なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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捜索は難航、仕事は順調

「……んー、流石に早々見付かるものでもないよねー」

「まぁ、向こうもわしらが駆り出されておるのは、早々に理解しておるじゃろうしのぅ」

 

 

 二人であちこちを回りながら、他の面々の手伝いとかフォローをする日々である。

 

 日付は私たちがなりきり郷を出てから既に一日が経過しており、その間に他の捜索メンバーと合流してその手伝いをしたり、はたまた分身を一つ貸して発見したメンバーの護送を手伝ったりと、通常の仕事そのものはわりと順調に進んでいた。

 

 ……まぁ、今愚痴っていた通り、肝心要の五条さんについてはさっぱり情報がないんだけども。

 それもそのはず、探している向こう側も基本的には派手な行動をしていない、というのが大きい。

 

 彼の捜索に駆り出されるメンバーとなると、基本的に限られて来る。

 今ここにいるこの二人以外で選ぶのなら、出身作品が同じで呪力を探知できる夏油君等がパッと思い浮かぶが……彼については直々に辞退を申し出られていた。

 理由については『別方向に再現判定受けそうなのが宜しくない』とのこと。

 ……片方が離反状態で二人が出会う、というのが原作の闇落ちルートの再現扱いになりかねないから、ということになるか。*1

 原作と違って闇落ちしそうな相手が反転しているが、それはそれで『逆だったかもしれねぇ……』*2と流されそうなので宜しくない、とのことである。

 

 まぁ確かに、私としても変に相手の神経を逆撫でしそうなフラグは立てたくない、というのが本音である。

 なので、夏油君に関しては今回の捜索から外されることとなったのであった。

 

 ……ただ、そうなると五条さんの捜索が面倒臭い、というのも事実。

 呪力を辿る、という一番の判別方法が早々に抜けたのだから、後は地道に探すしかないわけで。

 

 ……いやまぁ、私にもできなくはないんだけどね、呪力による探知。

 でも、流石に本職のそれと比べると精度が落ちるのは仕方ない、というか。……結局のところ、【虚無】の万能性に頼って無茶をしてるってだけだからねぇ。

 

 なので、向こうが()()()()()()()()()()()()()()()に抑えてしまうと、途端に感知が難しくなってしまうのである。

 一応、そのレベルの呪力操作だとできることはそう多くはない、という(こちらにとっての)利点もあるんだけども。

 大したことができなくなるので、向こうのやりたいことをやらせないようにする……という目的では用を成しているとも言えてしまうわけだし。

 

 ただ、結局のところ相手を見付けて確保するまでは、五条さんがなにをしようとしているのか・そしてそれは危険なことなのか?

 ……という部分の確証が取れないままであることも事実であり、ゆえにこちらに余分な心労を投げ掛けてくる状態のまま、ということになってしまうわけなのだが。

 なので、できれば早急に彼を見付けてしまいたいところなのだけれど……。

 

 

「流石に、彼の捜索に労力を全部注ぎ込めるほどに暇、ってわけでもないんだよねー」

「なんやかんやと忙しいからのぅ、結局」

 

 

 はぁ、とため息を吐く私と、その隣でうんうんと頷くミラちゃんである。

 

 そう、何度も言うが私たちは遊撃役。

 そのため、他の面々の手伝いを蔑ろにすることはできないのだ。……私たちの補助を勘定に入れた状態で動いてるからね、みんな。

 そしてその結果として、細々と他の人達の手伝いに労力を割く必要が発生し、肝心の五条さん捜索は片手間でのモノになっている……というわけなのであった。

 この辺り、五条さんが今のところは(比較的)大人しくしている、というのも問題になっていると言うか……。

 

 

「もうちっと派手になにかしておるのなら、そっちを優先しても文句は言われぬのじゃろうが……見るからに優先度低いからのぅ、今のあやつ」

「そこら辺も向こうの策略の内……ってことなのかねぇ」

 

 

 そう、本来五条さんクラスが反乱などを起こした場合、それの対処優先度は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()になるのが普通なのだが。

 今回の彼は、こちらの探知を防ぐためなのか非常に慎重・消極的である。

 ……それが現状のそれと変な反応を起こし、結果として『通常であればいの一番に対処するべき相手なのにも関わらず、他の木っ端の相手を優先してもいい状況に陥っている』のだ。

 

 これは、実質良くない傾向である。

 本来優先的に対処するべき相手が消極的であるために、そのための労力を他に割いているというのは、裏を返せばその相手が急激に積極的に動いた場合に対応が後手に回る、ということ。

 つまり、必ず相手が有利な状況を築ける状態にある、ということになる。

 

 普通の相手ならともかく、作中で最強キャラの一人として認識されている五条さんに先手を取られる、というのは実質こちらの敗北を意味していると言い換えても過言ではない。

 ゆえに、ある意味では相手側が優位を誇っているとも言える、この状況をどうにかして打破する必要があるのだが……。

 

 ……いや、無理だよなーというか。

 それこそ、この極小呪力をかっちり探知できる人物──夏油君を引っ張ってくるでもしない限り、こっちの優位にひっくり返す要因がないというか。

 でもそれをすると変な方向で再現扱いになりそうなので、できればやりたくないというか。

 ……となると、後は私よりも探知能力の高い相手──それこそキリア辺りを引っ張ってくるくらいしかないが、それはそれで問題があるというか、今のキリアは『星女神』様の様子を探るのに忙しいので他のことに回す余裕はないというか。

 

 ともかく、現在こっちに取れる対処で、今の状況を好転させるようなモノは無さそうだというか?

 そんなわけなので、結局流されるままに目の前の仕事を片付ける日々が続いている……というわけなのであった。

 ……いやまぁ、既に何年もやってるような空気だけど、実際この繰り返しに入ってから一日しか経過してないんだけどね?

 でも一日やれば、なんとなくこれから先のことも見えてくるというか……。

 このまま流れのままに仕事をしていても、求められる結果には辿り着けないだろうなぁというか。

 

 

「んー、こういう時こそ桃香さんとかが未来視でなんとかー、とかしてくれればいいんだけど……」

「それに関しては無理、と言っておったのぅ。『範囲が絞りきれないのでこれに関しては無理です~!』だったか」

 

 

 こうなってくると、ズルでもなんでも使って状況を好転させたくなるが……パッと思い付く方法である『未来視による判別』に関しては、そこの元締めである桃香さん直々に『無理』とのお言葉を頂いているため、あまりあてには出来ないというか。

 

 ……今起きていないことでも、未来に発生することであるのならば察知できる……という、未来視の有用性は誰もが認めるところではある。

 が、未来視が有効活用できる状況というのは、実際のところかなり狭い範囲になるのが普通なのだ。

 

 それが何故かと言えば、基本的な未来視は『未来を見たこと自体が未来を左右する』がため。

 そして、それがなんとかなるタイプの場合は()()()()()()()()()()()ため、というところが大きい。

 

 未来を見ると未来が変わる、というのは大抵の未来視が抱える欠陥の一つである。

 あくまで術者の観点からの話であるため、絶対に左右されるというわけでもないが……大抵の場合、未来視で見た未来は『見なかった時点での未来』、前提として『未来はわからない』というパラメーターありきの未来であることがほとんど。

 それゆえに、『未来を知った』時点でわざわざその未来が確定するように行動しない限り、自然にその未来からは外れていくというのが普通である。

 

 そしてもし、その行為を必要とせず見た未来がそのまま訪れるのであれば、それはそれでその未来が『変化させ辛いものである』と証明することになる。

 見た、という結果を無視しているかのようにその未来に収束するというのであれば、その未来は大きな力で変化させなければ必ず来るものということになり、ゆえにそれを回避するのは難しいということになり……。

 

 ……長くなりそうなのでここで切っておくが、ともかく『未来視』が存在する状況と言うのは、意外と面倒臭いのは確かである。

 そして今回の場合、それらとは別ベクトルで面倒臭いことになっていた。

 そう、『未来視』で相手の状況を探るには、その対象が多すぎるのである。

 せいぜい十人前後ならともかく、今回なりきり郷を飛び出したのは数百人近く。……全体としては少ない数だが、『未来視』で把握するには多すぎるのだ。

 

 それぞれについて予測したものが、他の予測の邪魔をする……みたいな感じで、未来視同士が干渉してしまう可能性もあり、今回未来視班はかなり大雑把な予測しかできていないという。

 そして大雑把な予測であるがゆえに、なんとなくの指標としてしか利用できていない……とも。

 

 

「こうなってくると、みんなに脱走を薦めたのが五条さん……なんて可能性すら脳裏に過るんだよなぁ」

「流石にそこまではしておらぬと思うがのぅ」

 

 

 こうまで五条さんに都合が良いと、今回の騒動をお膳立てしたのが彼なのでは?……みたいな突拍子もない話まで浮かんできてしまう私なのであった。

 ……いやまぁ、ミラちゃんの言う通り『んなわけないやろ』って感じではあるんだけどね?

 

 

*1
丁度アニメでやってる(やってた)話。根本的なところを語るのであれば、夏油が真面目すぎたのが宜しくなかった……ということになるのだろうか。戦う理由を自分以外のところに置くと、他人によってその支柱が乱される可能性が高くなる……というか。もしくは、『呪術師は性格が悪いほど強い』という話に対して、彼の性格は良い方に区分されるモノだから……みたいな。何にせよ、人に希望を抱きすぎだし()()()()()()()()、ということは間違いないだろう

*2
NARUTOにおいて登場した台詞の一つ。第485話『近く…遠く…』に登場した言葉であり、ナルトが過去の自身を思い起こし、少し掛け違えば自身とサスケの立場は逆だったかもしれない(≒ナルトが木の葉を潰そうとしていたかもしれない)と思ったというシーンなのだが、それに合わせて互いの技・利き手などが反転している映像が挿入される。その絵面が『書き間違い』に見えたりもする為、ネタとして広まることになった

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