なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、五条さんに領域と化している雨を中和して貰う、という話だったわけなのだが。
……とはいえ、それもまた字面ほど簡単な話ではない。
なにせ、最初の邂逅の時に試した通り、単に領域を展開しても真面目に押し負けてしまうのである。
相手の領域と判定されているのが、雨の降る日本全土……という、破格の大きさであるがゆえに拮抗のしようがないわけだ。
領域には領域というものの、これでは無効化の目処さえ立つまい。
(´^`)「だからって、まさかそっちから増えてくれって言われるとは思わなかったし……」<ギュイーン
「ぴかっちゅ、ぴかぴー」*1
そこで彼の補助を担うこととなったのが、なにを隠そうションボリルドルフなのであった。
彼女が最初の出会いの時、奇っ怪な音を立てながら増えようとしていたことを覚えているだろうか?……そう、いわゆる増殖シリーズというやつである。
単に増えるだけならば、なんの意味もない……どころか、寧ろ事態を別方向に悪化させるだけの話でしかなかったのだが。
ここに来て、彼女が『ケルヌンノス』から生まれたものである、という性質が利点となりうることが判明したのであった。
二部六章をクリアした人ならご存じのことだろうが、
そして、彼らがその
メソポタミア神話の原初の海の女神・ティアマト神の最後と同じく、神の遺骸の上に文明を築いた……というわけである。*4
……その辺りの話には思うところも多々あれど、ここで必要なことはただ一つ。
(´´v`)「今日の私はグラードンだし……」<ギュイーン
「ぴかっちゅう、ぴかっぴー」*5
──そのケルヌンノスの系譜である彼女には、
そう、無限に増える彼女は属性を(ピカチュウとセットにして)整えることで、グラードンと同じく『陸地を広げるもの』としての属性を得るに足る素質があったのだ。
……まぁ、彼女のそれはわりと真面目に際限のないタイプのモノなので、ほどほどに調整しておかないと地球が丸ごとションボリに……という別方向の厄災にも発展しかねないのだが。
その辺りはまぁ、腐ってもケルヌンノスの眷属だということだろう
……折角こっちがシリアスな感じに話を整えてるんだから、そこは合わせてもろて()。
ともかく。
五条さん単体では足りない干渉力を、相手と同じ立ち位置──対である『
本来、ルドルフの増殖行動に天候を操作する効果はないのだが……見立てなどの追加バフが上手いこと機能しているようで、今の彼女は晴れを司る存在となっていた。
空を見上げれば、私たちのいる場所を基点として左右に綺麗に別れた、晴れ間と曇り空の境を確認することができるだろう。……もはや創世神話である。
そうして、カイオーガの持つ神性を極力抑え込んだところで、五条さんによる領域中和が火を吹く。
……ここまでして中和かよ、って感想が飛んできそうだが、それでも一撃で終わらせる道筋がようやく立った、ということは素直に喜ばしい。
なにせここまで、『どう足掻いても数ヶ月から数年単位の戦闘期間を要する』という試算しか立っていなかったのだ、それをどうにかできるというだけで万々歳だろう。
さて、ここまでの話でジャンヌ・アクアの持つ特殊性──『
それから、それでもなお立ち塞がる、莫大な体力と防御を貫くための矛としての『神断流』の調整という、重要な要素を見てきたわけなのだが。
──ここまで来てもなお、一つ足りてないことがある。
そう、この状況において攻撃役を任される人物だ。
本来であれば、こういう状況において攻撃役を担うことがほとんどである私は、今回明確に裏方に回っている。
それは、攻撃するための矛──『神断流』の調整には、私とゆかりん両方の力が必要であるがゆえ。
同じように、他の面々も
つまり、攻撃役は今まで話題に上がった者以外、ということになる。
ニャースに関しては……彼は攻撃役ではなく、攻撃役にバフを積めるだけ積む役目を請け負った。
先ほどはその行動に反応して、ジャンヌ側が張り切ってしまうというアクシデントがあったが……今の状況において、その心配はないだろう。
ジャンヌ本人の意思としてもそうだし、現状の環境がそもそもそれを許さない。
言うなればこの状況、勇者シリーズ系で相手を拘束して最後にぶった斬る……という、〆の部分に入っているのである。
そのため、ジャンヌが反応して防御を加算してしまう、というような展開には繋がらないし、そもそもその余裕もない。
……まぁ、端から見ると集団リンチしているように見えなくもないが、その辺りは攻撃役を
──そう、攻撃役となるのは、ただ一人。
ここまで話に上がっておらず、かつ今いるメンバーの中では唯一、そもそもにジャンヌの回避性能を無視できていた人物。
彼女に『神断流』という矛を持たせ、ルドルフの増殖や五条さんの領域によって相手の特殊能力を極力無効化するというのが、今回私たちが導き出した必勝の策。
「……(これはこれで、なんというか燃えるシチュエーションね)」
全てを託された女──ジャンヌ・オルタは、与えられた武器とシチュエーションを前に、ほんのり紅潮した顔を隠しきれずにいたのであった。
「よーし、じゃあ張り切って行くわよー!!」
「「「おーっ!」」」
お膳立てされた状況というものに少々の忌避感はあれど、それでもこの状況を解決する方が先決……と皆の心が一つになった時、自然と私からは掛け声が漏れていた。
一世一代、世界を救うための一大決戦というわけである。
ゆえに、皆のノリも自然と
(`´^`)「まずは私達からだし……」
「ぴっか、ぴかっちゅ!」*7
「「
まずは一つ目、ピカチュウとルドルフ組。
彼女達が気合いを入れた途端、巻き起こるのはかみなりを纏ったルドルフ達の暴風である。
……え?おわりのだいちでもなんでもない?相手を拘束するのに地割れで挟んでるようなものだから問題はない。(キリッ
「そんじゃあ次は僕か。合わせるのなら──
次いで五条さん。
彼の領域は円のようにジャンヌを包み込み、その動きを短い時間ながら封じ込めることに成功する。
「次は私達ね!」
「正直ノリが違う気がするけど……ここは敢えてこう叫びましょう」
「「超電磁スピィーンッ!!」」
それに続く私とゆかりんは、攻撃の代わりにジャンヌの武器──右手の剣へと調整した『神断流』の使用権を付与する。
叫んだのはあくまでノリなので、あまり気にしてはいけない。
「にゃにゃ。これでお膳立ては終了ですにゃ。ご主人、準備はいいですかにゃ?」
「誰がご主人よ、誰が。……でもまぁ、アイツを思いっきりぶん殴って感謝される、って状況は中々いいわね」
「あのー?!オルタってばちょっと私怨が入ってませんかー!?」
「うっさい、黙って磔になってなさいよアンタは。……ああでも、磔だと仮定するとあんまり眺めてるのも宜しくはないか」
そして最後、ありったけの猫スキルによる強化をニャースから施され、未だかつてない万能感に身を焼かれながらオルタは不敵に笑う。
無論、これは相手を滅ぼす戦いではない。相手を救うために打倒する、ともすればどこぞの鋼鉄の天使こそが得意とする戦い。
されどオルタは、この状況にあって笑うことを選択した。
単に面白かったのもそうであるし、自分という存在がこんな戦いをできることに感動した、とも言える。
けれど、それを素直に口に出すのは恥ずかしいので、彼女は悪役っぽい笑みを浮かべながら、磔にされたジャンヌと相対するのであった。
「安心しなさい。苦しまないように一息にやってあげるわ」
「台詞がヤバいんですけどー!?」
「ふん。──
(どっちかというと暗黒剣だよなぁ、あれ)
流れに沿うように、オルタはその剣を天に掲げ構える。
そのまま彼女はジャンヌに向かって疾走し、その手前数メートルほどの位置で跳躍する!
「──Vの字、斬りぃっ!!」
「きゃあああーっ!?」
斬撃の軌跡はVの字を描き、磔にされたジャンヌをその磔ごと引き裂いていく。*8
振り抜いた剣を払いながら背を向けるオルタの背後で、ジャンヌは周囲の空間ごと爆発炎上。
……必殺技の流れ的には大正解なれど、それって大丈夫なので?……という一抹の不安を周囲に振り撒きつつ、戦いは終わりを告げるのであった。
……いやこれでいいのか本当に???