なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
星が語るならそれは真実?
はてさて、あれこれあった火曜日から一夜明け、遂に水曜日である。
……すなわち、『星女神』様への質問会の日当日、というわけだが。
その会場であるとあるホールでは、昨日から急ピッチでその質問会のための施設設営が行われているのであった。
これは、言い換えれば『根源の渦』だとか『アカシックレコード』だとか、ともかく
それゆえ、時間としては休憩も含めておよそ十時間ほどの質問会になるにも関わらず、参加したいと表明した人物がとにかく多かったのだ。
──それはもう、この会場では希望者全員を集めることは不可能だ、というくらいに。
「とはいえ、いつぞやかの健康診断の時みたいなことはできないし……」
「確かあそこ、今は設備とかの保守点検中なんだっけ?」
ならば以前健康診断の時に使った、なりきり郷内部の人間を全て集められる規模の施設を使えばいいのでは?
……みたいな疑問が思い浮かぶかもしれないが、あの施設はそうそう何度も使えるモノではないとのこと。
一回使ったら保守点検や設備の補修など、少なく見積もっても三ヶ月くらいは利用は不可能なのだとか。
まぁ、一週間程度とはいえ多種多様な人間が──それも百万に近い人数が寝泊まりしていたのだから、寧ろその程度の設備点検期間で済むということの方が驚きなのだが。
ともあれ、それらの状況を踏まえて今回選ばれたのが、現地には抽選によって選ばれたごく少数の面々が集まり、他の参加したがっていた面々はオンライン参加を促す……というやり方なのであった。
……言ってて思ったけど、どこのお祭りなんだろうね、これ。ソシャゲの周年記念とかで見るやつじゃない?*1
「まぁ、ある意味ではお祭りのようなモノですよね、実際」
「おおっとはるかさん。そちらのお偉い様方の様子はどんな感じで?」
「少なくとも、急進派の方々は全員オンラインも含めて参加不可です。もし罷り間違って彼女の機嫌を損ねるようなことでもあれば、それこそ世界の終わりに繋がり兼ねませんから」
「うーん、『星女神』様にそのつもりはないはずなんだけど……人間の欲望のあれこれを思うとどうも大袈裟と言えない空気……」
そうして話し込む私たちへと声を掛けてきたのは、久しぶりに公職らしい仕事をしていたはるかさん。
……いやまぁ、今の彼女の立場はどこにも属していない──敢えて言うならなりきり郷よりのフリーなのだが、かつては急進派の
まぁ、その結果はさっきの彼女の言葉を聞けばわかるように、ある意味『お察し』というやつだったようだが。
そこら辺の調整に関して、こちらとしては『大変そうだなー』くらいの感覚だったのだが……当のはるかさん本人を見た時、そんな感想は容易く吹き飛んでしまった。
……だってさ、明らかにお疲れモードなんだもん、はるかさん。
既に目の下に隈ができてるんだもん。着用しているスーツも、なんかどことなくボロッとしてるし。
もしココアちゃんが今のはるかさんの姿を見たのなら、まず間違いなく『お願いだから、お姉ちゃん休んでー!!』とか言い出すに決まっているくらい、見ただけでわかる疲労感である。
……いつもならそのココアちゃんの言葉で『ええ!休むわ私ー!』くらいのノリになるのに、今回そんなことは無さそうなのもお労しさが増すポイントというか。
「ふふふ……仕方がないんですよ……どこから嗅ぎ付けて来たのかはわかりませんが、今現在この場所に凄い人が来ている、ということだけは掴んでいたんですもの、向こうの人達」
「あー、そうなると完全にごまかすのは無理ねぇ。……でも、だからといって全部話すのもそれはそれで問題あり……と」
「ええ。もし仮に全容を把握していたのであれば、無理矢理にでも向こうの息の掛かった人員を送り込もうとしていたことでしょうから」
「うーん、どうして人類は足の引っ張りあいをしてしまうのか……」
思わずはぁ、とため息を吐きあってしまう私たちである。
……最近は保守派側に押されているものの、急進派側は昔から異界技術の積極的利用推進派である。
まぁ、気持ちはわかるのだ。あんまりリアルのことに口出ししたくはないが、色々とキナ臭い感じがするのも確かなのだし。主に周辺国が。
特に赤いの。*3彼らは綺麗なご題目で滅茶苦茶やるタイプの筆頭株。
……現状、国内の情報規制がこの国にしては珍しくかなり高いこと・それから仮に見付かっても『
もし仮に海外でも『逆憑依』が発見される、なんてことになれば大混乱は必死。
……その程度で済めば上等で、それを使っての戦争の画策とか、更に発展してヒロアカとかマーベルユニバースみたいに『
戦争に関しては、洗脳という技術が別に創作の中にしか存在しないモノではないとか、はたまた『逆憑依』には核となる元の人間が存在する以上、それらの血縁関係を辿った脅しとかも考えられるのが頭の痛いところである。
……これ、赤いのの常套手段でもあるからね。
いやまぁ、別に赤いのだけが悪いわけでもないのだが。
どこぞの超大国家君も、そういうのの実在を知れば『世界の警察として~』とか言い出しかねないわけだし。
それを思えば、日本国内のみに話が収まっている現状はまだありがたいのだ。
特に超大国家の方は、向こうの創作の中で一番人気であるマーベル系が出現し始めたら、別方向でヤバい面もあるし。
「まぁ、そうなったらもうどうしようもないので、最悪『星女神』様か本気を出したキリアに世界対象の『星解』して貰ってなにもかもなかったことにするしかないんだけど……」
「……お一つお伺いするんですけど、それって全滅エンドとなにが違うので?」
「『逆憑依』関連の記憶と、もしかしたら創作の記憶が吹っ飛ぶかもしれないけれど……人に扱えないような力が世界から消える、って点ではハッピーエンドじゃない?」
「メリーバッド*5の間違いじゃないそれ?」
まぁ結論としては、なんだかんだで日本万歳、ってことかなー。
いやまぁ、問題山積みなのはわかった上での話、ってやつだけど。
「で、こっちは希望者の選別会場と」
「応募者多数だったもの。……まぁ、面白半分に応募してきた人も多いし、眉唾だけど一応……みたいなのもそれに準じてたけど」
「まぁ、噂は広まってただろうけど、それが本当だと確信できるかと言えばまた別の話だもんねぇ」
はてさて、施設内に足を踏み入れると、メインの記者会見会場?的なモノの隣に一つスペースが確保されていることが確認できる。
これは、なりきり郷全土から送られてきた参加申込や質問の類いを選別するための場所であり、そこでは現在(なんだか久しぶりに見た気がする)蘭さんや、お手伝いとして出向してきた『書類仕事もお任せください!』とやる気を見せていたマシュなどが、パソコンを前に画面とにらめっこをしていたのであった。
……八雲回線を応用した緊急連絡により、なりきり郷全土に『星女神』様襲来の報は届けられていたが、とはいえそれがどれほど大変なことなのか?……ということにみんなが気付けたかと言えばそれはまた別の話。
いやまぁ、私のことが有名なので、それに合わせて噂とかは広まっていたみたいだけど……知名度、という点では『星女神』様はここでは無名みたいなものなので……。
なにせ彼女、何故か()アニメが存在する私と違い、その設定を知るには私の黒歴史ノートを見る以外の手段がない。
……どこぞの菌糸類がプロトタイプを隠しているのと似たようなもので、なんとなく内容を知ってる人が少数・その他大多数は(作者が有名なので)そういうものがある、ということだけを知っているのが関の山。
そのため、今回の説明会に応募してくるモノの大半は、噂を聞いて『とりあえず』『もしかしたら』『なんとなく』みたいな気持ちの者も多いのである。
……いやまぁ、私から言わせて貰うと『なんとなくでも、他所の人が作ったオリキャラに付いて知りたい』と考える人が居る、ってだけでわりと驚きなのだが。
「そこはほら、キーアさんの知名度も貴方単体のそれではないですから……」
「頑張ってせんぱいの良さを広めておきました!」
『私も手伝ったんですよ、せんぱい♡』
「私も、身近な人には危険性とか言及しておいたわよ?」
「……これ感謝するより怒るべきなのでは?」
いやお前らのせいかいっ。
思ったより参加希望者が多い理由の一端を垣間見て、思わず渋い顔になってしまう私なのでありましたとさ。