なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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辿るべきお手本があるなら辿ってみたくもなるもの

「五条さんの術式って、周囲のありとあらゆるものから無限を見いだすもの、って感じのやつらしいんだよね」

「ふむふむ」

 

 

 はてさて、改めて場所を移したわけだが。そこは『星女神』様が試験を受けに来た人に、最後の質問をする時に使われる場所──見た目はお茶会(ティータイム)の会場みたいなところだった。

 ……まぁ、多人数で話をする時に使えるような場所、となるとここくらいしかなかったというだけの話なのだろうが、微妙に落ち着かない気分の私である。

 あれだ、この話が終わったあと、そのまま私の面接に移行しないだろうな?……とそわそわするというか。

 

 流石に面接が始まったら逃げることは不可能、そのまま流れで柱にシュー!超、エキサイティンッ!!……されるだけなので、可能な限り避けたい流れなのである。

 まぁ、そんな警戒をしていることがバレると、普通に逃げ道を塞がれるだけなので表面には一切出さないわけだが。

 

 それだけだと対策不足に思えるかもしれないが、何度も言うように【星の欠片】にとって精神──心とはなによりも優先すべきもの。

 それを侵害するくらいならなにもしない方が美徳、ってくらいのラインのモノなので、こうして頭の中で考えている内は問題ないのである。

 ……まぁ、相手が『星女神』様だと【偽界包括】で間接的に見抜いて(私に聞いて)きかねないので、警戒はいつまでも緩められないのも事実なのだが。

 

 そんな水面下の戦いはともかく、話題は五条さんの術式についてである。

 彼の術式──『無下限呪術』は、周囲の至る場所に無限を見出だすもの。

 言ってしまえば、彼我の間に無限を作り出すものとなるわけだが……それゆえに『彼我』の対象ではない攻撃は当たる、という弱点があったのだと思われる。*1

 まぁ、言うは易し行うは難し、それを実行できる存在というのはほぼいなかったため、()()()()()問題なかったわけだが。

 

 

「原作の宿儺はまこーらを先生として対策を見出だした、みたいなことを言ってたけど……多分、五条さんの術式って()()()()()()()()()んだよね」

「線分上?」

「プラスかマイナスかってこと。虚数云々の話があるからややこしいけど、つまるところ線分に対して左右(iの方向)に術式が拡張出来てなかったんじゃないかなって」*2

 

 

 いわゆる複素数──実数と虚数の組合わさった数字である。

 虚数そのものが存在しない数値なのでごっちゃになるが、架空の質量とここでの左右(iの方向)は別物として扱う。

 

 それを踏まえた上で五条さんの能力を語ると──まず、彼我の距離というのは基本プラスである。

 互いの距離がマイナスになる、ということは本来ありえない。一方向にのみ視点を向ければマイナスになる(五条さんの正面を測定の基礎とすれば、背後に回ればマイナスになる)こともありえるだろうが、普通に考えてそういう場合は『手前○メートル』とか『後方○メートル』と言い表すものだろう。

 

 それを踏まえると、()の術式が基本的に一方向のみに視点を絞ったモノである、というのが見えてくる。

 そうして考えた方が、術式によって現れる事象が自然と理解できるからだ。

 

 

「ほう?」

「まず、普通に使った際のバリア──止まるやつについてだけど。これに関しては単純、反比例のグラフは軸には触れられない、って奴だね」*3

 

 

 いわゆる収束、というやつである。

 特定の数字に近付いて行くけれども、決してその数値そのものにはならない……というやつだ。

 

 これは、無限に距離を割り続けるために起こること、という風に解釈できる。

 前進んだ距離の半分進む、という処理を彼我の距離という限られた中で繰り返し続けている……という風に解釈してもいい。

 

 彼我の距離という制限がある以上、何度足しても答えはその限界を越えない。

 その結果、無下限に囚われた物体は運動を止めたように見える……と。

 まぁ、原理的に考えると『止まったように見える』だけで、こちらには観測できないほどに微量な距離を進み続けていることにはなるわけだが。

 

 で、この順転の術式を強化すると、『引き寄せる』効果を持つ『蒼』になる……のだが、ここが微妙にわかり辛い。

 彼は原作で『マイナス一個のリンゴのような虚構を作り出す』と述べているが、それをするには式に虚数を代入できないといけない。

 ──そう、順序が逆なのである。

 

 確かに、無限級数には虚数を代入しても発散/収束する式というものは存在している。

 何故なら、虚数とはそれ単体ではマイナスでもプラスでもないから。

 さっき述べたように、これは線分的に考えて本来存在しない左右()方面の数値なのである。

 

 となると、さっきの『彼の術式は左右()方向に拡張できていない』という話が引っ掛かる。──出来てるじゃん、みたいな感じで。*4

 

 

「だからまぁ、敢えて言い換えるなら術式における虚数と術式拡張の上での虚数は別物、ってことになるのかな?前者が『i』なら後者は『z』みたいな?」

「……奥行きの意味合いも込めて、か?」

「まぁ、そういうこと」

 

 

 話を戻そう。

 線分Xにとっての虚数iは、グラフにした時に線分Yのそれと重なるものである。

 ……あるが、それがイコール線分Yは虚数である、となるかと言えば別の話。

 その辺の話はこれから後に触れるとして、ともあれ彼は線分Xに対してのYではなく、単に虚数を用意していたという体でさっきの話をすると。

 

 まず、距離を無限で割る際、そこに出てくる答えというのは多種多様になる。

 マイナス方向に触れなければいいのだから、そこに出てくる数値には複素数は含まれている、ということになるわけだ。

 なので、軸Xに対して虚数方向にずれた位置にいたとしても、特に問題はない。

 

 そして、答えに虚数を含む複素数を用意できるのなら、マイナスを生み出すことは容易である。

 虚数同士を掛け合わせるとマイナスになるためだ。

 なので、それ用の無限を二つ用意して掛け合わせればマイナス──引き寄せる力については説明が付く。

 彼我の位置がマイナスになるような計算式を弾き出せば、純粋に引っ張る力として扱うことは可能だろう。

 まぁ、作者本人も説明に難儀するものらしいので、これが合っているとは全く思っていないが。

 

 で、反転に関しては更に単純。マイナスが作れるのならそれを二つ掛け合わせればプラスの出来上がりである。

 

 ここまで語ってわかるのは、虚数を持ち出すわりに挙動が純粋である、という点。

 仮想の質量を作る、という点では結構おかしなことをしているが、そこ以外は単純な距離のプラスマイナスを操る能力に見える、という話になるか。

 

 

「言い換えると、無限の適用範囲が限定的……みたいな?まぁ、数字が大きすぎるからそれだけでも十分強力だけど、解釈の幅を広げられたらもっと色々できたんじゃないかなーというか」

 

 

 実際、引き寄せと弾き飛ばしが使える時点で便利である、というのは間違いあるまい。

 一方通行(アクセラレータ)みたいなことができる、という時点で対物戦闘においては敵無しに近いし、事実彼は現代最強の術師の名前を欲しいがままにしていた。

 ……が、同じく無限に関する技能を持つ存在からしてみると、もっと上を目指せたのでは?……と思わなくもないのだ。

 それができなかったのか、はたまた思い付かなかったのかは別として、だ。

 

 

「あらゆる場所から無限を見出だすって、つまるところ【星の欠片】みたいに万物の極点(さいかそう)を見出だす素質があった、ってことでしょ?現代法則において無限は異質、ゆえにそこから弾き出せる答えも異質になるんだから、突き詰めれば次元越え──どこぞの第四位さんみたいに『零次元』*5に至る目もあった、なんて嘯くこともできたかもだし」

 

 

 まぁ、実際に次元の壁を越えるのなら、それこそ単なる無限ではなく到達不能基数を用いた『本来単純な操作では越えられない壁を越える』というやり方が必要になる可能性が大だけれども。

 そこまで制御できるのか、みたいな問題があるので机上の空論のような気もしないでもないが、やれるかやれないかで言えば『可能性はある』となる方というか。

 

 ……ややこしくなったので話を戻すと。

 彼の術式の基礎である停止・収束・発散については、見た限り三次元(せんぶんじょう)に留まっている。

 なので、その次元の上──実際にそうであるかは別として、四次元(へいめん)以上からの攻撃には対処ができない、と。

 

 

「虚数の理解が及んでいても、それの活かし方が悪かった……みたいな話でもあるのかな?四元数(クォータニオン)*6まで行けてたら、擬似的とはいえ防御も出来てたんじゃないかと……」

「いや話がややこしくなりすぎておるわ」

 

 

 あ、そう?

 ……まぁともかく、もうちょっとどうにかできたんじゃ?と思ってしまう要素があり、かつ自身と同じような技能の使い方をしていて、かつ自身とは別の方向性を保った存在──【星の欠片】が、宿儺に対してのまこーらのような先生になりうる可能性、というのは十分にあるだろう。

 

 そこら辺を踏まえると、今回の五条さんがなんだか好戦的な理由もわかってくる。

 ──そう、サンプルが沢山欲しいのだ、きっと彼は。

 

 

*1
第三者、線分に対しての平面。正確には三次元上の話なので四次元相当になる。基本次元違いの相手の行動というのは、低次元側からどうこうするのは不可能に近い(線分の場合左右にしか逃げられないので、相手がその線分を全部対象にできる場合──例えばその線分が紙に書かれたモノである場合、その紙自体をどうにかされる……みたいなことをやられるとどうしようもない)

*2
より正確に言うなら、軸に対しての回転方向。線分上で回転?と思うかもしれないが、これが使えるか否かで空間把握の便利さなどが変わる画期的なモノでもある

*3
収束の例として視覚的にわかりやすいもの。X軸にしろY軸にしろ、数値が多くなると反対側の数値が0に近付いていく。つまり、『0に限りなく近付く≒収束する』。見方を反対にすると『0から限りなく離れていく≒発散する』という風にもなる

*4
なお、実際には『i』しかないのなら左にしか拡張できない。『i』を掛け合わせてマイナスを作り、さらにそれに『i』を掛けないと右にはいけない為である

*5
『とある』シリーズのキャラクター、レベル5第四席『麦野沈利』の可能性の一つ。基本的に高次元に至る方が凄そうに見えて、零次元だけは例外だったという話。極端な話、これに触れられるのなら距離や防御を全て無視できるようになる

*6
虚数を三種類使うことで三次元のグラフでありながら四次元的な利用ができるようになったもの。現代のゲームではほぼ確実に使われている便利なやつ




自分で書いててこんがらがったのでその内しれっと書き直すかもしれません。
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