なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「水着ジャンヌとして不安定になったからこそ、本来ならそのまま日本を沈めていてもおかしくなかった、ってところに加減が入ったわけだけど。……同時に、彼女の存在が彼女という【顕象】のウィークポイントになってたってわけ」
(´^`)「ええと……どういうことだし?」
「【複合憑依】は三つ揃ってこそ。……【星の欠片】が混じってるから最終的には一つになるのだとしても、その前に崩壊する可能性が高かった、ってわけ」
普通の【複合憑依】が三つの柱で上のものを支えているとすれば、彼女の場合は火の着いた蝋燭二本で支えている、というのが近いだろうか。
……いやまぁ、考え方としては微妙にずれているのだけれど。激しく燃えている側になるカイオーガの方が、丈夫でしっかりとした柱ということになるのだし。
とはいえ、これ以外のうまい言い回しも思い付かないので、このまま説明させて頂くことにする。
ジャンヌ側に注がれる気質が少ない以上、必然起きるのは上に乗っているモノのバランスの崩壊、である。
三本ならともかく、ここでは二本の蝋燭で上のものを支える、という形。片方が極端に短くなったりすれば、必然上のものは崩れて落ちてくるだろう。
片側だけが強くても、その柱の太さが無尽蔵でない限りはモノを支えるのには向いていない、とも言えるか。
「まぁそういうわけで。どれかの要素だけが強い、っていうのは【複合憑依】的には宜しくない状態。必然、あの時点でわりといっぱいいっぱいだったってわけ。……一回、自分は誰なのかって困惑してた時あったでしょ?」
(´´^`)「そういえばそんなこともあったし……」
あの時は【星の欠片】が関わった結果、要素が溶けだし困惑しているのだと思っていたが……実際にはそれだけではなかった。
生まれた時点で既に彼女は崩壊寸前であり、ともすれば破裂して日本上空の雨雲を更に暴走させていた恐れすらあったのである。
ではあの時、私達はどうしただろうか?
危うい状態の彼女を前に、どういう選択を取っただろうか?
「どうって……
「そう、私たちは彼女を殴り倒すことに決めた。……それが、後々の結果を左右していたってわけ」
「はぁ?」
さっきから言っているように、あの時のジャンヌは暴走手前であった。
それを静めるため、ないしは落ち着かせるためには彼女を打倒する、というのが一番であったことは間違いない。
……間違いがあったとすれば、そもそも
「ぴかぴ?」*1
「【星の欠片】は不安定にはならない。カイオーガ成分は寧ろゲンシカイキまでして絶好調。……裏を返すと、
(´^`)「……なるほど、だし?」
そう、確かにカイオーガ成分が気質を吸いすぎていた、というのは確かである。
だが同時に、さっき例として述べたように──もしそれが単なる細い棒ではなく、橋を支えるような大きな柱にまで育つのであれば、話は別である。
ある意味、あの時の彼女はそれに近かったのだ。
確かに暴走寸前ではある。だが、そうして暴走すれば
人に被害を与えるか否か、という意味では確かに良くないが、単に一つの【兆し】として見る時に、荒ぶる【鏡像】になること自体は別に失敗というわけではない。
無論、【複合憑依】としても崩れてしまうため、最終的には【星の欠片】になって消滅……みたいなことになるだろうし、それを迎えたこの世界は滅んでいる可能性大だが……単なる【顕象】の一生としては、そこまで大それたモノでもないのだ。
「えー……?」
「これに関しては、こうして人と一緒にあれこれしている【顕象】の方が稀、って辺りが根拠かな。結構な頻度で【兆し】が湧いて、専門の人達に討伐されてる辺り【顕象】としては【鏡像】になる方が正規ルートなんだろうし」*2
まんま【顕象】であるルドルフの前でこういうこと言うのもあれなのだが、恐らく【顕象】というものは【鏡像】としてのあり方の方が自然なのである。
中に核を得られず、それを無理矢理気質で埋めて動く……という時点でわりと異質なわけだし。
ましてやそれが安定し、普通の人のように行動できるなどというのは、最早奇跡の類いと言い換えてもいいのだろう。
それを思えば、仮に彼処でジャンヌが破滅して同時に世界が滅んだとしても、【顕象】の末路としてはそこまで外れたモノではないのだ。
……というか、【星の欠片】が絡んでいるから規模が大きくなっているだけで、なりきり郷内で頻発する【鏡像】達の発生とそれの討伐、みたいなものとそう違うものではないだろうし。
その辺りを思えば……酷いことを言うのであれば、ジャンヌが不安定でもなんの問題もなかった。
カイオーガとしての力を奮い、日本を沈めようとするというその所業はまさに【鏡像】のそれ。──もう少し厳しめの人達がここに来ていたのなら、迷わず討伐を選んでもおかしくはなかったわけで。
──それを止めさせたのが、不安定ながら人に友好的な姿勢を見せたジャンヌであった。
それは、ある意味では彼女が不安定だったからこそ起きたこと。
……もし原作の彼女のように『姉』としての性質が強かったならば、私たちはともかくオルタは気にせずズンバラリン*3していてもおかしくはなかった。
だが、ジャンヌは原作ほど姉ではなかった。
それも気質が足りなかったから、という偶然の産物ではあるものの、それでも彼女は私たちに彼女を【鏡像】としてではなく、【顕象】として扱うことを選択させたわけである。
「結果から言うと、それが失敗だった……みたいな?まぁ、全体的な意味ではなくオルタ的には、って注釈が付くけど」
「……いい加減に本題を話して欲しいのだけれど。結局、なにがどうなってどうなったの?」
「オルタは
「楔?」
さて、晴れて単に討伐されるモノからは外れたジャンヌだが。
とはいえ、爆発寸前の危険物であることに変わりはない。
ゆえに、討伐ではなく『きぜつ』させる、という方向で私たちの行動が決まったわけだが……この時、ジャンヌ側にも方針の目処が付いていたのである。
それがなにかというと、目の前の同じ姿の相手を参考にしよう、というものである。
カイオーガ側にある主導権をどうにか自分側に引き戻し、性質の均衡を図ろうとした……ともいえるか。
そのために必要なのは、ジャンヌとしての再現度を高めること。
高まりすぎているカイオーガの再現度に比肩するために、自身の質を高めるわけである。
それを思えば、オルタとのやり取りはまさに渡りに船、と言えるだろう。
なにせ、彼女はジャンヌの
……それだけで済めば、まだマシだったのだが。
ここで、彼女という存在が【複合憑依】……最終的には一つに溶ける、【星の欠片】の一つであったことが問題となってくる。
「関係性がある。しかも、ただの関係性ではなく
「……あ、あー!?もしかして……」
「そういうこと。……暫定的に【継ぎ接ぎ】みたいな扱いになってたんだよね、あの時のオルタって」
感覚的に近いのは、かようちゃんとれんげちゃんみたいな感じだろうか。
どちらかが主体と言うわけではなく、どちらもが重要である主人格……。
ジャンヌにとっては、自分という不安定な存在を安定させてくれる相手であり。
オルタにとっては、自分という存在を生み出す根幹となった、重要な相手。
……設定まで掘り出したその関係は、【星の欠片】からしてみれば共に溶かして固めるに足るモノであったわけで。
そして、この【星の欠片】は
元々持つ性質自体に、『対』を生み出す機構が含まれている、ということになるわけで。
戦いの終わったあの時、巻き起こった爆発──集まった気質を糧に、存在の新生を行う──により、ジャンヌとオルタは『対』の存在として生まれ変わったのである。
それこそ、先の例のかようちゃんとれんげちゃんのように。
「そう、ハッピーバースデー『ジャンヌ・アクア・オルタ』!いっそルビーとでも呼んであげようかと思った*4けど、それはオーバーキル過ぎるのでオルタって呼ぶね!」
「あああもぉぉおおおおっ!!」
二人で一つ、滅びの魔剣を振る双子。
片側は海を司り、数多を水底に沈め。
片側は焔を司り、幾多を豪炎に巻き。
世界を滅ぼす力を得し、聖女から生まれた代行者。
すなわち、アクアとアクア・オルタである。
……ギャグっぽいけど、実力的にはやべーことになってんだよなぁ……。