なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
さてはて、相方さん達が成長を望み、ある意味でその理想?形であるゆかりんという存在が既にいる……ということを示したわけだけど。
そうなると、今の五条さんが目指しているのは『二次創作の五条さん』ということになる。
「二次創作の、のぅ?」
「そ。……奇しくも原作における彼は、より強い相手である宿儺に負けてしまったわけだけど*1。……その事実はある意味、ここにいる五条さんに対してより強い渇望をもたらしたんじゃないかな?」
まぁ、その気持ちをより確かなものとして実感したのは、こうしてなりきり郷を飛び出して、最近の原作の展開を読んでからだろうけど。
……実際、相手の宿儺は本気を出して・もしくは出せておらず、その状況にも関わらず
ただ、本来その焦りというのは、この世界で結実することはないはずのものだった。
不思議な現象、というものが無いわけではないこの世界だが、それでもここが現実である以上『逆憑依』達にはある程度の分別──ブレーキというものがあった。
勿論、原作の彼らほど無茶ができるわけではない……と心の何処かで認知していたからこそのモノであることも事実だろうが、それでも彼らは虚実を問わぬ正真正銘その人物自身でもある。
ならばやはり、それらのブレーキはあくまでも彼らが憑依した、核となる人物由来のモノであり──言い換えれば、それらの善性は
そして、それらの核は
仮に露出することがあるとすれば、それは
言い換えると、彼らの善性を担保する核はまず露出せず・仮に露出する事態に陥った場合でも、そもそも彼らという膜──
ゆえに、彼らが世界や周囲を傷付ける可能性はほぼ十割の確率で
その焦りが結実することはない、というのはそういうこと。
彼らが『逆憑依』である限り、ほぼ全ての戦闘行動は単なるじゃれあいでしかなく、命のやり取りにまで至ることはない。
数少ない例外である【鏡像】に関しても、それが対処できる範囲に収まる限りはそう問題ないだろう。
「……ああ、だからこそ【星の欠片】なのか」
「そういうこと。……まぁ、彼とは縁深い無限概念だったから、ってところも少なくはないんだろうけど」
──そう、問題となる種が、彼らしかいないのならそれで問題はなかったのだ。
先ほど【星の欠片】に該当する存在で、敵対的なモノは今のところ一人しかいない……みたいなことを述べたが。
この技能の説明をよく覚えている人なら、こう考えることもできるだろう。──そもそも、
本来であれば【星の欠片】の目覚めは、一つの世界の死と同義。
──つまり、そもそもの話として
今回はたまたま五人も目覚めている状態にあるわけだが……真面目に考えるとこの世界、
……そりゃまぁ、警戒してしまう人間が現れるのも宜なるかな、というか。
もしくは、私たち以外にもまだまだ【星の欠片】達は現れるだろうと見越している、というパターンもあるだろうか?
実際、私の存在が他の【星の欠片】に対しての呼び水になる……というような感じのことを言った覚えはあるし、そうして集まった【星の欠片】が、全て安全なものだとは限らない。
……いやまぁ、そもそもの話をすると安全な【星の欠片】なんていない、ってことになるのだが。
彼らの欲求云々の話を覚えているのなら、そこに関しては異論を挟む余地はないだろうし。
「特に制限を設けなければ、基本的に新世界の秩序になりたがる、だったか?……いやそんなことを望めば、それこそそこの『星女神』に止められるのではないか?」
「その場合は寧ろ、『星女神』様がいることを承知の上で行動するヤベーやつ……ってことになるから、そこら辺の理論武装が完璧になる可能性の方が高いよ?」
「……あー、止められないような理由を持ってくる可能性がある、と?」
「そういうことー」
「うへぇ……」
まぁ、この状況を見て、それでもなお蜂起するやつがいるのなら……の話になるわけだが。
……まことに不本意ながら、今ここにいる【星の欠片】の半数以上は
であるなれば、それらに対して明確な説得の手段を持ち合わせていなければ、そもそも蜂起なんてしないという風に見るのが自然だろう。
一応、私に関して言うと、例えどれほど説得力のある話が持って来られたとしても、今ある世界を終わらせるつもりはない……と反対する気概でいるものの、他二人に関してはそこまで強情というわけでもない。
もし仮に二人が納得──思わず唸ってしまうような理由が持ち込まれてしまった場合、彼女達は直接の手助けこそしないものの、積極的に妨害することさえもしなくなるだろう。
──いわゆる静観、というやつである。
そうなってしまうと、実質こちら側で動かせる戦力は私だけ、ということになる。
……もし相手側がコンビ以上の人数でかち込んできた場合、その時点でゲームオーバーだ。
対処の手が追い付かず、何処かのタイミングで相手の行動を素通ししてしまうだろう。
なら二人に増えて手数を増やせば?……みたいなことを思うかもしれないが、その対策は相手側が更に人数を連れてきた時点でお釈迦*3だし、そもそも私が増えられるのは【星の欠片】の特性ゆえ。
……言い換えると、相手だって増える可能性があるということになる。
一応、【星の欠片】の性質的に遥かに
複数の別の【星の欠片】で徒党を組まれると厳しい、というのは変わりあるまい。
そこまで考えた上で話を戻すと。
まず、相方さんの能力が限定的であるとはいえ【星の欠片】相手に効いている、というのが一つ目のポイント。
この場合の効いているというのは『効果的である』という意味合いではなく、【星の欠片】側が禁を破らないと対処できない、という意味合いにおけるものである。
「禁?」
「前に一回触れたかもだけど……【星の欠片】は『なんにでも含まれることを否定されないほど小さいもの』だから、極論敵対している相手とかにも含まれている……ってことになるんだけど。それって要するに、制限を取っ払うと『相手から自分を生やせる』ってことになるんだよね」
「うげぇ」
もしくは、憑依転生みたいな感じで相手の自意識を【星の欠片】で塗り潰す、みたいなこともできるというか。
……まぁ、理論的にはできるってだけで、その手段を積極的に取ろうとするモノは居ないわけだが。
答えは単純、【星の欠片】にとって意思というものはとても尊いもの。特に個人のそれは、不可侵にして無闇に変化させるべからず……ということで、普段は禁則事項として制限しているのだ。
相方さんのそれはまさに、その禁則を破らないと対処のできない類いもの。
言い換えると、【星の欠片】的にはやられるととても困るもの、ということになるのだ。
なので、普通の(?)人が【星の欠片】に対抗するためにはこれが必須になる、ということになるのだ。
「それから二つ目だけど……方向性は違うけど、無下限の考え方は【星の欠片】のそれに近い……言い換えると彼の成長の糧としては最良に近い、ってことになるかな」
「成長の糧?」
そして二つ目のポイントは──なんやかんやで【星の欠片】は五条さんにとって親しみ深いものに近い、という話になるのだけれど……。
長くなりそうなのでちょっと飲み物でも用意しようか、ということで移動を挟むことになったのであった。