なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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思ったより堅牢だった(白目)

「それから何度か試してみたんだけど……うん、ダメだねこれ」

『なんでよ!?』

 

 

 あれから何度か、あれこれと条件を変えながら試してみたものの……結果は全て同じ。

 五条さんの『無量空処』では、ジャンヌにダメージを与えることは不可能だ、という結論が出たのであった。

 ……なんなら、『無量空処』展開中の『茈』とかも()()()()()()()()始末である。

 

 

「考えられるのは一つかな。多分だけど彼女、扱いとしては()()()()()()()()()()()()()()()()()()になってるんだと思うよ」

『かんいりょういき?』*1

「呪術廻戦で出てくる技の一つだね」

 

 

 こうなると、ジャンヌが領域を無効化している、と考える方が自然だろう。しかも無意識に。

 ……となれば、自然とその理屈も見えてくる。

 そう、【星の欠片】だ。……またかよ、と思ったそこの君、でもそれくらいしか思い付かんのだ私には。

 

 確かに、ここにいるジャンヌは正式名称『ジャンヌ・アクア』などという、微妙に本来のそれと外れた存在である。

 ……とはいえ、その存在を構成する片割れであるカイオーガの権能(とくせい)である『はじまりのうみ』が機能している以上、ジャンヌ側の技能がまったく発揮されていない、とは思えない。

 というか、実際ニャースの補助を見たあとに宝具である『我が神は(リュミノジテ)ここにありて(・エテルネッル)』を使っていることから、その部分を疑う意味は余りない、ということになるだろう。

 

 じゃあさっきのも、その『我が神はここにありて』で無効化したのでは?……みたいな予測も出てくるかもしれないが、それに関しては違う、と言うことがハッキリとしている。

 何故か?それを理解するにはまず、かの宝具がどういう性質のモノなのかを知る必要があるだろう。

 

 宝具、『我が神はここにありて』。

 絵画に描かれるジャンヌが持つことでも有名なその旗は、史実の彼女が味方を鼓舞するために掲げ続けたモノでもある。

 そこに、彼女の精神性などを加味した設定を加え構成されたのが、俗に『結界宝具』という分類に当てはめられるこの宝具だ。

 

 

「領域展開は一種の結界術だからね。となれば、種別として結界である『我が神はここにありて』に対しては中和されてしまう、という可能性は十二分にあるわけさ」

「とはいえ単なる結界術だと、生得領域……型月で言うところの心象風景の押し付けでもある、領域展開相手には分が悪いんじゃないか?みたいなところもあるんだけど……心象風景云々の話をするのであれば、ジャンヌにもそういう宝具はあるからね」

『あー……自爆宝具だっけ?』

 

 

 とはいえ、幾ら相手の攻撃を()()()効果を持つとはいえ、単なる結界で領域を無効化できるのか?……という部分には少々疑問が残る。

 無論、作品の違いという形でそれが許される可能性もなきにしもあらずだが……ここでは、彼女にも生得領域──心象風景に相当するものがある、ということを例示して行きたい。

 

 それが、今ゆかりんが『自爆宝具』と言ったジャンヌの持つ剣──『紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)』である。

 

 ラ・ピュセル(La Pucelle)とはフランス語で『乙女』という意味を持つ言葉であり、そこから転じてジャンヌ・ダルクの異名としても使われている。

 そんな彼女の異名を冠するこの宝具は、彼女の最後──炎に焼かれて死ぬ、というそれを攻撃的な解釈で成り立たさせたもの。

 その効果は、己の()()()()を炎として具現し、彼女が『打ち砕くべき』ものを必ず打ち砕く、というもの。

 

 ……いまいちよくわからないと思うので、もう少し噛み砕いて説明すると。

 心象風景とは、自身の内面の世界のこと。

 それを剣として結晶化したこの宝具は、要するにジャンヌ本人と同じ。

 すなわち、彼女の磔からの火刑、という一連の流れを(ほんにん)から火が上る、という形で再現しているのである。

 

 ……他の作品の『ジャンヌ・ダルク』は、この火刑を『復讐するに足る理由』と見ることも多いが、そもこの作品のジャンヌは人を恨むことはなかった。

 ゆえに、彼女の身を包む炎もまた、人の安寧のために必要なものだった──というようなことを思っていても、そうおかしくはない。

 

 実際に彼女がどう考え、どう思ったのかは定かではないが……少なくとも、この宝具によってジャンヌを焼く焔は決して世を呪い恨むモノではなく、人の世のために道を阻むモノを打ち砕く──すなわち浄罪の焔なのである。

 その辺り、聖女と呼ばれつつも苛烈な面を持つ彼女らしい性質、ということなのかもしれない。

 

 とはいえ、今回の話で重要なのは宝具の性質ではなく、この剣が()()()()()()()である、ということの方だろう。

 固有結界は型月作品に登場する技能の一つだが、それは()()()()()()()()()()()()()()()()()もの。

 ……そう、領域展開と性質が同じなのである。無論、生得領域と心象風景という、単語の違いはあるわけだが。

 

 

「とはいえ、どっちも()()()()()()()()()()()()()()()()って意味では同じようなものだからね。単なる結界術ならともかく、固有結界をぶつけられたら領域展開側が圧勝、なんてことにはならないだろうさ」

『なるほど……じゃあ、さっきのはそういうことだった、ってこと?』

「とはならないんだよねぇ」

『あれぇー?』

 

 

 ただまぁ、これはあくまでも一般論的な話。

 公式で両者が合間見えることはあり得ないだろうから、領域展開と固有結界のどちらが優位なのか……みたいな話は、あくまでもファンの間のお遊びみたいなものにしかならないだろう。

 だから、両者のぶつかり合いがどうなるのか、みたいなところは想像によって語るしかない……ということを述べたいわけではない。

 

 ここで今の話を持ち出したのは、『最終的にはそうなったのではないか?』という部分を共通認識にしたかったから、というところが大きいのだ。

 

 

『……んん?最終的?……どういうこと?』

「確かに、設定を深堀していくと彼女が領域展開に対抗できる可能性がある、ってことは理解できる。……だけど同時に、だからこそ()()()()()()()()()()()()()()()()()って風にも言えてしまうのさ」

『はい?』

「さっきのジャンヌ、()()()()()()()使()()()()()()()からね」

『………………あ』

 

 

 そう、この話の一番の問題。

 それは、さっきの戦い(のようななにか)の時、彼女はどちらの宝具も未使用だった、という点。

 

 カイオーガの特性のように、常時発動型ならどうにかなったかもしれないが……ジャンヌのそれは、ちゃんと発動しないと起動しないタイプの宝具である。

 一応『我が神はここにありて』の方は、ジャンヌの持つ規格外の対魔力を、旗を触媒にあらゆる攻撃に対しての守りに変換する……という形式のモノであるため、一種の常時発動型と言えなくもないかもしれないが……。

 

 

()魔力、って言ってるように、通常時は魔力に対してしか反応しないからね。呪術は無理って話はそもそも原作の方でも言われてることだし、多分宝具展開なしで耐えるのは無理だと思うよ?」

 

 

 まぁ、型月における呪術は物理現象扱いとのことなので、単純なフィジカルで耐えてくる可能性もないとは言い切れないが。

 

 ……ともあれ、本来のジャンヌの持つ逸らすタイプの回避は、宝具の効果によるもの。

 ゆえに、宝具の展開もなしにあの現象を起こしていた、というのが考察のノイズになってしまうのである。

 ……え?カイオーガ由来のやつなんじゃないのかって?

 流石に領域展開中だと単なる生物的習性、みたいなものの一つでしかないそれで避けるのは無理がある、というか。

 

 そう、結局のところこの話は、単なる回避ならともかく()()()()()()()()()()()()、という現実の解法がここまでの説明では出てこない、というのが問題なのである。

 

 確かに、ジャンヌ側がしっかりと迎え撃ったのなら、今の結果が導き出せることもあるだろう。

 だがしかし、今回のジャンヌに限って言えば、万全の備えなどというものは一切なかった。

 不意打ちというわけではないが、話を穏便に進めるために素直に攻撃を受けるつもりだった……ということもあって、『避ける』という選択肢自体が最初から存在していなかったのである。

 

 にも関わらず、結果は『ジャンヌが避けた』で終わっている。

 ……となれば、なにかしらイレギュラーな自体が起こった、と考える方がよいだろう。

 

 

「そう考えると、やっぱり怪しい……というか、もう確定的に原因だと思われるのが【星の欠片】だ、ってことになるんだよね」

「奇しくもカイオーガの『はじまりのうみ』はフィールド干渉効果──つまりは領域展開や固有結界に近い、とみなすこともできるし。習性由来の回避も、相手の攻撃を逸らすという形で回避するジャンヌの宝具に似ている、と言えなくもない」

『普段なら、その程度の類似性だと【継ぎ接ぎ】にもならないけど……』

「今の両者の要素を【星の欠片】で代用しようとしている最中のジャンヌなら、結果として()()()()()()()()()()()ような扱いになっててもおかしくはないね」

『あー……』

 

 

 そのイレギュラーを起こすモノとして、心当たりが出てくるのが【星の欠片】というわけである。

 これが仲介役として挟まっている以上、ほんの少しの類似性でも纏められてしまう可能性は少なくない。

 ゆえに、今のジャンヌの回りの雨──『はじまりのうみ』は、彼女の『紅蓮の聖女』の性質と混ざって固有結界扱いになっているとか。

 習性由来の回避も『我が神はここにありて』と混ざり、常時発動型的なものとして変質している可能性がある、という話になってしまうのであった。

 

 なお、そこまで纏めたあと五条さんは、

 

 

「いやー、範囲が日本全土規模の領域とかムリムリ」

 

 

 と、どこか遠いところを見つめながら苦笑を浮かべていたのでしたとさ。……閉じない結界より質悪いかも。

 

 

*1
『領域展開から身を守るために生み出された弱者の領域』と呼ばれる技能の一つ。簡易と付くように、機能的には領域展開の簡易版のようなもの。自身の回りに小さな円の領域を作り出し、相手の領域展開の必中効果を中和する。まがりなりにも『結界』である為、その場から動くことができないなどのデメリットを複数抱えているが、代わりに領域展開よりも習得しやすいなどのメリットがある。特に、領域展開の使えない呪術師がそれに対抗するには必須とも言える……のだが、縛りの関係上『シン・陰流』の門下生以外は覚えられないという、少なくない問題も抱えている

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