なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ふむ、結局この暑さをどうにかする手段はない、ということかの?」
「いやまぁ、なくはないよ?」
「あるんかい」
はてさて、長々話しながらも仕事の手を休めることはない私たちである。
きらりん達がなにを探しているのかはわからないものの、人海戦術こそ捜索の華・とばかりに
そのため、二人の話題は先ほどから引き続き『この暑さの回避方法』ということになったのだが……一応、ひみつ道具に頼らない納涼手段、というのもなくはない。
ただ、やり方がやり方なのであんまりおすすめはしないというか……と返せば、ミラちゃんは『あー、なんとなく予測が付くぞぅ……?』としかめっ面を晒していたのであった。
……まぁうん、ミラちゃんも結構付き合いが長いし、私がなにを想定しているのかはなんとなーく察せられるよねー。
なので特に隠し立てもせずに言ってしまうと、その納涼方法とは
「……んに?キーアちゃんを使った納涼?」
「二人にはそこまで詳しく話したことはないから、一応簡単に説明すると……私の使う【虚無】って、見方を変えると微細な
「……ふむ?」
「で、それを利用して無数の私が自爆することにより、周囲の温度を下げようってわけ」*1
「待てい、今の一瞬でツッコミ所を無数に投げるでないわ!?」
どういうこと?……と首を傾げるきらりんに、軽ーく説明をする私。……と、それを聞いてわからん、という顔をするサウザーさんである。
まぁうん、かなり詳細を省いて説明してるから、そりゃわかりにくいよねー。
なので、ちゃんと説明することにした私なのだけど……。
「……いや、それは無しだろう」
「えー?一番楽だよー?」
「楽でもなんでもこっちの気分が良くないわ!!感覚的には自殺幇助*2以外の何物でも無いではないか!?」
汗が蒸発することによる体温の低下、というのを
きらりんに至っては「……んゆ?つまりキーアちゃんが世界で、世界がキーアちゃん……?そっかー、そういうことなんだー。うん、なんだか世界のことがわかってきた気がすゆー☆」などと淀んだ目で口走っており、ミラちゃんに「どうしたきらり!?支離滅裂なことを口走っておるぞ!?」などと心配されていたし。
……いや、そこまで変なこと言った覚えはないんだけどねぇ?
私たち【星の欠片】の共通点として、自身の末端と本体の価値は同一であり、それゆえに末端の視点を本体のそれとして扱える……というか、末端と(仮の)本体のどちらが重要ということもないのでどれかが欠損しても問題はないし、どれを本体としても間違いではない……ということを示しただけなのだけれど。
……改めて説明すると、どこぞの
まぁあの蜘蛛と比べる場合、正確には私たちは『単独種』は『単独種』でも『最弱無限の単独種』みたいなことになるのだろうが。
……というような話は余計な部分なので、ここでは置いておくとして。
ともかく、幾ら
感覚的には『体力を消費して技を使っている』のと大差ないわけだし。
「……なら最初からそう言えばよいではないか。わざわざ猟奇的な言い方にする必要がどこにある?」
「えー?そんなに猟奇的だった?寧ろ私的には『か弱く小さな者達が力を合わせて事を為す』──感覚的にはピクミンとかあの辺りみたいなモノでしかないんだけど」*4
「むぅ、一緒にするなとツッコミたいところだったが、よく考えたらあの植物共も割りと大概な生態だったな……」
引っこ抜かれて付いてって、遊んで戦って死んでいく……。*5
あっちは食べられてだが、【星の欠片】は玉砕するのがデフォなので、そこだけちょっと違うかなー?
……うん、見た目は割りと可愛らしいけど、ピクミンの世界観ってわりとシビアだから例え話としては間違いでもないんだよね。
まぁ、生き物達のリアルを描いているようなものなのだし、ちょっとエグみが噴出するのは仕方がないってことなのだろうけど。
ともあれ、私の能力を細かく見るとわりとエグく感じるけど、その実単に生き物の縮図が一つの生命体に圧縮されてるだけなので、そこまで嫌悪するモノでもない……というのは確かな話。
その上で、どうしても『嫌だ』と思ってしまうこと自体は否定しない。
自然界を見て残酷だ、と思う人は確かにいるわけだしね。……あとマシュはそういうの関係なく嫌がりそうだし。
まぁ、彼女の要望を完全に叶えようとすると、微細な欠片である
「……何故そんなことに?」
「細かくしても私は私ってことは、細胞サイズになっても私であることは変わらないわけで。……『せんぱいの後輩としては、どんなせんぱいでも守らなくては!』ってことになるらしいよ?」
「ええ……?」
イメージとして、小さな私が集まって大きな私になっている……みたいなことを言ってしまったのが運の尽きというか。
今のマシュには、小さな私が徒党を組んで大きな私になっているように見えている、みたいな?
なので、彼女の中では
……マシュ、恐ろしい娘!
──で。
そのあとどうしたのかと言うと、私提案のクールダウンメニューは結局却下される運びとなった。
確かに暑いは暑いが、それでも若干以上に猟奇的な手段は取れない、とのこと。……こっちの感覚で言うと、氷ピクミンを水に放り込んで凍らせる……みたいなノリでしかないんだけどねぇ?*7
ともあれ、クーラーレベルの気温低下で無い方は了承された。
こっちは魔法でできる範囲──【虚無】を使ってないので問題なし、と判断された形である。
……いやまぁ、【星の欠片】の共通原理として、自分の理以外の何物も利用できない以上、【虚無】じゃないだけで
でもその辺りを説明してしまうと、またさっきみたく止められてしまうので止めておく私である。
……まぁ、ミラちゃんにはその辺りのことバレてるので、滅茶苦茶ジト目で見つめられたりしたのだが。
とはいえ彼女はもっと深い部分──そもそもこうして普通に過ごしているだけで、小さな私は消費されている──ということも知っているので、暫く見つめて来たあとため息を吐くだけに留めてくれたのだが。
……まぁうん、【永獄致死】の話まで知ってるのだからさもありなん。*8
そんなわけで、一先ずみんなの回りに涼風を巡らせる、という魔法を使った私。
結果、サウザーさん達は周囲の暑い空気から開放され、小さく息を吐いていたのだった。
「いや、倫理的に断りはしたが……この暑さはやはり堪えるからな、どうにかできるのならばして欲しい、というのは間違いなかったのだ」
「まぁ、三十五度とかだからねぇ。……ミラちゃん覚えとく?この魔法」
「一応聞いておくが、誰でも使えるものということで間違いないのかの?」
「うん、普通の魔法だからね、これ」
冷気属性を含まない、純粋な風属性のみで気温を下げる……という、ちょっと特殊な技法が含まれているものの……概ね普通の魔法と言っても間違いではないだろう。
習得難度にしても、普通に風を吹かせるよりちょっと難しい程度で収まってるはずだし。
というようなことを述べたところ、ミラちゃんは「じゃあ教わっておくかのぅ」と言いながらメモを取り出したのであった。
……あ、これサウザーさんに聞かれないように『本当に問題はないのか?』と聞こうとしてるな?
もー、そんなに警戒しなくてもいいのに。
確かに私が使う場合は
使うために自分の命を削る必要なんて、一切ないのに。
とは思うものの、【星の欠片】が使っている技術なんて警戒するべきというのも確かなので苦笑に留める私である。
……この前『
ともあれ、一般向けの術理をメモに書き記してあげると、ミラちゃんはそれを目を皿のようにしながら眺めたあと、満足げに一つ頷いたのでしたとさ。