なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「──とまぁ、そんな感じで始まった説明会は、みんなの多大な犠牲を払った上で完遂されたわけなのですよ、はい」
「なるほどねぇ。……ところで、私の気のせいなら問題ないんだけど……なんか内容はしょられてない?」
「
「本音と建前が逆っ!?」
もしくは話数と話数の間に挟まれて消滅したか?
……冗談はともかく、説明会の次の日である今日。
前日のそれは大盛況?のうちに幕を閉じ、概ね成功したと言っても問題はない感じだったのだが……だからこそ、幾つかの疑問を生み出すことにもなっていた。
その疑問を解消するため、いつの間にか戻ってきていたキリアを取っ捕まえ、その話を聞こうとしているというわけである。
「ふむ、疑問?」
「具体的には、結局アンタがなにを頼まれてたのかってこと。あれから考え直したんだけど、『星女神』様の性格上
まず第一の疑問が、何故キリアに別の仕事を割り振ることになったのか?……という部分。
私たち【星の欠片】は、本来他者を差別・区別しないモノである。
それゆえに、本来の【星の欠片】の判断基準は大抵多数決になるのだ。より数の多い方を優先する、というか。
それゆえ、先の話にそれを当てはめると……キリアに任せた仕事は
だが、それにしてはこうして戻ってきたキリアに、忙しそうだった気配が見えないと言うか……。
「……一つ勘違いを訂正しておくけれど。私の仕事はまだ終わってないわよ?」
「……へあ?」
「今もまだ仕事中ってこと。色んな所に分身を派遣してるから、本体である私は休憩中ってわけ」
「……なるほど?」
その疑問に関しては、すぐに答えが返ってきた。
戻ってきていたから勘違いしたが、彼女はまだ仕事中である……という答えが。
確かに、彼女ならば無数の分身に仕事を任せ、代わりに本体は休息に専念する……みたいな動き方も十分に可能だろう。
一つ問題があるとすれば、
「まぁ、過酷と言えば過酷かしら。なにせ今回の私の仕事って彼女の予測の裏取り、みたいな感じだから」
「……ん?裏取り?」
「そ。【偽界包括】で一応の確認は取ってあるけど、現実の世界でも見ておいて欲しい……ってことでね」
「そ、それはまたなんとも……」
そんな私の予測は、次のキリアの言葉によってほぼ肯定されることになった。……【偽界包括】で確認したことの裏取りって、それ
分身という方法を使っているとはいえ、それができるキリアも大概意味不だよ……とは口に出さず、一つ目の疑問が解消したことを喜ぶ私である。
「で?一つ目ってことは二つ目もあるんでしょう?」
「そっちは貴方への疑問というか、説明会で出た疑問なんだけど……」
となれば、この調子で数々の疑問を解消して行くしかあるまい。
そういうわけなので、ここからちょくちょく回想が挟まります()
タイミング的には、昼休憩の辺りだったろうか。
開始から『
いやまぁ、『星女神』様本人はまだまだ答えられるわよ?……みたいな顔してらっしゃるんですけどね?でも私らが付いていけないんですよ正直!
──うーん、他の子にはともかく、貴方にはもっと頑張って貰いたいんだけど──
「無茶を言わんといて下さい……私まだ【星の欠片】になってから二年そこらのぺーぺーなんですよ……」*2
──二年しか経ってない割には、結構使えてる方だとも思うのだけれど──
はっはっはっ、止めてください言葉の裏に『だからもっと使えるようになるわよね?』みたいな意味を仕込むの(白目)
……ともあれ、こうして会話できるだけまだ余裕があるのも確か、なのかもしれない。
なにせ他の面々、皆地面に膝と両手を付いて死にそうになってるんですもの。……やらされたことと言えば、ひたすらメールを読み上げ続けたってだけなんですけどね。
但しひっきりなしかつ十秒でメールを二つ読み上げる、くらいの速度ですがっ。
「さ、さんそがたりない……」
「す、すぱるたすぎます……」
「ほしがみえるすたー……」*3
──……ちょっと張り切り過ぎちゃったかしら?──
「そう思うのでしたら午後からは手加減して頂けると……」
──ええ、
「……ちぃっ!!」
疲労困憊で酸素を求め喘ぐ皆の姿に、流石の『星女神』様もやり過ぎたことを察したのか、自重しようみたいな台詞が漏れたが……あくまで彼女達にだけ、と続いたため思わず舌打ちする私である。
とまれ、午前中は順調だったので午後もこのままなら問題なく進み、また夕食のタイミングで切ったあと夜の部に続くのだろうなぁと思っていたのだが……。
──…………──
「『星女神』様?」
午後の部の前に一応片付けておくか、とメール達を纏めていると、その内の一つを私の手から掠め取り、しげしげと眺める『星女神』様。
一体何事?と彼女の動きを眺めていた私は、
「うわっ!?いきなりなにを!?」
──これは、答えなくてもいいものね──
「はいぃ???」
彼女の手の内で、そのメールがぼわりと燃え尽きたことに驚愕する羽目に。
当の本人は至って普通、というような空気を醸し出していたが……。
「あの時燃やしたメールに付いて、キリアならなにか知ってるんじゃないかなーって」
「……なんで私が知ってるって思ったわけ?」
時間は戻って、現在。
その時に燃やされたメールの内容……というか、それを彼女が燃やす必然性について、キリアがなにかを知っているんじゃないか?……というのが、二つ目の疑問。
その言葉を聞いた彼女は、一瞬渋い顔を浮かべたが……逆にこちらへと問い返してくる。
それに私は、ある種の確信を込めてこう答えた。『あのメールの内容が、恐らくキリアに確認させていることにも関わっているのではないか?』……と。
じゃあ、そのメールにはなにが書かれていたのか、という話だが。
そこにはとてもありふれた疑問が──人間が抱く疑問としては、ごく普遍的なモノが書かれていた。
そう、『恋人とはどうやったら上手く行きますか?』と。
「……あー、うん。気付いてるみたいだから言うけど。……相方様、最近姿が見えないのよね」
「相方様の?」
こちらの言葉に、隠し切ることは不可能だと思ったのか、キリアは渋々といった様子で言葉を紡ぎ始める。
それによれば、『星女神』様の対となる存在である相方様──『月の君』の姿が最近見えなくなっているのだという。
端的に言ってしまえば失踪した、ということになるわけだが……それもおかしな話。
相方様は『星女神』様を殊更に大事にされているため、彼女に黙ってどこかへ行く、などということ自体がほとんどあり得ないのである。
だが現実として、かのお方は何処かへと姿を消してしまった。
……『星女神』様本人は、恐らくその必要があったのでしょうと答えていたそうだが、それでも心配なのは変わらず。
で、今回【偽界包括】まで使って
「まぁ、相方様相手だと私の探知とか穴の空いた袋みたいなもんで、幾らでもすり抜けかねないんだけどねぇ」
「『星女神』様と同格だからね、仕方ないね」
……ただ、格としては相手の方が凄いので、ほぼ気休め以外の効果はないみたいだが。
あと、さっき多数決云々の話をしたが、確かに存在そのものが無限数である【星の欠片】が対抗馬なら、そりゃ敵うわけもないと納得する私である。
……それから、恋愛関連の質問の度にコンマ一秒程度フリーズしてた理由も理解した()
「それはまた……なんとも」
「他の面々は気付かなかったみたいだけど、流石に側で見てた私はねぇ」
あからさま過ぎて気付かない方がおかしいというか?
そんなことを述べれば、キリアは乾いた笑いを浮かべていたのであった。