なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……流石にこれはおかしくない!?」
「って言っても、まさか外に放置しておくわけにもいかないしねぇ?」
はてさて、夕食を終えたあとどうしようか?……ってなったわけなのだが。
辺りは既に真っ暗。雨が降り続いていることもあり、流石にこの中でまた戦いを……というテンションではなかったため、明日改めて場を設けることに。
で、それで現地解散……となるのが普通なのだが。
特に現在その様子がないとはいえ、ジャンヌとニャースをそのまま解散させると、向こうに連れて行かれる可能性はないとも言い切れない。
さらに、帰る場所のあるニャースはともかく、ジャンヌの方は何度も言うように生まれたて。……ここで解散となると、要するに野宿を強いることになってしまうわけで。
そりゃダメだろう、ってなった結果が、今の部屋の状態なのであった。
「にゃにゃ、一宿の恩義は一飯で返しますにゃ。朝食のリクエストがあれば、今のうちに受け付けておきますにゃ」
(´´v`)「あ、じゃあスクランブルエッグとソーセージが食べたいし……」
「ぴっか、ぴかっちゅー」*1
「ええと、美味しいものがいっぱい食べられたら、嬉しいですかね」
「にゃにゃ。承りましたにゃ」
「……なんかもう、ニャースってよりアイルーだよね、一応メラルーらしいけど」
動物組を個別で部屋を取る、ということができないこともあり、
で、その一部を除いた面々だけど。
部屋に泊めて貰える、ということにいたく感激したらしいニャースが、明日の朝食は任せてくれと張り切り始め。
それを聞いたルドルフやピカチュウ、それからジャンヌは各々好きなものをリクエストしていたのであった。
──そう、件の二人(何故か)パーティ・インである。
……敵と第三勢力が一緒の部屋で仲良くしてるとか、なにかのギャグかな?
というわけで、さっきから
とはいえ、こっちには彼女を嗜めたり慰めたりする余裕はない。なんでかって?
「気を抜くと部屋の中で雨が降りだすんだよなぁ……」
「は?……あ、そっかまだ終わってないからそうなんのね!?」
対処しないと、部屋の中が雨でびしゃびしゃになるからだよ!!
……そう、【星の欠片】の反応も終わっておらず、戦闘も終了していないこの状況。ジャンヌ・アクアの『はじまりのうみ』は無効化されていないのである。
いやまぁ、外の雨が止んでない時点でわかる話なんだけどね?
ただこれ、そう簡単な話でもなかった。
ポケモンバトルなどを見ていればわかるが、戦闘というのはなにも天井のない野外だけで行われるわけではない。
というか、寧ろジムリーダー戦とか四天王戦とか、大体屋内で行われることが多いのである。*2
じゃあ、そういう場所では天候変化技は不発になっていただろうか?……答えは否、そういう場所でも容赦なく天候は変化する。なんなら屋内でかみなりに打たれることもある。
それが意味することとは、ジャンヌ・アクアは現状屋内に入れる状態ではない、ということ。
……戦闘も反応も終わってないのだから当たり前なのだが、それでも現在彼女は部屋の中でニャース達と談笑しているし、なんならさっきの料理屋でも普通に料理を楽しんでいた。
これがどういうことかというと。
現在、私が彼女に影響を与えないようにしながら雨が降らないように調整している、というのが正解。
この『彼女に影響を与えない』というのが曲者で、維持するのに大層気を使うのである。
なにせ、迂闊に特性の効果を失わせてはいけない。
他の人ならいざしらず、私がそれをしてしまうと彼女の中の【星の欠片】に意図せず触れてしまう。
……普通の、それこそ【複合憑依】でもなんでもない【星の欠片】ならば、それでも特に問題なく進むかもしれないが。
ここにいる彼女は、現在【星の欠片】になろうとしている子、というのが正解に近い。
言うなればまだサナギのようなものなわけで、下手に触れてしまうと形──最終的な結果がおかしなことになってまうのである。*3
単に変なキャラになるのならまだマシで、まかり間違って【星の欠片】としての性質が強調された存在になってしまった日には、まさしくこの世の終わりだろう。
……え?具体的にどうなるのかって?
「今のところあんまり噂の
「さ、察すると……?」
「多分、カイオーガの再現に使われている【星の欠片】がそれを止めて、もう片方の方に総力を尽くす形になると思う」
「つ、つまり……?」
「超強化状態の水着ジャンヌ(星の欠片風味)が生まれる可能性が大」*4
「頑張りなさい!!マジで頑張って調整しなさいよアンタ!!?」
今の時点で大概おかしい性能の彼女に使われているリソースが、全て『水着ジャンヌ』を構成するために使われることになるから……多分、
そうなってしまえばこの世の終わり。【星の欠片】特有の土台権限によりあらゆる属性の姉が跳梁跋扈し、そして誰もそれをおかしなことだと気付けない、気付くことのできない姉達の
……わかりにくい?じゃあほらあれだ。大奥の時のカーマちゃんを思い浮かべてみて?
で、その無数のカーマちゃん達が全て『水着ジャンヌ』に置き換わってるところを想像して?
……その光景に違和感を抱けなくなる、というのがこれから起こる
こちらの言葉にその光景を想像してしまい、見事にSAN値が削れきってしまった
そんなことが起きないように、細心の注意を払いながら調整しなければいけないのが、屋内での彼女の特性の暴発を防ぐ作業……というわけである。
そこまで苦労するのなら、最早外に放置する方が早いのでは?……みたいなツッコミが聞こえてくる気がするが、何度も言うように彼女を外に放置するのはダメである。
それはなにも、ニャースが彼女を連れていってしまうかも、というだけの話には留まらない。
その理由は、彼女を野宿させることになる、という部分に隠されていた。
「……ええと?」
「この大雨の中、放置されることになるわけだよね。……それ、普通に耐えられる?気持ち的に」
「あの鉄の聖女様ならなんとかなりそうだけど……」
「うん、その認識が間違いなんだよね……」
「どういうことよ?」
「カイオーガにばっかり目を取られ過ぎ、ってこと」
そう、現在一番の問題となっている『大雨』のせいで、微妙に見落としていたが……そもそもこのジャンヌ、生まれたてなのである。
それも、見方を変えれば
……【星の欠片】による二つの要素の再解釈、もしくは統合というプロセスが完了していないため、今の彼女はジャンヌとしてもカイオーガとしても不安定である。
それゆえ、
「……は?」
「なまじジャンヌとしてはそこまで破綻してないから、気が付かなかったんだろうけど……扱いとしては『モノを知らない子供が、一先ず知識にある聖女の物真似をしている』ってのが近いのよ、今のあの子」
「はぁーっ!?」
そう、なまじ本物のジャンヌの如き固さだったり、カイオーガ由来の雨が降っていたりしているために勘違いしていたが……今の彼女は情緒未発達の幼女のようなもの。
そのため、本物のジャンヌなら気にもしないような行為も、表面上はともかく内部でどう処理されているかわかったものではないのである。
では、そんな状態の彼女をこの大雨の中放置したとして。
最終的に、彼女はどうなってしまうだろうか?
……答えは単純、要素として一番強い【星の欠片】に忠実な存在になる、である。
自身の指名に忠実な【星の欠片】が、どういうものなのか?
……みたいなことはちょくちょく語っているため、なんとなくわかるだろうが……あえて言葉にするなら、GXのユベル*5みたいになる可能性が高い。
そう、相手からの仕打ちを『愛』と見なす、歪んだ存在になる可能性がとても高いのだ。
「良い方に見積もってもスパルタクスみたくなったジャンヌ、なんてものが生まれる可能性が高くってね。……これでも外に放置、する?」
「(必死の形相で顔を左右に振るジャンヌ・オルタ)」
「……まぁ、そういうこと」
無論、これまでの話は今のところ推論でしかない。
……しかないが、同時に一番起きる可能性の高いものであることも間違いない。
ヤンデレジャンヌお姉ちゃんに愛されて夜も眠れないジャンヌ・オルタ……みたいなことになりたくなければ、こっちに協力しろ、オーケー?
と言われ、
……うーむ、世知辛い。