なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、四人で遊びに来たゲーセンにて、動物園などと揶揄されることもある筐体・エクバにかじりつく見覚えのある人物が一人。
……特に捻りもなく牧瀬紅莉栖その人なわけだが、いやマジでなにやってるの君?休みだから遊びに来てたとか?
「なななんでもないわよ!別にちょっと声繋がりで使ってみよっかなー、みたいなことなんて考えてないったら!」*1
「……語るに落ちたってやつでは?」
「……はっ!?誘導尋問とは中々やるわね……っ!!」
(俺の目には、こやつが勝手に自爆したように見えたのだが……)
などと思っていたら、全部向こうからゲロってくれた件。
……あーうん、確かにっていうかそういえばというか、クリスの彼?的な例の『狂気のマッドサイエンティスト』さん、彼女が今さっき使ってた『俺がガンダムだ』な人と声が同じなんだっけか。
まぁ、それはそれで『なんで後期主役機じゃなくて前期主役機の方を使ってるのか?』っていう疑問が湧いてくるわけなのだが。
「それに関しては単純明快、そやつがそっちの方が好……げふんげふん。とあるゲームで主人公機なのにも関わらず、かなり長期の間放置されておったから変な愛着が湧いた……というやつじゃな」*2
「その声は……ハクさん!」
「うむ、我じゃよ」
そんなこちらの疑問に答えるのは、両手に紙コップ──中には黒い液体、もといコーヒーが入っている──を持ちながら歩いて来たハクさん。
……どうやら今日の彼女、クリスと一緒に遊びに来ていたらしい。
「私達も居るよー」
「ってうぉっ、かようちゃんとれんげちゃんも?……クリス、こんなところに二人を連れてくるとかなに考えてるの?」
「その顔分かって言ってんでしょアンタ!?」
で、そんな彼女の後ろからひょっこりと顔を出したのが、なにを隠そうれんげちゃん&かようちゃんのちびっこペアなのであった。
……いつぞやか(※大体一年以上前)とは違い、どうやらエー君とかしんちゃんとかは一緒ではないらしい。
となると、この四人でゲーセンに遊びに来た、ということになるのだと思われるが……いや、なんでまたゲーセン?
前回のそれを思い起こすのであれば、またクリスの給料日だった……とかになるのかもしれないが。
そんなことを考えながら聞き返せば、返ってきたのは『どっちかと言えばハクさんに付いてきた』のだ、という言葉。
……え、マジで?あんまり外に出るイメージのないハクさんが、皆を誘ってゲーセンくんだり*3までやってきたんです?
「
「はぁ、アグモンへの会話のために……ねぇ?」
そうして胡乱な視線を向けると、ハクさんは半眼でこちらを睨みながら、はぁとため息を一つ。
そのまま話を聞くところによれば、彼女の数少ない(?)交遊関係の一つ、アグモンとの会話のためにたまーにこうして『いつもはやらないこと』をして回ったりしているらしい、とのこと。
まぁうん、会話の種を探すのは決しておかしな話ではない。
……ないが、なんというか『意外』という言葉を繰り出さざるを得ないというか。
いやだって、ねぇ?一応白面の者から派生した存在である彼女が、まさかこんなに負の念()の渦巻く場所に積極的に来たがるとは思えなかったというか。
昔の自分に
「我としても、当初ゲーセンに来るつもりはなかったのだが……」
「なかったのだが?」
「あやつが行くと言っておったでな。……同僚みたいなモノでもある身としては、気にならないと言うと嘘になる……というやつじゃな」
「あやつ?」
そんな疑問を持たれることは彼女もわかっていたのか、バツの悪そうな顔をしながら彼女は一点を指差す。
その指の先を視線で追うと、そこに鎮座していたのは……。
(※例のBGM)
(´´v`)「なかなか素敵なことになってきたし……」<ギュイ-ン プリッ
(´^`)「ゆるされよ ゆるされよ 同僚の意味不な行動にドン引きするの ゆるされよ」
「ひぃっ!?増えてる!?」
いつぞやかにも見た、中の馬が全部
その中のキャラクター達を大量生産するルドルフ、それからその所業にちょっと引いているビワの二人(?)なのであった。
( ´^`)「新キャラを増やしたいと聞いて、お手伝いしに来たんだし……」
( ・ヮ・)「わたしはその付き添いなのかー」
「はぁ、なるほど?」
一度増殖を止めて貰い、改めて事情を聞いてみたところ、判明したのは次のような話であった。
なんでも件の競馬ゲーム、流行りに乗ってたぬきを採用したのはいいものの、元ネタの方の追加速度に人形の生産速度が全然間に合ってなかったとのこと。
……そりゃまぁ、有象無象を問わずごった煮状態の掲示板で出来上がっていく文化、後追いするにはちと厳しいモノがあるのは仕方ないというか。
とはいえ、それを言い訳にもできない。
何故ならば、たぬきとはその混沌としたコンテンツ性と、リアルのネタも交えた流動性こそが売りの作品。
田舎町のショッピングモールにある寂れたゲームコーナー、みたいなところにある競馬ゲームみたいな状態にしていては、魅力半減どころの話ではない。
……要するに一度寂れさせるとそのまま廃れる、ということになるわけで。
担当者はどうにかして、できる限りネタに付いていく姿勢を見せ続ける必要に迫られたのであった。
いやまぁ、確実に担当者の自業自得というやつなのだが……ウマ娘そのものはやってなくても、たぬき自体は毎週欠かさず密輸されたのを見ている……みたいな層も居る以上、顧客請求率の高い商材であるたぬきを簡単には捨てられない、というのもまた間違いではなく。
そうしてどうにかできないだろうか、と首を捻っていた担当者が見付けたのが、キング・オブ・たぬきと呼んでも差し支えがないと言えるションボリルドルフ、その人だったわけである。
( ´v`)「いわゆる爪の生え代わりとか抜け毛みたいなものなんだし……だったら有効活用できた方が嬉しいんだし……」
( ・ヮ・)「陸軍としては海軍の提案に賛成なのですなー」*5
「……ん、んん?」
よくわからないが、ビワ的にはオッケーらしい。
いやじゃあなんでさっきドン引きしてたし。……と問い掛けると、「流石にあの増え方と擬音はビックリした」との返答が戻ってきたのであった。
……ともかく、担当者的には渡りに船ということもあり、大喜びでルドルフの協力を歓迎したとのこと。
で、彼女は張り切って小さいたぬき達を量産し……。
( ´^`)「まさかベイブレード的なことになるとは思ってなかったし……」<
「そうだルドルフ。お前が、作った」*6
「……そのネタは解りにくないか?」
「おおっと」
結果、たぬき達は色んな筐体に流用され始めた、というわけである。
見ろよママン、たぬきの輝きは暖かい……()。*7
冗談はともかく、あちらこちらにたぬきが見える、という状態は最早笑うしかない。
以前のそれとは違い、普通の生物なのだから余計のことと……え?区分的にはスマブラのファイターみたく、無機物が一時的に意思を得て動いているようなもの?
それはそれでビックリなんじゃが……。
とまぁ、経緯はそんな感じ。
たまたまゲーセンの区画担当者がルドルフに出会い、彼女に協力を取り付け。
それを受けたルドルフが変なことをしないように、監督役としてビワが同行し。
そんな彼女を見て、話の種になるのではないかとハクさんが付いてきて。
じゃあどうせだし、たまには遊ぶかーとクリス達以下数名も同行した……みたいな感じか。
「とりあえず、各々がここにいる理由はわかったけど……なんでクリスはエクバやってたんで?」
「いやその、昔とった杵柄というか……」
「へー」
そうしてみんなの理由が明らかになるに連れて、逆に浮き彫りになるのは「なんでクリスはエクバしてたの?」という疑問。
たぬきのゲームで遊んでるならまだわかるのだが、何故にガンダムゲーに……?
という私の疑問は、なんとなく解消されたようなされてないような。
……とはいえ、ここでそれを追及し続けることに意味があるとも思えなくなってきたので、いい加減開放してあげることに。
あからさまに安堵のため息を吐くクリスを横目に、改めて自分の連れの方に戻る私である。
「……で、どうする?結局エクバする?それともたぬきする?」<
「なんかモノを回転させたくなってくるなこのBGM……」*8
で、戻った先で聞くのは、これからなにをするのかということ。
当初の予定通りエクバに走るのもいいが、いっそ目玉に成り上がったたぬき系ゲームを遊ぶ、というのも選択肢に入るというか。
そんなことを問い掛けると、思ったより乗り気なのが宿儺さん。
……どうにも、ビワの大本であるケルヌンノスとか、その影響が気になっている様子。
「いやまぁ、俺にとってもある意味同僚みたいなもの、みたいな?」
「……ふむ、となると我とも同僚みたいなものか。……連絡先を交換しておくか?」
「お、やるやるー」
「……白面の者と両面宿儺が一緒に居る、って書くとヤベー状況にしか聞こえないよね」
実際のところは、二人して呑気に連絡先の交換をしているだけなのだが。
そんな、見る人が見れば卒倒しそうな光景を背景にしつつ、私たちは早速氾濫するたぬきコンテンツに突撃するのであった……。