なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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向かう方向が違うので色々ややこしい

「まず、【星の欠片】は小さいものを操る技能()()()()もの、っていうのはいい?」

「まぁ、うむ」

 

 

 正直わかっていない部分も多いが、と正直に告げるサウザーさんに笑みを返しつつ、地面に絵を描きながら説明する私である。

 

 全ての【星の欠片】は目に見えないほどの小さなものを扱う能力だ。……厳密には能力ではなく単なる現象なのだが、その辺りは今は関係ないので割愛。

 その原理は、未明領域──一定以下の小さいものは観測を(現行科学では)行えない、という部分に起因する。

 言うなれば、そこを確認することはできないので、そこでなにが起こっていても否定のしようがない……ということになるか。

 

 一応、現行科学的には一定以()の領域で起きることは基本無視できる、という感じのことがわかっているわけだが……それはあくまでもこの世界に敷かれた『物理法則』というルールによるもの。

 ルールそのものを張り替える【星の欠片】からしてみれば、知ったこっちゃないと無視されても可笑しくはないものである。

 ……実際のところは物理法則に綻びが出ないと現れない辺り、結構今の世界に譲歩していると言えるわけだが……ともかく、普通に暮らしている分には【星の欠片】という存在を気にする必要性は全くない、ということに変わりはあるまい。

 

 で、その能力の根幹──小さいことというのは実のところ、全ての【星の欠片】において共通のものなのである。

 言い方を変えると()()()()()()()()()()()()、となるか。

 

 

「共通でないとおかしくなる?」

「あらゆるものよりも小さいからなんにでも含まれる……ってのが【星の欠片】の原理だから、【星の欠片】が二つ並ぶとややこしくなる……みたいな話かな」

 

 

 もしくは、本来【星の欠片】が一つの世界に二つ以上現れることはない、という原則があるからこその辻褄合わせとでもいうか。

 ……いやまぁ、設定的なことを言うのなら現実も【星の欠片】ではあるので、二つの【星の欠片】が同じ世界に発生した時に交代劇が起こらなかった場合の話、ということになるのだろうが。

 

 

「……????」

「【星の欠片】は別名滅びの因子。該当世界が綻び、今ある法則を保てなくなった時に次の世界を作るための種子のようなもの。……まぁ、基本的に前の世界は綺麗さっぱり消えちゃうから、端から見ると前の世界を滅ぼしたのは【星の欠片】に見える……みたいな話になるんだけど」

 

 

 今ある世界がその形を保てなくなった時にしか現れられない……というのが、一般的な【星の欠片】の制約である。

 それゆえに事情を知らずにその状況だけを見ると、前の世界の住人からは新しい世界が侵略して来たように見える……という、ある意味勘違いの極致が発生するわけなのだが。

 それに関してはまぁ、仕方ないというかそれでいいというか、まぁその辺りの感想が【星の欠片】達の共通見解である。

 誰かを恨むことで救われるのなら、そうして恨まれるのは自分達でいい……みたいな?

 

 まぁ、この辺りの話は深掘りするつもりもないので流すが……ともかく、新しい【星の欠片】の目覚めは以前そこにあった【星の欠片】の滅びであり代替わり、ということに違いはない。

 つまり、普通の場合二つの【星の欠片】のどちらが()()()()()()()()()?……ということを確認する暇はない、ということになる。

 

 

「……んん?小さい?」

「そ、小さい。【星の欠片】は共通条件として『なによりも小さい』という情報を持つけど、通常の顕現において二種以上の【星の欠片】の大小を比べる機会は一切ない、ってことになるのよ」

 

 

 言い換えると、単純な【星の欠片】の代替わりの場合、両者の大小に殊更意味はない……ということにもなるか。

 以前その世界を支配していた法則──【星の欠片】よりも大きいモノが新しい世界の種子となることもあるし、その反対も起きうるということ。

 これは、原則互いの大きさを比べる必要がないから、という部分が大きい。

 なにせ、新しい【星の欠片】の発芽タイミングにおいて、以前の【星の欠片】は既に枯死寸前であることは前提でしかないのだから。

 

 

「つまり、単純な優劣で次代の世界を決めてるってわけじゃないってことね。人からすれば理解不能かもしれないけれど、次の世界が前の世界より()()()()()──いや、人の尺度に合わせるのなら()()()()()場合でも、世界の交代は普通に行われるってわけ」

「それは……システムとして問題なのではないか?基本的にこういうのはより優れたモノになるように運行すべきだと思うのだが」

「普通ならね。でも【星の欠片】にとってはそうじゃない」

「何故だ?」

「何故って……『星女神』様が()()()()()()()()()よ」

「……あ、あー」

 

 

 私の言葉に首を捻っていたサウザーさんだが、どうやら意味がわかったようで頻りに頷いていた。

 ……確かに、生き物であるのならば『よりよく』『より素晴らしく』といった風に高みを目指すのは当たり前のこと。

 だがしかし、【星の欠片】の場合はそうした優劣の場合、既に一番劣る(すぐれた)ものが決まりきっている。──そう、『星女神』様だ。

 

 彼女は『自分より小さなものはあるかもしれない』と言っていたが、しかしそれを観測することは叶わない。

 何故ならば、彼女の抱える概念自体がそれを否定するからだ。

 ──そう、全にして一(αにしてω)。彼女の場合は『零弌概念』だが、このシステムはその性質上()()()()()()()

 一番の底は一番の天井であり、逆もまた然り。──その性質を満たすのが彼女である以上、もはやその辺りを語る意味がないのだ。

 

 確かに彼女より小さいものはあるのかもしれない。

 が、そうして生まれた小さなものはその実大きなものであり、その大きなものより遥かに小さい部分にはまた彼女が現れる……という、永遠の入れ子構造が発生している。

 言い換えれば『彼女より小さいものも彼女』であり、『彼女より大きなものもまた彼女』なのだ。

 なので、『彼女より小さいもの』は語る意味がない。概念的にも口語的にも混乱の元にしかならないため、単に『一番小さいのは彼女』と認識しておく方がよい。

 

 で、それを前提に置く場合、優劣を語る意味がなくなっていることに気付くだろう。

 誰が見ても明白に(ちょうてん)にあるモノが『星女神』様なのだから、それ以外の【星の欠片】は極論どれも同じなのだ。……少なくとも、(ちょうてん)を目指すという点においては。

 

 なので、【星の欠片】の代替わりに関しても、特に前のものより優れている・劣っているということを理由にしない。

 単に新しく目覚める世界だった、というだけのことでしかない。

 

 

「そしてそれゆえに、互いの大きさを気にする必要もない……ってわけ」

「……そういえば大きさ云々の話だったな、これ」

 

 

 で、ようやく話は元の部分に戻ってくる、と。

 二つ以上の【星の欠片】の大小を比べる意味はなく、その機会もない……というのが今の話の趣旨だが、だからといって()()()()()()()()()()()()

 絶対的に小さい『星女神』様が存在するので気にはされないが、一応【星の欠片】同士で大きさを比べること自体はできるわけだ。

 

 そうなると問題になるのが、どうやって大きさを比べるのか、という点。

 確かに比べられるとは言うが、元来大小に意味を持たない【星の欠片】はそのままではどちらが大きいのか、みたいなことを確認できない。

 

 ……まぁ、当たり前と言えば当たり前の話。

 未明領域で好き勝手しているわけだから、そもそも両者の大きさを測る基準自体が決められない。

 と、いうわけで、なにを以て両者の大小を決めるのかと言うと、それが到達階数──『柱の制覇率』になるのであった。

 

 

「また新単語が……」

「これはそんなに難しくないよ。ここにある三本の柱のうち、どの本数まで到達できたか……みたいな話でしかないから」

 

 

 最初にこの階層にある柱を『想起の柱』と呼んだが、同じように他の層にある柱にもその名前というものが存在している。

 で、この柱はそれを潜る度に【星の欠片】を削るものである、と先ほど述べたことからわかるように──一つ目の柱の到達者と、二つ目の柱の到達者では()()()()()()()()のは決まりきっている、ということになるのだ。

 

 ゆえに、【星の欠片】同士の大小を語る際はこの柱の到達本数が基準となる。

 で、ここからがちょっとややこしいのだけれど──到達本数が同じ場合、それらの【星の欠片】は相手より小さく、相手より大きいという風に扱われるのだ。

 

 

「……いや、どっちだ?」

()()()()、だよ。原則的に【星の欠片】同士の大小を語る意味はないと言ったように、互いは互いより小さくて大きいんだ」

「?????」

 

 

 何度か語るように、【星の欠片】はその小ささゆえになんにでも含まれるもの、ということになっている。

 ……が、その根拠は見えないほどの小さな世界。確認できないその場所での優劣というのは、極論()()()()()()()になってしまうのだ。

 

 歴とした証拠──到達本数を示せるのなら話は別だが、そうでないならどちらが大きくて小さいのかなど、極論その【星の欠片】の主張に頷けるかどうか、みたいなことになるというか。

 そういうこともあって、【星の欠片】同士の大きさは比べる意味がほとんどない、ということになるのだが──こと『星女神』様だけは違う。

 彼女は【星の欠片】の根幹であるため、彼女の小ささを疑う必要がない。

 なので彼女は必ず小さく、それをいちいち確認する意味もない。──そう、()()()()()

 

 

「絶対に小さいのだから論ずる意味がない──つまり、彼女より小さいものはありえない。だけど、この世界は私たちより大きく、そこにある私たちは()()()()()()()ということになってしまう。その矛盾はさっきの話──彼女より小さいものも彼女、という概念で補えるけど……」

「結果として、ここにあるものは全て彼女自身である、という属性を持つ。──結果、自分で自分を触るという別種の矛盾を生むため、結果として全体判定しか行えない……と」

「きらりんの『お手て』ってのは、ここが『星女神』様の手の上であり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って意味合いだね」

 

 

 分かりやすく言うと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、みたいな感じになるか。

 普通に考えてできるはずのないことであるそれは、それゆえに無理を生じる。

 結果、手の平の内側と外側は皮を挟んで触れている……みたいな、大分無茶苦茶な論理を持ち出すしかなくなる、と。

 

 で、そうしてそもそもが無茶をしているため、さらに細かい指定──人差し指の爪で人差し指の第一間接に触れなさい、みたいなことはできないのが当たり前になる。

 この世界で個別の一人をどうにかしようとするのは、つまりはそういうこと。

 一応他に誰も近くにいなければなんとかなるみたいだが、裏を返せば『近くに誰かがいる』という判定が続く限りは向こうに手出しはできない、ということになるわけで。

 

 

「以上、説明終わり。サウザーさん達に私とオルタはとても助けられている、という話なのでした」

「お、おー?」

 

 

 そんなわけで、ちょっとした講義の時間は終わりを告げたのだった。……できればこうしてうだうだ言ってる内に目的地に着きたかったんだけど、ねぇ?

 

 

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