なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、思いの外相方さんが面倒臭……もとい厄介なことになっている可能性がある、という問題が浮上したわけだが。
とはいえ、考え付く対処方法はそう多くはない。
その中で一番確実性が高いのは、
「五条めに、か?」
「そ。彼も今回強くなる、って思惑を叶えようと動いているわけだけど……その実、そこまでその思惑の優先度が高くないというか、最悪
「本気ではあるじゃろうが、全力ではない……ということかのぅ?」
「そうそう」
先ほども語ったように、今回の騒動の発端となった五条さんだが、その思惑の優先度は意外なことにそう高くはなさげである。
雑に言ってしまえば、『実行できる機会が巡ってきたのでやってみた』くらいのものである可能性が高く、それゆえにその機会を再度用意する約束さえしてしまえば、この場を納めることはそう難しくないように見えるのである。
……いやまぁ、これについてもこっちの勝手な予測であり、実際はもっと真剣な話だったりする可能性も否定はできないが……だったらわざわざこの場から逃げないだろうというか、こっちが【星の欠片】を使うように強要してくるだろうというか?
要するに、他者の意思を踏みにじってまで目的を達成しようと言うような熱はない、ということになるか。
そこら辺を上手く突いていけば、できる限り穏便にことを納める……ということは不可能ではないはずなのだ。
「まぁ勿論、相方さんと五条さんの関係性にもよるんだけどね」
「迂闊に意気投合しておったりすると、自分のことは後回しでもいいが相手の方は……みたいなことになる可能性もあるからのぅ」
で、ここでも問題となってくるのが相方さん。
単に『星女神』様に引き合わせられただけの相手だが、それにしては息があっているというか、相手側に合わせた行動をしているような気がするというか……。
いやまぁ、今回の対決のメインがかくれんぼであるため、そこを強力にサポートしてくれる相手に譲歩しているだけ、という可能性もなくはないんだけども。
でも、それを踏まえてもなお五条さん側が『気を遣いすぎ』のような気がするので、互いにとても気があった……とかそういうことになるのかもしれない。
もし仮にそれが正解なら、五条さん側から切り崩すのは中々に難しい、ということになるだろう。
最悪、相方さんの求めるものによってはこちらになにも教えてくれない……なんて事態に陥る可能性もゼロではない。
「……ううむ、どこまで行ってもその相方とやらの思惑に待ったを掛けられる、という感じだな……」
「そうなんだよねぇ……だから、次点で有効そうなのが『星女神』様に尋ねる、ってことになっちゃうんだよねぇ……」
「あー……」
はぁ、とため息を吐く私。
……うん、五条さんに聞くのがダメなら、その次に有効な手って『星女神』様に話を聞く……ってことになっちゃうんだよね。
そう、現在自分の居城に引きこもっており、そこに到達できる人間相手との対話しか受け付けていない……という状態の彼女に面会する、というのが。
無論、これもこれで相手が素直に答えてくれる、とは限らない。
貴方が自分で考え、そして答えに到達することこそが貴方の成長に繋がる……とかなんとか言われてしまったら、その時点で会話終了である。
そうなるともう、ぶっつけ本番でクリアしていく……みたいなやり方が最善手になりかねないわけで。*1
できればそうじゃないことを願いたいのだが……そうでなくとも、わざわざ彼女の居城に乗り込んで話を聞く、という行動自体が避けたい行為である。
だって、ねぇ?そもそも彼処に行くのに文字通り死ぬほど苦労するのに、その上やっと出会えた『星女神』様から『全ては貴方の頑張り次第です』なんて返された日には、そのあとのやる気メーター全損するというか……。*2
「そ、それほど大変なのか、その場所に行くというのは?」
「んー、サウザーさん達には話したことないけど……私、【星の欠片】としてはかなり半端者なのよね」
「むぅ?」
そんな私の様子に、そこまで嫌がるような行為なのか?……と問い掛けてくるサウザーさん。
その問いに私が返すのは、【星の欠片】としてのキーアはかなり半端・もしくは中途半端な状態であるという事実。
……以前どこかで述べたことのある、
この試練、最大で三度受けることになる可能性があるのだが──実はその度に『星女神』様との謁見を挟むことになる。
と言っても、この時に出会う『星女神』様は試験用に生み出されたAIのようなモノであり、キチンとした会話をすることはできないのだが。
あくまで試練に必要なことしか喋らない、というか?
……だがしかし、コピーみたいなものだからといって実力が劣る、というわけでもなく。
というか【星の欠片】の性質上、例えコピーだとしても実力に差異は出ないのが普通*3……つまり、ここでの『星女神』様達が放つプレッシャーというのも、本物と遜色ないということになるわけで……。
「そのプレッシャーの中で、自身が【星の欠片】として認められる実力である……ということを示さなきゃいけないのよ。それも、
「ふむ……最大で三度、というのはそういうことか」
「なんだかぁ、とっても不穏な言葉が聞こえた気がすゆよ~?」
私の言葉に、うんうんと頷くサウザーさんと、珍しく冷や汗を流しているきらりん。
……うん、きらりんの懸念は間違いではない。
試練では三度『失った時』の反応を見られる訳なのだが、この場合の『失った』とは文字通り
何度か触れているように、【星の欠片】はとても小さなモノである。
……その小ささは、本来付加されている『情報』を剥ぎ取った際に手に入るもの。
単純に『その名前の人間である』という情報から、果ては『命を持つものである』というような情報まで、ありとあらゆる情報を剥ぎ取り、その【星の欠片】でしかないものに純化していく……というのが、【星の欠片】における修行である。
なので、
まぁ、大抵の【星の欠片】は肉体の壁までしか辿り着けず、それよりも下にある魂・精神の壁に辿り着くことはほとんどないのだが。
具体例を言うと、『寵愛』とかは肉体の壁より上、『散三恋歌』は精神の壁より下……みたいな?
……え?いきなり例外が飛び出してる?
精神の壁より下には新しい壁はないから、実力的にはピンキリなので……。
まぁともかく、【星の欠片】の修行は三つの壁と深い関わりがある、ということは間違いあるまい。
では何故今回、それについての詳しい話をしたのかと言いますと。
「……『星女神』様の居城って、その精神の壁の更に下──言うなれば
「…………なんと?」
「更に言うと、私ってば【三柱の醒称】をクリアしないままに、立ち位置的に精神の壁の下に位置する存在になっちゃったから、彼女に会いに行く場合自動的にその試練を越えないといけなくなってるというか……」
「oh……」
そう、今の私が『星女神』様の居城に乗り込んで話を聞こうとする場合、本来なら一つの壁を越えるのに(本人の感覚で)数億とか数兆とかの時間を必要とするような試練を、それこそ三つまとめて攻略した上で。
更に、こちらの求める答えがそこまでやっても得られないかも?……というある種の恐怖を抱えたままでないといけない、という半ばなにかの罰ゲームかな?……みたいな状態を乗り越えなければならないのである。
いやもう、この選択がこの状況では次善の策になっている、という時点でやってられねーというか?
そこまで語り終えたことで、他の面々は今の状況がわりと詰みに近くなっていることに、ようやく気付いたのであった。
……いや、問題的には『相方さんの願いがわからない』っていう、とっても単純な話なんだけどね?
それを解決するのに、その前に片付けておかないといけないものが多過ぎて、結果的に大問題みたいになっているというか……。
うーん、控えめに言ってもクソゲー(白目)
「……そうなると、実際に取れる手段はこれしかないのぅ」
「おっとミラちゃん、なにか起死回生の手段でも思い付いたのかな?かな?」
「うむ、恐らくわしらが取れる手段の上では、これ以外のものはありえんというほどのモノになるじゃろうのぅ」
「おお、いつになく自信満々……ではでは、その手段っていうのは?」
そうして白目を剥く私に対し、隣のミラちゃんは考えを纏め終えたのか、こちらに声を掛けてくる。
どうにも、この状況をひっくり返す策を思い付いた、ということになるらしい。
流石ミラちゃん、頼りになるぅ!……と歓喜し、先を促す私。
その言葉を聞いたミラちゃんは、ゆっくりと私を指差して……指差して?
「お主、赤ちゃんになって身売りせよ」
「……
あまりにも奇抜な策を、私に実行するように告げるのであった。
……いや、どういうこと???