なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、それからも疲れが来る度に立ち止まってあれこれと語りつつ、それでも前へ進むしかないと皆の背を押してきたわけなのだけれど……。
「……ねぇ、何日経過したのよ今」
「さぁねぇ。現実では一時間も経過してないはずだけど」
「時間歪み過ぎでしょここ……」
それでもなお、『星女神』様の居城にはたどり着かずにいたのであった。
……まぁ、こうなることについて私は納得している。
本来三つの柱を越えなければいけない場所に、それを無視して直行しているのだからそりゃそうだ、としかいいようがないわけなのだし。
とはいえ、その辺りの納得はこの場所の設定を知る私だからこそ。
他の面々は肉体の疲労こそないものの、精神的な疲れがいい加減オーバーし始めたところなのであった。
まぁ、無理もない。
この場所──『星の死海』には朝も昼も夜もない。
空からマリンスノー*1のように『星の砂』が降り注いではいるものの、変化なんてその程度のもの。
……言い換えると、この場所は景色が代わり映えしないのである。
歩いても歩いても近付いているのかわからないくらいのスケールに、変化のない周囲の景色。
よく夜中の高速道路では居眠りが多い*2、なんて話があるが……ある意味今の状態はそれと似たようなもの。
入ってくる刺激が一切変わらないため、時間感覚が余計に歪んでしまっているというわけなのだった。
……そもそもに時間の流れが遅いのだから、余計のことである。
そりゃまぁ、こんな環境に放り込まれて無事でいられる方が不可思議……とまで考えたところで、私は一つの気付きを得た。
「あー……なるほど。そりゃそうだよね」
「……なんじゃ一体、わしらはもうギブアップしたい気分なんじゃが……」
「
「──なんじゃと?」
もうたくさんだ、とばかりに声をあげるミラちゃんに、私はその考えこそが『星女神』様の狙い?であることを告げる。
言い方を変えると、ここでギブアップすると向こうの思い通りになる……ということになるか。
それを聞いた面々が、血相を変えてこちらを見詰めてくる。
これからの発言次第ではアレだぞ、みたいな視線に思わず苦笑し──そのまま、これが『星女神』様の
「試練?というと……柱の?」
「そっちだとみんなに取っては単なるデストラップでしょ……いや私たちにもデストラップみたいなもんだけど。……ええとそうじゃなくて。要するに、
「……ふむ?」
思い返すのは、以前私がショートカットを使った時のこと。
その時は特に苦労することもなく、『星女神』様のお膝元まで直行できたのだが……よくよく思い返してみると、その時と同じ道を使っているにも関わらず
「おいィ?そういうのは始めに言うべきじゃあないのか???」
「いやごめんて……その時私を連れていってくれたのはキリアだから、その関係でなんとかなってたんじゃないかなーって思ったのよ」
「……もしかして、またなにかわしらに伝えておらんかった設定を思い出した、ということかのぅ?(こめかみピクピク)」
「端的に言うとそうなるね☆」
「いっぺん死ね!!」
「
いやー、ははは。
……うん、ごめんなさい。
個人的に長い道についてはそこまで気にしてなかったから、気付くのが遅れたというか、前回キリアに連れていって貰った時も、道中はあれこれ考え事してたから時間経過についてきちんと認識してなかったというか……。
とにかく、今こうして『あれ?明らかに長くね?』って思う
……誤魔化さずに言うと、徹頭徹尾私が悪いので罵倒や攻撃は甘んじて受けます、はい。
その上で言わせて貰うと、ある程度時間を掛けないとたどり着けない仕組みにされていた……もしくは
「説明、さっさとする!」
「サー!イエスサー!!」
「誰がサーだ!?」
ってなわけで今回の授業最終回、『星女神』様のお題についての解説、はっじめーるーよー()
「まず大前提として、『星女神』様としては試練を課したくて課したくて仕方がない……って部分があるんだけど」
「傍迷惑過ぎぬか?」
「等価交換にうるさい、ってことにしといて下さい……」
まず前提になるのが、『星女神』様は与えるだけの存在ではないということ。
彼女からなにかを得るのであれば、それに対して私たちの側もなにかを差し出す必要性がある……という話について、だ。
これはなにも彼女が意地悪をしているというわけではなく、彼女から貰うだけだとその後に思いがけぬ不運が待ち受ける可能性が高い、という部分が大きい。
「なんでそんなことに……」
「辻褄合わせの話になるのかな?彼女のそれは無から有を生じさせているようなものだから、そこにもっともらしい説明を付けないと反動が来るというか……」
そのことを如実に示すのが、まるで
……【星の欠片】の原理上、『無』も
いや、設定的に正確な言い方をすると、それを認めてしまうがゆえに世界が歪む……という感じになるのかな?
まぁともかく、なにも考えずに行動すると世界が無茶苦茶になる、ということに違いはない。
なので、彼女がなにかをする場合、それが周囲に悪影響をもたらすつもりがないのであれば、必ず
火を起こすのなら、それを広めるための火種を求め。
水を生じるのなら、大気の中に見えないほど小さな水の粒があることを認めさせる……みたいな感じで。
「なんにもないところからモノを出したわけじゃないですよー、ってアピールするわけだね。で、この考え方は彼女の行動のほとんどに適用されるわけ」
「と、いうと?」
「相手が世界でなく個人であっても、基本的にはこの流れを踏むってこと」
私たち【星の欠片】にとっては、『個人』という存在も世界の一つとして扱われる、みたいなことを述べたことがあると思うが、それは『星女神』様にとっても同じということになるか。
そのため、個人の願いを叶えるような場合にも、彼女は必ず原因と結果をセットにする。
まぁ、個人相手の場合はちょっと縛りが緩くなって、願いに対しての代価を求めるくらいに落ち着くんだけども。
で、この話を今回のそれに当てはめると。
私たちは彼女への面会を求めてここに来たわけだが、その『彼女に会う』という部分での対価はどうするのか?……という話になってくるのだ。
「……ん?」
「もっというと、ここで求められる対価は『話を聞くことに対してのもの』だけじゃなく、『彼女に会うためのもの』も余分に含まれているってことになるね」
「……なんでそんなことに?」
「あー、極論
もしくは私のせい、というか。
言い方を変えると『素直に柱の試験を受けないのが悪い』、みたいな?
とはいえ、そこを素直に受けたくないからあれこれしてるわけだから、それをどうにかするのは不可能なわけだけど。
「……要するに、裏道を通っているから別の対価を払えと言っている、と?」
「本当ならそんなことにはならないはず*3なんだけど……そこら辺を正当化するのに施した理論武装が
「は?」
「いやその、言ってしまうと『その方達も付いてくるのならその方達にも試練が必要ですよね?』みたいな感じというか……」
「……付いてきただけ損ではないか!?」
「そうですねごめんなさい!!」
いやーうん。
一応、みんなが居ないと言い訳としては成り立たない、というのは間違いではない。
ないのだが、これは『星女神』様個人に向けての話。
システムとしての『星女神』様に対しての対価としてみると、払いすぎになってしまうのである。
結果、その歪みがこうしてやけに長ったらしい旅路という代価として現れている……と。
因みにだが、もし仮にオルタだけ連れて付添人としての仕事をまっとうした場合、向こうに着いた途端に私だけ『想起の柱』に直行させられる、というデストラップが発生すると思われる。
これを回避するためにはミラちゃん達を同行させる他ないが、その場合はそうでない場合と違って『星女神』様のところにたどり着くまでの時間が試練として加算される……と。
私個人(&オルタ)にとってはみんなを連れてきた方が楽だが、その楽さは別ベクトルの面倒くささを引き寄せている……という、なんとも言えない話になるのであった。
まぁうん、そもそも『星の死海』って『星女神』様の体内みたいなものだから、融通の効かないシステム面があれこれやって来るのは仕方ないってことで……。
「ふーざーけーるーなー!!!!」
「