なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、さっきから『星女神』様と『幻想殺し』は合わせちゃダメ、みたいな話をしていたわけなのですが。
ここにいる上条さんのそれは、あくまで似たようなものを再現しているだけであり、その心配は無いのだろうなーと安心していたところ、別方向から爆弾を落とされる形となったのでありました。
「ええと、ずれてるとは……?」
──確かに、彼の右手に宿る『それ』は、本来の彼のそれを模したモノ。かの世界で生まれたものではなく、ゆえに魔術師達の願いの結晶……などというものではない。ここまでは問題ないかしら?──
「ええまぁ。そのまんまだとこの世界に来られないだろう、って話ではありましたし」
そうして問い返した私に、返ってきたのは彼のそれが本来のそれではない、という当たり前の話。
……『幻想殺し』というシステム自体が、ここに彼が現れることを阻害してしまうだろうことから、予め手を加えられている……というのが、これまでの彼についての通説であった。
同時に、恐らくそれを施したのが『あのお方』──すなわち『星女神』様である、とも。
──そこがずれてるところ。言っておくけど、彼については私、なんにもしてないんですからね?──
「……なんですって?」
そんな私たちの予想に対し、彼女から返ってきたのは予想外の言葉であった。
……え?あれ?関わってないんで?上条さんの成立云々の話に???
そうして困惑する私たちを見て、『星女神』様ははぁ、と一つため息を吐いている。
──まぁ確かに、本来の彼のことを思えば、私がなにかをしていると思ってしまうのもおかしくはないけど……
「ま、まさかバックドア*1的な?!」
「いかん!上条さんが爆発する!!」
「え!?なに?!どういうこと!?!?ねぇどういうことなんですかこれ!!?!?!」
──うーん、どうにもシリアスになりきらないわね──
……話を聞くに、どうやら先ほど彼女が上条さんを繁々と眺めていたのは、自身の仕事っぷりに感嘆していた……というわけではなく、
すなわち、ここにいる上条さんは『星女神』様以外の誰かの手によって送り込まれた者。……すなわちスパイと言うことである!(キリッ)
そして、上条当麻なんて相手を敵地に突っ込ませる理由など一つしかない。
こちらが安心した時を見計らって『幻想殺し』を解放し、ここら一帯を次元の狭間に葬り去るためだ……!!
まさしく鉄砲玉運用、もしくはトロイの木馬。
爆発する前になりきり郷から放り出さなきゃ、などと言い始めた私たちと、突然危険物扱いされて困惑する上条さんを見て、再度『星女神』様からはため息が返ってきて……。
──満足した?──
「個人的には落下スイッチでも押しておきたかったですね」
「上条さんの頭の中に爆弾が!……ってやつね」
「よくもこんなキチガイ展開を!」*2
──……ちょっと付いていけないかも──
これは処置無し、と思わず匙を投げられる格好となったのであった。
……あれー?
「……え、これ【継ぎ接ぎ】なんですか?」
──恐らくは、だけどね──
はてさて、衝撃の一言から始まった騒動が一先ずの終息を見せてから、再び開かれた『星女神』様の口から語られた言葉。
それは、ここにいる上条さんの持つ『幻想殺し』は、色んな技能を【継ぎ接ぎ】されて作られた
……予測と言いつつ、『星女神』様の語るところなのでほぼ間違いなく事実なのだが。
とはいえ、今までの予想とはまったく別方向に話が飛んだことに、こちらとしては驚きを隠せないが……同時に、「なるほど」と一つの納得をも得ていたのであった。
「そりゃまた、なんでよ?」
「
「真っ先に考え付く原因……?」
「あっ、なるほど。確かにそりゃそうだ」
「え、上条さんはわかったの、今の話?」
「まぁ、なんとなくだけども」
そんな私の様子に、ゆかりんは怪訝そうな視線を向けてくるが……この件に関しては
それを見た私は、彼にそのまま答えを言うように目線で合図をして──、
「なんでもできる、ってのは確かに疑うに値する理由だ。……けど、そもそもの話として、
「え?でもこれってこの人がやったんじゃ……って、あ゛」
──気付いたみたいだから答え合わせをするけど。……私、『逆憑依』という案件においては別に
そうして返ってきた答えに、ゆかりんは小さく呻き声を挙げたのであった。
……続けて『星女神』様が付け加えた事が、今回の一件の答えである。
いつの間にか、私たちは『逆憑依』に纏わる事件の首謀者を彼女──『星女神』様である、と誤認していた。
ゆえに、ここにいる上条さんとその腕のあれこれも、彼女がやったのだと思い込んでいた。
だが、冷静に考えればそんなことはあり得ないのである。
なにせ彼女は【星の欠片】の中でも特殊な存在。──
物語の結びを担うことはあれど、物語の始まりを告げることは無いのだから。
「倒すべきラスボスとして現れることはあるけど、その実そういう時の彼女は
──付け加えるのなら、誰かに請われて動くことはあっても、私自身の意思で今の世界をどうこうしよう、という気持ちで動くことは……
「……今までの説明を聞いてれば、確かに……ってなる話ね」
大昔──彼女がその対たる『相方様』を得る前であったならば、その当時の彼女の行動理念的に
今の彼女にその気は一切無く、やると言ってもついさっき説明したような『クロスオーバー作品の大トリとして色んな問題を背負い込んでくれる』、くらいのことしかしないだろう。
……いやまぁ、それも大概な話ではあるのだが、今回の話についてはそのスタンスがとても重要となってくる。
──そう、この『逆憑依』異変は、彼女のスタンスが変わっていない限り
いや、もっと言えば【星の欠片】達ですらないはず、というか。
無論、【複合憑依】のような抜け道がある以上、まったく一切これっぽっちも【星の欠片】が関わっていない、とは断言できないが……。
それでも、この『逆憑依』という異変を起こすに当たり、【星の欠片】に頼っていないことだけは確実だ。
なにせ、そもそもの話として
何度も言うように、【星の欠片】はその目覚め自体が世界を壊すもの。
その上、ここにいる二人はその中でも
それがこうして何事もなく過ごせているのは、偏に彼女達にその気が一切ないから。
言ってしまえば彼女達は
「……また随分と変な方向に話が飛んだわね?」
「そうでもないわよ。最近はそうでもないけど、DLCって
「それは……そうね?」
それこそスパロボ辺りがわかりやすいか。
特定の条件を満たすと仲間になるキャラクター、みたいなのはストーリーの上ではそこまで目立つモノではない、ということが多い。
それは何故かと言えば、普通にやっていると仲間にならない・もしくは居なくなってしまう相手だからである。
単純に考えて仲間に居る時と居ない時、二つのパターンの話を作る必要が出てくる上、それが話に食い込んでいれば食い込んでいるほど、それを考える必要のある文章の長さが多くなっていく。
……時々会話に参加させる、くらいならまだどうにかなるかも知れないが、そうでないなら話を一つ追加するくらいの覚悟をすることになるだろう。
無論、それをやりきった作品もあるにはあるが……基本的に作家の負担が爆上がりするので、原則的には選ばれないやり方である。
そして、ここで話題にしているのは正確には『隠しキャラ』ではなく、『DLCキャラ』。
モノによっては完全に後付けになるキャラクターである。
……それがどれほど無茶を言っているのかは、なんとなく想像ができるはずだ。
これを彼女達に当てはめると、そもそも居るはずのない彼女達が異変の首謀者、などというのは流石に意味がわからないことになる。
──ゆえに、彼女達はどこまで行っても傍観者なのだ。
「そうなると、上条さんをどうにかした相手、っていうのは必然的に絞られてくる。そしてその上で、『逆憑依』関連のあれこれに被害をもたらさないようにできる相手、となると……」
「それこそ、この『逆憑依』を起こした相手、ってことになるってわけだな」
そしてそれゆえに、上条さんの右手をどうにかした相手、というのも必然的に見えてくる。無論、そのやり方も。
──キャラクターの見た目は再現できるが、能力そのものを再現するのは無理がある。
ゆえにその右手は
そのため本来のそれとは違い、無効化できないモノも出て来てしまった。それでは問題なので、彼そのものに問題を起こすような事象は弾くようにして……。
そうして出来上がったのが、ここにいる上条当麻。
純正の彼ではなく、