なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「マイノリティの極致、ねぇ」
「あくまで結果的には、だけどね」
少数派の代表、みたいな面があるのが『月の君』様……という話に突入したわけだが、これはある種『星女神』様の対だから、みたいな部分もなくはない。
彼女があらゆるモノを含む存在であるがゆえに、『月の君』様はあらゆる要素から弾かれた存在として成立している……みたいな?
まぁ、実際のところその真価というか本質というか、そういうモノを感じ取ることは私たちにはできないのだが。
「そりゃまた、なんでよ?」
「認知の結果として本当に『無い』のなら、なにも見えないし聞こえないはずだから。……極端なことを言うと、『月の君』様が存在する、ってことを証明できないのよ」
完全になにもないのであれば、それを認知するきっかけすら掴めないだろう……みたいな?*1
そのため、普通の人間の感性で言うと『居ても居なくても同じ』ということになるのである。
……え?だから今まで見付けられなかったんじゃないかって?本来なら同質の存在である『星女神』様には効かないんですよ、その隠蔽能力……。
「そうなの?」
「正確なところを言うと、彼女と『星女神』様は物質と反物質の関係に近くてね?だから例え本気を出してお隠れになっても、同じように『星女神』様の方も本気を出せば打ち消し合いがどこかで発生するモノなのよ」
いわゆるアクティブソナーみたいなもの、というか。*2
もしくはなにもないのと全てがあるという状態は反転関係であるため、どちらかを極端まで満たすと片方が成立しない状況が生まれるもの……みたいな感じだろうか。
どちらも無限概念であることは変わらないので、本来埋まらない世界という器を擬似的に埋まったことにできる……とも言えるかな?
まぁともかく、互いに全力であるならば必ず接地面が生まれ、結果として打ち消し合いが発生し互いが何処にいるのかわかる……というのが彼女達の関係である。
そういう意味で、『星女神』様の探知が効かないというのはわりと異常事態であった。
少数派の極致であるとはいえ、『星女神』様に探知できないとなると最早少数どころではなく完全に無くなった、と考えてもおかしくはないくらいに。
「そう考えると……『月の君』様側も能力の解釈を新たにした、ってことなのかもしれないなぁ」
「能力の解釈、ねぇ。……そういえば水系の能力者、みたいなこと言ってなかった?」
「おっと、よく覚えてるね?そうそう、『月の君』様は水系の能力──もっと言えば、
……おっと、そういえばちょっとだけ触れたこともあったか。では、その時のおさらいも含めて。
ここで言う『月の君』様は、以前ジャンヌ・アクアの騒動の時に触れた『海関連の【星の欠片】』、その人で間違いない。
まぁ、あの時も触れたように、【星の欠片】として顕現している場合は即世界の終わり、みたいな存在なので、恐らくは色々と変質・ないし裏技を使っていることは間違いないだろう。
……ん?ってことはもしかして、『月の君』様は今【星の欠片】としての姿──バッドエンドを迎えた時のそれじゃなくて、本来の人の姿でやって来ている……?
なるほど、だったら『星女神』様が感知できないのも仕方ない。
なにせ人の時の『月の君』様ってば、元々悪神と化した『星女神』様を討伐するために現れた反存在……みたいな人物だったから。
「……んん?なんか今さらっと新しい話を捩じ込まなかった?」
「新しいというか、説明してなかった話というか……まぁ、今までの話をしっかり聞いてたら、なんとなく察せるレベルの話だと思うよ?」
「こっちが察せられるのと、アンタが説明してないのは別問題なんだけど?」
「お、おう……ごめんて……」
し、仕方なかったんや……実際にこっちに来てるのを確認した『星女神』様はともかく、迂闊に『月の君』様の話をすると色々ヤベーから……。
まぁ、今現在はその存在がこちらに害のない状態で安定している、ということが判明しているため、話題にあげることを遮るような障害はなにもない、ということになるわけだが。
そんなわけで、ここからちょっと『月の君』様の詳細解説のお時間である。
説明しとかないと後で怒られそうだからね、仕方ないね。……なので五条さんと相方さんに置かれましては、まだまだ現実世界で待っていて頂きたく……そういえばこっちって時間の流れが違うんだっけか。じゃあ謝る必要はないな!()
というわけで、開き直って全部説明する勢いで解説する所存である。張り切っていこー。
「まず、名前の『月の君』がなにを示してるのか、だけど」
「そんな細かいところから説明する必要があるの?」
「彼女を理解するには一番必要な部分だからね。……なんで彼女が月なのかっていうと、『星女神』様が地球だからなんだよね」
「……はい?」
「言い方を変えると、二人は惑星と衛星の関係ってこと」
わかりやすいのは、『
……そう、『星女神』様の一部から生まれた存在が『月の君』様の元となった人間なのである。
言い換えると、ラスボス『星女神』を倒すための特攻キャラとして生み出されたのが『月の君』様の元となった人物だった、となるか。
まずもって、『星女神』様は打倒することを
なにせ相手は全てのモノに含まれる【星の欠片】、その中でももっとも小さいとされる存在。
あまりに小さすぎるがゆえに構造のループを起こし、なにもかもより大きいなんて相反する属性まで持ち合わせる彼女は、おおよそ全ての出来事において『出来ないことがない』。
そんな相手に対抗するには反物質──存在そのものが相手にとって毒になるようなモノを作るしかないだろう。
その思考の元、とある世界の存在が決死の覚悟で彼女の一部から作り上げたもの。それこそが『月の君』様なのであった。
「少数派の極致……っていう属性も、その時に付随したものだね。相手が多数派の極致なんだから、対抗するにはそうじゃないといけなかった……みたいなところも大きいけど」
「……もしかして、大多数より少数の意見の方が強く見える、みたいな話だったり……?」
「そういう面も無いとは言えないかなー」
本来マイノリティは弱いものだが、マジョリティ側に瑕疵がある場合に強く出られなくなる……みたいな?*4
そういう法則性を利用した……と言われるが、詳しくは知らない。
お前が考えたんと違うんかい、と言われそうだが……その辺りはあんまり詳しく決めてなかった、言い換えると私は
まぁ多分、最小でありながら最多である『星女神』様の要素を抽出してどうにかしたのだろう。
ともかく、彼女は暴走した『星女神』様を討伐するために生み出された。
……生み出されたのだが、大抵のルートにおいてその大願が果たされることはなかったのも事実。
「ルートって……なに?
「そういうんじゃなくて、設定を練る時に何度も書き直したってのが正解かな?で、最終的にそれらを纏める時に、ボツったやつも別世界線の話……みたいにしたのよ」
「なんでそんな余計にややこしくなるようなことを……」
「言わないで、その時はそうした方が面白くなる、って思ったのよ……」
まぁうん、ややこしくなったのは間違いないので、そこに関しては言い訳はしない。存分に
……ともかく、『星女神』様への毒として生み出された彼女は、基本的にその毒を発揮することはなかった。
何故かと言えば、結局のところ『月の君』様の理解者となりうるのは『星女神』様しかいなかったから、ということになるだろうか。
「天然自然に生まれたのならともかく、彼女の生まれって要するに強い『星女神』様への恨み辛みから、だからね。……作った人がそんな精神状態で、『月の君』様へまともな対応が取れると思う?」
「あー……数々の作品でよく見た展開が頭を過るわね……」
うん、唯一の相手への対抗策なのに、何故か滅茶苦茶迫害してる……みたいなあれだね(白目)
まぁ、気持ちはわかるのだ。
確かに彼女は唯一の対抗策だが、見方を変えると怨敵のダウンサイジングバージョンでもある。
──言うなれば、殴っても問題ないサンドバッグにも近い、というか。*5
結果、流石に直接的な暴力こそ受けなかったものの、精神的な暴力はたっぷり受けて行った彼女は──それでも、
「耐えたの!?」
「耐えたの。なんなら『ここまでして願う彼らの悲願を、私は必ず果たさねばならぬ』と決意するくらいよ」
「精神性おかしいでしょそれ……」
「いやまぁ、それがそうでもないんだよね。なんてったって彼女は『星女神』様の写し──元々の彼女が
「……あー、型月とかでよく見るやつー……」
それもそのはず、彼女の元となった『星女神』様もまた、実のところ世界のためにその身を捧げた末に絶望して狂った、いわゆる世界救済系のラスボスだったのだから。
……ある意味では、英霊・エミヤと衛宮士郎の関係にも近いのかも知れない。
ともかく、そんな感じの出自を持つものだから、彼女は基本的に周囲を憎まず、『星女神』を止めるために奮闘することになる。
……なるのだが、そうして戦い続ける中でかつての彼女を知り、『星女神のことも救ってあげたい』と願うようになるのだ。
例え世界の全てが彼女を糾弾するとしても、私だけは彼女の味方になりたい──少数派になりたいと。
「……あ、あー。なるほど、そうなる……」
「で、基本的にほとんどのルートで、彼女は人のまま『星女神』様の暴走を止めるんだけど。そのために一種の武器として使うのが『星女神』様から抽出する形で生み出された【星の欠片】、『星天海鏡』。──星瞬く天と、それを鏡のように写し出す海を意味するものってわけ」
彼女が海であるのは、天に輝く無数の星を
彼女はその全てを写し出す海でありたい、と願ったのだ。
……まぁ、本来なら彼女の対として男性になるはずが、母なる海を自身の力の欠片と定めたせいで女性になった、みたいな理由付けになってたりもするのだが……その辺は些細なことである。