なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「で、どういうことなんじゃ?」
「いや……冷静に考えるとおかしいことだらけだったんだよ、あの人の行動……」
きらりんに(
いやぁ、うん。……一応落ち着いたけど、それでも沸々と怒りが湧いてくるというか、あの野郎ふざけやがってというか……。
何度か語っているように、他の脱走者と理由が同じであるとは到底思えなかったのが、今までの五条さんの行動である。
なにせ、なにか目的があるにしては行動に一貫性がない。
他の脱走者は特定の目的・場所に対して邁進しているのに、彼だけは単に
……一応、目的の相手や場所をこちらに知られたくないので、慎重に慎重を期して行動していると考えることもできなくはなかったが……。
「それにしては、特定の場所に寄り付くという素振りもなかった、と?」
「足取りが掴めないって言っても、なんとなく近くには居たんだろうなぁってくらいはわかったからね」
まぁ、かなりギリギリのラインで捜索していたため、かなり大雑把な探知しかできなかったが……それでも、彼が特定の場所やモノに執着しているようには見えなかった。
……これに関しても、彼の移動速度や行動範囲が速く広いために絞りきれない、という可能性も無くはなかったが……。
いやでも、やっぱり五条さんが本気でなにかに執着したのなら、それこそこっちの捜索なんてなんのその、妨害は上からぶっ壊しちゃうよ~、くらいのノリの方が想像しやすいというか。*1
要するに、こういう場合に想定される五条さんと比べて、行動がずれてしまっていて違和感バリバリなのである。
……だがこの違和感、こっちの想定が間違っており、彼が執着……というとあれだけど、ともかく目的としているものが別だとするのなら、一応筋が通らないでもないのだ。
「その言いぶりからすると、五条のヤツがなにを目的としているのか理解した、ということか?」
「…………す」
「んん?聞こえんなぁ」
「私と喧嘩したいとか思ってるんだと思います……っ!」
「…………んん?」
そう、その目的というのが。
あんちくしょう、滅茶苦茶挑発してやがる……っ!!
「……話が見えんのだが?」
「これに関しては、ほぼ勘になるんだけど……多分、五条さんが『星女神』様に尋ねたのって、自分の過去についてじゃないんだと思うんだよね」
「は?」
こちらの放った言葉に困惑していたサウザーさんだが、続けて放った言葉によりその困惑はさらに加速していた。
……困惑されても困るというか、正直今述べた通りとしか言いようがないのだが……確かに、説明不足であることは否めない。
なので、私の推理を交えながら『何故五条さんは脱走などと言うことをしたのか?』ということを語っていこうと思う。
「まず、『星女神』様がこっちに知らせずに回収してしまった質問達。……あれ、多分なりきり郷内に燻る火種について、だったんだと思うんだよね」
「いきなりヘビーな話題になったのぅ……」
まず始めに語るのは、『星女神』様がこちらに内容を知られる前に、回収してしまった幾つかの質問について。
……予想なのだが、あれは多分『質問自体が
内容についてはそれこそ本人に尋ねてみないとわからないが……ともかく、そんな質問があった、ということをこっちに知られてしまうと、そもそもに事件が起きる前に解決なり制限なりができてしまうタイプのモノだったのだろう。
「……事件のきっかけになるもの、なぁ」
「星ちゃんはー、なんでそんなことしたのぉー?」
「(星ちゃん……?!)……ええと、そこら辺は彼女の性質的なモノ、というか……」
「性質ぅ?」
微妙そうな表情で唸るサウザーさんと、小首を傾げこちらに問い掛けてくるきらりん。
……呼び方が凄いので訂正したい気もするが、本人が気にしなさそうなので微妙な気もする私である。……って、今はそこは関係なくて。
話を戻すと、『星女神』様は別に争いを嫌うタイプの存在ではない。いや寧ろ、【星の欠片】的には
無論、種としての絶滅まで行くような選択であれば止めるかも知れないが、そうでなければ闘争そのものを禁止するようなタイプではない。
言うなれば『闘争による進化』の肯定派なのだ、【星の欠片】という存在達は。*2
なお、面倒臭いことに『闘争による進化の否定派』についても肯定派だったりする。
雑な言い方をするのなら『最終的に滅亡しないのなら(なんでも)オッケーです』、みたいな?*3
「なんだその傍迷惑な主張は……」
「実際基本的には傍迷惑な存在だからね、【星の欠片】って。あまねく人々が笑顔でいるにはどうするべきか、みたいなことを大真面目に考えているような奴らだし」
「うっわ」
わぁ、露骨に嫌な顔してる。
……まぁでも、それも仕方のない話。
皆仲良く、なんて願望は子供の頃に卒業すべきモノであり、大人になって真面目に語るようなモノではないのだから。
……いやまぁ、完全に捨ててしまうのはそれはそれで違うので、付き合い方向き合い方に問題がある……っていう方が正解というか。
不要な争いを起こさないように努める、ということ自体は生きていく上で必要不可欠な考え方ではあるわけだし。
ここで問題なのは、【星の欠片】はあらゆる全てより弱いモノである、ということ。
翻って『基本的には負ける存在』ということになるわけだが、これは見方を変えると
「あらゆる負債を押し付けるのに丁度良い……?」
「絶対に無くならない共通の敵になれる、みたいな考え方がわかりやすいかな。……まぁわかりやすいだけであって、【星の欠片】についての本質云々の話とは微妙にずれるんだけど」
無限に数があり、どんな存在でも簡単に打倒できてしまう存在。
無限湧きする雑魚、みたいなモノである【星の欠片】は、とりあえず倒す相手としては非常に都合が良いのである。
その辺りを突き詰めると、クロスオーバー作品のラスボスとして君臨してくれる『星女神』様に繋がるわけでもあるし。
では何故、私たちは倒されることを望むのか。
答えは簡単、『闘争による進化』において消費される『敗者』、それを人々の中から生まないようにするため、である。
「無論、それだけが理由ってわけじゃないけど……無数の私たちを乗り越えて、いつか進化の向こう側にたどり着くのであれば、それに勝る喜びはない……って真面目に考えてる奴らが大半、みたいな感じというか?」
「なにその究極の奉仕体質」
極まれば、その人のための世界となって消えるつもりすらある存在……というのは、以前から語っていることではあるが。
それらは結局のところ、人が今のままで終わらず、もっと素晴らしい生命体に飛躍して行くことを望んでのこと。
そのために踏み台にするモノが必要であるのなら、喜んで踏み台にされようと望むのが一般的な【星の欠片】なのである。
……なので、ユゥイの現状がますますワケわからなくなるのだけれど、今回は関係のない話なのでスルー。
ともあれ、この『他人の飛躍のために踏み台になりたい』というのは、半端者である私にすらほんのり存在する欲求。
……となれば、その元締めである『星女神』様の
ただ、彼女の場合はその視座の関係上、人間の価値観では『なんでそうなるの?』みたいなことが(他の【星の欠片】に比べ)頻繁に起こる。
見ているモノが広すぎて、『それって貴女が踏み台になってるんです……?』みたいな疑問が噴出するような展開も多いのである。
まぁ、なにもかもに含まれていてなにもかもを含んでいる、なんて相手の思考回路を読めというのも無理がある話だとは思うが。
……とにかく。
先に語った『踏み台を望む』意思、それから『人々の飛躍を願う』願望。
それらが噛み合った結果、彼女の行動は基本的に
「…………んんんんん?」
「言い方を変えると、人死にが出ないのなら人間同士の戦争も認める、ってこと。無論、それによって進化するモノがあるなら、って前提ではあるけど」
「何故そうなる?!」
「何故って……考えるな、感じろ?」
「ふざけるなぁ!!?」
いや、ふざけてはないんだけど……。
まぁともかく、『星女神』様は五条さんからの質問を確認し、恐らくそこに彼が成長したいと願っていることを悟ったのだろう。
それゆえに、彼に告げたのだ。『この後そこから脱走すれば、貴方の成長の糧になるモノが追ってきますよ』と。
……うん、これ五条さんの成長イベントでもあるけど、