なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ここがあの女のハウスね……」
「あの女ねというか……そもそも貴様の家だろうここ、同居してるんだし」
「いやまぁそうなんだけど、こう突入前の再確認みたいなものというか……」
はてさて、ゆかりんに別れを告げ、やって来たのはキリアの居る場所……端的に言うと我が家である。
彼女は基本的に
……いやまぁ、【星の欠片】は極論飲まず食わずで活動できてしまうので、そこら辺の心配が一切ないからこその扱い……ということになるわけなのだが。
それでも、一応現世にその姿を現している以上、スペースを圧迫していることだけは確かな話。
そんなわけなので、家人のほとんどが出払っている現在、彼女は我が家を守る役目を背負っているのだった。
……え?なりきり郷内ならわざわざ家がどうとか気にする必要、あんまりないんじゃないのかって?
確かに、ここで生活している人のほとんどは『逆憑依』の対象者。
元々が『なりきり』であることも手伝い、基本的には
……何故ほとんどなのかって?
そのキャラクターにとっての恥という判断基準で動くと、時おり
「オレなどがいい例だな。世紀末に住まう修羅共など、現代社会にとっては害悪以外の何物でもないわ。……いやまぁ、変に噛み合うこともあるにはあるが」
「今の世の中はしがらみが多いからのぅ」
正確にはスピンオフの方が出典のため、例としては微妙に不適切なのだが……本人が名乗り出たのだから失礼にはならないかな?
そんなわけで例に上げさせて貰うと、原作のサウザーさんは子供を奴隷にしてピラミッドのような陵墓*3を築かせていた。
更には仲間の一人をそそのかして裏切らせ、南斗聖拳の分裂を引き起こしたりもした。
雑にまとめてしまうとケンシロウが倒すべき
ぶっちゃけ単なる悪役だからね、サウザーさんって。
……まぁ、それだけだとも言い切れない背景を持ってたりもするのだけれど。
なお、変に噛み合う云々については、いわゆるアウトロー達を纏める時はそういうキャラの方が都合が良い、的な意味である。
一般的な倫理や社会規範からあぶれた相手を、一般的な常識で従わせようっていうのは無謀だからね、仕方ないね。
で、話を戻すと。
なりきり郷に居るのならば、家に泥棒が入ったりする可能性を気にする必要性が薄い、というのは本当の話である。
先述した通り、悪人の『逆憑依』であっても基本的には現代社会のルールに従うためだ。
……ただまぁ、これに関しては
再現度低い者であったり、はたまたそのキャラクターにとっての『悪事』の意味合いが特別なものであったりなど、様々な理由から
これまたサウザーさんを参考にさせて貰うと……例えば『ターバンの
それも、彼が『ターバンの少年』であり続ける限り、絶対にその行為を止めることはできない。何故か?それこそが彼のアイデンティティだからである。
そもそも『ターバンの少年』は原作において、単にサウザーさんの『愛とは虚しいもの』という主張を強調するための舞台装置の一人、即ちモブでしかない。
つまり、本来『逆憑依』としては強度が足りず、その存在をこちらに現出するに足りないのである。
……え?以前彼より更に印象の薄いモブ達も出てきてたじゃないかって?
あれはあれで同属性のモブの集合体、みたいな特例だからなー。
まぁともかく、『ターバンの少年』がまともにキャラクター性を担保しようとすると、『逆憑依』の性質上イチゴ味のそれが選ばれる可能性が非常に高い、ということは間違いない。
ただそうなると、『イチゴ味のターバンの少年』としての自己を保つために、彼の一番の特徴である『相手の脚を武器で刺す』という行動が、まるで呼吸のような重要行動として定められてしまう可能性もまた、非常に高くなってしまうのだ。
……『逆憑依』が本来なりきりである以上、そのキャラクターを象徴する行為はそう簡単には曲げられない、というわけである。
似たような問題を抱える人物には、平穏を尊びながら自身の嗜好のために他者を踏みにじることに躊躇がない爆弾魔・吉良吉影*4や、基本的には義理人情の人だが、金のこととなると暴走の止められない不良警官・両津勘吉*5などが挙げられる。
……対して再現度が高くないことに救われてはいるものの、ともすればやベーことになるのが目に見えている人物達でもあるため、警戒するに越したことはないというか。
なお、吉良さんの方に関してはもし仮に再現度が上がってしまった際、その衝動のぶつけ先として
「あったりするのだが?」
「吉良さんのスタンドって、要するに爆殺でしょう?……それに対して代償となりうる相手が、今のところ一人しか居なくてねー」
「あー……(色々と察した顔)」
……うん。
ある意味彼のそれって、ストレスの発散みたいなものであるわけで。
となると、単に爆破されても問題のない肉体を持つ人物、みたいなのを用意しても仕方がないという話になりかねないのだ。
寧ろ、爆破されたのにピンピンしている人物、ということで余計にストレスを感じさせる可能性があるというか。
そんなわけで、分かりやすく爆破とかに強いブルアカ*7組の投入は見送られた。
……そもそもブルアカ組自体、まだここでは見たことがないので机上の空論以外の何物でもないけど。
で、キチンと爆破によって(少なくとも表面上は)ダメージを負い、かつ彼の嗜好である『美しい手を持つ女』に該当し、ストレス緩和に貢献してくれそうな相手……というのが、実は一人存在した。
……いやまぁ、私とかキリアとかでも問題はないんだけどね?
でもそれはマシュから却下されたし、キリア自身にもパスされたのでここでの対象ではないというか。
では、その相手──殺人鬼吉良吉影の『代償』となりうる相手とは誰か?
──そう、それはなにを隠そう我らのパイセン、虞美人その人なのであった。
「爆破すれば実際に体は飛び散るし、見た目は普通に美人だし肌とか体型とかも綺麗だし。……うん、少なくとも持ち合わせている属性的には、吉良さんに一番似合っている相手ってことになるんだよね……」
「……細かく見ると『あっ、噛み合わねー』となるわけか」
「ソウダネー」
……うん、データだけ見ると滅茶苦茶適合してるんだけどね?
ただこう、吉良さんとの性格の噛み合わせが微妙だし、そもそもパイセンが項羽さん以外に興味を抱くのか、という問題がねー……。
まぁ、今のところ吉良さんも再現度が上がりすぎてるということもないし、緊急手段的なものとして覚えておくのがよい……くらいの話なんじゃないかなー?
……で、泥棒云々の話に戻ると。
一つの街ほどの人が集まれば、そこに住まう人間の性格というのは、まさに千差万別となるだろう。
それと同じく、『逆憑依』も複数集まればそこに持ち合わせる性質は千差万別となる。
ゆえに、それらの違いを許容する私たちは、許容するがゆえに
……え?わからん?まぁ、これに関してはそういうものだ、と思って貰って……。
あと、『逆憑依』以外にもたまに【顕象】……人に多少なりとも被害を出す以上は【鏡像】と呼んでもいいかもしれないが、ともかく彼らによる突撃、みたいなことが起きる可能性も決してゼロではなかったりする。
……大抵特に目標もなく突撃してくるため、対処が遅れると家が無茶苦茶になったりするので、迷惑度はこちらの方が遥かに高いかも?
総括すると、自宅警備員*8などと冗談めかして言ってもそう間違いではないもの、というのが今のキリアの立場なのであった。
……からかい半分に呼んでも、ダメージ欠片もないだろうけど。