なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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わりとお転婆、わりとおしゃま

 一騒動あった昼食を終え、外に出てきた私たち。

 件の『星女神』様は観光を続ける気満々のようで、付き合わされる私たちの胃腸は悲鳴をあげ続けているのであった。

 

 

──だったら別に、私一人でもいいのよ?──

「そんな恐ろしいことできるわけないじゃないですかやだー!!」

 

 

 出歩くだけで世界が滅びそうな相手を、一人で放置なんてできるわけないじゃないですかやだー!!

 

 ……いやまぁ、そんなつもりは一切ない、ってのはわかるのである。だってその気だったら私らに抵抗の手段全くないからね!!(白目)

 

 

「……え、もしかしてキリアさんでもダメなの……?」

「はっはっはっ。……そういうのは相方様にお願い致します

「いつものキリアさんらしからぬ反応!?」

 

 

 そんな弱気の私たちを見て、ゆかりんがビックリしたように口を開くが……見てごらんよこの借りてきた猫みたいな状態のキリアを。

 ……彼女ですらそんなことになるのに、私がもっと縮こまらんでどうすんじゃい!(錯乱)

 

 ……キリアより小さいし、なんならキリアより干渉範囲広いし。

 いやまぁ、【偽界包括】くらいならまぁ、キリアにも対抗はできるんだけどね?実際彼女ってば本気出せば相方様に並ぶかも?……くらいの出力にはなるし。

 

 

──私達以外では唯一【零弌概念】を使える人、だものね貴女──

「……れいいちがいねん?どっかで聞いたような……?」

「あー、どっかで話したこともあるかも?……丁度いいし、次の店に行くすがら話しとこうか」

 

 

 と、いうわけで。

 引き続いて『星女神』様のチート技能その二、かつ相方様と本気出したキリアがちょっとだけ使えるモノ、【零弌概念】の解説である。

 

 

「どこかで話したことがある気がするけど……『零』と『弌』。これを扱うのが、【零弌概念】ってわけ」

「……説明は?」

「え?これで終わりだけど?」

「なんにもわかんないんだけど!!??」

 

 

 こちらの言葉に、うがーっと声をあげるゆかりん。……うーん期待通りの反応。

 まぁ確かに、これだけだとなんのこっちゃと言う話なので、もう少し込み入った話をすると。

 

 

「【星の欠片】って、とかく小さい方がいいってのは知ってるでしょ?」

「そうね、何度も聞いてるし」

「小さいってことは、要するにそこに込められる()()が減る、ってこと。大は小を兼ねる……ってのはちょっと違うけど、くくりを大きくすると色んなモノを纏められる……っていうのはわかるよね?」

「ええと……人間と犬は別の生き物だけど、『哺乳類』ってくくりだと同じ仲間……みたいなことになる、とか?」

「うん、まぁそんな感じ。普通の技能って、上に昇る過程で色んなモノを含んでいくわけで……それはつまり『意味』を重ねてるってこと。【星の欠片】はその反対、自身の『意味』を削ぎ落とし、小さく小さくなっていくのが主題なわけ」

 

 

 一般的な技能において、成長とは含む『意味』が増えることである。

 例えば炎系の技能を極めるとして、単に着火するところから、能力が成長していくと火の勢いが増したり、その温度を変えられるようになったり、はたまた燃やせる範囲や物が増えたりする。

 

 これは、その能力が持ち合わせる『意味』が増えた、と考える事ができるわけだ。

 火を操る能力が相手を燃やす能力になり、相手を()()()燃やせる能力になり……みたいな。

 場所・対象の物・温度・範囲・速度などなど、『燃やす』という単語に様々な設定(いみ)を付け加えられるようになった、と言うべきか。

 

 それに対し、【星の欠片】のアプローチは全く意味不明の方向に向かう。

 先の『火を操る』能力で言うのなら、まずは『火』そのものになるところから始まる、というか。

 

 これは『体を火に変えられるようになる』という意味ではなく、文字通り己のなにもかもを『火』に変える、という意味である。

 一時的にそうなるのではなく、恒久的にそうなる、と言うか。

 

 ……この辺りが分かりにくいのは、単に『火になる』という場合、能力を高めて『火を司る者になる』みたいなパターンでも、結果としては類似したものになる……というところにあるだろう。

 数値的にはプラスとマイナスで全く逆の方を向いているのに、結果としては同じようなものが返ってくるからわけがわからなくなる、というべきか。

 とはいえ、【星の欠片】の原理を理解する、というだけならそう難しいことはない。

 

 

「さっきから例に挙げてる『火』だけど、これは特定の物質のことではなく、物体が特定の条件下で酸素と結び付く時に『光』や『熱』を発する現象のこと。……つまり、『火』っていうのは『光』と『熱』と『酸素』と『物質』という要素が詰まってる、ってことになる。……こんな感じで、要素をひたすら分解して行くのが【星の欠片】の基本原理ってわけ」*1

 

 

 まぁ、この場合だと()()()()()()()()()()()()()()()使()()()モノに分解は出来ていないため、【星の欠片】的には微妙に片手落ちなのだが。

 

 ……ともあれ、そんな感じで情報を削っていくと、やがて色んなモノに適用できるような小さいものが出てくる。

 これが【星の欠片】。それがある/ないという二要素のみで、大抵のものを表現できてしまう極少数である。

 

 

「火の能力者が氷を生むことはできない。……熱系の能力ならどっちも扱えるけど──【星の欠片】である場合の『火』だと、『ない』を使って氷を作ったりすることもできる。……すっごい非効率的だけどね」

 

 

 火の能力者が、氷を作ったり水を生み出したりすることは難しい。

 ……科学的なアプローチを使えば、気化熱やら雲やらを使って雨や雪を降らせる、なんて方向にもいけるかもしれないが……それはやはり、『火だけを使って氷や水を作った』とは言い辛いだろう。

 

 これが【星の欠片】の場合は出来てしまう。

 あらゆるモノに含まれる『火』、という形になっているため、この場合の『火』とは氷にも含まれている扱いになるのだ。

 ……無論、虚数とか負数とかであっても()()()()扱いになっている、という抜け道的なものはあるが。

 そして、そういった正数でない部分まで使っているからこそ、本来『1+1=2』で済むような式を煩雑・複雑怪奇にしてしまう……というわけである。

 

 さて、話を戻して。

 私たち【星の欠片】の言う『モノ』が同じ名前の『物』とは微妙にずれている、というのは確かな話。

 先の『火』ならばそれ単体では燃えもしないし暖かくもないし光もしない……みたいな感じであり、それらが無数に集うことで人の認識できる()になる、という感じか。

 

 そして、件の『零』と『弌』にも同じことが言える。

 確かに数字の『0』や『1』と同じ響きを持つが、かといってそれらと同一かと言われれば全く違う。

 辛うじて『ない』と『ある』に近い意味合いはあるだろうが──そう明記できるほどの(いみ)があるわけではない。

 

 複数集めて組み合わせれば、確かに『ない』と『ある』、はたまた『0』と『1』という要素になるだろうが、逆を言えばそれ単体にそこまで大きな意味はない。

 ゆえに単に『零』と『弌』としか言えないもの。それが『零弌概念』の扱うものである。

 

 

「あとはまぁ、【星の欠片】にとっての()()──【零弌(こころ)】を構成するものでもある、かな?」

「……ってことは、【星の欠片】を自由にできる概念……みたいな感じなの?」

「どっちかというと、【星の欠片】を成立させうる心──無限に霧散する自己を繋ぎ止めるそれを作る材料そのもの、みたいな感じ?」

「……もはやスケールが大き……いいえ小さすぎてワケわかんないわ……」

 

 

 まぁ、説明してる私もちょっとわけワカメなんだけど。

 ……【星の欠片】を使ってる当人としては、わりと感覚でやってるところも多いし。

 そういう『勘』的なものが【星の欠片】的には重要だってのも、間違いない話なんだけどね?

 

 ともあれ、削りすぎて意味が無くなったような状態になっているもの、というのが【零弌概念】である。

 そして、そのレベルまで削られたからこそ、あらゆるモノに含まれていてもおかしくない、という判定になっているというか。

 

 ……あ、あと『零』と『弌』、という風に対になるものが一つに含まれる、という形式になるのが【星の欠片】のお決まり的なやつなのだが、これが度々話題に昇る『相方様』にも関わってきたり。

 

 

「どういうこと?」

「それ単体で成立する、みたいなものは【星の欠片】にはない、ってこと。物事は単純化してもそれが『ある/ない』を無視することはできないからね。悪魔の証明的なあれで、確認できる範囲にない……みたいなパターンもあるけど」

 

 

 そう、基本的に【星の欠片】には比類無き頂点、みたいなものはない。

 

 あるように見えても、その状態だと不安定になるのが常なのである。

 これは『星女神』様もそうで、『相方様』が見付かるまではわりと破壊神的な不安定さを見せることすらあった。

 そしてこの対となる相手、【零弌概念】のネーミングと同じく()()()()()()()()としてカウントされる形になっている。

 二つ合わせて一つ分……というとちょっと語弊があるが、二つ纏めておいた方が式とか作る時に簡単になる……みたいな感じ。

 

 これはなんと、キリアについても同じことが言えたり。

 ……つまり、彼女にも実は相方が居るのである。

 

 

「で、さっき言ってた『本気』云々は、その相方と一緒になった時のことなんだよね。……【星の欠片】ってそんな感じに二つ以上のモノを纏めて扱える時にランクが上がる、みたいなのが結構いっぱいあるんだよねー」

「……その『纏める』と『ランクが上がる』ってのは、あくまで普通の感性で理解する場合の話、ってことよね?そっちのあれではなく」

「そうそう。なんでまぁ、相方がいる時だけキリアは『星女神』様と同等?くらいにはなれるのよ」

「……いや、指先が触れられるくらいになる、ってだけの話ですからね?誇張表現よくないわよ???」

「えー、でも【虚無】ともう一個合わせて【零弌】に近くなる、ってのは本当のことじゃん」

「今できないことを持て囃されても困るのよ……」

 

 

 端的に言うと、キリアが母なので父がいる……みたいな?

 そんなことを言えば、キリアはなんとも言えない顔をしたのであった。……ホームシックかな?(適当)

 

 

*1
燃焼とは物質の急激な酸化である、ということ。光と熱はその際に付随するものである

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