なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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知らないことは罪ではなく、知りすぎることもまた罪ではない、かも

「……はぁ。なるほど、改まって説明会しよう、なんて話になるわけだわ。そもそも貴女にとってもブラックボックスが多かった、だなんて」

「いやー、まぁ細かいところが抜けてる、くらいのものなんだけどね?」

 

 

 まぁ、その細かいところが多岐に渡るため、私としてもちんぷんかんぷんなところが点在してるわけなのだが。

 

 ……そんなわけで、ゆかりんからのお叱りを受けて正座で反省中の私である。

 なんか最近私怒られてばっかじゃない?基本的には私起因の問題は起きてないはずなのにおかしいなー。

 

 

「だまらっしゃい。状況の共有が出来てないのは普通に罪なのよ」

「うーむぐうの音も出ない正論……」

 

 

 まぁ、こんな感じで早々に論破されてしまうわけなのですが。

 ……ともかく、私自身にも知識の欠けがある、ということに間違いはなく。

 そこら辺の再確認の意味も込めて、次の説明会を計画したというわけなのでしたとさ。

 

 

「……はぁ。まぁ、元々【星の欠片】関連は要注意事項だったし、手間が増えたわけではないと納得しておきましょう。……それで?他になにか伝え忘れてることとかはないの?」

「んもー、ゆかりんってば心配性だなー。今さら伝え忘れてることとか、そもそも伝え忘れてることを忘れてるんだからわかるわけないじゃーん」

「殴るわよ?」

「殴ってから言うのは酷くない……?」

 

 

 ……まぁ、知識の擦り合わせが出来てないのだから、迂闊に伝えて間違った対策とか立てられても困る、って部分もなくはないのだが。

 

 

「間違った対策ぅ?」

「例えば、ついこの間のジャンヌの話。私の知識の上では『水』に関わる【星の欠片】は居ない・もしくは軽々しく出てこないはず……って話だったけど、もしかしたら本当は私が知らない(考えてない)だけで、並行世界のどこかには『水』に関わる【星の欠片】がいてもおかしくない、ってことにならない?」

「……まぁ、決めてなかったものが決まってたんだから、知らないモノが増えててもおかしくはないわね」

「でしょう?前回はたまたま私の知識(きおく)が間違ってなかったから問題はなかったけど、もしあれが【終末剣劇・潰滅願望(レーヴァテイン)】ではなく他の【星の欠片】だったのなら──」

「……だったのなら?」

「最悪あの場で世界滅亡、なんて可能性もあったかも」

「……気軽に世界滅亡を結果に据えようとするの止めない?」

「別に私がそう(滅ぼ)したくてそう(滅ぼ)してるわけじゃないんだよなぁ……」

 

 

 そもそも当初、私は該当する【星の欠片】が存在しないと認識していたため、()()()()()()()()()()()()()だと解釈していたのだ。

 ゆえに殴って止める、なんて原始的な方法が有効だ、と思っていたわけだし。

 

 

「……ちょっと待ちなさい。なんか今気になること言わなかった?色がなんとか……」

「あ、そういえばこれも説明してなかったっけ?【星の欠片】って細かい性質を得る前の状態がある、っていうの」

「まっっっったく聞いた覚えがないんだけど????」

 

 

 あー……そういえばこれも伝え忘れか。

 原則的に現実世界に出てくる【星の欠片】は既に色──細かい性質を得た状態で出てくるのが普通であるため、あまり考慮する必要がないと捨て置いてたけど……。

 

 

「今回みたいなのは()()()()()、と考える方がわかりやすいから、そういう意味では予め知っておいた方が良い知識だった、ってことになるのかな?」

「……おいィ?」

「いやごめんて。……普通はまず人目に付くものじゃない上に、こういう特殊な事例の時に起きていたことの理解のために持ち出すとわかりやすくなる……ってだけだから……それに概念的には、もうゆかりん達も知ってるようなモノだし」

「……?知ってるってことは……他の要素に近いってこと?」

「まぁ、そんな感じ」

 

 

 端的に言ってしまえば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っていうだけの話であり、それが特別性を持つかと言われれば全然違うため、本当に話の理解に役に立つ、くらいの意味合いしかないのだ。

 そもそも概念的には近いものを、既にゆかりん達は知っているわけなのだし。

 

 ……というわけで、勿体ぶらずにそれがなんなのか、という話をすると。

 

 

「『逆憑依』や【顕象】にとっての【兆し】と同じようなものなのよ、それって」

「【兆し】と?」

 

 

 私たち『逆憑依』や、ジャンヌ達【顕象】がこの世界に現れる時、その先触れとして出現するもの──【兆し】。

 これは、なにかしらの祈りや願いが集まり『それを実現するための気質を集める核となるもの』というような性質を持つものだが……件の存在は、【星の欠片】におけるそれに近しいものなのである。

 ……まぁ、正確には【星の欠片】の材料、という方が近い気もするのだが。【兆し】におけるところの祈りや願いは、()()にはまだ付与されていないものだし。

 

 

「…………???」

「簡単に言うと、祈りや願いって言うのは【星の欠片】的には能力そのもの、みたいな扱いになるのよ。それを実現する無色の力が()()であり、祈りや願いという色を着色した結果が【星の欠片】というものである、みたいな?」

 

 

 原則的に、【星の欠片】とは極小の存在である。

 ……今さらなにを、と思われるかもしれないが、しかしこれがとても重要なのだ。

 

 例の『あのお方』の所に赴いたスクナヒコナ(ビーストⅣi)が自身を喪失し、散り散りになったあとイッスン君に再編されたりしていたが……そもそも、【星の欠片】の基本原理は()()()()()()()()()()である。

 付随するあらゆる要素・価値を削ぎ落とし、それでもなお(いろ)を保つ──。それを最初にやらされるのが【星の欠片】だ。

 裏を返せば、件のスクナヒコナもその洗礼を耐えきれれば【星の欠片】になっていた、ということになるわけなのだが……まぁ、その辺りは今は置いとくとして。

 

 つまり、世に現れる【星の欠片】は一度なにもかもを失い、そこから改めて譲れないもの──祈りや願いによって色を取り戻すわけなのである。

 そしてその色こそが、無限に拡散し続ける自己を繋ぎ止める唯一の手段になるわけなのだが……そうなる前、単なるエネルギーの一欠片……みたいな段階が一応存在していて、それが【兆し】に近しいものと言うことになるのだ。

 まぁ、自己のなにもかもを削ぎ落とす……という工程が挟まる関係上、普通は『あのお方』の居城以外では確認もできないのだが。

 

 

「なんでよ?」

「ここだけ【兆し】とは反対なんだけど……そのままだと普通に霧散しちゃうんだよね。原子とかクォークのレベルまで分解された存在が、そこからどうにかして元の人間に戻ろうとしているようなもの……って言えば、その難しさもわかるかな?」

「うぇー……」

 

 

 そう、普通の場所で【星の欠片】になろうとすると、その場で自分という存在の結合を完全に解く必要がある。

 

 それは言うなれば、電子生命体が零と弌に分解されたあと、自力で元に戻れと言われているようなもの。*1

 ……普通は不可能なので、それを補助してくれているのが『あのお方』の居城、ということになるのだ。

 拡散し分散し、世界に溶けていこうとする要素を一所にかき集め、やがて【星の欠片】になることを待ち望んでいる……というか。

 

 まぁ、無理そうだったらイッスン君みたいに、とりあえず固めて外に出してくれたりもするのだが。

 とはいえその場合は拡散した自己は完全に消滅するため、実質的に転生したとか言った方がいいような気もする。

 

 ともかく。

 一つの形あるものが【星の欠片】になろうとする時も、新しく【星の欠片】がなにもないところから生まれようとする時も、共に経由する無色の力の塊。

 それこそ、【星の欠片】にとっての【兆し】──【零弌(こころ)】。

 零と弌の狭間で永遠を回す『あのお方』が言祝(ことほ)ぐ、磨かれて角も色も消え失せた円の形だ。

 

 

 

 

 

 

「『こころ』、ねぇ。…というか。それが、ジャンヌちゃん達の時にどう関わっていたのよ?」

「さっきも言ったように、【零弌】の時点では【兆し】のように()()()()()()()のよ。やがて【星の欠片】になるものではあるけど、その実なんになるかは周囲からの祈り次第……みたいな?」

 

 

 普通の場所で【零弌】としての形を保てていたのは……性質的に近しい【兆し】が共にあったから、という感じだろうか。

 

 ともかく、ジャンヌがジャンヌとして生まれる前・【兆し】の段階では恐らく【零弌】も共にあり、故にこそ周囲の祈りを殊更に受けやすい状態だった、ということは想像だに難くない。

 性質的には反対なので、【兆し】と【零弌】は反発しあうのでは?……というツッコミには、【零弌】側は普通に(確立していないとはいえ)【星の欠片】であるため他のモノからの支配を容易く受け入れる、ということで答えとしておく。

 端的に言うなら、【兆し】の吸引効果と【零弌】の祈りの実現効果が滅茶苦茶奇跡的に噛み合った、みたいな?

 

 ……まぁ、それのせいでリアルタイムに周囲の祈りを反映しやすくなった、というデメリットもあるのだろうが。

 不安定状態では【星の欠片】として定まりきれず、【レーヴァテイン】の上面だけなぞっていたのだろうし。

 

 ともかく。

 あれが【零弌】であり、周囲の祈りを受けて【レーヴァテイン】になる方へと舵を切ってくれたから助かったものの、そうでなければこちらの行動に関係なく未知の水系の【星の欠片】になっていた、という可能性も捨てきれない。

 そういう意味で、中途半端な知識で【星の欠片】に相対するのは止めた方がいい……ということになるのであった。

 

 

「……ここまでの説明に間違いとかある?」

「ないと思うわよ?まぁ、ちゃんとした答え合わせをしたいのなら、『あのお方』の来訪を待った方がいいと思うけど」

「思わせ振りなこと言うなぁ……」

 

 

 なお、ここまでの説明に関して、キリアからは一応の及第点を貰うこととなったのでしたとさ。

 ……話すのに神経使うなぁ、これ。

 

 

*1
デリートされた後のデジモンが、外部からの干渉なしに元の形態に戻ろうとする……みたいな感じか。概念的には『死んでから復活する』に近い

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