なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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そりゃまぁ、こんな世界なんだから一理ある

 はてさて、五条さんが以前から自分のことを最強だとは思えなくなっていたのではないかということと、最近の原作の話の流れが重なって彼の目的とおぼしきものが見えてきたが。

 そうすると、彼に協力している相方さんの動機と言うのも、その正体と合わせることでなんとなく察することができるようになる。

 

 

「と、いうと?」

「まず、隠れるって行為は基本的に弱者のすること。誰にも見付けられないほどのそれは、見方を変えると病的なほどに周囲を警戒している人物のもの……という風に考えることもできる」

 

 

 基本的に、擬態や隠れるという行為のほとんどは、その存在が他者から搾取──捕食なりなんなりされる対象であるため、それらを避ける・つまり生きるための足掻きであることが多い。

 言い方を変えると、他者に脅かされない存在はほとんど隠れることはない、ということになるか。

 

 まぁ、ほぼと言ったように獲物を取る際に相手に見付からないように隠れる……みたいな例外パターンもあるが、それでもなお『隠れる』という行為が防御的なものであることに変わりはない。

 そもそも、どんなに強者であっても睡眠の時には安全な場所に()()()()()──すなわち隠れるのだから、生きるために行う隠行は基本他者の脅威を念頭に置いたものであることは間違いないだろう。

 ……見方を変えれば、獲物が逃げるというのも自身を飢えという危機的状況に追い込む脅威である、と解釈することもできるわけだし。

 

 そんな『隠れる』という行為を、ある種極めたと言っても過言ではないその力量。

 ……それを見てまず思うのは、『そこまでする必要性があるのか?』というもの。

 まずもって、その隠蔽力は()()の一言でしかない。

 

 

「無論、本気で探すんなら見付けられるだろうけど……()()()()()()()()()()()()()って時点でおかしいよね、っていうか」

「純正ハサン級の気配遮断、だったか。……まぁ確かに、イメージとしてはアマチュアの試合に殴り込んできたプロ、くらいの差はある気がするのぅ」

 

 

 相手が相手──極小であるがゆえに通常の手段で再現すると意図せず完全再現になってしまうという性質を持つ【星の欠片】相手だから必要に見えてくるが。

 そもそも現状この世にいる【星の欠片】なんてせいぜい五人、それにしたってうち二人(キリア&星女神)はやる気なし・うち一人(オルタ)はまだまだ未熟、かつ本来ならアクアと二人で一人分……とまぁ、大半が対処の必要性すら見えない部類。

 比較的対処が必要におもえる残り二人も、明確にヤバいと思われるのは現状敵対しているとおぼしきユゥイくらいで、残る一人である私は味方である。

 ……とまぁ、その高水準な隠蔽力を活かせる相手、というのがほとんどいないのだ。

 

 無論、味方側にいる【星の欠片】達もいつ敵対するかわかったものじゃない、と警戒しているのならばそれもわからないでもないが……そういうのって、どっちかというと相手側が裏切るパターンの方が多いだろうからなんとも言えないし。

 

 

「……ああ、流石に郷に敵対するような相手ならば、五条のやつも協力しようなんて気にはならんということか」

「五条さんが強くなりたい、って思ってるのは確かだろうけど……そのために本格的に裏切り者になろう、とまでは思ってないだろうからね」

 

 

 基本的に、五条さんの行動指針は『非術師を守る』という方向性で定まっているだろうし。

 ……いやまぁ、出会った当初の彼──五条悟として中途半端だった頃の彼ならまぁ、あり得ないとも言えなくはないだろうけど。

 それにしたって限定的な話しすぎて、考慮には値しないだろう。

 

 ……ということは、だ。

 件の相方さんの能力は、どちらかというと『たまたまトップ層にも効く技能だった』だけで、端からトップ層対策のために生み出されたものではなく。

 されど、そのレベルの能力を持つからこそ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?……という考え方になるのだ。

 

 

「ふむ?」

「簡単に言うと、たまたま作った能力が【星の欠片】にも部分的ながらに効くことに気が付き、それをさらに磨くことがこれから先の脅威に対して有効な手段になることを見越して一時的な敵対を選んだ……みたいな?」

 

 

 そして恐らく、その行動を決意させたのが『星女神』様の発言だったのだろう、という話に繋がってくるのである。

 無論、先ほどの言葉通り彼女自身はこの説に肯定も否定も示さないけど……()()()()()()()()()()()()()()()なので、このまま話を続けても問題はないだろう。

 

 

「つまり……件の人物の能力は天然物ではなく、なにかしらの結果によって人為的に生み出されたもの、だと?」

「そ。言い換えると後付けの能力ってことになるけど……それが天然物と同じようにちゃんと成長することを示唆されたのなら、ある意味同じ外付けの能力である五条さんにしても、成長の余地を示されたことになる……みたいな?」

 

 

 なお、ここでいう『後付けの能力』とは、生物としての身体能力以外のもの全てのこと。

 それが先天性の物とどう違うのかというと、能力そのものの成長性の有無が比較的()()ことが多い、という話に繋がってくる。

 

 例えば『無下限術式』を例にあげると、解釈の余地はあるけどそれそのものの成長については微妙なところがある……という感じになるか。

 無限を使ってあれこれするものの、そこから発展して能力の基礎が()()()()()()()になることは無さそう、みたいな?

 

 もう少し分かりやすく言うのなら、炎系の能力者は基本的に()()()()()()()()()()()()()()()……ということ。

 能力の根幹が決まっているため、対応力は同時に応用力になってくる……という感じだろうか。

 まぁ、その辺りの話を突き詰めると『天然物の能力』とやらがそもそも該当数が少ない、という話に突き当たってしまうのだがそこら辺は割愛。

 

 ともかく、完全に完成された能力であれば、それを使ってできることは原則単なる応用に留まる。

 だがしかし、それがもし未完成な能力であるのならば──その能力は全く違うスキルツリーを伸ばすことができる、ということになるのだ。

 先の例で言うのであれば、単なる炎系の能力者ならば『炎』というものの解釈を広げるしかないが、そうでないのならばそもそも『炎』という形に捕らわれる必要もない……みたいな?

 

 そして恐らく、『星女神』様が示した成長性というのはその方向性のもの。

 ──それを五条さんにも同じように示したというのであれば、彼は『無下限』という形式から逸脱しようとしている、ということになってくるのである。

 

 

「……なんだか思ったより大事になっておらんか?」

「まぁうん、かなり大事だよねぇ。でもほら、似たような例は既に見たことがあるんだよ、私たち」

「んん?」

 

 

 己の殻、という縛りを脱しようとしている彼の姿に、なんとも言えぬ渋い顔をするミラちゃんだが……この話、そこまで突飛なものとも言い辛い。

 なにせ私たちは、既に己の殻から逸脱した人物というものを発見している。

 で、その人物というのが、なにを隠そう──、

 

 

「我らがゆかりん、ってわけ」

「まさかの!?」

 

 

 そう、ここで唐突に話に巻き込まれるゆかりんなのであった。

 いやー、まさかゆかりんがねー(棒)。

 

 

「本来の自分からの逸脱というのは、本来再現度という形で(原作)の自分に近付くことを奨励される『逆憑依』において、向かう先が完全に真反対なもの。言い換えると()()()()()()()()()()()()()()()()ってことになるわけだけど。……そう考えて見ると二次創作を原典に取る、って形で納得していたゆかりんの存在が急にノイズになるんだよね」

「あー……部分的にとはいえ結構あれこれできておるしのぅ、あやつ」

 

 

 そう、本来の自分が正しいと見るのなら、そこから外れまくっているゆかりんはそもそも成立すら難しいはず。

 一応、そこら辺の理屈付けとして以前は『二次創作の八雲紫を再現している』と考えたわけだが……それが間違いであり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であると考えるとどうだろう?

 

 言い方は悪いが、原作以外は全て二次創作である。

 原作より良い結果を目指そうが、結果的に悪い事態に陥ろうが、どっちにせよ『原典ではない』という意味合いでは同じこと。

 言い方を変えると、原作より強くなってもそれが『再現度』を基準にした評価の中では無意味なものでしかない、ということになる。

 

 これは、相方さんや五条さんの現在の行動指針にしても同じこと。

 能力の成長の道筋が示されたとしても、その道を進むことが『逆憑依』として正しいかと言われればノーである。

 そして、再現度が本当に絶対的ならばその道を目指すこと自体が間違い、ということになる。

 そうして成長させた能力は、その実間違った成長だということになりかねないからだ。

 

 その説の反論となるのが、なにを隠そうゆかりんの存在そのものなのである。

 彼女は原作とはかけ離れているものの、それでもなお『八雲紫』である。そして、その能力も色々あった中で、原作に劣る部分もあれば勝りそうな部分もある、という状態にまで成長していた。あんまりこっちがその部分を認知しないままに。

 

 

「まぁ、もっとあれなことを言うと【継ぎ接ぎ】自体がおかしい、ってことになるんだけどね」

「……まぁ、割りと意味不明じゃからのぅ、そいつ」

 

 

 なお、最終的な結論はそうなった。

 ……冷静に考えなくても、『再現度』云々の話からするとノイズ以外の何物でもないからね、【継ぎ接ぎ】って。

 

 

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