なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「まぁ、そこまで大仰なことを考えてたわけでもなく、『なるほど宿儺ってエミヤとかと同じ声なのか。……しかも料理人?ならそっち方面だ!』みたいな軽いノリで始めたんだけどな」
「うーん、前回までの解説がなんだか茶番じみて来たぞぅ」
結構あれこれ語ったけど、本人はそこまで難しく考えてないよ*1、みたいな反応を返され思わず苦笑する私である。
……まぁうん、偶然今の状況に合致した、みたいな可能性は少なからずあるだろうなーとは思っていたけれども。
ともあれ、色んな意味で今の宿儺さんで良かった、というのは間違いないだろう。
特に私と原作の宿儺さんは相性が悪い……もとい、相性が悪すぎて酷いことになる予感しかしないし。
「ん?そうなのか?」
「そうだよー。そもそもの話、【星の欠片】って理不尽に対しての理不尽みたいなものだからねー」
私の言葉に、キリトちゃんが首を傾げているが……何度も言うように、私の属する【星の欠片】という存在は、原則的にか弱い上、さらには私の今の姿は女性で子供。
……先の本来の宿儺が甚振る相手の特徴に完全に合致している、と言えてしまうだろう。*2
そもそもに【星の欠片】自体が、強者に対しての理不尽とでも呼ぶべき存在。
負けることを確定するせいで、それ以外のあらゆる事象が無茶苦茶になる……という理屈のそれは、彼みたいな
「【星の欠片】の理念的にも、あの宿儺は最早ヒト扱いされないだろうからねー*3。結果的にはこっちの無限敗北&無限レベルアップの存在放逐もさくさく進みそうというか」
「なんつーかまぁ……原作通りで無くてよかったな、マジで」
わけのわからんことになるのは御免だ、みたいな顔をするハセヲ君に対し、宿儺さんは苦笑いを返していたのだった。
「んで?話はこのくらいにするとして、今日は一体なにをするつもりなんだ?」
「うーん、とりあえずストレス発散!……としか考えてなかったからなー」
「おい?」
はてさて、辛気臭い話はここまでにするとして。
今日の目的はそもそもこれまでに溜まりに溜まったストレスを発散すること。
無論、このままぐちぐちと話を続けても、それなりにストレスは発散できるだろうが、余計なストレスをまた生産する可能性も否定はできないため、他のことをしようということになったのだが……。
うん、なにしよっか?
……いや、これは私が無計画というわけではなくだね?
単純に、なりきり郷内でやれることが多過ぎてどれかに絞る、ということができなかっただけというか。
あとはまぁ、他の面々がしたいことをする……みたいなのもあった方がいいかなー、というか。
なので、決して私が優柔不断というわけではないのです、以上。
「……いや、大分優柔不断じゃねーかな?」
「シャラップ!やりたいことなんて人によって違うんだから、多数決を採用するのは決して間違いないの!」
「へいへい……」
そういうわけで、一先ず一回目の多数決。
そうして決まったのはバッティングセンターなのであった。
「……おっ、キーアちゃんじゃん久し振りー!」
「おおうユッキじゃん。……いやまぁ、そりゃそっか。野球好きが行くところなんてそりゃあ限られてるよね」
「おっと聞き捨てならないぞー?私はちゃんと球場にも行ってるんだからねー!」
「なりきり郷内の球場って、超次元サッカーとかバヌケも真っ青の無茶苦茶野球やってるところじゃん。私何度地球が滅ぶ姿を幻視したか分からないよ?」
「○チロー居んのここ!?」*4
いやまぁ、多分彼めいたことができる人ってだけで、本人のなりきりとかではないと思うよ?
……まぁそんな戯れ言はともかく。
立ち寄ったバッティングセンターで久し振りに野球アイドル・姫川友紀に再開したりしつつ、私たちは例のスーパーピッチングマシーン・恋査さん(Ver.3.14)と相対することになったのでありましたとさ。
「なんだその中途半端なバージョン。円周率かなにかか?」
「いやー、そういえばあれからもう二年経つのかー。なんだか昨日のことのように思い返せ……はしないけど、銀ちゃんが数々の魔球に苦しめられていたのはすぐに思い出せるぞー」
「おっ、なになに皆で恋査ちゃんに挑む感じ?」
「……いや、なんで付いてきてるのこの人?」
はてさて、このバッティングセンターの名物である恋査さんだが、しばらく(※約二年)見ない内に随分と様変わりしたようで。
なにせ、あの当時は見た目がチアガールだったのが、原作の彼女と同じ看護師のそれになっていたのだから。
……そこ?と思われるかもしれないが、彼女もまた『逆憑依』から派生した技術によって誕生した存在。
となれば、原作みたいな能力を発揮するには原作のような格好をするのが一番……え?原作の彼女はそもそもピッチングマシーンじゃねぇ?それはそう。
ともかく、噂のピッチングマシーンに挑むため、まずバッターボックスに入ったのがハセヲ君であった。
「あんまり体を動かすのは得意じゃねーんだけどなぁ」
「頑張れー銀髪の子ー!!設定レベルは低いけど球の速度は速いはずだよー!」
「銀髪の子って……」
「まぁ、ユッキが知ってるの私くらいだからね。今のうちに挨拶しとく?」
名前を知らないので、ユッキの声援が見た目を元にしたものになっており、それを聞いたハセヲ君の気が抜けたりしていたが……ともあれ、バッティングそのものはそのまま進められることに。
で、実際に投げられた球についてなのだけれど……。
「……え、今のなに?」
「うーん、見たことない魔球だったなぁ……ユッキはわかる?」
「ああ、あれ?なんか最近は色々試してるみたいで……うん、今のは『
「……バヌケじゃん!?」
「あっはっはっ。他にも『ファイヤートルネード』を元にした球とかも見たことあるよ?」
「超次元サッカーじゃん!?」
投げられた球は、ハセヲ君の手元に到達する前に露骨に加速したため、私たち一同は首を捻ることに。
……いやまぁ、伸びる球なんてものも確かに存在するけど、あれは投げた側の回転の掛け方が上手いことにより、空気抵抗を受け辛くなって予想よりも上の方を球が通ってくる……みたいなものなので、実際に途中で加速しているというよりは速度が落ちない、という方が近いというか。
などと考察しながら隣のユッキに尋ねてみたところ、返ってきたのは
……っていうか、『加速するパス』と同じ原理だとすると、途中で球に触れてるってこと?それって反則では?
と思ったが、どうやら手で触れているわけでも、どこかから他の球をぶつけて加速させているというわけでもなく、ピッチャーが球よりも速い空気の塊を投げてぶつけることにより加速させている、とのこと。
……それ、普通にそのパワーで投げた方がいいのでは?と思わなくもないが、急加速するほうが眼が慣れないので打たれにくいとのこと。
まぁ、どこぞのウサギとかに比べれば原理的にはわからなくない*5が……それでもやっぱりおかしいとしか言いようがないというか。
というか、そもそもの話としてなんでバヌケを野球で再現してんねん。聞けば超次元サッカーも再現し始めてるみたいだし。
……などとツッコミを入れたところ、返ってきたのは「ある時今投げられる全部の魔球をクリアした人が現れてねー。その人に対抗するために、野球以外のモノにも手を出すようになったんだって」という言葉。
なにその野球漫画の主人公みたいな人……いや、実際にその類いのなりきりなのか?
などと思いを馳せながら、次々飛んでくる魔球に苦戦するハセヲ君を眺める私たちなのであった。
「さて、次は俺かー」
「頑張れー!虎杖くーん!」
「虎杖君呼びなんだ?」
「本人的にも今の姿だとそっちの方がしっくり来るんだって!」
うーん、一時的な【継ぎ接ぎ】みたいなもの、なのかなー?
などと思いながら、バッターボックスに立った宿儺さん(虎杖モード)を眺める私である。
流石に本人には劣るとはいえ、虎杖君モードでもパワー面では普通に上位だと思われ、バッティングの成果に期待が掛かるわけなのだが……。
「ふんっ!!」
「おお掠った!さっすがぁ!」
一打目はバットの上を掠める結果に。
振るタイミングは完全に一致しているということであり、これはホームランに期待が掛かるのだが……。
「ぬっ!?」
「あ、あれ?さっきと投球が違う?」
二打目は完全にタイミングを外された形に。
普通は同じタイミング・同じ球速の球が飛んでくるはずなのだが、さっきのとは違う球が飛んできたために空振りになったのであった。
……特に操作をしない限り、その辺りが変化することはないはずなのだけれど……。
「────」
「な、なんか嫌な予感……」
「ピーガガ……私ハ、打タレルワケニハイカナイノデス」
「喋った!?」
「なるほど面白い……抗ってみせよ、
「こっちもなんかキャラが違う!?」
ロボットであるはずの恋査さんが拙い声を発し、それに対して宿儺さんが虎杖モードを解除し。
ここに、唐突な激突の幕が上がったのであった。……なんで?