なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……ええとつまり、さっきの攻撃の際に、なんらかの追加要素がオルタちゃんにくっついたことで、オルタちゃんの方にも変化が起こってしまった……ってこと?」
「まぁ、端的に言うとそうなるね。具体的に言うと、今のオルタってジャンヌの
(´´^`)「対……だし?」
地面でぶつぶつ言ってるオルタはそっとしておくことにして、更に続きを説明する私である。
……ええと、確か今のオルタが定義的には『ジャンヌ本人』になってる、ってところまでは話したんだっけ。
じゃあその次、なんでそうなってしまったのかってところを話さなきゃいけない、ということになるわけなんだけど……。
「まず大前提として、私らの誘因作戦ってば実は
「誘因作戦?」
「この異変の元凶がもし、まだ形のない存在──いわゆる【兆し】であるのならば、その方向性をできる限りこちらにとって無害なものに誘導しよう……みたいな感じの作戦よ」
こっちの作戦目的についてハッキリとは知らされていなかったのか、五条さんが小さく首を傾げている。
そんな彼に対し、ゆかりんが軽く説明を行っていたが……詰まるところ、私たち三人──キーア・ピカチュウ・オルタ──が元凶探しをすることによって、これから現れるだろう相手の性質を左右しようという目論みは成功していた……というのがここでの主題である。
「実際これが成功してなかった場合、結果として出てくるのがノアの方舟の逸話……みたいなパターンとか、ウェザー・ドーパントだのヘビー・ウェザーだの、存在そのものがヤバい相手とかになっちゃうパターンも普通にあったから、成功したことそのものは喜ばしいことだったんだけどね?」
ただ、それが喜ばしいだけでは済まなかった、というのが今回の話。
どういうことかというと、雑に言えば
「成功しすぎてた?」
「そ。ルドルフには言ったと思うけど、
(´^`)「む、私だし?」
ここで話題に出すのは、ルドルフの存在。
私たち三人が元凶の方向性を左右するために派遣されたことを思えば、そこから外れた形で加わった彼女は、恐らく
「多分だけど……もし仮に敵対的な相手が生まれそうになった時に、その性質を友好的な方向に軌道修正するために派遣されたのがルドルフだった……んだと思うのよね」
(´^`)「……?私にそんなパワーはないんだし……」
「素敵だね」*1
(´´^`)「……一言で説明するのは止めて欲しいんだし……」
その理由は、たぬきとしてのルドルフのキャラクターに、オグリとの関係性を強調したモノがあった、というところが大きい。
……別に向こうがそれを受けてこちらに好意的になってもいいし、仮にならなくとも、原作(?)的な苦手意識を相手が持ってくれれば、いざという時のストッパーとしてルドルフが機能するようになることも考えられる。
だが、実際にルドルフがやったことと言えば、相手方の
……できてもおかしくはないことではあったが、本来期待された役割であったかは疑問符が浮かんでくる。
そこで出てくるのが、思ったよりも相手とオルタとの相性が良かった……すなわち作戦が成功しすぎていた、という考え方なのである。
「攻撃する時に、オルタ以外の攻撃が全然当たらなかったでしょ?……それって多分だけど、二人の繋がりがあの時点で大分強固だったからだと思うんだよね」
「……なるほど。本人同士に近い判定をされているのなら、寧ろ攻撃を当てられない方がおかしいってわけか」
その兆候は、ところどころに見えていた。
オルタの攻撃だけまともに当たるのは、扱いが『自傷』になっていたからだとすればわかりやすい。
……自分がどちらに避けるのか、自分にわからないわけもない。ゆえに回避技能は無効になったが、そもそもの固さは無視できずに残った……と。
そして、そもそもの話として──
「え、そこから?」
「さっき出てくるかもしれない存在に、ウェザー・ドーパントだのヘビー・ウェザーだのの名前を出したでしょ?……同じ人型でも、最初からそういう能力を持っている者を再現する方が余計な力を使わずに済むし、そもそもあさひさんの本体みたいなモンスタータイプも許容されている以上、カイオーガの見た目でもなんの問題もなかったわけよ」
無論、こっちとしては二次創作とかで『水着ジャンヌは世界を海にしようとするタイプのやつなので、カイオーガとかとは相性抜群』みたいな先入観が先にあったため、オルタを誘因材料としてこの異変に投入することにそれほど違和感を覚えることは無かったが……。
冷静に考えれば、それこそ天候系の能力者でもっと扱いやすい人を探す、という手段も取れたはず。
……要するに、知らず知らずのうちに【兆し】の側から指定されてた感すらある、というわけで。
「……マジで?」
「まぁ、この辺りに関してはあくまでも推測……って感じだけど。【星の欠片】がどのタイミングで混じったのかもよく分からないし、そもそも【兆し】の発生タイミングからしてわからないし」
梅雨の始まり、というのはそれまでの天候とその先一週間の天候を比較し、雨や曇りの日が多くなり始める頃を暫定的にそう決めているものであり、明確にその判断が行われるものではない。
なんとなく雨が多くなって来たので、ここからは梅雨の時期です……というような、とてもあやふやな決め方なのだ。*2
そのため、一度発令された梅雨入りの宣言が後から取り下げられる、というパターンも存在している。*3
……まぁ、天気の予想はある種の未来予測であるため、外れることもあるというのは納得の話でもあるのだが。
ただ、だからこそ──今回の長雨が、どこからどこまで【兆し】のせいだったのか、というのも微妙に判別が付かないのである。
国のお偉いさん方は、強い雨がいつまでも降り続いていることから、これをこちらの管轄の問題なのでは?……と考えていたが。
もしかしたら、
「……いやいや、そんなバカなことは……」
「まー、無いとも言い切れないかな?」
「ちょっとぉ!?」
「冷静に考えてみなよ。ちょっと前の年には、普段全然雨が降らないところで記録的な大雨になって被害が出た……なんてこともあったんだ。あの時、単なる雨で人死にが出るなんて、みたいなことを思った人はそれなりに居たはずだよ?」
「それは……そうだけど」
こちらの言葉に、ゆかりんは呆れたようなため息を吐いたが。
その隣の五条さんは、過去の例を出して彼女の態度を嗜める。
……そう、今から十年も遡れば、大雨に対しての意識の差に驚くことは間違いない。*4
学校などを見ればわかるが、単なる大雨警報では休校にならない、ということも少なくない。
最近は判断が変わったのか、場合によっては休みになることも少なくないようになってきた気もするが……それでも、暴風警報などに比べると扱いが軽い、などと思うこともあるだろう。
それは、日本という国において、雨による被害というのは台風が来た時・梅雨の時といった局所的なものであり、そのタイミングだけ気をつけておけば済む……といった性質が強いからに他ならない。
今でこそゲリラ豪雨、という形で突然の雨に悩まされることも増えたが、基本的には警戒すべき時期が定まっている。
ゆえに対策の方もそれを前提に築き上げられており、それで基本的には問題がない。
──そう、突発的な、それでいて例年とは違う規模の雨が降り始めない限りは。
天気とは、ある程度規則性を持つものである。
日本で梅雨の時期がある程度定まっているように、地球という大きな環境下においては、血の巡るが如く粛々と進むものである。
……だがしかし、それは本当に変化のないものではない。
冷夏と
地球という大局から見れば小さなことであるがゆえに、全体としては問題なしと進められるもの。
その違いは、地球からして見れば小さすぎる人間にとっては、とても大きな違いとなる。
……つまり、人の認知としては異常気象であっても、地球にとっては「ちょっと日本の辺りが冷たいな?」程度のモノでしかないので、そこまで変なことではない可能性もある……ということである。
「……そんなのありなの!?」
「いやまぁ、そうも言えるってだけの話だよ。……でもまぁ、この辺りを念頭に置くと、いつまでが自然現象でいつからが【兆し】なのか、正確に把握するのは難しいってのも確かなんだよ」
国のお偉いさん方が訝しみ、こちらに調査を依頼し。
その依頼を受けて、雨水を調べたタイミング。……そこの時点で【兆し】がこの気象を掌握していた、とするのさえも微妙である。
たまたま、その調査員が調べた時に【兆し】があって、それをこの長雨と繋げたがゆえに
なにせ、何度も言うように【星の欠片】における水関連の技能は本来成立しないもの。
……日本全土の雨を管理するための出力には【星の欠片】が必須だろうが、だからこそこの雨を起こしたのが【兆し】だとは言い辛い。
だからこそ、こうも言えるのである。
今回の異変は、もしかしたら