なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

749 / 1297
無限を見付けるのは意外と難しい

「こちらの用事は一先ず片付いたから、そっちの用事を手伝っても構わんぞ」

「お、マジで?ありがたーい」

 

 

 そんなわけで、サウザーさん達が仲間になった!

 ……みたいな感じに四人パーティになった私たちである。

 そうして引き続き、遊撃役として他の面々の手伝いをしつつ、五条さんのことを探しているわけなのだが……。

 

 

「それにしても、影も形も見えぬとは……余程警戒されているのか?」

「まぁ、そもそも相手が五条さんだからねぇ……」

 

 

 実のところ、五条さん捜索は既に二日目。

 ……この流れだと、更にズルズルと時間が経過していく恐れが非常に高い。

 なんでかって?サウザーさんの言う通り、影も形も見付けられてないからだよ!

 

 幾ら相手が息を潜めて隠行しているとはいえ、その痕跡すら見付けられないのは中々に苦しいというか。

 ……まぁ、実際のところは見付けられない方が普通、みたいな感じではあるのだが。

 

 前回少し触れたように、五条さんを探すのに一番確実なのは『呪力の残り香』を探知することだ。

 大本を辿れば『なりきりパワー』が、それぞれ違う作品の技能を再現するために必要なエネルギーに(なんらかの手段で)変換されている……ということになるのだろうが、だからといって『なりきりパワー』を探知すればいいというわけでもない。

 変化したあとのエネルギーは『なりきりパワー』としては感知されず、あくまでもそれぞれの変化後のエネルギーとして感知されるためだ。

 

 というか、もし仮に変化後も『なりきりパワー』として感知できるのだとしても、周囲に他の『逆憑依』が居るような状態では結局、変化後のエネルギーの探知をしなければいけなくなる。

 単なる『なりきりパワー』には、性質の差もエネルギー量の差も存在しないからだ。

 ……いやまぁ、正確には集まっている『なりきりパワー』の総量、という形で量の判断はできるんだけども……複数の『逆憑依』が集まっている状況と、一人の人間に『なりきりパワー』が集中している状態の区別が、現在使われている『なりきりパワー』の検知器にはできないので意味がない、というか。

 

 なんでそんなことに?……と思われると思うので詳しく説明すると、この『なりきりパワー』は性質として【星の欠片】のそれに近いモノを持っている。

 具体的には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……ということになるのだが、それは要するに現状では()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と判別する形で認識している、ということになるわけで。

 ……わかり難いのでもっと雑に言ってしまうと、つまりそこに()()()()()があるからそれが対象のモノだ、と仮決めしているわけだ。

 

 え?もっとわかり辛い?じゃあうーん……なにも映らない空間があるとすれば、逆にそこには『映らないようにするなにかがあるはずだ』と認知できる……みたいな?

 砂の山が不自然に凹んでいれば、そこになにかが置いてあるのではと疑ってもおかしくない……みたいな。

 

 

「ふむ、目に見えないモノだからこそ、その『見えない』という状態こそがそこになんらかの存在がそこにあると証明している……と?」

「ステルスみたいに、こっちの視線をごまかしてる……ってのが近いのかな」

 

 

 視界以外の全てが、そこに『なにもない』ことに違和感を訴える状態、とでもいうか。

 ……そんな感じに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という状態を察知してそれを『なりきりパワー』の介在がある……と判断しているのが、今の検知器のやり方である、と。

 

 要するに、直接的に『なりきりパワー』を感知・判別しているわけではないので、その性質の違いまでは感知しきれないのである。

 結果、一ヶ所に『逆憑依』が集まっている状態と、一人の存在が多量の『なりきりパワー』を放出している状態との判別ができない……と。

 まぁ、さっきから言ってる通りキャラクターの異能の原動力として変換された『なりきりパワー』は感知できず、【兆し】や【鏡像】のように存在として成立しきれていないか、はたまた暴走している相手くらいにしか意味のないものなのだが。

 

 まぁそれでも、【星の欠片】に似ていると私が言うことからわかるように、【星の欠片】からするとなんとなく判別できないこともない。

 ……本当になんとなくなので、機械とかに判別させようとするのはほぼ不可能だろうけど。

 

 もう少し正確に判別しようとするのなら、『なりきりパワー』が【星の欠片】として扱う時にどれくらいの位置になるのか?……というのを明確にしないといけないだろうし、もし仮にそれをしてしまった場合は『似ているだけ』から正式に【星の欠片】扱いになる、なんて弊害も起きそうなのであんまりやりたくはないというか。

 

 

「……それでどういう弊害が出るのだ?」

「『なりきりパワー』は【兆し】が集め、その後『逆憑依』や【顕象】になる時にそれぞれのキャラクターの異能を再現するために個別のエネルギーに加工されるわけだけど……その流れを【星の欠片】と同じと解釈する場合、『なりきりパワー』という因子を組み換えて他のエネルギーにしている──すなわち現在存在する『逆憑依』や【顕象】は全て『なりきりパワー』によって構成されている、と言い張れるようになるから……最悪、みんな一つに纏められる、なんてことになる可能性も……」

「怖っ!?」

 

 

 うん、分かりやすく言うと『人類補完計画』成功、みたいな?

 ……仮に『なりきりパワー』が【星の欠片】と同一の物体であると判断した場合、一番問題になるのはそれを制御する核となる人物が居ない、ということになる。

 私やキリアみたいな存在が居ないので、全体を統括して貰えない……みたいな感じか。*1

 

 で、その場合どうなるのかと言うと……全ての『なりきりパワー』が【星の欠片】として励起し、自分達の統括個体を作成しようと動き出し──結果、『逆憑依』【顕象】問わず全て一塊の【星の欠片】として統一される、と。

 その後、改めて統括個体となる人物が生成され、その後また分裂する……みたいな感じになるんじゃないかな、多分。

 

 

「なんでそこで仮定形……?」

「いや、普通の【星の欠片】と発生の仕方が反対だから、どうなるか未知数というか……」

 

 

 普通の【星の欠片】はまず統括個体から生まれ、その指示により眠っていた他の同位体である【星の欠片】が目覚める、って形だから、『なりきりパワー』の場合は想定される流れが真逆になってよくわからん……みたいな?

 まぁ、まず間違いなく宜しくない状況になるのは確かではある。

 なので、少なくとも【星の欠片】である私なんかが『なりきりパワー』を辿って人を探す、というのは余り多用すべきではないということになるのであった。

 前回は大丈夫でも、今回や次回まで大丈夫という保証がない……みたいな?

 

 そういうわけなので、こっちが五条さんを探す場合は素直に呪力を感知するしかない、ということになるのだけれど……。

 そもそもの話、同じネーミングのエネルギーでも本当に同じものではない、ということはよくあること。

 一口に魔力と言っても、その性質が人に取って毒である場合も、はたまた単に人の生命力の別名でしかないという場合も混在している。

 

 ゆえに、五条さんの呪力を辿るのならば()()()()()()()()()()()()()のが確実であり、そしてそれ以外の方法はほぼ無意味なのだ。

 

 

「同じ原作の出身者でなくば、その呪力とやらの細かい差異を判別できん……ということか?」

「まぁ、そんな感じ。そうでなくとも魔力や巫力や呪力、って感じで似たようなものもいっぱいあるし、たまたま波長が似てるエネルギーが存在したら、本家本元以外で判別するのはほぼ不可能……ってことになりかねないからね」

 

 

 偶然というのは恐ろしいもの。

 いや、この場合は収斂進化*2とかの方が近いのかな?……まぁともかく、全く違う作品の全く違うエネルギーが、その実細かく見ていくと性質的に似通っている……みたいなのはよくあること。

 そしてそれゆえに、本家本元を知る人間以外はその判別ができない……みたいなのもよくあることなのである。

 

 なので、私がなんとなく探す……というのも、微妙に信憑性が低くなる結果になっているのであった。

 なんやかんやでその原作とは無関係だからね、私。

 

 

「あとはまぁ、単純に五条さんが無限使いかつ、それで移動とかもできる存在だから、こっちの接近をこっちが気付くより遥かに早く察知して、全力で逃げてるって可能性もあるかな」

「物理的に逃走していると?……それ、捕まえられなくないか?」

「こっちが正解だとすると、わりとお手上げだねー」

 

 

 そして最後に、単純に五条さんがすばしっこいので捕まえられないのかも、という身も蓋もないことを言って、私はこの話をおしまいにするのであった。

 単に喋っててもなんにも解決しないからね、仕方ないね。

 

 

*1
【星の欠片】はそれそのものでは意味がないが、それゆえに本来自身を【星の欠片】であるとは認知しない・できない。この場合、その認知をもたらすはずの統括個体(キーアやキリア・『星女神』のような存在)が居ないことにより不安定になる為、その不安定を解消するのに統括個体を作成しようとする。結果、一度全ての【星の欠片】を集結させ、その内の一個体に統括権限を付与する……というイベントが発生する

*2
同系統の存在でもないのにも関わらず、似たような形質を得たモノが存在すること、及びその進化のこと。原則的には、別種の生き物が同一の環境に置かれた際に、似たような形質を獲得することを指す。わかりやすいのはモグラ(哺乳類)とオケラ(昆虫類)か。両者は土の中で暮らしているが、その前足が地面を掘り進めるのに適した形としてなのかとても類似している。また、イルカ(哺乳類)やサメ(魚類)も、生活環境が類似している為か姿形が似通っていると言える

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。