なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「現実で凶骨なんてあっても仕方ないんだけど、なーんか癖で取っといちゃうんだよねぇ」*1
「資材の枯渇は死活問題だからな、まぁ悪い癖ではないさ、っと」
真っ赤に染まった大きな骨を手に、思わずため息を吐いてしまう私と、その横でどこから取り出したのかよくわからないショットガン
……それ、スタイリッシュではないような?どっちかと言うとわりと血腥いような?
「ああ、この間仕事をご一緒した爺さんに教わってな。核を抜けば止まる奴にはよく効くんだこれが」*3
「コワ~……」*4
そりゃまぁ、よく効くでしょうよ……。
というか、
いやまぁ、外宇宙に繋がりかねないXさんがいる時点で、ちょっと手遅れなのかも知れないけれど。
「ん?知らないのかアンタ。最近のこの辺りじゃ、ああいう神もどき共もたまーに見かけるようになったんだぜ?」
「……はっ?イヤなにそれ初耳なんですけどっ?!」
「はーん?どうやらあのお嬢さん、お前さんに余計な心配を掛けたくなかったとみた」
なんてことをぼやいていたら、唐突にダンテ君から投げられる爆弾発言。
……え?来てんのあのニャルニャルした感じの奴らっ?!
なんて驚きから詳しく話を聞いたのだけれど……うん、うん?
幾ら世界が不安定だとはいえ、
なので、いつかに見掛けた『風のさかな』も、その実態は『夢を見るだけのクジラ』みたいなものであるらしく、島を産み命を産み……みたいな大それたことはできないのだとか。
それは
「とはいえ、放置しておくのはいささか不味い。お前さんには釈迦に説法みたいなもんだろうが──いつぞやのデーモンキングノブナガみたいな事になりかねないってんで、たまに俺達みたいな便利屋にお鉢が回ってくるのさ」
「……顕現した後から成長することがある……ってこと?」
「そー言うことだな。あん時は確かー……炎髪のお嬢さんが全部焼いて終わらせたんだったか?」
「そこで俺に話を振るの止めてもらえますぅ?あん時の俺、大っ概酷い目にあってたんだからな?」
「『君、いい体してるね。フォーリナーにならないかい?』*5みたいな勧誘を受けてたんだったか?聞いてる分には、随分ファンキーな神様だが」
「……いや、そっちのがよっぽど危ないと思うよ私?」
とはいえ、脅威度が殊更に下がっていようとも神は神。
放っておくと信仰やら何やらを集めて成長し、本来の
なので、元ネタが厄モノな神が顕現した場合、真っ先に討伐指令……もとい討伐クエストみたいなモノが発生するのだという。
で、そういうのは基本的に血の気の多い組が対応にあたるのだそうだ。……いやまぁ、血の気の多いと言うか、戦うの大好きなだけの人達とかも大概多いみたいだけれど。
……郷内部での殺傷的なことは起きないんじゃないかって?これは一種のお祓いみたいなものなので……(目逸らし)。
私が郷の外であれこれやってたのと前後するようなタイミングで、わりとヤバめな
なにが現れたのかは知らないけれど、レベル5を戦力として必要とするあたり、わりとヤバめなモノだったのだろうなと推測はできる。……まぁ、仮に大してヤバくなかったとしても
だって、ねぇ?……銀ちゃんの勧誘と話が繋がってたら、それ行き着く先は
そりゃ影響の残滓とか一つとして残せないわ、ってなるというか。
「子ネコぉ~?なにを楽しくお喋りに興じてるのよ、さっさと行くわよっ」
「……現実逃避くらい許してくれへんか」
「ダメよ、というかここまで近付いておいて、現実逃避もなにもないでしょっ」
そんな感じで二人とうだうだ話していたのだが、ちょっと先を先導していたエリちゃんに遅い、と怒られてしまった。
……いやでもさ、正直あの城を見てると、どうしても頭痛が止まらないというか。……諦めろ?諦めたらそこで試合終了じゃん、諦めきれるかよ……(?)*7
なお今回はマシュとは別行動である。彼女は現在ラットハウスで防衛中、及び普通の営業中だ。
ライネスは魔術が使えると言っても最早手品みたいなものなので、自衛はほぼ不可能。ココアちゃんもデュエリストではあるけど、実体化は使えないらしいので戦力外。
となると、今現在の──そこら中でスケルトンが湧いて出るような状態の郷の中でお店を守れるのは、マシュと
なので──
できれば視界に入れずにおきたかったのだが、確かにエリちゃんの言う通り、いい加減現実逃避にも限度があるというのもまた事実。
「仕方ない……腹を括って突っ込みますか、チェイテピラミッド姫路城……っ!!」
「あー、俺帰っていい?」
「ダメです」
「だよなぁ……」
……だからさ。折角覚悟を決めたんだから水を差すのはやめてくれないかな銀ちゃん?
微妙にしまらない気分のまま、城の中に突撃していく私達なのであった。
天使や悪魔、それからまつろわぬ神々達が溢れかえっているチェイピ城の中。
道中の雑魚エネミーの種類が種類だからか、
……いや、ホントに色々居すぎでは?
「そりゃそうさ、なんてったってめったに無い
「スケルトン一体討伐毎に、ちょっとした手当が貰えるしな。……まぁ、その辺りは数をこなさなきゃ大した稼ぎにはならないんだが」
「
「ああなるほど、郷の中での面倒事って、あったとしてもなりきり組同士のいざこざだから、そんなに大暴れとかにはならないのか」
「そーいうこと!個人的にはヤバい案件大歓迎、ってなもんだから、今の郷は
飛び出してきたスケルトンに投擲一発、見事にバラバラに砕きながら、時に銃を乱射したり時に蹴りや殴りを交えたりと、とにかく楽しそうに戦闘を続けているダンテ君。
その横では銀ちゃんが木刀のフルスイングでスケルトンの頭部を粉々に砕いたり、はたまたヤクザキックで吹っ飛ばしたあと、塊になったスケルトンを両断したりと、こっちも割と無茶苦茶な戦いを続けている。
その獅子奮迅ぶりは、ギャグ回ではなく真面目回の銀ちゃんを彷彿とさせるものだった。……場所が場所だけに、どう考えてもギャグ回なんだけどね今回!おかしいね!!
「でも、ちょっと出てきすぎじゃないこれ?聖杯的なものがあるって話だけど、誰かが無限に召喚してるとかだったりする?」
「さてな!そもそも天使だの悪魔だのまで湧いてるんだ、場に合わせて呼ばれてるだけ……みたいなもんかも知れないぜ?」
「それはぞっとしないなぁ……」*9
エリちゃんの疑問に対してのダンテ君の返答に、思わず口を尖らせてしまう私。
……いやだってさ、それが本当なら下手すると
そうなってくるとハロウィンの申し子エリちゃん、見事隔離塔行き決定だよ?それは流石に可哀想と言うか……。
「にゃっ!?なななななんでそんなことになるのよっ!?」
「いやだってさぁ?ハロウィンって
「えっと……十一月だけど……」
「
「なるほど、そこのハロウィンガールってことだな」
「つーと……何か?ハロウィンだから湧いてくる、ってのがもし正解だったとしたら……」
私達の言葉にごくり、と生唾を飲むエリちゃん。
……まぁ、別に勿体ぶるものでもないので、さっくり答えを告げる。
「
「……子゛ネ゛コ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ!!?」
「いや、その。……擁護というか弁護というか、したくないわけじゃないんだけどもさ。……仮に聖杯回収した後にハロウィン終わらなかったら、是非もないよネ!……というか?」
「そんなのいやぁあああ~っ!!!?」
エリちゃんが案の定大泣きし始めてしまったので、あやすのに暫く時間が掛かってしまうのだった。
……本人よりもちょっと善性とかが強めなこのエリちゃんは、元の本人よりも幽閉とかそういうのにも耐性はあるみたいだけど。
流石に、レベル3の半恒久的幽閉は無理、みたいなようで。
正直、こちらとしては杞憂で終わって欲しいと願うくらいしかできないのが、本家本元のハロウィンとの違いかなぁ?……なんてことを思ってしまうのでした。