なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
これが私の答えだ!私の嘆きだ!……安いって言ったヤツ屋上な
「……つまり?私達の紹介に相乗りしよう、ってこと?」
「端的に言うとそういうこと!だってオルタ達の招待を期限未定で決めたのは『星女神』様だからね!」
「本人が決めたことじゃから、文句を言われる筋合いはない……ということじゃな」
はてさて、前回私が思い付いた秘策。
それは、向こうへの訪問を私主体にするのではなく、オルタ達を主体にするというものであった。
これだけだとなにが違うのかわからないと思うので、補足を入れると。
私が主体で向こうに行く場合、『三柱』を無視することはできない。
一度向こうからの召還を受けたことがある私の場合、『星女神』様の居城へ向かうショートカットが使えなくなっているのである。
そのため、どうしても『三柱』に付随する試練のことも無視できなくなっていた。
じゃあどうするのか?裏口入学しかないでしょ!
……とまぁ、どこかの塾講師に怒られそうなことを言い出す私である。*1
正攻法が無理なのだから、邪道を使ってやるぜへっへっへっ……というわけだ。
まぁ、邪道と言っても他人の正式な訪問に同行する……っていうわりと正統派っぽいやり方なんだけども。
「ん?じゃあ何故今までやらんかったのじゃ?」
「付き添いパターンも、一回やったら次からは対策されるからですね……」
「なんと」
こうなると問題になってくるのが、八割方正攻法なのになんで今までやりたがらなかったのか、という部分。
これに関してはとても単純で、一回使ったら次はもうない……という点が大きい。
件の『三柱』はそもそも回避できるものではなく、今回のような触らずにここまで来ている状態の方が珍しい……みたいなことは、今までの会話からなんとなく分かると思う。
その上でもし仮に『三柱』をどうにかして回避しようとする場合、その手段は二つ──偶然彼女の居城にたどり着くか、もしくは
偶然に同行する?……って時点でよく分からなくなるかも知れないが、この場合の『偶然』は文字通りの意味ではなく、正確には『三柱』を無視して【星の欠片】になった状態のことを指す。
原則的に【星の欠片】は『三柱』を回避できないので、それを回避してしまっている状態は扱いの上では
で、この『偶然』はその性質上、実は狙って起こすことができる。
そもそもの話、【星の欠片】は『三柱』の内の一つ──最初の柱に到達したことで目覚める……というのが一般的だが、私のようにそれをしないままに覚醒する、というパターンも少ないながら存在するわけで。
その状態でなんの準備もなしに『三柱』に触れさせると、まず間違いなく良くない状況になる……ということで、『星女神』様から一回だけ
まぁこの直通路、正確には他の【星の欠片】に自分の場所まで案内させる、という形なのだが。……私のパターンだと、キリアと一緒に向かっていたりする。
ともかく、これにより一度だけだが『三柱』を回避して『星女神』様のお膝元まで行くことができる、というわけだ。
……で、このパターンの場合、その恩恵を
もう一方に『三柱』を触れさせないようにするには、こっちも『三柱』を経由しない道を通らなければいけない……みたいな?
正規ルートは勿論『三柱』を通る方だが、そもそも相手に『三柱』を通らせるなって言われてるんだから、同行者もそっちを通るわけにはいかないだろう。
──必然的に同行者も『三柱』を回避できる、というわけである。
まぁこれ、本来なら別に恩恵でもなんでもないのだが。
普通の【星の欠片】は『三柱』には既に触れているわけで、それを今さら触る触らないと言ったところでなんの問題も関係もないというか。
……ただ、私にとってはこれ以上ない恩恵である、ということも間違いない。
なにせ今の私、『三柱』関連の話をずっと後回しにしてるわけだからね!
その内やらなきゃとは思ってるけど、少なくともそれは『今』ではないからね!!
っていうか今そんなことしてたら下手すると、残りの年末までの日数、全部寝たきりで過ごさないといけなくなるからね!!!
「そこまでか……?」
「柱を一つ潜るのに一生分、二つ潜るのなら一生
「そこまでか…………!?」
夏から年末まで寝っぱなし、という話にサウザーさんが怪訝そうな顔をしていたが……その実真面目に【星の欠片】として過ごそうとすると滅茶苦茶時間が掛かるんだ、と告げればその表情は驚愕のそれへと変化したのであった。
……まぁうん、前もちょっと触れた気がするけど、『三柱』は『捨てる』ための場所。
一つ目では肉の体を捨て、二つ目では魂の軛を捨て、最後の三つ目では精神の拘りを捨てる……という形で自身を構成する要素をひたすら捨てていくそれは、それゆえに
クリアすると自動的に世界の破滅因子になるのだから、生半可なクリア条件なんて設定するわけがない……というのも間違いではないのだが。
ゆえに、これを真面目にクリアしようとする場合、一生掛かってもどうしようもない……なんてパターンの方が大半なのだ。
実際、大多数の【星の欠片】は第一の柱に触れた時点で止まり、その先に進むことはほとんどない。
そしてそれらの【星の欠片】は世界を左右するような権限も得ず、最小の世界で微睡み続けるのである。
……というのが普通の場合だが、私の場合は第一の柱に触れない内に第三の柱の向こうに立っている、という意味不明な状態である。
つまり、やる前から第三の柱までの負債を押し付けられている、というようなものなのだ。
このまま【星の欠片】として過ごし続けたいとは思っていないこともあり、そんな地獄に自分からダイブするような試練なんてお断り……ということになるわけである。
「まぁ、実際に戻れるかどうかはわかんないんだけど……」
「そこら辺は御愁傷様としか言えぬのぅ……」
……まぁ、『星女神』様が積極的に試練を受けさせようとしてる辺り、私に元の姿に戻る余地があるのかよく分からない部分もあるのだが。
下手すると、元の『俺』と今の『私』で別々の存在になる可能性すらあるというか?
その辺りは真面目に考えるとテンションが死ぬので、一先ず置いておくとして……ともかく、受ける負担的に真面目に『三柱』と向き合う暇なんて早々ないので、できうる限り回避していきたいのが本音である。
で、その本音を前提とした上で再度話を戻すと。
「オルタ達の付き添いとして案内人役に収まる、というのは確かに今選べる選択肢としてはベストだけど、同時に今回その権利を使うと次回以降私は『星女神』様の居住区には足すら踏み入れられない、ってことになるね……」
「それが何故かと言えば、
「そうそう」
早々にこの選択を選ばなかったのは、近くにオルタ達が居なかったので思い付かなかった……というのも理由の一つではあるが、それより大きいのは使った時点で『星女神』様への謁見が二度と不可能になるから、という部分。
正確には正規ルートを使えば会いに行けなくもないが、その場合私の廃人化フラグと引き換えなのでできれば踏みたくない……と。
というか、もっと率直なことを言ってしまうと、こっちの選択肢と得られる報酬が釣り合っていない……というのも理由の一つになる。
だってさ、よく考えてご覧よ?『星女神』様と言うのは言い換えると『生きた聖杯』、やり方によってはなんでも叶えてくれる神様のような存在なわけ。
そんな相手への謁見権利を使って得られるのが、かくれんぼで隠れている相手の能力や事情……って、明らかに釣り合ってないでしょこれは。
いやまぁ、それ以外の選択肢が実質潰されてる辺り、本質的には実は釣り合っているのかもしれないけれど……それでも、絵面とか字面とかから想像される結果と手段は、釣り合わないようにしか思えないというか。
まぁ、そこら辺の悲喜交々が合わさった結果、できればオルタへの同行はやりたくないなー……なんて気分になっていた、というわけである。
「だけど今はもう別!予想通りにキリアも向こうに付いたんだったら、こっちだって四の五の言ってられるかっての!!」
「お、おう……キレ散らかしているな、今のキーアは」
「感覚的には苛められているようなもの、ということじゃろうからのぅ……そりゃまぁ逆ギレしてもおかしくはないというか」
「おいこらそこぅ、誰が四人に分裂しそうな鬼じゃい!」*3
「……いや、誰もそんなことは言ってないが?」
だがもはや、うだうだ言っている暇はなくなった。
相手が『星女神』様一人ならともかく、キリアまで向こうに付いたのなら悠長なことは言っていられない。
こちらが持てる全ての手段を使い、相手の思い通りにならないように動かないと納得できまい!
……ってなわけで、ようやく最後の手段を切るつもりになった私なのでありましたとさ。
「あ、一応保険としてみんな連れてくからね、向こうに」
「なんの保険!?」