なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「彼女が荒ぶるモノであったのは、遥か昔のこと。そして彼女がそんな風に荒ぶったのは、世界の悲劇を
「あー、たまにいるわよね、一部だけを見て全体を理解した風になっちゃう人」
──ええ、わりとよく見ますよね──
「ぶふぉっ!!?」
あ、思いっきりゆかりんが吹き出した。ちょっときたないんですけどー?(棒)
……まぁ、私は『星女神』様が近付いてきてること知ってたんですけどねー。
などと溢せば、ゆかりんは小さい声で「教えなさいよぉぉぉっ!!?」と叫びながらこちらの襟を掴み、私の頭を前後に揺らし始めたのであった。
はっはっはっ、お戯れをお戯れを~。(笑)
……冗談はともかく、教えなかったのは別に彼女に意地悪をしたとか、そういうことではない。
「はぁ?!」
「いやだって、ねぇ?
──まぁそうねぇ。若気の至り、というのが大正解なのでしょうし──
「ええ……?」
単純に、『星女神』様自身も「責められても仕方ない」と納得していることなので、多少突っついたところで問題になる余地がないというか。
……いやまぁ、限度を越えて突っついてたら、そりゃまぁなにかしら苦言とか飛んでくるかもしれないけれど……そんなことするのって単なる命知らずでしょう?
だからまぁ、敢えて忠告しておく必要もないというか。
「な、なるほど……?い、いやでもこの人が近付いてくるのを黙ってるのは酷いと思うんだけど!?」
「酷いもなにも、気付いてなかったのゆかりんだけだからなぁ」
「へ?」
「あ、はい。入り口の方は視界に入っていましたので、順当に」
「私もはるかさんと同じですね」
なお、彼女の接近を知らせなかったのは話が別、と矛先を変えてきたゆかりんだが、そこに関しては
……そこまで告げたところ、彼女は恥ずかしそうに顔を赤くしながら、小さく縮こまったのでありましたとさ。
「さて、今日の主役のお出ましってわけだけど……『星女神』様、キリアは
「……あれ?そういえば居ないのね、彼女」
──彼女には別件を頼んでありますので、ここには来ませんよ──
「なるほど……なるほど???」
さて、今日の説明会の主役である『星女神』様の登場により、いよいよ本番か……と気を引き締めようとした私たちだったものの、その隣に本来居るはずの人物の姿がないことに気付き、思わず首を傾げることに。
……そう、何故かキリアの姿がどこにもないのである。
彼女は今回『星女神』様の横に立って、彼女の言葉の中に時々混じる専門用語を解説する役割を割り振られていたはずなのだが……その疑問に対し、目の前の『星女神』様から返ってきた答えは『彼女は他の仕事をしている』というもの。
ふむ、翻訳作業より優先される仕事、とな?
……内容が気になるところだが、私としてはそれより気になることがたった今発生したわけで。
「……ええと、つかぬことを御伺いするのですが、『星女神』様?」
──ええ、なにかしら?──
「……その、御身の発言を翻訳する役割は、一体誰が……?」
──そんなの、一人しかいないと思わない?──
「……マジですか」
──ええ、マジもマジ・大マジってやつね──
……嫌な予感的中、とでもいうか。
うん、そりゃそうだよね。『星女神』様の話す専門用語とは、すなわち【星の欠片】にまつわるモノのこと。
それを翻訳──解説するとなると、必然的にその単語に精通している必要性がある。
彼女がそれの第一人者のようなモノであり、二番手に位置するのがキリアだったのだから……彼女ができないとなれば、私にお鉢が回ってくるのは必然的、というわけで。
……マジかよ。折角裏方で楽できるかなーと思ってたら、表舞台に引っ張り出されるんかい……。
とはいえ、文句は言えない。
これがもし、キリアが適当な理屈を付けて敵前逃亡したというのなら、勿論彼女を責めてもなんの問題もないのだが……今回は『星女神』様の別命を受けてのこと。
それを責めるというのは、すなわちそんな命令をした『星女神』様に文句を言っている、というのと然程違いがないわけで……。
いやまぁね?仮に彼女に不満をぶつけたところで、多分穏やかな笑みを返されるだけでそこまで大事にはならないだろうけどさぁ?
それと実際に文句を言うか否か、ってのは別問題なんだよなぁ……。
……みたいな言葉を呑み込みつつ、今後の動きについて確認する私である。
キリアの代わりをさせられる、となると必然的に馬車馬みたいに働かされる可能性が高いからだ。
(そ、そうなのですか?)
(いやまぁ、本人にそのつもりはないと思うんだよ?けどねー……)
そんな風に彼女に確認を取る私に、マシュから疑問の念話が飛んでくる。
まぁうん、表面上はそんなことしそうに見えない、ってのは確かな話。『星女神』様の見た目って、リゾートとかでお休み遊ばされているどこかの皇族……みたいな空気感だし。
だが、忘れてはいないだろうか。
彼女は『星女神』、あらゆるものに含まれ、あらゆるモノを見通す存在。
……それはつまり、彼女は相手のスペックとかスタミナとかを全て把握し、ともすればそれらをゲームのステータス画面のように常に把握できるような存在*2、ということになるわけで。
(つ、つつつつまり……)
(ええ、その通り。彼女はこっちが『できる』と確信どころか
(ひぇっ)
そう、彼女の中では『フルスペックで働くのなんて当たり前』なのだ。
なので、相手のフルスペックを端から把握した上で、ちゃんとやればできる量の仕事を投げてくる……と。
無論、相手のスタミナ・及びその回復力に合わせて仕事の質や量を変化させるため、一般人や普通の能力者とかならそこまで大事にはならないだろうが……。
例えば
五条さんやワンパンマンみたいな最強系の人なら、常に全力・最終的に汗まみれで倒れること前提……みたいな仕事を投げてくるのだ。
そして、その対象が【星の欠片】である場合──任される仕事の質と量は、まさに異次元のレベルに突入することとなる。
そう、【星の欠片】は
そしてそれゆえに、彼らの全力稼働は
……うん、今回の場合は仕事を任されていたのはキリア──『星女神』様からするとすぐ
ゆえにその無茶振りのレベルは、恐らく異次元を越えた異次元。
私ができるのだから貴方も大丈夫よね?大丈夫じゃないなら本気も解禁するように……くらいの話になっていても全然おかしくないのだ……!!
──うーん、私のイメージについてちょっと話し合いたいところだけれど……でも確かに、キリアの仕事をそのまま貴方にさせる、というのは無理がありそうというのは確かかもしれないわね──
(キリアさんが捌き切れないかもしれない仕事……!?)
(一体なにを解説させるつもりだったのこの人……?!)
──……気のせいかしら、他の人からの視線も微妙な感じに──
「わかってて仰ってますよね貴方様???」
なお、当の『星女神』様は困ったような顔をしていらっしゃったが……口元がほんのり弧を描いていた辺り、楽しんでいることはまず間違いなさそうなのであった。
うーん、流石というかなんというか……。