なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、オルタ以外の面々を連れていく利点……利点?を説明した私だが、これに関してはオルタにも意味のある話だったり。
「え?私にも?」
「オルタの場合はかなり特殊だからね。だからまぁ、『星女神』様も強要はしないだろうしすることもないだろうけど……それでもまぁ、試練の先延ばし手段は覚えておいて損はない、というか?」
「なる、ほど?」
本人はどうもピンと来ていないようだが……実際、彼女にとっては覚えておいて損はない手段であることは間違いないだろう。
無論、【星の欠片】なんて危険物には二度と関わらない、というなら無駄な知識ではある。
……その反対、これからも【星の欠片】に関わろうとするのなら──特に、
「そうなの?」
「関わらない、と決めたのなら多分すっぱりとオルタへの影響は剥ぎ取ってくれるからね。伊達に女神様名乗ってないというか」
「それはまたなんとも……」
言い方を変えると、接着剤より小さいところから剥がし液を流し込めるようなもの、とでもいうか。
……スケールが一気に矮小になった気がしないでもないが、そもそも【星の欠片】ってそういうものだから仕方ない。
ともかく、彼女に【星の欠片】の影響を剥がして欲しい、と頼めば後遺症すら一切なく、それらを切り離してくれるだろうことは間違いない。
……間違いないが、同時にその選択肢を選んだ場合、オルタは二度とこちらの話には関わることができなくなるだろう。
「え゛っ」
「彼女に頼む、っていうのはそういうことだから。例外を許さないその手腕は、一度振るえばありとあらゆるものを剥ぎ取って見せる。──つまり、因果から根刮ぎいっちゃうのよ」
ほぼ癒着しかかっている【星の欠片】を剥がそうとすると、そうするしかないとも言う。
……スポンジに浸透した
なによりも小さいものであるがゆえに『一つ残らず』という部分が引っ掛かりやすく、かつスポンジに染み込んだ
……それらの性質から、彼女以外の存在がそれを無理矢理行おうとする場合、いっそ新品を買ってしまった方が早い──という、なんというか無茶苦茶な結論に至ってしまうのだ。
「……その、あんまり聞きたくないんだけど『新品を買う』って」
「ものの例えだから正確には──新しい肉体を作ってそっちに魂を移し変える、みたいな?」
「それもそれで大概な話なんだけど!?」
「でもこれ、『想起の柱』ならともかくその先の柱に到達してたりすると使えなくなるんだよね」
主に、【星の欠片】との結び付きの根幹がどんどん細かくなるせいで。
……肉体を新しく作ってそっちに魂を移し変える、という形で済むのなら本当に楽で、実際入り口で立ち止まっているような【星の欠片】達は普通に引き返せるのだ。
ゆえに、それよりも先に進んだ者の場合、【星の欠片】の発生起因が肉体から魂、魂から精神、精神からなにもない『無』──といったように、『どうやって取り除けと?』みたいなことになってしまうため、結果として引き返すもなにもなくなってしまうのだ。*1
実際、私なら肉体からの切断までしかできないし、私より位の
……掛かる負担から考えれば魂に結び付いた【星の欠片】がギリギリであり、それより下の結び付きは最早切り離そうと考えること自体が間違いのレベルになるというか。
それらを考えると、【星の欠片】をどうこうするより、結び付いているモノを捨てて新しいものに取り替える方が遥かに楽、という話になってしまうのだ。
結果、魂の移し変え……などという、聞いているだけで禁忌っぽい話になってしまう……と。
「で、話を『星女神』様に戻すと。彼女の場合、ほぼ癒着としか言い様のない状態からでも、それらを二つに分解する──それも双方に瑕疵を発生させないで、みたいなことができるってわけ」
「でも、因果は剥ぎ取っちゃうんでしょ?」
「そこら辺は認知の違いかな。言い方を変えると、
「……???」
対して『星女神』様の場合。
私たちの場合は無理矢理破る、みたいなことしかできないが、彼女は剥離剤を持っている……みたいに考えるとわかりやすい。
無理矢理断ち切るというよりは、自然に剥がしに掛かる……というか。
ただ、自然に剥がすとなると少々
というのも、どれだけ自然に整えたとしても、それが他者の手によるものであることは変わらないからだ。
外から干渉してわけるという手法である以上、どうしても『なんらかの干渉があった』という記録は残ってしまう。
記録が残れば因果となり、因果となれば再びの癒着を招く危険性を生む。
一度覚えた知識は思い出せないだけで脳の片隅に残り続ける、というやつだ。
言い方を変えると、一度【星の欠片】を得たモノはそれを捨てても再度【星の欠片】を得てしまう可能性が高い、ということ。
──それを避けるために行うのが『因果ごとの剥離』だ。
言うなれば、そうなるきっかけごと取っ払う、ということになるか。
テレビを設置してないのにN○Kなんて見れないだろう、みたいな感じだ。*2
この場合、向こうは少しでも映像を受信できるモノがあればあれこれと理屈を付けてくる*3ため、それを回避するためにあらゆる映像媒体を捨てていく、という対処を取ることになる。
──そう、あらゆる映像媒体を、だ。
「これは言い換えると『なにかしらの不思議に遭遇する確率』みたいなもので、それが残る限り【星の欠片】との縁を完全に切ることはできない以上、そこを完璧にするためにはどうしても切除する必要があるもの、ってことになる」
「……なるほど。じゃから二度と関われぬ、というわけか……」
「こっちの話に首を突っ込むってことは、不思議なことと遭遇する確率を持ち続けるってことだからね……」
例外を許さず対処する、となればあらゆる可能性を潰さなければなるまい。
ゆえに、一度オルタが今の状況を捨てると決めたのなら、
──その場合、下手をするとジャンヌ・オルタという存在自体、この世界から消え失せる……なんてことになりうるやもしれない。
「そこまで?!」
「まぁ、あくまでもこの根・この世界の中での話だけどね。……でも、ジャンヌ・ダルクが悪に堕ちた形、なんて類似例ごと剥ぎに掛かる可能性が高いから、その場合は他所の闇系ジャンヌとかも消えちゃうかも?」
「この世界だけの話っつっても、範囲が広すぎるでしょうが!?」
言い方を変えると、ジャンヌ・ダルクが闇堕ちするような要因ごと潰れる……みたいな?
下手すると本人が魔女として糾弾された過去すら消えるかもしれないので、影響範囲的に広すぎるという彼女の言葉を否定する理由はないだろう。
とはいえ、それくらいしないと【星の欠片】との因果というのは解消できないのだ。……簡単に捨てる、と決めるのを思い留まるには十分な理由と言えるだろう。
それからこっちは
「……あ゛」
「今の私が向こうに行きたくないとごねてるのは、偏に向こうが試練を受けさせる気だから。そしてその試験を受けなければいけない理由は、
「い、いやな似た者同士じゃな……」
そう、彼女も扱いとしては私と同じ、突然【星の欠片】になった存在である。
……ということは、本質的に抱えている問題も似通っているということ。具体的には、この訪問の後・もしくはその最中に試練の話をされるかもしれないということでもある。
一応、私と違って一回目の彼女は、そこまで積極的に誘われはしないだろうが……私と違い【星の欠片】としての扱いは
……言い換えればしたっぱということであり、上司である『星女神』様の提案を断るのなら、それなりの理由というものが必要になってくる。
少なくとも、『星の死海』に再度踏み込む用事があった場合、逃げ切れない可能性は大いに大だ。
というか、相手のそれは善意なのでまず間違いなく押し切られる。目に見えている。
なのでその場合、めでたくオルタの死亡フラグが立つ……と。
いや、死なないけどね?死ぬほど辛いってだけで。
とはいえまぁ、せめて心の準備ができるまでは待って欲しい、という訴えもわからないでもない。
そこら辺を踏まえ、今回の私の手段を覚えておくと後々役に立つかもよ?……ということになるのであった。
「なるほど……よーく覚えておくわ」
「そうそう、覚えておいてねー。私がなにも自分の保身のためだけにこんなこと言ってるわけじゃない、ってことをよーく覚えておいてねー」
(……こやつ、自身の方法を使うには新人の【星の欠片】が必要、ということはついぞ口にせぬままだったのぅ……)
ミラちゃんからの無言の眼差しが痛いが、これも必要経費である。
済まんなオルタ、これで最後だ……なんてことはないはずだから、多分。
このノリだったらそのうち新しい【星の欠片】とか来るはずだって!少なくとも向こうに行ったらすぐに試練、なんてことにはならないはずだって!(※フラグ)
とまぁ、そんな感じにみんなを宥め賺して、いよいよ私たちは『星女神』様の居城、『星の死海』への一歩を踏み出したのでありました。
……うん、本当だよー?ウソ付いてないよー?逃げてないよー?
…………本当だってば。