なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「レーヴァテインって……そういうのってうちのところのキャラクターとか、それこそオルタちゃん側のあれでしょー!?」*1
「はっはっはっ。……因みに暴走って言ったけど、どっちかと言うと【星の欠片】の基本原理にとっても忠実、って方が近くてね?」
「いやー!!!それ絶対『世界を滅ぼす』ってやつでしょ!!!」
「もー、違うよゆかりんちゃんと教えてたでしょー。『滅ぼしてから新しく作る』だよ」
「どっちにしろ滅ぶでしょ今の世界がー!!」
はっはっはっ。
……まぁ要するに、世界を滅ぼす力の名前を持った【星の欠片】が、ジャンヌに宿ったモノであったことは確定的。
つまり、単純に倒したところで次に待つのは【星の欠片】顕現からのこの世界の終わり、だったわけである。……本来なら。
「本来なら?」
「事実として、この世界は滅んでないわけじゃない?……ってことは、あの過程の中でなにかあったってことになるわけだけど……そういえば、なにがあったっけ?」
「え?えーと……あっ」
ここまで来ると流石に気付いたのか、ゆかりんが床で不貞腐れてるオルタに目線を向ける。
……そう、さっきまでジャンヌそのものの不穏さとかについて語っていたわけだが、
今出ている情報は、彼女がジャンヌの対になった、というもののみ。
では、その
(´^`)「それは一体なんなんだし?」
「【レーヴァテイン】は、その名前の通り『滅び』を司る【星の欠片】だってこと。……裏を返すと、それには
(´^`)「炎以外……?」
今回の一件、とことんまで『相手に反するもの』を利用しての戦闘みたいな赴きがあったが……この【星の欠片】にも、その性質がある。
どういうことかというと、【レーヴァテイン】はあらゆる滅びの集約なのである。
滅びの代名詞として北欧の災いの名前を冠しているものの、ノアの大洪水や隕石の直撃のような、あらゆる
「……それってさっきの『雨とか水関係の【星の欠片】はない』って話と矛盾しない?」
「してないよー、だって『滅び』を扱う上で切り替えができるってだけだからね。私の【虚無】で色々再現できるのと原理としては同じだし」*3
(´´^`)「詭弁過ぎるし……」
はっはっはっ文句はあの時の私に言ってくれ()。
……まぁともかく。あらゆる滅びの集合体であるがゆえに、この【星の欠片】からは色んなモノが引き出せるのである。
大本となった世界を灼く炎も、地上のあらゆる生命を洗い流す大津波も……だ。
ゆえに、水着ジャンヌとカイオーガを沿えることで、この【星の欠片】はその性質を『水』に寄せることに成功したわけである。
あとは、そのまま【顕象】として完成すれば良かったのだが……。
「良かったのだが?」
「あの雨水の性質覚えてる?絶縁性じゃない方」
(´^`)「確か……結果的に洪水になってたけど、それそのものが周囲に被害を出してはいなかったし……」
「……あーなるほど、それはおかしいね」
(´´^`)「なにがだし?」
「ノアの大洪水をモチーフにしているのなら、その洪水はあらゆるモノを押し流さないといけないことになる。……実際にはそうなってないってことは、そうなるに足る理由があったってことでしょ?」
(´^`)「……なるほどだし」
五条さんの言う通り。
方向性を『ノアの大洪水』に整えた以上、本来であれば日本という国は水没して滅んでいた可能性がとても高い。
それがそうなっていなかったということは、なにかしらの理由があったということ。──その理由がジャンヌの存在だったのである。
「えっ!?」
「……まぁうん、そういう反応になるのも仕方ないけども……おかしいとは思わなかった?なんか水着のジャンヌにしては変だなー、というか」
(´^`)「そういえば……言うほど姉としての主張をしていた覚えがないし……」
そう、確かに私たちは当初、このジャンヌを奇っ怪な姉的生物として取り扱っていたが……例えば原作の彼女のような、こっちに
これは、ここで出力されたジャンヌがそれほど再現度が高くなかった、と言うところが大きい。
「いや、もっと正確に言うと
「ぴかっぴ、ぴかちゅぴ?」*4
「そーいうこと。【複合憑依】であることがかなりややこしくしてたってわけだね」
件の【星の欠片】の中から望むものを引き出そうとする場合、どうしてもそれ単体では無理が生じてくる。
あらゆる滅びの集合から水に関する逸話のみを取り出す、というやり方でしか周囲の祈りを完遂できないのだから、どうしてもそれを補助するためのモノが必要となってくる……のだが、【星の欠片】はそれを一番単純に行使できる【継ぎ接ぎ】とは相性が悪い。
必然、選べる選択肢は【複合憑依】一択となり、合わせて二つの
そうして選ばれたのは、水着ジャンヌとカイオーガの二つであったが……この二つのうち、カイオーガは大洪水と相性が良すぎたのだ。
神の理不尽を以て、陸地を沈めていくその姿はまさに罰の擬人化。【星の欠片】から水・雨の性質を引き出すにはまさに持ってこいの存在であり、ゆえにカイオーガとしての再現度もまた引き上げられて行った。
──そうして割りを食ったのが、もう片方の存在となる水着ジャンヌである。
「『滅び』から必要とする性質を取り上げるために、カイオーガ側が付きっきりになることから、必然的にジャンヌは外見・他者への対応のためのアバター的性質を付与されることとなったわけだけど……外見とほんのりとした性格を再現した時点で、余分に回せる再現度……もとい気質が足りなくなったんじゃないかな?で、結果として水着ジャンヌの肝でもある『姉』属性が微妙に減衰したと」
「ええ……」
何度か話したことがあるかは微妙だが……例え【複合憑依】と言えど、再現度という『逆憑依』の原理には逆らうことはできない。
三つの異なる要素を纏め上げる、という形なので少々わかり辛いが……各々の再現度は一応、個別で判断されてはいる。
単純な『逆憑依』ならまぁ、それでもキャラの使い分け、的なモノとして体裁を保てるが……元々核となる『人』の居ない【顕象】だと、話は微妙に変わってくる。
そう、あらゆる部分を【兆し】の延長線上で構築しなければならないため、『逆憑依』の時とは別種の問題が出てくるのだ。それが、気質の振り分けの問題である。
(´^`)「気質の振り分け、だし?」
「そー。まずもって、【顕象】の【複合憑依】自体が珍しいんだよね。……まーそもそも、こっちに友好的な【顕象】自体が珍しい、ってところもあるんだけど」
そう、基本的に【顕象】は暴走状態──【鏡像】としての遭遇の方が多い。
そのため、【顕象】が【複合憑依】になっているパターン、というもの自体に遭遇することも珍しくなるのだ。
というか、大体の場合ハクさんやアルトリアみたいな【継ぎ接ぎ】方面に流れていくため、【複合憑依】になることそのものも珍しい、というべきなのだが。
「……ええと、私達が知ってる【複合憑依】というと……」
「CP君、ヒータちゃん、西博士、リンボ、ニャース、ユゥイ……くらいかな?」
「六人か……改めて思い返してみると、【継ぎ接ぎ】とは比べ物にならないくらいに少ないね」
そう、なりきり郷に属している……という基準にすると、なんとCP君くらいしか居ない有り様なのである。ヒータちゃんはハルケギニアの方でキュルケの使い魔してるだろうし。
ついでに言うのなら、【複合憑依】との遭遇確率が上がったのも、つい最近のこと。……リンボから始まって、わずか四ヶ月の間にジャンヌも含めれば四人という遭遇率である。
それ以前は二年近くで三人だったのだから、なおのこといきなり沸いて来すぎ……みたいな感じだ。
「ゆえに、【顕象】が【複合憑依】になってる実例ってのはある意味ジャンヌが始めて、ってことになるわけなんだけど……だからこそ、ようやくわかってきたことってのもあるわけで」
「それが気質、ってわけかい?」
「そ。まぁ、例の『なりきりパワー』って言い換えてもいいかもだけど」
(´´^`)「それって同じものだったんだし……」
気質、もしくは『なりきりパワー』は、『逆憑依』や【顕象】に関わる不可思議エネルギーである。
これは、『逆憑依』の場合活動の際に放出されることもあるのだが……その原理が、『逆憑依』と【顕象】では微妙に違うのだ。
「『逆憑依』は自分で生み出せるけど、【顕象】の場合は貯めてあるエネルギーを放出する……みたいな感じになってるって言えばわかる?」
「片方は発電機、もう片方は蓄電池……ってことかな?」
「そうそう」
このエネルギー、どうにも『核』となる人から生み出されるモノであり、その『核』のない【顕象】の場合、溜め込んだそれを放出することで代用している、という形になるらしい。
……まぁ、放出するといってもすぐ枯渇するような量だと【顕象】としての形は得られないので、実際にはかなりの量を溜め込んでいる、ということになるようだが。
ともあれ、エネルギーと質量が等価である、というのは自明のこと。……その辺りの原理を用いて【顕象】は『核』の代わりとなるものを作っている、ということになるようだ。
まぁ、大抵の場合『核』を作れず暴走するわけなのだが。
その辺りは長くなるので置いておくとして。
ともあれ、【顕象】が蓄電池を利用して活動しているようなものというのであれば、【複合憑依】になり辛いのもまた自明の理である。
単純に考えて『核』を三つ用意しなければいけないということになるのだから、そりゃまぁ自然には発生しないだろう。
……そこら辺の無理を抉じ開けられる【星の欠片】が関わっていたことが、今回の問題をややこしくした理由なのだろうが。
とはいえ、それがあっても気質の振り分けの面で問題が出てくるのは仕方のない話。
その結果としてジャンヌの再現度が下がり──、
「
(´^`)「不安定だし……?」
そうしてようやく、今回の話の根幹に触れることとなったのであった。