なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・ここからそうなるのは予測できるか?

 明らかに、人が使うには大きすぎるフォークとナイフを手に、途方にくれる私。

 ……いやまぁ、そもそもモンハン世界の武器でもあるのだから当たり前なのだが、それにしたってこんなん貰ってどうしろと?

 的な言葉が脳裏を駆け巡っているのか、みんなして誰も欲しがらないのですがそれは。

 

 いや、だからって私が貰っても困るんですよこれ。

 私基本的に徒手空拳だから使いどころないし、そもそも双剣なんだからキリトちゃんかハセヲ君が持てば良くない?

 

 

「いやいらねーから。それは確かにレア物かもだけど、それにしたって色々限度があるわっ」

「いやー、元のゲームでのレア度的に考えると、実際そこまでレア物ってわけでもないかも……」*1

「だったら余計にいらんわ!?」

「あー、俺もパス。っていうか冷静に考えてみろ、リアルでそんな武器持ってたら普通に捕まるっつーの」

「……それもそうだ」

 

 

 そんな私の発言は、このようににべもなく断られてしまったわけなのだが。……ううむ、残念。

 

 仕方があるまい、使いどころが無いものを溜め込む趣味はないのだが、それ以外に対処も思い付かないからいつぞやかの良く切れるハサミと同じく、虚無空間(アイテムボックス)にしまい込んでおくとし……あっ。

 

 

「……今、不穏な呟きが聞こえた気がしたが?」

い、いやいやいや。なんでもない、なんでもないですよー?全然動揺してないっすよ。私動揺させたら大したもんっすよ*2

「そのガッタガタに震えた声でなんにもない、は通らねぇんじゃねぇか……?」

 

 

 思わず声が漏れた私と、その声に耳聡く反応してくる宿儺さん。いや耳いいな?

 ってそうじゃなくて……いや、ホントになんでもないんだって。

 そう、全然なんの問題もないの。まさかさっきの武器をハサミと同じところに入れたら、合成の壺*3みたいなことになって合体してしまった……なんてことあるわけナイナイ。

 

 

「つまり……あったんだな?」

「…………はい

 

 

 いやちゃうねん。

 こんなことになるとは、まったくこれっぽっちも予想して無かったねん。

 確かにどっちもドロップ品だし、かつダンジョン・コア関連の物品だけども。こんなん予想する方が無理というか?

 

 関係ないけど、ルドルフってその性質的にダンジョン・コアと同じようなものだけど、互いの出所って近いところにあったりするのかね?

 どっちもなりきり郷に転がり落ちてくる負の念を、なんとかして浄化する……みたいなものだし。

 

 ……なんて風にあれこれ言ってみたけど、その程度で彼がごまかされてくれるわけもなく。

 仕方なく、しまい込んだナイフとフォークを、改めて外に引っ張り出し直す羽目になる私であった。

 

 

「……見た目は先ほどと変わってないように見えるが?」

「見た目はそうですね。……ええと、さっきしまったところには、既に別のものが入っていたんですよ。それが、端的に言うと凄まじく良く切れるハサミ、ってやつでしてね?」

「ハサミ……?」

 

 

 私の両手で煌めく二本の食器は、確かに一目見ただけでは先ほどとの違いを判別することはできない。

 だがもし、『解析』のような探査系のスキルを扱える者であったのならば、そこに込められたエネルギー?的なものの強さを見て、大いに驚いたことであろう。

 

 ……件の良く切れるハサミのレアリティは、エピック(英雄級)

 で、さっきのナイフとフォークの方はレア度2。

 ……単純に比較はできないが、ナイフとフォーク側が遥かに低ランクである、ということはまず間違いないだろう。

 

 なので、普通はお互いに合成などできるはずもなく、仮にできたとしても、完成品は二つの武器の中間のランクになる……みたいな結果に落ち着くはずだった。

 ……はずだったと言っていることからわかるかと思うが、実際にはそうはならなかったわけで。

 

 

「……んん?」

()()()()と言ったでしょう?これはまぁ、いわゆるアイテムボックス的な性質を持つ空間なわけですが……それを構築している技術の根幹が、私たち【星の欠片】のそれを由来とするモノであるわけでして……」

「なんだか凄まじく嫌な予感がしてきたんだが?」

 

 

 ……なんで今回に限って、という話だが……うん、そうだね『星女神』様だね!

 あのお方が顕現中は、少ない確率の物事こそ起きやすくなる……みたいな効果があるってことは、既にさっきの段階で伝えてたよね!

 そもそもこのナイフとフォークのドロップ自体、その効果の影響を少なからず受けてのものだし。

 

 というわけで、はい。……はいじゃないが?

 ともあれ、そうしてこのアイテムボックスもとい虚無空間は、どうやら合成ボックスとしての効果が()()()()()()()、更に中に合成用のアイテムが二つ収まったことで起動。

 本来ならレア度違いのものを合成すると──虚無経由ならランクが平均化されるはずのところ、今回はまるで悪魔合体に失敗したかの如く、レア度を合算・もしくは乗算してしまったようで……。

 

 

「……はい、こちらレジェンドランクの装備品、『トリコツール』です」

「………………なんて?」

「トリコです、トリコツール。トリスタンで女の子(トリ子)、って意味のバーヴァンシーとかではないです」

 

 

 

 惚れた腫れた、みたいな話でもない。

 

 ……ともかく、合成された武器のレアリティは、なんと最高ランクに当たる伝説級(レジェンダリー)

 そんな素晴らしい武器の名は『トリコツール』。

 伝説の美食家・トリコの使った食事の手段──レッグナイフやフライングフォークなどを、概念的に再現した一級品である。

 

 ……などと説明したところ、みんな意味がわからなさすぎて首を捻っていた。まぁうん、そりゃそうなるよねぇ……。

 

 

「あー、厳密にはトリコさん本人の要素が混じってる、というよりは()()()()()()()()()()()()()()()、って解釈した方がいいんだけど……」

「????」

デスヨネー(その反応知ってた)。……ええと、『神断流』について聞いたことは?」

「何故このタイミングでそれの話をするのかはわからんが……一応聞いたことはあるぞ?」

「俺もー」

「俺も俺も」

 

 

 さてどうしたものか……と考えた私は、一先ずこの武器に付随している機能について、軽く説明をすることに。

 

 いつの間にか、虎杖君の姿のまま宿儺さん本人の喋り方になってるなぁこの人……とは突っ込まずに内心で思うだけに留めつつ、最初に話題に出したのは『神断流』のこと。

 この場で出てくる話題としては不適切に見えるが、その実この【星の欠片】が今回の話に深く関わっている、ということも間違いなく。

 ではなにが?と問われると、それは『神断流』というものの性質に理由が隠されているのであった。

 

 

「……ふむ?」

「『神断流』は不条理に抗う人のための牙、みたいな感じのものだけど……それをなすために最初に求められたのが、()()()()()()()()()()だったんだ」

「……んん?」

 

 

 わかりにくいのでもう少し噛み砕いて説明すると。

 そもそもの話、単純な人間が神のような不条理に抗う、というのはとても無理がある。

 純粋なスペック面でもまず対抗できないし、特殊な能力の話をすれば()()()()()()()()()()()()()()()という話になるだろう。

 

 それを埋めるのが『神断流』だが……とはいえ、指標もなく闇雲に抗ってみたところで、成果は得られないだろう。

 ……これを言い換えると、新しい技を考えるのに参考も無しにやるのは無理がある、となるか。

 

 

「……なんか俗っぽい話になったな?」

「まぁ、元を正せば『神断流』も私の考えたモノの一つだからね……」

 

 

 なので、俗っぽい話になるのは仕方がないというか。

 ……いやまぁ、実際のところは私が考えたわけではなく、他所の世界にあったモノを()()()()()()()()()というのが正解らしいけど。

 

 話を戻すと、元々『神断流』は私が物語などを考える際、誰でも使えて尚且つ偉そうな奴の顔を殴り飛ばせるように、みたいな感じで考えられた流派。

 ……なんだけど、子供の想像力でそんな大したものが作れるわけがない、というか?

 いやまぁ、あくまで最初期の頃の話であって、高校とかになってからは自分で考えたりしてたけども。

 

 ……ここまで言えばわかると思うが、元々の『神断流』は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、みたいなものだったのだ。

 わかりやすく言うと、『神断流』というフィルターを通すことで負担を軽減しつつ『流星一条』を誰でも使えるようにする、みたいな?

 

 

「なにそれ怖っ」

「人の極致の再現、って言ったでしょ。……アーラシュさんのあれってまさに人の極致じゃない」

「まぁ、それはそうだが……」

 

 

 そういうわけで、そもそも『神断流』には他者の技を誰にでも再現できるようにする、みたいな性質があるのだ。

 それが、今回の合成の際追加効果として()()()()()()、と。

 

 

「……ん?つまりこいつは……」

「振るとレッグナイフとかフライングフォークとかが撃てます」

「……便利、なのか?」

「多分……?」

 

 

 いやまぁ、危ないって方が強い気もするが。

 なにせ飛んでいく攻撃も、切れ味がさっきのハサミと変わってないし。

 

 二本の食器を持ち、どうしたものかと唸る私たちなのでありましたとさ。

 

 

*1
基本的にはネタ武器の類い。モンハンは時々実用的なネタ武器が居るので油断はできないが

*2
プロレスラー・長州力氏のとある場所で発した台詞『俺キレさせたら大したもんだよ』から。芸人・長州小力氏の方は『キレてないですよ』という台詞も使うが、元ネタの長州力氏の台詞は『キレちゃいないよ』だったとか

*3
『風来のシレン』シリーズ、及び『不思議のダンジョン』シリーズに登場する、中に入れたものを合成させる壺。中身を取り出すには特殊な巻物が必要なパターンや、壺を割って取り出すパターンがある。……が、壺自体入手し辛いことも多く、使い回しの為に巻物を探す必要があることも

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