なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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その人、色々ヤバげに付き

「え?!マジ!?マジで言ってるそれ!?」

「マジも大マジ、っていうかガチよガチ!!さっき向こうから連絡があったわ!!」

「そんな馬鹿な!?」

 

 

 寝耳に水にもほどがある、『あのお方』来訪の知らせ。

 しかも、彼女の場である【星の■海】へのご招待ではなく、まさかの現実世界への訪問宣言である。

 そりゃまぁ、私も思わず耳を疑うというものだ。

 

 だって、ねぇ?基本的に『あのお方』、自分の場所から出てこないのがデフォなんだもん。

 ……思わず出不精とかニートとかみたいな言葉が脳裏を過るが、流石に口にはしない私である。

 いやまぁ、多分そんなこと言ったとしても、『あのお方』は怒りすらしないとは思うんだけども。

 

 なお、こうして慌てふためく私たちに対し、蚊帳の外のマシュはポカンとしていた。

 ……まぁ、あくまでも私たちから聞いたことがある、というだけなのだからさもありなん。

 危険度とかヤバさとか、なんとなくでしかわからないだろうし。

 

 

「……ええと、そんなに危ない方なのでしょうか?その、『あのお方』というのは?」

「ん、んー……危ないとも言えるし危なくないとも言える……()()()()()()()、みたいな?いや、ギャグじゃなくマジで」

「は、はぁ……?」

 

 

 思わずサム(はち)ってしまったが*1……実際、この言葉の通りなのである。

 危ないものだと思えば危なく、危なくないものだと思えば危なくない……みたいな感じというか。

 彼女──『あのお方』という存在は、そもそも滅多なことでは目覚めて来ないものである。

 

 数多の滅びの要因が重なり、()()()()()()()()()()()()()()()()()……みたいな状況でもないと、端から出てくる可能性すらないというか?

 

 

「クロスオーバー……ですか?」

「そうそう。単一世界の滅びだと、普通の【星の欠片】の目覚めが優先されちゃうのよ。……んで、普通の場合は一つの世界に目覚める──現れることのできる【星の欠片】は一つのみ。ゆえに、普通は他の【星の欠片】が現れることはない……」

「『あのお方』が出てくる条件ってね、数多の【星の欠片】が出てこられるような状態が前提なのよ」

「……原理的に不可能なのでは?」

「普通はね。でも──例えば『スパロボ』とかみたいな、複数の作品世界が混ざっている、みたいな世界だと可能になるのよ。なにせ()()()()()()()()()()()()が混ざりあっている、って風に解釈できるから」

「……なるほど、だから『クロスオーバー』なのですね?」

 

 

 彼女の現れる条件は、数多の滅びが重なる時。

 ……【星の欠片】の顕現条件は()()()()()()()であるため、必然的に『あのお方』が現れるような状況というのは、巷に【星の欠片】達が溢れ返っている状況、ということになってくる。

 

 その一つ一つが新世界の礎となり得る【星の欠片】は、本来他の【星の欠片】が目覚めている状況下では新しく目覚めては来ない。

 そもそもが相争うものではないがゆえに、他が目覚めている状況では自分の出番はない、と眠り続けるのである。

 

 それが崩れるのは、数多の世界が一つになったような世界観である時。

 ……そう、『スーパーロボット大戦』シリーズのようなクロスオーバー作品の時だ。

 

 あらゆるモノは生誕と死没の運命を同時に背負う。

 それは物語という分類でも変わることなく、この場合は初回と最終回という形でそれを知ることができる。

 ……これは裏を返せば、クロスオーバーのような作品の場合、()()()()()()()()()()()()()()()と解釈をすることができる、ということになるわけで。

 

 そのため、本来は一つの世界に一つきり、とされる【星の欠片】も、クロスオーバー作品の場合に限り『一堂に会す』みたいなことができてしまうのである。

 ……で、そうなると出現条件が整ってしまうのが『あのお方』。

 本来は並行世界全ての滅び、みたいな条件付けでしか現れることのない彼女だが、こと舞台がクロスオーバーである時だけは話が違う。

 従来のそれより遥かに簡単に出現条件が整ってしまうために、比較的軽いノリで出てくる可能性が大幅に高まってしまうのである。

 

 

「まぁ、本来の出現条件で出てくる時に比べると、かなり穏当なんだけどね?」

「そうなんですか?」

並行世界一つを完全に閉じる(焚書)、みたいな時にだけ出てくるのが本来の『あのお方』の出現の仕方だからね。そうじゃない簡易版の出現になるクロスオーバー関連だと、雑に言うなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいな感じになるから」

「……い、一気に俗な話になってしまいましたね……」

 

 

 まぁ、そうして軽いノリで出てくる時は、彼女の役割自体も軽いノリになってしまうわけだが。

 具体的に言うと、クロスオーバー作品全部からぶん殴られる体のいいサンドバッグ……もといラスボス枠、というか?

 

 元々の出現の仕方が並行世界ごとその系統樹を閉じる、というものである関係上、そもそもの時点で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいな要素があるとも言えるわけで、その辺りを強調した役割が割り振られる……みたいな感じか。

 まぁ、そういう時は本人もわりとノリノリでラスボスやってくれるので、プレイヤー的にはやりやすいのかもしれないが。

 そもそも【星の欠片】って性質上、やられ役的な要素も持ち合わせているし。

 

 無論、あんまり濫用できるような人でもないので、やるのならイデオンだの宇宙怪獣だの天元突破だの、あからさまに設定段階からインフレしてる作品が乱舞するようなところ、ということになってしまうのだが。

 

 ……ともあれ、ラスボス役を買って出てくれる、というのは裏を返すと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という風にも見なすことができるわけで。

 

 

「言い方を変えると、なにもかもに『それも私だ』*2できる……みたいな?……時間や空間の縛りって結局のところ今の現実──励起している【星の欠片】の決まりごとみたいな感じになるわけだから、あらゆるものより遥かに小さい『あのお方』はそこら辺後から全部自分のせいにする、みたいなこともできちゃうのよね」

「え、ええー……」

 

 

 例えば『魔が差した』という言葉がある。

 自分の肉体に悪魔が入り込んだかのように、普段は絶対にしないようなことをしてしまう、という意味合いの言葉だが……『あのお方』の場合、その『魔』を()()()本当にしてしまえるのである。

 

 無論、実際にはそれらの物事はその人本人のせい、と責められるべきなのだが……彼女の存在を許容する場合、本来なら自業自得となるような物事でも彼女のせい、という形で責任転嫁してしまえるのだ。

 更に、そうして責任転嫁したあとに彼女の撃退に成功すれば、以後その人の今まで積み重ねてきた罪は全て清められた状態になる、というオマケ付き。

 ……まぁ、流石に撃退後に再び『魔が差す』とかやり始めたらちょっと擁護不可能だが……そこから先になにも悪いことをしないのであれば、しっかりと罪を償ったという判定にしてしまえるのである。

 

 現代的な感性では、まさに『なに言ってるんだコイツ?』的な話だが……彼女という存在を許容し、かつ彼女がラスボスとして顕現する場合、あらゆる悪行は彼女のモノという形で処理され、なんなら撃退後かつて悪人だった人が見違えるほどに善人になる、みたいな展開も許されてしまうのだ。

 そう、それが許されるだけの格を持つのが、彼女という存在の特殊性。

 あらゆる全てに含まれるモノであるがゆえに、あらゆるものに()()()()()()()()()()()として扱われるのである。

 

 ……まぁこの辺りの話、深掘りすると()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいな解釈もできてしまうのだが。

 

 

「その辺はまぁ、『ラスボス役をしてる方が都合がいいでしょう?』みたいな、彼女の意向によるところも大きいんだけど。……意識という人間にとって一番重要な要素を好きにすることができる相手なんて、ぶっ飛ばしてなんぼ……みたいな?」

「は、はぁ……」

 

 

 とはいえ、【星の欠片】全ての意向として、基本的に人の自意識に干渉するのは宜しくない……となっているため、できるけどやってないしやらない、みたいな感じではあるのだが。

 一部は時を遡ってやったことにできるので、人間側のリクエスト(悪役になって欲しい)に合わせて後からやったことにする、みたいな感じになっているというか。

 

 ……ともかく。

 危険であることを望まれればラスボスとして振る舞うし、安全な相手であることを望まれれば全てを庇護する母の如き振る舞いをする……というのが『あのお方』の基本原理。

 そういう意味では、こうして彼女の来訪を殊更に騒ぎ立てる、というのは宜しくないということになるのだが……。

 

 

「それとこれとは話が別!例えばお母さん扱いするとしても、私らからしてみれば怖い教育ママ的な扱いに近いからね!!」

「えー……」

 

 

 だからっていきなりの来訪を歓迎できるかと言えば、話は別。

 親元を離れて暮らしてたら、ある日突然アポもなしに家に来た母親、みたいなものなのだから騒がないのなんて無理なのである。

 そういうわけで、私とキリアは変わらず『えらいこっちゃ』と慌て続けていたのでしたとさ。

 

 

*1
『サムライ8 八丸伝』のようなことを言ってしまった・やってしまったという意味の言葉。独特な言い回しが多い作品であった為、こうしてネタに使われることも多い

*2
『スーパーロボット大戦』シリーズのキャラクター、ユーゼス・ゴッツォの台詞。元々は真のラスボスとして設定されたキャラクター(恐らく版権キャラ)が別にいたが、それが使えなくなったために急遽用意した彼をラスボスに据えた為に生まれた言葉なのだとか(『スーパーロボット大戦α』)。伏線やらなにやらを全部一人のせいにできる魔法の言葉……だが、裏を返すとそこに至るまでの描写不足を露呈するモノでもあるので、あまり誉められたやり方ではない(普通はわざわざ相手が言い出さなくても、それまでの描写から推測できて然るべきである為)

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