なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「まぁその辺りの話はおいおいってことで……いい花火師知らない?」
「またいきなりね……」
一通り怒られたところで、強引に話を戻す私である。
いやまぁ、確かにあの海については色々と気になることはあるけど、それはそれでこれはこれ。
今は花火大会の
ってわけで、場所取りの話が終わったのだから次にやるべきことは一つ、腕のいい花火師の捜索で間違いないだろう。
……まぁ、こっちに関してはそこまで本腰を入れて探すつもりがない、という話だったりもするのだが。
「なんでよ?ちゃんとした花火大会をするのなら、必要不可欠な項目だと思うけど……」
「そもそもの話として、花火師のキャラクター自体が少な過ぎてね……」
「……あー、言われてみれば……」
そんな私の様子に、不思議そうに首を傾げるゆかりんだが……これに関してはそう難しい話でもない。
単に、花火師であることを自身の特徴として採用しているキャラクター自体がそう多くない、というだけの話だ。
いやまぁ、探せばいないこともないのだ、花火師のキャラクター。
BLEACHの志波家姉弟とか、原神の宵宮だとか。……あとはパチンコとかロックマンエグゼとかにもいるんだっけ?*1
まぁ一応、そんな感じに該当するキャラクターも幾つか挙げられなくもないわけだが、実のところ
無論、私の知識の範囲が狭く浅いだけで、もっと探せば他にもいたりする、のかもしれないが……逆に言うと
誰もが知るキャラクター、という区分で囲ってしまうとさっき挙げた面々ですら引っ掛からないかも?……となるのだから、『職業:花火師』で探せるキャラクターの少なさに頭が痛くなってくるくらいの思いだろう。
つまり、
そりゃまぁ、無理して花火師を探そう……みたいな気分にはならないというのも、無理のない話というか?
というか滅多なことを言うと*2、エミヤんと一緒に普通の花火師さんの仕事場に行って、その内容を見てくる……みたいなことをする方が遥かに楽、みたいな話になりそうでもあるというか。
……この辺りは、模倣が得意なキャラであることが利点になっている……みたいな?
「あー……そういうのもできなくはないな、確かに」
「でしょー?まぁ、流石にそれは本職の人達に失礼にもほどがあるから、そんなことするくらいならちゃんとしたところに頼んだ方がいい、ってことになるんだけど……」
「その場合はこっちにその
「せいかーい」
まぁ、そのやり方はいわゆる最後の手段であり、おいそれと選べるものでもない……というのも確かな話なのだが。
そもそも今回の花火大会自体わりと思い付きで、来年もまた同じ事をするとは限らないのだし。
覚えたはいいけど使うのは今回限り・二度と利用することはない……みたいな話になったら、技術を盗まれた側からすれば激怒どころの話ではない、みたいな?
そういうわけで、郷や互助会の中で該当者を探せないのなら一般の花火師を雇うべき、という至極真っ当な話に戻ってくるわけなるのだけど……こっちはこっちでそういう
これに関しては、不良品を掴まされては堪ったものではない……という部分もあるが、そもそもに郷内に入れていい人間かどうか?……という部分も引っ掛かってくるため、純粋に該当者が少ないのだ。
前者に関しては、そもそもこちらに花火師との繋がりがないので、職人の良し悪しがわからない……ひいては適切な価格帯がわからず、とりあえず安いところで……ってなった結果安かろう悪かろう、みたいなことになりかねないという意味。
そして後者に関しては、そもそもなりきり郷自体許可の降りた人物以外は早々入れない場所である、という至極当たり前の誓約部分の話である。
言い換えると、職務以外の部分で秘匿事項が加算された時にちゃんと黙ってくれる人であるか?……みたいな?*3
これに関しては、腕のいい職人さんだから黙っててくれるだろう、という単純な話でもない。
花火を打ち上げる、となれば必要なものは多岐に渡る。
打ち上げ用の筒や火薬の点火装置、そもそもの花火玉などなど……それらを危険なく持ち込むための人員も必要だし、適切に運用してくれる人員も必要となる。
それらの人間全員に秘匿義務を負わせる、となればそう易々とは進まないのは目に見えており、そこら辺も踏まえると該当する花火師達も狭まってくる……という悪循環である。
いやまぁ、秘匿っていっても余計なことを言いふらすな、的なアレであり、そこまで厳しいわけでもないんだけどね?
……でもまぁバイトテロ*4的なことを思えば、リテラシーの高い人達の方が安全……みたいな話にはなってくるというか。
……そこら辺を総合すると「やっぱり私たちの手でやった方が早くね?」みたいな結論が頭を過るわけだが、それはそれでアレだなーと思わないでもない私である。
火薬の扱いとか、素人がやっていいものでもないしねー。
「んー、信用の置ける花火師、ねぇ。……確かに、すぐにすぐ思い付く相手ではないわねぇ」
「でしょー?かといって自分等で作るのもなー、ってなるわけで……じゃあ、考慮に値するのって一つじゃない?」
「ふむ、代案ってこと?」
私の言葉に、ゆかりんもむぅと唸りながらも頷いてくる。
他所でやるのならともかく、なりきり郷でやる分には花火師の確保が(色んな意味で)難しい、ということが理解できたからだろう。
ゆえに私はその流れのまま、密かに考えていた代案を一つ、ここにいる面々に披露することにしたのだった。
「んー……エミヤ君というか、
「そもそもの話、そこまで形式に拘りがあるというわけでもないからな。こちらで徹頭徹尾全てやる、というのなら危険性の無いものの方がありがたい……というのは間違いないだろう」
「俺としてはちゃんとした花火が見てみたい気もするが……まぁ、あれこれ考えてみるとデーモンガールの案が一番いい、ってのもわからんでもないさ」
はたして、私の出した代案は一応の賛同を得ることができた。
いやうん、花火師の確保がさっくり終わるんなら、ここまで面倒臭いことにはなってなかったんだけどね?
でもうち、今のところ原神系のキャラを見たこともないし、BLEACHにしたって一部のキャラを見たことがあるかなーくらいで、空鶴さんとかに関しては気配すら感じた覚えがない。
なので次善の案になるのが外から花火師を招く方法だが、こっちも解決すべき問題が山ほどある……と、なりきり郷にて花火大会を開くことの難しさは折り紙付き。
だがまぁ、そもそもの話として今回のこれは『夏らしい』ことをしよう、みたいなわりとゆるーいもの。
それをきっかけに互助会となりきり郷の連携を強化しよう……みたいな、ある意味打算まみれのイベントでもあるわけで。
いや、打算って言ってもお偉いさん方の話であって、現場組である私らには全く関係ないんだけども。
ともかく、互助会側が祭を成功させた、という実績が作れれば一先ず問題はないわけで、だったら今回は花火そのものについては代替案で済ませる……というのは悪くない手だと思うのだ。
実際、『花火大会』という名目だけど屋台とか普通に出す予定みたいだし?
そっち側で全力を出すのなら、それはそれで問題ないという話になるわけだ。
あとはまぁ、別に今年だけのお祭りってわけでもないので、代案が物足りないのであれば来年はちゃんとした花火を打ち上げよう、ってことでもいいのだし。
……そんな感じのことを考えた結果、採用された代案がこちら。
「しかし、仮想花火とはな……色々と考えたものだ」
「いやー、熔地庵での交渉中に思ったんだよね。仮にこれ、交渉が成功したとしてもこのフロアに花火を持ち込むのは自殺行為じゃ、ってね」
「……確かにな」
材料を全て【虚無】に置き換えた仮想花火。
これを夜空に打ち上げよう……というもの。これなら、花火作りの経験がなくても、なんとなく『こういう絵を見たい』と考えながら作れば、それなりの物ができあがる。
材料が材料なので私が向こうに出向く必要はあるものの、安全性の面からすると素人が火薬を扱うより遥かにマシ、ということは間違いあるまい。
そういうわけで、使うのは花火玉ならぬ虚無玉、ということになったのだけれど……。
「どうせなら……」
「ふむ、ふむふむ……なるほど?」
その製法を聞いたエミヤんからの提案により、私たちは更なる改善案を思い付くこととなったのであった。