゃさけ!」
「一人でもやるんだ……」
「ぴぃーっか、ぴっか?」*6
「止めたげなよ……」
「ぴー」*7
「……おっほんおほん!!世界の破壊を防ぐため、世界の平和を守るため!愛と真実のあ~くを貫くっ!ラブリーチャーミーにゃ敵役!!」
それから始まったのは、ある種のお約束。
……メンバー全然足りてないんだけど、それでも尋ねられた以上はやらずには居られないらしい。
まぁ、そういうのは『
「そう、ニャースでニャース!」
「おー……」
「あ、どうも。どうもですにゃ」
そうして最後までやりきったニャースは、一仕事終えた充足感から晴れやかとした顔となっていたのであった。
なお、こちら側は最後までやりきった彼への惜しみ無い拍手を送ることとなった。
「……それ」
「ふぎゃーっ!!?」
「あ、流石にそれは酷いぞ
「ぴぃーっか。ぴかちゅー」*8
(´^`)「流石にそれはダメだって私にもわかるし……」
「えっ、えっ!?でも今のすっごい隙まみれだったわよね!?」
なお、一人だけしらーっとしていた
おまえーっ!おまえ……作家の端くれがなーっ、折角の見せ場をなーっ、ゆるさーん!!*9
「この度はうちのジャンヌがトンだ粗相をば……」
「いえいえ、頭をあげてくださいにゃ」
(なにこの茶番……)
「なにか?」
「なんでもありませーん……」
はて、一先ずの謝罪フェイズを終え、再びの対峙である。……え?今さっきの流れから真面目な顔して対峙するのは無理がある?それはそう。
とはいえ相手の所属がわからないこと、およびわざわざ自身を悪役と評した辺り、激突は避けられないことだと思われる。
(´^`)「そうなんだし?」
「実際に悪いかどうかはともかくとして、悪役になったんなら悪役ムーヴしたくなるのがなりきりの常、ってもんなんだよルドルフ」
(´^`)「そういうもんかし……」
……どうでもいいが、尻尾が濡れっぱなしのせいか、ずっとしょんぼりしているルドルフはどうにかならないのだろうか?
いやまぁ、体型は通常のルドルフを維持している分、まだ頑張っている方なのではあるのだろうが。
とはいえそこを指摘するわけにも行かず、仕方なく反省中の
「そっちもにゃんだか大変そうだにゃ……」
「まぁ、問題児が揃っておりますので」
「ぴっか。ぴかちゅぴー」*10
「ええ……?」
あ、こらピカチュウさんや。要らんこと教えんでいいのよ、私のイメージ向上委員会なのよ。
まぁ、今回ピカチュウの台詞は普通の人にも認識できるようになっているため、別に相手がニャースでなくとも内容は伝わってしまうのだが。
……さて。
「よし、仕切り直そうか!」
(´´^`)「流石に無理なんだし……」
ぐっだぐだのこの流れの中悪いのだが、いい加減話を戻していきたい。
というかそもそもの話、何度も言うようにこのニャースは不審者も不審者。
どこの手のモノかもわからない以上、こちらがやるべきことは真っ先に確保すること、である。
「にゃにゃ、そうはいかにゃいのにゃ。今回にゃーは密命を受けた身。それを遂行するまで捕まるわけにはいかにゃいのにゃ」
ほら、相手も軌道修正を手伝ってくれてるし!
先程までののんべんだらりとした空気は四散し、私たちの間に流れるのは一触即発の空気。
……ニャースはそこまで強力なポケモン、というわけではないが、それでもこの場で強気に打って出られる以上、なにかしらの隠し球を持っていてもおかしくはない。
ゆえにこちらも空気を切り替え、油断なく相手の一挙手一投足を見つめていたのだけれど……。
「──これでも食らうにゃ!
「な、なにぃーっ!!?」
そこから飛び出したモノに、一同思わず驚愕。
いやまぁ、ロケット団のニャースといえば、色々と器用なことで有名ではあるが……今回のそれはわけが違う。
彼がどこからか取り出して投げ付けて来たのは、
小さいと言っても、彼の背丈の半分はあろうかというそれは、しかして彼の原作とは全く関わりのないもの。ゆえに──、
「(【継ぎ接ぎ】か【複合憑依】か、なんにせよこれだけで終わりってわけじゃないだろうね)みんな、伏せて!」
(´´^`)「あわわだし……」
「
「
「……撤収!やーなかーんじー!!」
「あ、逃げた!!?」
「追えー!逃がすなー!!」
……いくら火薬の詰まった小タルとはいえ、この大雨では湿気てしまうのも仕方のない話。
無情にもうんともすんともいわず水に沈んだそれを視線で追った私たちは、暫し無言で見つめあったのち……地面に穴を掘って逃げ出したニャースの逃走成功により、その均衡を破ることとなるのであった。
……最後までぐだぐだなんじゃが!?