なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、突然のオルタ大爆発より数分後。
みんなして黒焦げアフロヘアーになっていたわけだが、あの爆発規模でこんな姿で済んでいるのは運がイイナー。
……などという冗談は通じず。
「説明、しなさいよ」
「お、落ち着いてオルタ……」
こちらに圧を掛けてくるオルタをどうにか落ち着かせつつ、私たちは場所を移したのであった。
……爆煙もとい曇天の向こうから姿を現した、ジャンヌを伴って。
「んじゃまぁ、とりあえず……ラストアタックおめでとー、オルタ」
「……さっきからなんか違和感あると思ってたけど、ようやくわかったわ。なんでアンタ、
「え?……あ、ホントだ?!キーアちゃんってばさっきまで、オルタちゃんのこと『ぬ』って呼んでたわよね?!」
「おー?そういえばそうだねー」
移動した先──近くの公園でベンチに腰を下ろした私は、まず真っ先に、
……のだが、流石にここまで来ると気付かれるというもので。
そして、彼女のその言葉を聞いた他の面々も『なんで?』という視線をこちらに向けてきて……。
「……『ぬ』って呼んでたことに、深い意味は無かったんだよ?」
「その言い方だと、今の呼び方には深い意味があるってことかな?」
(´´^`)「そうなんだし?」
「はっはっはっ。まぁねー」
特に隠す意味もないことなので、私は彼らに首肯を返した。
……最初に『ぬ』と呼んでいたことに、深い意味はない。
仮に意味付けをするのなら、『オルタ』という呼び方だと今後オルタ系のキャラが来た時に難儀するだろうなー、と思ったというのが一番近いのではないだろうか?*1
ほら、沖田オルタちゃんとか、セイバーのオルタとか。
オルタというのは、
別の可能性、とでも訳すべきその名前は、それゆえに多数の存在に使われるある種の称号としても扱われている。
「だから、基本的にはその人個人の呼び方、みたいなのを制定すべきだと思った……みたいな感じ?」
「……ねぇ、その言い方からすると、すっっっごく嫌な予感がするんだけど?」
「あっはっはっはっ。……オルタは勘が良いなぁ」
「…………ちょっと、失礼するわね。ぎゃあああぐわぁぁああふっざけんなぁぁぁあっ!!?」
「びぃっ!?」*2
ゆえに──私が敢えて『オルタ』、と呼ぶ相手が仮に居るとすれば。
それは恐らく、
その言葉から、自分の身になにが起きたのかをはっきりと理解したオルタは、頭を抱えながら悶え苦しみ始めたのであった。
……まぁうん、そうなるのも仕方ないよねーというか。
なお、まだよくわかってない周囲の皆は、なんだなんだと困惑したような顔をしていたのでした。
「ええとつまり……どういうこと?」
「大雑把に言えば、彼女は真に
「…………?????」
数分後。
地面に転がって「殺せぇ……私を殺してぇ……」と虚ろな目で呟き続ける脱け殻と化したオルタにドン引きしつつ、ゆかりんがこちらへと疑問を投げ掛けてくる。
私はそれに対し、できうる限り簡潔に答えを返したのだけれど……簡潔にし過ぎたせいで、逆に伝わらなかった様子。
ふむ、どう説明したものか……。
「ええと、二部七章で語られた『
「え?ええと……確か、その英霊本人の根幹……いわゆる矜持がねじ曲がったモノ、みたいな感じだったわよね?」*3
「まぁ、大体そんな感じだね」
あれこれ考えた結果、やっぱり子細に説明するしかないか……となった私は、順を追って説明することに。
そこで最初に切り出したのが、『オルタ』という存在の定義であった。
……『オルタ』という名称は、実は初代『fate/stay_night』には存在しないモノであった。
その時は『黒いセイバー』などという呼ばれ方であり、『オルタ』の名称が付くようになるのは他作への登場──
ゆえに、そもそもの大前提として『オルタ』とは、
そこから作品が多方面に展開するに連れ、意味合いが少しずつ変質して行ったわけだが……初代『オルタ』であるセイバーのそれを例にするのなら、本来『ジャンヌ・オルタ』や『クーフーリン・オルタ』などは微妙に違うもの、ということになってしまう。
何故なら彼ら彼女らは、本人が辿ることのない
「ジャンヌの場合、聖女であることをやめること。クーフーリンの場合なら、戦士ではなく嫌悪した王になったこと。……FGOで登場しているオルタ達の内、彼らのそれは特に
ゆえ、彼らはオルタではあるものの、本人とは微妙にずれた存在として定義されている。
確かに、存在として細かく見た時に『聖女の矜持を捨てたジャンヌ』や『戦士を止めたクーフーリン』はオルタ以外の何者でもないが、実際のところ彼ら本人がそれをすることはまずあり得ないだろう。*5
……だからこそ、彼らは『想像はできるが、できるだけ』という枠に転がり込んだ者、というような性質が強いのである。特に、ジャンヌ・オルタの場合は。
「
そう、史実のジャンヌ・ダルクの末路から、彼女の闇堕ちバージョンというのは、誰でも容易に思い付くもの……というくらいの存在なのである。*6
ともすれば、型月の設定から考えて『無辜の怪物』を付与されたジャンヌが居てもおかしくない程度には。
けれど実際には、ジャンヌに『無辜の怪物』が入り込む余地は一切ない。……いやまぁ、『無辜の姉』みたいな別方向に最近暴走している気はするけど、それはそれとして、だ。
ゆえに、枠組みとして存在はするものの、その枠が埋まることはないだろう……みたいな場所に転がり込み、自身の存在を繋ぎ止めたのが現在の『ジャンヌ・オルタ』ということになる。
「なので、彼女はオルタだけど、厳密には『ジャンヌ・ダルクのオルタ』とは言い辛い。あってもおかしくないから成立してるだけで、方向性的にはそれこそ幻霊でもおかしくない*7のよ」
「……そう言われてみるとそうだなー、ってなるけど……それと今回の話がどう繋がるわけ?」
「言ったでしょ、
「……もしかしてだけど、今の彼女って属性的に
「いやいや五条さん、そんなことあるわけ……」
「五条さん正解ー」
「あるの!?」
ここまで語れば、なんとなく答えは見えてくるというもの。
元義……ってわけではないが、最初に登場したオルタを思えば、ジャンヌ・オルタが微妙にオルタとは言い辛い……となっていることは、ここまでの話でなんとなく理解できるだろう。
それを敢えて、わざわざオルタと言うのであれば──今の彼女が、元義のそれに近しいモノになっている、と考えるのが正しい。
そう、今のオルタは定義上
とはいえ、本人のように聖女様、というわけではないし、その思考も明確に別なもの。
──ゆえに晴れて、
なお、その辺りのことをなんとなく感覚で察していたオルタ本人は、死ぬほど胃が痛くなって倒れた。
……義理の姉どころか、下手すると双子・ともすれば鏡写しの本人同士になってしまったとか言われてるようなものなのだから、その心労推して知るべし、というやつである。