なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
『鏡面複写した姉類史の濫用』
『無量無数に至る異聞姉類史の総括』
『これらを用いた、仮想姉霊体の構築を確認しました』
『生物分類:
『
──的なアナウンスが聞こえてきそうな今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?*1
私達は、忽然と隣に現れた姉──もといジャンヌの姿に、戦々恐々としている最中でございます。
いやだって、ねぇ?本当に気配もなく、いつの間にか隣に立っていたモノだから、途中までだーれも気付かなかったんだもんよ。
っていうか、下手すると周囲の一般人達さえ気付いてなさげだし。「……ん?さっきまで四人だったような?──ああいや、そういえば
「ぴーか、ぴかっちゅ……」*2
「認識汚染とかも持ってそうなんだけど。怖いんだけど」
(´´^`)「もうダメだし……勝てるわけないし……」
「うーんみんなして弱腰……」
その不気味すぎる登場の仕方に、こちらのメンバーはすっかり気圧され気味である。……いやまぁ、私もちょっと引いてるんだけど。
なにせこうして現れた彼女──ジャンヌ
STAR FALL
対姉戦闘 警戒
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「あ、いえいえ。私に戦闘の意思はありませんので、矛を下ろして頂ければと」
「……あ、そうなんです?」
一触即発の空気であったが、当の姉──もといジャンヌは、至ってのほほんとしている。
その空気に毒牙を抜かれた私たちは、一先ず臨戦態勢を解除したわけなのだけれど……。
「はい、この土嚢はこちらで構いませんか?」
「おお、すまねぇなぁ姉ちゃん。随分と力持ちみたいだが、なんか格闘技とかやってんのかい?」
「いえいえ。困っている人を助けるため、少々鍛えているというだけのことですよ」
「なるほどなぁ、正義の味方……みたいなもんかい?」
「まぁ、近いモノではあるかもしれませんねぇ」
「……なにあれ」
「現場のおっちゃんと和気藹々としながら、堤防の補強作業を続けるジャンヌ……かな?」
「いや、情況を説明しろって言ってんじゃないのよ?」
そうしてここに来た目的の内、もう一方の方である堤防の補強作業を手伝うことになった私たちが見たのは、現場で働くおじさま方と仲良く土嚢を運ぶ
……どういうこっちゃ、と首を捻る
こうして彼女達が首を捻っている理由、懸命な皆さま方ならお気付きかと思うが……そもそもこの雨、ジャンヌが降らせているものの筈なのだから、この行為はマッチポンプ以外の何物でもないのである。
単純な話、雨を止めればそれで終わりのはずなのだから。
それをおくびにも出さず、真剣におじさま方を手伝うその姿に、疑問を抱かない者はいない……というわけだ。
とはいえ現状それを彼女に尋ねるわけにも行かず、仕方なく彼女に倣って現場の手伝いを再開する
そうして、ある程度の補強作業が終わり。
こちらに手を振りながら、車に乗り込んでいくおじさま方に手を振り返しつつ。
改めて、
「……ええと、皆さんお顔が怖いですよ?」
「なにをいけしゃあしゃあと……なに?聖女様は遂にマッチポンプもお覚え遊ばされたってわけ?」
「……はい?まっちぽんぷ?」
「とぼけんじゃないわよ、この雨アンタの仕業でしょ?だったらさっきのあれ、茶番以外の何物でもないでしょうに」
こちらの視線を受け、苦笑を返してくるジャンヌ。
そんな彼女の姿は、少々こちらの知るそれとは異なっている。
まず、ベースとなっているのは『水着ジャンヌ』の第三再臨であろう。あれのツインテール部分が無い状態、というのが一番近いか。
バトルグラをそのまま大きくした感じ、と言えば受ける雰囲気もわかりやすいかもしれない。
セイントグラフだと少々奇抜な格好に見えるが、戦闘だとツインテールが目立たなくなるのでわりと普通に見える感じ……みたいな?
とはいえ、ベースは確かにそれだとしても、全体を見れば違ったものであることはすぐさま理解できる。
なにせ彼女の服、本来の白&緑の配色ではなく、青と黄色の配色に変化しているのだ。
これは、今回の事件の起因と目されるカイオーガの配色……
……つまり、これはカイオーガそのものの配色ではなく。その上位種……というと語弊があるか。
カイオーガが真の力を現したとされる、原始の姿。──そう、ゲンシカイオーガの配色なのである。
そこから予測されることが正解であれば、ちょっとこの事件解決が難しいかも……などと思っていたりする私だが、一応確定ではないため黙っていたり。*3
いやまぁ、横のピカチュウさんは気付いているっぽい動きしてるけどね?
でもまぁ、仮にそうだとすると後がめんどくさいので「違ったらいいなー」みたいな顔をしているというか。
そんなこちらの考えを知らない
「私が?この雨を?……ええと、そうなのでしょうか?」
「……はぁ?」
「いいえその、今一実感が湧かないと申しますか……そもそも私、誰なんでしょう?」
「…………はい?」
「
「はっ?ちょっ、なにこれ!?」
「あちゃー……やっぱダメだったかー……」
「ちょっとアンタ!?こいつがどうなったかわかってんの!?」
「あーうん、なんとなくはだけど、ね」
そして、そんな視線を向けられた当のジャンヌはというと。
最初の内は比較的まともに受け答えしていたが、途中から雲行きが怪しくなり……最終的にはこれこの通り、まるで壊れたラジオのようにがったがたになってしまう始末である。
これに関しては──恐らく、【複合憑依】と【星の欠片】の相性の問題、というやつだろう。
実例として目されるのはユゥイただ一人なので、データとして信憑性が薄いのが問題だが……彼女を例に取ると、本来ドクター・ウェストのように三人分の姿が用意されるのではなく、単一の存在が本来用意されている三人分の属性すべてを包括する、という形で成立している。
ユゥイの場合、最後の一人が誰なのかわからないので例としては不適切なのだが……ともあれ、彼女と同じようなことがこのジャンヌにも起きているのだとすれば、一応説明は付く。
……すなわち、【星の欠片】が構成要素に混じる場合、
「溶かされる……?」
「アルターエゴを例として挙げたでしょ?あれの本来の運用は、複数の女神を混ぜ合わせ、新たな存在を作り上げること──いわゆるハイ・サーヴァント作ることだけど、【星の欠片】入りの【複合憑依】はそれと同じことになるってわけ」
本来、【星の欠片】は他の要素と
しかし、【複合憑依】は三つの存在を一つに繋げるもの。……見方を変えれば、『三人組のグループを一つの個体として扱う』ようなものである。
そして、グループというものは──複数の個性が含まれることを、寧ろ推奨するもの。
例えば『眼鏡をしているキャラを集めた』グループがあるとして、そこに集うメンバーは『眼鏡』という個性以外、まったく違う方向を向いた者である方が好ましい。
似たようなキャラを集めただけでは、人気が分散するだけ。
キャラの相乗効果を狙ったりするのもグループの目的の一つなのだから、個性は被らない方が望ましいのである。
それは【複合憑依】でも似たようなもの。
わざわざ三つの要素を纏める以上、できればそれらは違う個性を持つものであることが望ましい。
無論、繋ぎ合わせるためには一定量の共通点は必要となるが……逆を言えば、まったく同じである必要はない。
その性質ゆえ、【星の欠片】は【複合憑依】になら混ざることができるのである。
……だがしかし、混ざることができるということと、混ざっても問題がないというのは同じではない。
「雑な言い方をすると、【星の欠片】って納豆菌みたいなものなんだよね。で、他の人達は普通の菌類……みたいな?」
「ぴっか、ぴかっちゅぴ」*4
そう、例え一度成立したとはいえ、【星の欠片】は【星の欠片】。
その性質が崩れるわけではなく、寧ろ近くに別の存在がある、ということに過剰反応することは必至。
では、【星の欠片】の持つ性質とはなんだったろうか?……そう、
その性質が【複合憑依】という現象と混ざった結果、他二つの要素を両立できるモノとして自分を変化させ、それによって三つの要素を溶かした新たな存在として新生するのだ。
そう、今私たちの目の前に居るのは、ジャンヌ・ダルクでもゲンシカイオーガでも見知らぬ【星の欠片】でもない。
今ここで新たに生まれた、新たな【星の欠片】──ジャンヌ・アクアなのである。
A D V E N T S T A RS
星の聖姉 臨戦
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