なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「んあ?……おー、しんのすけじゃねーか、元気かーオイ」
「お、銀ちゃんこんにちわー。それと、オラはいつだって元気だゾ!で、銀ちゃんは……うん、聞かなくてもわかるゾ」
「オイ待て、五歳児にまで察せられるとか俺今どんな顔色してんの?!やべー顔色なんじゃねぇーのぉーっ!?」
「また二日酔いだってすぐにわかったゾ。お水飲む?」
「おー、飲む飲む」
……店を出て五分も経たない内に、やけに濃い人物に出会ってしまった。
さっきも一度目にしていた銀髪天然パーマの男、坂田銀時である。
お決まりのような二日酔い状態で、五歳児が近くのお店で貰ってきたお冷を受け取って飲み干す姿は、なんというかうーん銀魂……って感じだった。*1
……銀魂世界ならこれから騒動の種が転がってきて、そこからまた切った張ったの大立ち回りが始まるものなのだが──。
「いやねー、ほら?俺らこっちの世界の人じゃないだろ?記録もあって記憶もある感じだけど、多分いつかは帰る人だろ?……ここに居る分には金の問題とかいっっっさい無いから、なんかもうパフェ食ったり飲んだり遊んだりでイイんじゃねーの、って気分になってだな?」
「銀ちゃん、それ完全にダメな大人の考え方だゾ……」
「ほらほらしんちゃん、あんまり近付いちゃダメだよー、ダメは伝染るからねー」
「ほ~い」
「あれ?ちょっと?もしかして俺、初対面でまるでダメな大人、略してマダオ*2扱いされてたりする?」
「二日酔いで道路脇に転がってて、金の心配もないから日がなチャランポラン*3してる……そんな銀髪パーマのおっさんのどこに、尊敬できるような要素があるというのか」
「いやちょっと待て、チャランポランとかについてはなんにも言い返せねーけど、髪の色に関しては関係ねーだろうが!?っていうかそこの『はたけカカシ・オルタ』*4みたいな奴だって銀髪*5じゃねーか、銀髪っつったらそれだけで若い子にバカウケ*6のアピールポイントの一つだろ?それでチャランポランなんて帳消しだって銀さん思うんですけどー!?」
「……ねぇ、これ喧嘩売られてる?」
「五条さんどうどう!どうどう!」
「マシュちゃんって時々変な方向にかっ飛ぶよね……」*7
……あ、これギャグ回っすね。お疲れさまでしたー、解散解散。
いつもの音楽*8流れてると思うんで、このままCMに行っちゃいましょー。
「……あれ、この子手慣れてない?ボケに対するスルー力が半端なくない?」
「いや、対応してるとまんま銀魂になるんで。……モチーフキャラ塗れだと、どっかに偏る運営できないんで…………」*9
「いや待って、なんで俺に対する対応の話から、中間管理職の悲哀の話みたいになってんのこれ?」
「銀さんが良ければ、あとで愚痴、聞いて下さいな?飲みながらでいいので」
「え、あ、はい。俺なんかで良ければ喜んで。……なぁそこの嬢ちゃん、なんでこの人、社会に疲れたおっさんみたいな空気纏ってんの……?」
「その……せんぱいの居らっしゃったスレは、お話に聞いた限りだと、あまり治安がいい場所ではなかったようで……」
「あー大体わかった。スレ主特有の哀愁だったのな……」
……おかしいな、さっきまでこっちにちょっと敵愾心があった銀さんの目が、今ではなんか慈愛と言うか慈悲というか哀れみと言うかを湛えたものになっちゃったぞ?ふふふおかしいなーふふふ……。
「もー、こんなんじゃ先が『重い槍』*10だゾ」
「それ、『思い遣り』じゃねーか?」
「おー、そーともゆー」
「……『思いやられる』じゃないの?」
「「おお、それそれ~」」
「ええ……?」
とりあえず銀さんと飲む約束をして、施設探索を再開した俺達一行。
途中、目があったので勝負を仕掛けてくる短パン小僧*11が居たり、オレはカードで死ぬなら本望だ!とか言う全速前進しそうな人が居たり*12、唐突にボーグバトル*13が始まったのを必死にスルーしたりしたわけだが。……トラブル転がりすぎじゃない?
その尽くをしんちゃんがクリアリング*14してくれたので、どうにかなったのだった。ただ……。
「おっ?キーアおねいさん、どったの?」
「さ、流石にちょっと、いろいろありすぎて目眩が……」
一度にトラブルが襲ってきすぎでしょうここ!疲れるわ!下手すると立ってるだけで疲労困憊だわ!*15
途中で五条さんが「あ、俺も用事があるんだった」って唐突に離脱したから、なんなんだろうって思って去っていく彼に向けてた視線を前方に戻したら、右手に並ぶ料理店の一つに『宿儺'sキッチン』*16なる看板が見えて思わず吹いたし!!*17
怖いもの見たさで中を覗いてみたら、まさかの四本腕の方の宿儺が居て思わず卒倒しかけたし!*18
気絶しそうなのを堪えて再度中を確認したら、わりと繁盛してる上に宿儺めっちゃニコニコ*19だったから「あ、これ
ビビらせんじゃねーよ、って思いながらふと対面のお店に視線を向けたらこっちはこっちで『波旬カレー店』って看板があって今度こそ意識飛んだし!!*21
……いやまぁ、カレー店やってる方の彼*22なら問題ないなってすぐ起きたけど。でもしんちゃん、「波旬おにいさんとはお友達なんだゾ」とか言うのは止めて下さい、胃が死にます(白目)*23
というかなんだここ、なんでこんな罷り間違ったら危険人物*24でしか無いやつばっかり並んでるんだよ……地獄か、ここが地獄の一丁目*25なのか……?
……みたいな感じで、ちょっと、切実に、休憩が欲しいわけですはい……。
「んもー、キーアおねいさんったら仕方がないんだから~。じゃ、おやすみできるいい場所があるから、そこへ行くゾ」
「あーうん、できればふつーのとこでお願いします……」
そんな感じで、癒やしを求めてやってきたのは喫茶店。
……なーんか見たことある気がする店だな、と思いつつ、疲れてたので碌に確認せずに中へ。
「はーい、いらっしゃいませー!……あ、しんちゃんだ!こんにちわ、しんちゃん」
「ほっほーい、お久しぶりーココアちゃん。今日はお客さんを連れてきたんだゾ!」
「……ん?ここあ?……ってごちうさ!?」*26
「わ、びっくりした……。うん、私
そこでこちらを迎えてくれたのは、濃いめの
……まさかのココアちゃんである。声がどこかの爆弾魔とかじゃない*28、普通のココアちゃんである。
明確に安心できるキャラの登場に、思わず安堵のため息が漏れた。ナイスしんちゃん、ここはいい休憩場所だ!
「……ふむ?お客さんか。じゃあ私も一仕事しようか」
「…………ん゛?」
と、思ったら、奥から聞こえてくるどこかで聞いたことのある声。
……いや正確には、ここで
そうして謎の不安感に包まれつつ奥に進んだ私達。そこで出会ったのは──。
「やぁやぁお客人。ようこそ喫茶『
「まさかのロリライネス*30ぅ!!?」
なんでここに君が居るの!?と驚く俺の前で、金髪ボブカットの小悪魔的な笑みを浮かべた少女が、してやったりと言わんばかりにふふんと鼻を鳴らすのだった。
「え!?ライネスさん?!」
俺の言葉に楯が素っ頓狂な声をあげる。
あれ、ライネスは知ってるは……あ、そっか。おっきい方しか知らんのか。楯も基本的にFGO以外の型月作品に詳しい方でもなかったし。
そんな俺達を面白がるように、彼女は小さく目を細め。
「ふむ?私を知っているのも居るみたいだけど。まぁ、挨拶は大事と言うしね、精々大仰に名乗らせてもらうとしよう。私は『ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ』*31。基本は事件簿準拠*32だが、一応
「え、あ、はいっ、こちらこそ、よろしくお願いしますっ」
「まぁ、私も再現度はさほど高くない方だ。できることなんて、ここでコーヒーを淹れることくらいなんだけど」
挨拶を終えた彼女は、小さく嘆息して手元のそれ──コーヒーミル*34のハンドルをくるくると回し始めた。
……いや待て、やっぱりチノちゃんポジかいお主!?*35
「その、チノちゃん*36はね?こっちには来てないみたいなんだ。私もあんまり良くわかってないから、どうしよう……って迷ってた時に、ライネスちゃんに会ったの!」
「なるほど……。……ん?さっき
「そうだよー?で、この子がラットハウスのマスコット!」
「ぴか、ぴかぴーか」*37
「朝に紹介されたピカチュウ!?あ、ラットってネズミか!」
しょんぼりした様子のココアちゃんから語られたのは、チノちゃんは今の所こっちには来ていないのだ、という事情。……まぁ、普通にスレ運営してても主要メンバーが揃わないなんてよくある話だしなぁ。*38
その代わりがロリライネスなのも、ちょっとびっくりなんだけど。
そんでもって更にびっくりしたのが、ここラビットハウスじゃねぇ、ってこと。ラットだから、マスコットもネズミ──まさかの朝にゆかりんから紹介されたピカチュウだった。……変なところで繋がるな……?
件のピカチュウは、ココアが床に下ろすとそのまま走ってライネスの横に行き、コーヒーミルの隣に腰を下ろした。
コーヒーミルを扱うロリライネスの横に、ピカチュウ。
……なんだろうこの不思議空間。ココアちゃんは楽しげに携帯でぱしゃぱしゃ写真撮ってたけど。
いや、そもそもなんでライネスがコーヒー淹れてるんだこれ?
「中の人の影響、だね。
「うー、ライネスちゃんのお話は難しくてよくわからないよー!」
「おっと、ゴメンゴメン。ここに居る内はラットハウスの看板娘で行こうと決めてるんだった」
「な、仲がよろしいのですね……?」
……なんか、意外と上手くやってるらしい。ちょっと意外なような、そうでもないような?
ってあれ、しんちゃんは?
そう思って店内を見回すと、いつの間にか下に降りていたピカチュウと、謎の変顔対決*41をしていた。……いやなんで?
「ふっ、オラにここまでさせるとは、そちらもなかなかやりますなぁ」
「ぴか、ぴかぴか、ちゃー」*42
「「………………」」
「「
「なに これ」
「せ、せんぱい?!お気を確かにっ!?せんぱーいっ!?」
もうダメ、キャパオーバー。*43
アクション仮面な高笑い*44を上げる二人の声をバックに、私は意識を手放すのだった──。