なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

68 / 1001
幕間・ふふハロ!

「現実で凶骨なんてあっても仕方ないんだけど、なーんか癖で取っといちゃうんだよねぇ」*1

「資材の枯渇は死活問題だからな、まぁ悪い癖ではないさ、っと」

 

 

 真っ赤に染まった大きな骨を手に、思わずため息を吐いてしまう私と、その横でどこから取り出したのかよくわからないショットガンをぶっ放(でパリィ)し、ふらついたスケルトンから骨をぶっこ抜く(に内臓攻撃する)ダンテ君。*2

 ……それ、スタイリッシュではないような?どっちかと言うとわりと血腥いような?

 

 

「ああ、この間仕事をご一緒した爺さんに教わってな。核を抜けば止まる奴にはよく効くんだこれが」*3

「コワ~……」*4

 

 

 そりゃまぁ、よく効くでしょうよ……。

 というか、()()お爺さんもいるのここ?……そっちも大概怖いんですがそれは。脳に瞳とか(ひら)かなくていいですよ?

 いやまぁ、外宇宙に繋がりかねないXさんがいる時点で、ちょっと手遅れなのかも知れないけれど。

 

 

「ん?知らないのかアンタ。最近のこの辺りじゃ、ああいう神もどき共もたまーに見かけるようになったんだぜ?」

「……はっ?イヤなにそれ初耳なんですけどっ?!」

「はーん?どうやらあのお嬢さん、お前さんに余計な心配を掛けたくなかったとみた」

 

 

 なんてことをぼやいていたら、唐突にダンテ君から投げられる爆弾発言。

 ……え?来てんのあのニャルニャルした感じの奴らっ?!

 なんて驚きから詳しく話を聞いたのだけれど……うん、うん?

 

 幾ら世界が不安定だとはいえ、()()()()()達が全力を奮えるほどに歪みがあるわけでもない……というか、そもそもこちらに現れる()というのは、本当に創作や神話の彼らが顕現しているわけではなく、人々の畏敬や不安・崇敬に信仰がその形を()()()()()()というのが正解らしい。

 なので、いつかに見掛けた『風のさかな』も、その実態は『夢を見るだけのクジラ』みたいなものであるらしく、島を産み命を産み……みたいな大それたことはできないのだとか。

 それは()()()()に記された神々についても同じであり、単純に現れただけであれば──例え大元の再現対象が()()()()であったとしても、見ただけで即発狂するような出力は与えられていないのだという。

 

 

「とはいえ、放置しておくのはいささか不味い。お前さんには釈迦に説法みたいなもんだろうが──いつぞやのデーモンキングノブナガみたいな事になりかねないってんで、たまに俺達みたいな便利屋にお鉢が回ってくるのさ」

「……顕現した後から成長することがある……ってこと?」

「そー言うことだな。あん時は確かー……炎髪のお嬢さんが全部焼いて終わらせたんだったか?」

「そこで俺に話を振るの止めてもらえますぅ?あん時の俺、大っ概酷い目にあってたんだからな?」

「『君、いい体してるね。フォーリナーにならないかい?』*5みたいな勧誘を受けてたんだったか?聞いてる分には、随分ファンキーな神様だが」

「……いや、そっちのがよっぽど危ないと思うよ私?」

 

 

 とはいえ、脅威度が殊更に下がっていようとも神は神。

 放っておくと信仰やら何やらを集めて成長し、本来の()()()と遜色ない存在になる可能性がある……というのは、迷い家(BASARAな信長)の報告書から既に論じられ尽くしているらしい。

 なので、元ネタが厄モノな神が顕現した場合、真っ先に討伐指令……もとい討伐クエストみたいなモノが発生するのだという。

 で、そういうのは基本的に血の気の多い組が対応にあたるのだそうだ。……いやまぁ、血の気の多いと言うか、戦うの大好きなだけの人達とかも大概多いみたいだけれど。

 ……郷内部での殺傷的なことは起きないんじゃないかって?これは一種のお祓いみたいなものなので……(目逸らし)。

 

 私が郷の外であれこれやってたのと前後するようなタイミングで、わりとヤバめな()()が顕現するような事態になり──顕現しきる前にシャナが全部焼き切った、みたいな事があったらしい。

 なにが現れたのかは知らないけれど、レベル5を戦力として必要とするあたり、わりとヤバめなモノだったのだろうなと推測はできる。……まぁ、仮に大してヤバくなかったとしても()()()()()()()()()()()、一種のレバ剣*6みたいな運用ができるシャナが適任だった……というところはあるかも知れないけれども。

 

 だって、ねぇ?……銀ちゃんの勧誘と話が繋がってたら、それ行き着く先は虚無(ドワオ)ですよ……?

 そりゃ影響の残滓とか一つとして残せないわ、ってなるというか。

 

 

「子ネコぉ~?なにを楽しくお喋りに興じてるのよ、さっさと行くわよっ」

「……現実逃避くらい許してくれへんか」

「ダメよ、というかここまで近付いておいて、現実逃避もなにもないでしょっ」

 

 

 そんな感じで二人とうだうだ話していたのだが、ちょっと先を先導していたエリちゃんに遅い、と怒られてしまった。

 ……いやでもさ、正直あの城を見てると、どうしても頭痛が止まらないというか。……諦めろ?諦めたらそこで試合終了じゃん、諦めきれるかよ……(?)*7

 

 なお今回はマシュとは別行動である。彼女は現在ラットハウスで防衛中、及び普通の営業中だ。

 ライネスは魔術が使えると言っても最早手品みたいなものなので、自衛はほぼ不可能。ココアちゃんもデュエリストではあるけど、実体化は使えないらしいので戦力外。

 となると、今現在の──そこら中でスケルトンが湧いて出るような状態の郷の中でお店を守れるのは、マシュとピカチュウ(トリムマウ)くらいのものなわけで。

 こっち()は彼女の本来の先輩のように守り続けてもらわないといけないほど弱くはないので、彼女にはお店の方を優先してもらった……というわけだ。

 

 なので──原作(FGO)の主人公のように、マシュに精神分析をしてもらうわけにはいかないのである。……エリちゃんライブに耐性を付けれたのはいいのだが、そもそもの汚染源である()()()についての耐性はまた別の話なのだ。

 できれば視界に入れずにおきたかったのだが、確かにエリちゃんの言う通り、いい加減現実逃避にも限度があるというのもまた事実。

 

 

「仕方ない……腹を括って突っ込みますか、チェイテピラミッド姫路城……っ!!」

「あー、俺帰っていい?」

「ダメです」

「だよなぁ……」

 

 

 ……だからさ。折角覚悟を決めたんだから水を差すのはやめてくれないかな銀ちゃん?

 微妙にしまらない気分のまま、城の中に突撃していく私達なのであった。

 

 

 

 

 

 

 天使や悪魔、それからまつろわぬ神々達が溢れかえっているチェイピ城の中。

 

 道中の雑魚エネミーの種類が種類だからか、勇者がパンチしてたり(天の神も居るのか?)天使を拷問してるの(スタイリッシュ痴女)がいたり、はたまた己の別側面を現実に引っ張り出す(銃かカードか仮面か)者たちがいたりと、なかなかにカオスである。*8

 ……いや、ホントに色々居すぎでは?

 

 

「そりゃそうさ、なんてったってめったに無いカーニバル(騒ぎ時)、ここで騒がないんならどこで騒ぐんだ、ってもんだからな」

「スケルトン一体討伐毎に、ちょっとした手当が貰えるしな。……まぁ、その辺りは数をこなさなきゃ大した稼ぎにはならないんだが」

遊んで(暴れて)金も手に入るってんだ、参加しないほうが嘘だろ?」

「ああなるほど、郷の中での面倒事って、あったとしてもなりきり組同士のいざこざだから、そんなに大暴れとかにはならないのか」

「そーいうこと!個人的にはヤバい案件大歓迎、ってなもんだから、今の郷は楽しすぎて狂っちまいそうだ(I'm absolutely crazy about it)がな!」

 

 

 飛び出してきたスケルトンに投擲一発、見事にバラバラに砕きながら、時に銃を乱射したり時に蹴りや殴りを交えたりと、とにかく楽しそうに戦闘を続けているダンテ君。

 その横では銀ちゃんが木刀のフルスイングでスケルトンの頭部を粉々に砕いたり、はたまたヤクザキックで吹っ飛ばしたあと、塊になったスケルトンを両断したりと、こっちも割と無茶苦茶な戦いを続けている。

 その獅子奮迅ぶりは、ギャグ回ではなく真面目回の銀ちゃんを彷彿とさせるものだった。……場所が場所だけに、どう考えてもギャグ回なんだけどね今回!おかしいね!!

 

 

「でも、ちょっと出てきすぎじゃないこれ?聖杯的なものがあるって話だけど、誰かが無限に召喚してるとかだったりする?」

「さてな!そもそも天使だの悪魔だのまで湧いてるんだ、場に合わせて呼ばれてるだけ……みたいなもんかも知れないぜ?」

「それはぞっとしないなぁ……」*9

 

 

 エリちゃんの疑問に対してのダンテ君の返答に、思わず口を尖らせてしまう私。

 ……いやだってさ、それが本当なら下手すると()()()()()()()()()()消えない、って可能性もあるわけで。

 そうなってくるとハロウィンの申し子エリちゃん、見事隔離塔行き決定だよ?それは流石に可哀想と言うか……。

 

 

「にゃっ!?なななななんでそんなことになるのよっ!?」

「いやだってさぁ?ハロウィンって()()()()()()()でしょ?今は何月?」

「えっと……十一月だけど……」

()()()()()()()()()()()()()()()ってことは、裏を返せばハロウィンの()()()()()()()()()()()ってこと。その判定になっていそうな人って言うと──」

「なるほど、そこのハロウィンガールってことだな」

「つーと……何か?ハロウィンだから湧いてくる、ってのがもし正解だったとしたら……」

 

 

 私達の言葉にごくり、と生唾を飲むエリちゃん。

 ……まぁ、別に勿体ぶるものでもないので、さっくり答えを告げる。

 

 

居るだけで迷惑(レベル3)判定になりますので、もれなく隔離処置です」

「……子゛ネ゛コ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ!!?」

「いや、その。……擁護というか弁護というか、したくないわけじゃないんだけどもさ。……仮に聖杯回収した後にハロウィン終わらなかったら、是非もないよネ!……というか?」

「そんなのいやぁあああ~っ!!!?」

 

 

 エリちゃんが案の定大泣きし始めてしまったので、あやすのに暫く時間が掛かってしまうのだった。

 ……本人よりもちょっと善性とかが強めなこのエリちゃんは、元の本人よりも幽閉とかそういうのにも耐性はあるみたいだけど。

 流石に、レベル3の半恒久的幽閉は無理、みたいなようで。

 

 正直、こちらとしては杞憂で終わって欲しいと願うくらいしかできないのが、本家本元のハロウィンとの違いかなぁ?……なんてことを思ってしまうのでした。

 

 

*1
『fate/grand_order』より、素材アイテムの一つ。『呪いを纏った禍々しい骨』という説明文を持つが、大抵のプレイヤーはその必要数にこそ禍々しさを感じると思われる(2021年現在全部で8000本ほど必要)

*2
『Bloodborne』より、システムの一つ。敵の攻撃に合わせて銃弾を当てることで攻撃を止める(キャンセルさせる)パリィと、そうして体勢を崩した相手に大ダメージを与える内臓攻撃……その一連の流れ

*3
同じく『Bloodborne』より、とある場所に居る車椅子のお爺さん。ただの老人……ではないというのは、人によっては()でわかるかも知れない

*4
『チェンソーマン』主人公デンジがパワーちゃんの虚言癖を目の当たりにした時に呟いた台詞。表情と相まって本気で引いてるのが察せられる

*5
初代『スーパーロボット大戦』に存在したシステム、『説得』を使用した時のゲッターロボの台詞『きみ、いいからだしてるね。ゲッターチームにはいらないか?』から。ゲッター線……う、頭がっ

*6
『らき☆すた』主人公の泉こなたがネットゲームをしていた時に、チャットに流した台詞『レバ剣拾った』から。レバ剣自体は『レーヴァテイン』のことだと思われる。『厄災の枝』とも呼ばれる、北欧神話内に登場する武器の一つ。炎の巨神スルトの持つ炎の剣、及びフレイの持つ剣と同一視されることがあり、それ故か『レーヴァテイン』というと『世界を焼き尽くす剣』として扱われることがほとんどである

*7
『SLAM DUNK』より、安西先生の台詞『あきらめたらそこで試合終了ですよ』から

*8
最初から順に、『結城友奈は勇者である』から結城友奈、『BAYONETTA』からベヨネッタ、『ペルソナ』シリーズからペルソナ使い達。ハロウィンを百鬼夜行とみなしたことによりゆゆゆ組が精霊(妖怪含む)繋がりで、更に天使と悪魔に関わりの深いベヨネッタとペルソナ使い達も率先してやって来た、という形

*9
『ぞっとしない』は、面白くない・いい気がしないなどの意味の言葉。『ぞっとする』が恐ろしいという意味なのに何故?みたいな感じだが、『ぞっと』には『強い感動によって身が震える』という意味があり、『ぞっとしない』はそちらの否定系なのだとか。畏敬、というものに近いのかも?


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。