なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「な、なんとかオッケーを貰いました……」
「なんにも言わずに笑顔で見続けられるのってわりと堪えるよね」
琥珀さんは あのお方の 助力を得た!(テッテレー)
……うん、その交渉の間『星女神』様はずっと薄い笑みを浮かべ続けていたんですけどね。
なんて言えば良いのかな、徹○の部屋でギャグをやらされる芸人を見てるような感覚?*1
なにをしても笑みを崩さない相手の前で、必死に助力を請うその姿は正直ちょっと興奮……げふんげふん。
うん、ちょっと可哀想になったというか。途中で手伝うべきかなー、なんて頭を過っちゃったし。
なお、この場において琥珀さんと同じく調査対象である上条さんについては、交渉には混じらないように厳命しておいた。
なんでかって?彼の説得とかまっっったく通じない相手だからね、『星女神』様って。
「自分の中の結論が強固……っていうのとはまた別ですもの、あの方のそれって。だからまぁ、上条君のいつもの説得とか、そこからちょっと奇を衒ったやり方とか……まぁ、全部無駄な予感が凄いというか?」
「……上条さんは役立たずではありませんのことよ……」
「滅茶苦茶凹んでる……」
基本的に上条さんの説得というのは、ともすれば説教・話術サイドなどと呼ばれるもの。*2
言うなれば相手の言動の中の矛盾を突いたり、はたまた本人が押し隠している本音を引き出そうとするものである。
その結果として、相手が自身の本質を思い出したり自身の間違いを悟ったりするわけなのだが……。
これは裏を返せば、相手が矛盾を許容していたり・はたまた正しいことを正しくしているという信念があったりなど、そこを叩いてもなにも起きないようなものの場合は、全く歯が立たないのだ。
自身の正道からずれている、という状態を異端とみなし、それを叩いて直している……と認知するのであれば、言葉による『幻想殺し』ということになるわけだが……ゆえに、その話術の弱点もある意味そちらに似る、ということか。
で、対『星女神』様に関してだけれど。
そもそもの話、【星の欠片】は紛れもない弱者であり、それを由としたモノ達である。
……扱える範囲がでかすぎて弱者に見えないというツッコミは、そもそもこれらは強者が当たり前に使っていたものが当たり前に返ってきているだけなので問題はない。多分。
ともかく。
強者の傲慢を折り、弱者の助けを掴む……といった感じの上条さんの話術では、傲慢ではない強者と助けを求めていない弱者には部が悪い。
作中で彼が出会ったのは基本的に前者だが、【星の欠片】達は原則後者の方。
望んで踏み台になっているし、誰かに使い潰されてなんぼ……みたいな相手には彼の話術は効果がない。
ましてや、相手はそんな存在の元締め、とでも言うべきモノ。
……そりゃまぁ、どんな会話の方向性に持っていったとしても薄く笑みを向けられるだけ、というものである。
下手すりゃ嘲笑でも向けられる方がまだ心情的にマシ、『青いわね』みたいな感想すらない微笑みを向けられ続けるとか、まさしく拷問以外の何物でもないだろう。
その辺りの結果は端から予想できたため、上条さんには張り切っているところ悪いのだが、最初からお祈りメールを送らせて頂いたというわけなのであった。
……え?当たって砕けられもしない方が辛くないかって?
相手が勝手に砕けるのを見るよりはマシなんじゃねぇかな……。いやまぁ、例え話であって砕けてるところなんか全く見えないわけだが。
そんな、単純に説明しているだけで頭がこんがらがってくる【星の欠片】の性質の話は脇に置くとして。
ともあれ、琥珀さんの頑張りにより、『星女神』様からの許可が降りたので、これでようやく二人の精密検査ができるというものである。
……どうせなので、彼女のやり方を見学させて貰うとしよう。なんかの役に立つかも知れないし。
「……?ええと、キーアさん達とはやり方が違うんですか?私はてっきり、キーアさんが【虚無】を使うような感じでこう、スキャナーみたいなやり方をするんだと思っていたのですが……」
「いやいや、そのやり方で見付かんなかったから『星女神』様のお力をお借りするんでしょう?そんなチンケなやり方じゃないよ」
「ち、チンケ……?」
そんな私のやり方を見て、首を傾げるのが琥珀さんである。
……どうやら、SFとかでよくあるスキャンシステム的な検査を予想していたみたいだが、甘いにもほどがある。
確かに、私が他人の体を検査するのなら、外から【虚無】によるサーチを行う、というやり方になるだろう。
だがそのやり方は前回の健康診断において、極めて類似するやり方をしていたことから無意味である、ということがわかっている。
……いやまぁ、普通ならそれで見付けられるはずなんだけどね?
サーチと単純に言ったけど、【星の欠片】を用いてのそれはもっと複雑怪奇。
言うなればミクロサイズよりも遥かに小さなカメラを無限数用意して、それで頭の天辺から爪先までを写しながら探査するようなもの。
こと見逃さない、という点においてはそれこそ自身より大きな【星の欠片】なら絶対に見逃さない、というほどの精度である。
産毛がビルに見えるほどの倍率のカメラで全域を確認する、みたいなやり方なのだから、本来それで見失うわけがないのだ。
顕微鏡一台ではなく、顕微鏡無限台で一度に確認してる……というようなものなのだから。
つまり、今回見付けなければいけないものは、決してミクロのそれでもないし、マクロのそれでもない。
見えないもの・隠れているものを見付け出すためには、小さなカメラなど必要がないのだ。
では、どうやって二人を検査するのかというと。
──そうね、では実際にやってみましょうか──
「はい?……うわっ!?突然足元に魔法陣的ななにかが!?」
「うぇっ!?これ俺触らない方がいいやつ?!」
──別に触っても構いませんよ?特になにもおきないでしょうから。少なくとも、貴方の
「なんか今とんでもないこと言われた気がするんですがー!?」
すい、と『星女神』様が右手を動かせば、途端に二人の足元に展開される七色の魔方陣。
……これはそれ自体が彼らに干渉するモノではなく、どちらかと言えば
え?なにを繋ぎ止めるのかって?それはねー。
──【
「ふぇ!?なになになんなんですかこれ!?」
「あ、動いちゃダメだよー。いつもならパッとやってパッと終わるはずだけど、今回は検査も兼ねてるからちょっと危ないし」
「はいいいぃ?!?!」
真下の魔法陣が輝きを増す。
その虹色の輝きの本質は、
言うなれば、無数の色を揃えることで
ではこの場において、例外を無くす必要のあるものとはなんだろうか?
答えは単純、
──倫理解放、『星解』──
──siは゛ rA n ni e3818dこe a k o──
「……ぶはっ!?」
「あ、戻ったかな?……なるほどなるほど、こんな感じかー」
はてさて、先ほどの『星女神』様の行動からおおよそ一分ほど。
術の影響から戻ってきたのか、琥珀さんが大きく息を吐いたことで私は検査が終わったことを認識したのであった。
……で、当の検査を受けた二人についてだけど。
うーん、予想はしていたけどどっちも顔色が悪い。いやまぁ、さっきまでどういう状態だったのかを思えば、それも仕方のないことなんだけどね?
「さ、さっきのは……なんなんです……?」
──なにって……そうね、貴方達にわかるように説明するのなら、
「お、オーバーホール……?」
息も絶え絶え、という様子の琥珀さんの質問に対し、『星女神』様の返した答えは『オーバーホールをした』というもの。
……
当然、先ほどのそれもそのやり方に倣うわけなのだが……人間相手に対してやる場合のそれは、端的に言うのなら『一時的な【星の欠片】化』ということになるか。
そう、
──先ほどの魔法陣は、その際に意味消失を行わせないようにするもの。あとはまぁ、勝手に
「なっ、なっ」
思わず言葉に詰まる琥珀さんだが、無理もない。
何度も言うが、【星の欠片】になるというのは一種の自殺である。
無論、今回彼女がやったそれは本家本元の
いやまぁ、実際のところ『星解』は
「…………」
「あ、その目は信じてませんね?でも一応言っておきますけど、【星の欠片】より安全なのは本当ですよ?『星解』中は範囲内のあらゆる因果が解かれる。その結果としてあらゆる結合・事象・運命が一時的に
「…………?(なに言ってるんだこいつ、という顔)」
先ほど『星女神』様が使った『星解』というモノは、言うなれば因果のオーバーホールと呼ぶべきモノ。
あらゆる物質間の繋がりを一度解してしまうそれは、一時的にあらゆる因果を零にするものである。
これにより、変な干渉がされている時はそれらが解消されるし、中になにかが隠れていたとしても
……まぁ、あらゆる因果を零にしてしまう関係上、特定の存在以外ではそもそもその効果時間を認識できない、などということになってしまうわけなのだが。
そこら辺も含めて、実質【星の欠片】専用の技術というか?
ほら、私たちってそもそも因果が断ち切れ霧散しそうな体を
なお、説明されてもわからんという感じの二人に対し、私は『とりあえず、検査は終わったよ』と納得させる作業に移行する羽目になったのでしたとさ。
うーん、本末転倒……。