なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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上位者に振り回されるのはよくあること()

 はてさて、『あのお方』こと『星女神』様がこうして御光臨なさったわけなのですが。

 私とキリアの二人は、直ぐ様土下座の体勢へと移行したのでありました。

 

 

「……えっと、なにやってるの二人とも?」

「こ、こらおバカゆかりんっ!!相手は天下の『星女神』様ぞ?!許可なく御尊顔を拝んでしまった日には、首どころか魂が粉々になってもおかしくないんじゃぞ!?」

「ひぇっ!?」

──安心して、そんなことはしないわ──

「な、なんだビックリして損した……」

──ああでも、あまり私を見続けるのは良くないかも。美し過ぎるものでも発狂する、なんてことがあるのでしょう?別に私は美し過ぎるわけではないけど……知らず知らずの内に私の一部になっていた、なんてことはあるかも知れないわね──*1

「 」

「ゆかりんが一瞬で真っ白に!?」

──ちょっとした冗談だったのだけれど……思いの外ノリが良いのね?──

「あ、悪魔たん()……」

──褒め言葉として受け取っておくわね?──

 

 

 ……うーん、このお転婆姫様感。

 想定した通りというか、まんま過ぎて逆に怖くなるというか……。

 ともあれ、我ら【星の欠片】の指導者というか、保護者というか。

 そんな感じの存在である『星女神』様は、随分とフランクなご様子でこちらに御光臨遊ばされたのでありました。*2

 

 

 

 

 

 

 はてさて、滅茶苦茶唐突に現れた『星女神』様を連れた私たちが、一体なにをしているのかというと。

 

 

──……んん、程好い辛さね。私はあまり食事を必要としないけど……それでもこれが美味しい、ということはわかるわ──

「……お褒めに預かり恐悦至極」

(なにこの状況)

(こっちが聞きたいわよ……っ!)

 

 

 ──そう、昼御飯を食べているのである。

 なお、今回チョイスされたのはカレー。人間達に人気のメニュー、ということで『星女神』様が興味をお持ちになったのが切っ掛けである。

 

 ……いやまぁ、それ自体は別にいいんだけども。いや良くないけど。

 でも、なんでよりによって波旬君の所の店を選ぶのか。

 ほら見てみなよあの波旬君の様子を!なんかいつもと全然違う空気をだしてるけど??!!

 

 

「いやー……なんて言うのか……こう、自分に触れてくる優しい手付き……とはまた違うか。内側から喚起される歓喜の感情、みたいな?……ここにいるのが俺だから大丈夫だけど、もし元の俺の方だったら絶対即刻発狂してただろうというか……」

「あー……」

 

 

 こっそり話を聞いてみたところ、『星女神』様を視認したことで今まで感じたこともない……否、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ため、難しい顔になったのだとか。

 ……十中八九カレーじゃない方の波旬の感覚、というやつなのだろうが、確かにそりゃ発狂してもおかしくないわ。

 

 世界の理という大悟からの干渉、というべき原作のそれとは真逆の、しかして結果は同じというべき感覚。

 あまねく全てを抱き締めるそれと、あまねく全てに()()と知覚させるそれ。

 ……方法は違えど答えは似ているそれは、確かに本来の波旬を激怒させて然るべきだろう。

 唯一違う点があるとすれば──『星女神』のそれは、原作における彼の弱点とほぼ同じ、ということだろうか。

 

 

「──あらゆる存在を細かく分断していった時、必ず現れるもの。……それそのものと呼ぶべき彼女は、奴の感覚で言えば細胞の中に己以外のモノが無数にある……みたいなことになるわけか。それだけならばまぁ、全て潰して潰して潰して……となるだけだろうが、潰す腕にも、それを視る目にも、なんなら己という魂そのものにも()()がある、などと気付けば──ともすれば発狂死でもするのではないか?」*3

「おおっと宿儺さん、解説どうも」

「なに、気にするな。俺はデザートを持ってきただけだから、な」

 

 

 ……あまねく全てに含まれる彼女は、ともすれば相手そのものですらある。

 それゆえ、彼女の干渉を防ぐ手段は一切ない。

 自身に自分への干渉を禁じる、みたいな制約を負わせても意味がないラインのモノなのだから、彼女という存在の意味不明さは随一だろう。

 

 ……というか、彼女のスキル的にはもっとエグいことができるので余計に無理があるというか。

 

 

「……どういうこと?」

「『星女神』様のチートスキルその一~。【偽界包括】~」

「……ぎかいほうかつ?それってどういうものなの?」

──あら、私の話?じゃあ食事のお供に、少し語りましょうか──

 

 

 おおっと、流石に聞こえてるか。

 ……いやまぁ、彼女の性質的には聞いてないふりをしてくれてたんだろうけども。スキルの話なら流石に自分からした方がいい、ってなったのかな?

 まぁともかく、この人はわりと真面目に『真面目に考えちゃダメ』な類いの相手である。

 その一端を、彼女の口から語ってもらうこととしよう。

 

 

──()()()()()()()()()()()()と書いて、【偽界包括】。これは文字通り、他の世界を私の中に抱え込んでいる、ということなの──

「偽物の世界?……あっ、ちょっと待って嫌な予感してきた!?これこの前の話と繋がってるんじゃないの??!!」

──はい、よくできました──

「わぁやっぱりー!!?」

 

 

 ……などと言った矢先、ゆかりんが頭を抱えて叫び出した。

 あーうん、そりゃ最近ずっと説明してたからね、気付いてもおかしくはないか。

 なお、その辺りの話を聞いていない波旬君と宿儺さんは、互いに顔を見合せ首を傾げている。

 

 

「……おい、一人で納得せず、こちらにも話をしろ」

「……この人、多分全人類をその中に抱え込んでる……」

「……は?」

「だーかーらー!!一人の人間は一つの世界!わざわざ纏めて、なんて言ってるってことは滅茶苦茶纏めてるのよこの人ぉっ!!」

「「…………????」」

 

 

 うーん、ゆかりんが壊れてしまった。いやまぁ、気持ちはわかるけどね。

 じゃあ、壊れたゆかりんに変わって、私がわかりやすく説明をば。

 

 私たち【星の欠片】にとって、一つの『ヒト』というのはとても大きなものである。……それこそ、それを宇宙とか世界とかに比喩するほどには。

 人間の構造と宇宙の構造はフラクタル的な考え方ではとても似ている……みたいな話をしたように、微細数である【星の欠片】からすると『ヒト』の構造はまさに宇宙なのだ。

 

 ……『星女神』様は、あらゆる全てと比べて一番小さいもの。

 ゆえ、彼女の見上げるモノというのは、全てが全て宇宙──世界に等しい。

 そしてこれは、考え方の転換なのだが──底と天井の違いとはなんだろうか?方向が上か下か、というだけでそれが限界値である、ということに代わりはないだろう。

 

 ……この考え方から発展したものに『極値逆転』という思考方法があるのだが、これを元にすると一番底である彼女は()()()()()()という風にも見なすことができる。

 ()であり(無限)。この考え方は世界の至るところで触れることができる。……世界で一番有名な宗教に出てくる『アルファ(最初)にしてオメガ(最後)』などがそれだ。

 

 そういう意味で、彼女のそれはそう奇抜な考え方ではない。

 おかしなことがあるとすれば、彼女が極小の存在である、ということだろうか?

 

 ともあれ、彼女は万物に含まれるものでありながら、万物を含むものとしても定義される。

 ゆえに、彼女についてはこういう風にも言うことができる。

 ……数多のヒトに含まれるのだから、数多のヒトを含んでいてもおかしくない、と。

 

 

「……なんて?」

「もっと簡単に言うなら、彼女の中には無数の世界が──ドラえもんやらアンパンマンやらポケットモンスターやらファイナルファンタジーやらfateやらマーベルユニバースやら、ありとあらゆる世界が含まれているってこと。そこにはちゃんと人々が暮らしてるし、その人々の中には『星女神』様が含まれてもいる。……永遠の入れ子構造、みたいな?」

──そして、やろうと思えば私はそこからその人達を呼ぶこともできるわ、こんな感じに──

「こんにちわ、ぼくドラえもんです」

「うわぁっ!?」

 

 

 その体の中に、今を生きる世界そのものを無数に納めたもの。

 ……比喩抜きに女神と言っていいような性質を持つのが彼女、というわけである。

 これが、彼女のチートスキルその一、【偽界包括】。

 あらゆる全てを己の内に持ち、それらを時には外へ招くこともできる超抜技能。

 更にはその『世界』は時間軸の違いまで含むため、ともすれば連載当初の人物と連載終了後の人物を分けて呼ぶ、なんてこともできたり。

 

 ……並行世界や二次創作、クロスオーバーによる変化のようなものも対応可能なのだから、彼女の中にある命のバリエーションの豊富さと言ったら。

 そしてこれは、彼女と敵対するとその中から()()()()()()()()とかが呼び出されてもおかしくない、ということでもある。

 

 

「ね?喧嘩売るのバカみたいでしょ?……まぁ、これ以外にも色々あるんだけど」

「一つ目の時点でもうお腹いっぱいなんだが?」

 

 

 疲れたようにため息を吐く宿儺さんに、私は胃痛を堪えた笑みを返すのであった。

 ……そうじゃないのはわかってるけど、感覚的には黒歴史が形を持ってやって来た、みたいなモノだからね仕方ないね!(吐血)

 

 

*1
特に能力を抑えている、などということはないのと、『視る』というのは相手への干渉である、ということから『見続けると私からの(無意識でやってる)干渉をそのまま受け続けるかも知れませんよ』の意味。無論、彼女のそれはキリア達のそれより更にヤバいため、視てるだけで体の端から分解され始めててもおかしくない

*2
『遊ばす』は『する』の尊敬語であり、女性の使う丁寧語『遊ばせ』にも派生する言葉。更に『~れる』まで付けると更に敬意を深めた言葉になる。具体的には天皇陛下や皇帝閣下など、その国の元首レベルの相手への尊敬語になる

*3
原作において波旬は自身の苛立ちの理由をとある少女のせいだと誤認し、その人物を凄惨に殺したのだが……その結果として意図せず座に着いてしまい、己の中に他の存在を招き入れてしまうこととなってしまった。……座ってそういうものよ、と言われればそうなのだが、他のモノに興味の一切ない波旬には理解できなかった模様。そもそもが自分に付随する奇形嚢腫によって『一人になりたい』という渇望を他者に向けるものとして変化させた彼にとって、数多の命を受け入れる座というシステムは致命的に相性が悪かった……或いは良かったのであった。……因みに、【星の欠片】と彼の相性は同じく最悪/最高。人間の体はそもそも無数の細胞の塊であり、しかしてそれらは個別の思考を持たない……という前提を覆すこれは、言うなれば彼の『一人になりたい』という渇望を絶対に叶えさせないものとも言える(彼自身が【星の欠片】にでもならない限り、絶対に彼より弱いもの(細胞/分子/原子)があり、それらにも意思がある。目覚めさせなければ無言なのだが)。その為、彼の渇望は再現なく狂気と共に膨張して行くが──そもそも【星の欠片】は勝っても意味のないもの。というか寧ろ強くなれば強くなるだけ滅茶苦茶増えるので、最終的に発狂し過ぎて(周辺宇宙ごと)爆発するかもしれない。はた迷惑すぎる……

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