なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、『月の君』様がどんな状態なのか地味にわからんくて怖い(要約)という話をしたわけだが。
いまいち危機感の共有には至っていないような?なんでかなー。
「……既にキャパオーバーなのよ、色々と」
「あーうん、なるほど。でも今回の話が終わったらすぐに呼ばれると思うよ。具体的には幕間とかで」
「スッゴいメタな台詞!」*1
こういうのは基本的に拙速を喜ばれるものだからね。
だからまぁ、私たちの用事──五条さん達の捕獲が成功すれば、その次の日にはきっと『月の君』様の元に向かうための準備が始まることだろう。
粗相の無いように、みたいな感じで『星女神』様からなにかを授かる、みたいなこともあるかもしれない。
一つ問題があるとすれば、かのお方が何処にいらっしゃるのかこちらはわからないということだが……こっちに対していい笑顔でサムズアップしてるキリアが知ってるでしょ、多分。
なのでまぁ、場所の問題もとりあえずはなし、と。
そんなわけで、一先ず『月の君』様関連の話はここで切り上げ、いい加減本題──外に戻ろうという話になるのだけれど……。
「ええと『星女神』様?」
──はい、なんでしょう?──
「そのですねぇ、もし宜しければ戻る際にショートカットを使わせて頂いても……」
──ええ、いいですよ?──
「そうですよねダメですよね……いいんですか!?」
──寧ろ、ここでダメだと言う理由がないのですが……──
ダメ元でショートカット利用の申請をしたところ、なんと『星女神』様からは許可の返答が。
いや、最悪の場合こっから戻る際は普通の道を戻れ、なんて言われる可能性も無くはないと考えていたのだけれど……そういえば他の面々は柱なんて通れないんだからそりゃそうか、当たり前だったわ。
……当たり前ではあるんだけど、私とオルタも通っていいって辺りに疑問を感じなくはないというか?
「……あー、そういえば試練……」
──当初の予定ではここで受けて貰う予定でしたが……嫌がっている相手に無理矢理やらせるのはよくありませんからね。此度は免除と言うことに致します──
「さ、流石『星女神』様!優良女神!優しくて綺麗でカッコいい!!」
「分かりやすく手の平返したわねこいつ……」
そんな私の疑問を感じ取ったのか、『星女神』様は今回の試練を免除する、という旨の言葉をこちらに告げたのだった。
……一体どういう心変わりだ、と思わないでもないが、受けなくていいのならそれに越したことはない。進んで受ける理由もないし。
そもそもこの試練自体、ここに来なきゃ受ける機会も理由もないのだから、これから二度と『星の死海』に足を踏み入れなければ再試練の心配もない。
……ふはははー!これは勝った!逃げ切った!!
私は二度とここになんか来ないし、【星の欠片】としての自覚なんて持たないぞJOJOー!!!*2
──それに、そもそもあの方の元に行くのであれば、どうせ遅かれ早かれという話ですし……──
「 」<ピシッ
「物理的に凍り付いた!?」
……まぁ、そんな内心を見透かしたような言葉が『星女神』様の口から飛び出したことで、その熱狂も急激にクールダウンしたわけなのですが。
これはひどい(真顔)
「『星女神』様の鬼!悪魔!!ちひろ!!!」
──ちひろさんもずっと擦られてますね?──
「仕方ないわね。拝金主義はいつだって嫌われるもの。その憎しみは数々のショップ担当キャラに受け継がれて行くのよ……」
「まぁ、初代とも言えるちひろ自身は、公式では拝金主義とは全く関係ないんじゃがの」
「そこら辺はイメージの問題、というやつだな」*3
外野がうるさいが、これは一大事である。
彼女の言葉を素直に解釈するのであれば、それは『月の君』様の元に行く予定があるから問題ない、ということになるが。
それはつまり、こちらには回避も逃避も不可能であることを示すのだ。
「というか、『月の君』とやらのところに行くのが代わりになる、ってのもよくわかんないんだけど?」
「さっきから言ってるけど、ここにいる『月の君』様は本来のルートのどちらでもない可能性が高いんだ。それがどういうことなのかというと……」
「いうと?」
「『星の死海』への旅再び、の可能性が非常に高い」
「……はい?」
私の慌てぶりを見て、事情のわかっていない様子のオルタは微妙そうな顔をしているが……それは未だ現状に理解が及んでいないからこそ。
なので、彼女にも分かりやすく説明してやると……答えは単純、再び『星の死海』に潜らなければならない、ということに他ならない。
「なななな、なんで?!『
「最初の方に説明したけど……『星の死海』は物理的な場所ではなく、精神的な場所。言い換えると生得領域だとか心象風景だとかと似たようなモノ、ってことになるんだけど……」
オルタが言いたいのはつまり、ここは『星女神』様の世界なんだから『月の君』様に会いに行く分には関係ないでしょ、ということなのだろうが……。
まず第一に、『星の死海』というのは何処か特別な場所ではなく、あくまでも『星女神』様の精神世界である。
他の作品では生得領域とか心象風景と呼ばれているようなものが、『星女神』様にとってはそういう名前だった……というだけの話なのだ。
とはいえこれだけだと『月の君』様側にも関係がある、という話がよくわからない。
その理由を紐解くには、先ほどまでに話した内容全てを思い出す必要がある。
「思い出す……?」
「そ。『星女神』様と『月の君』様は対であるだとか、対だからこそ反転の性質を宿すとかね」
必要なのは、本来今の『星女神』様自体の状態もおかしいのだ、という理解。
互いが対である以上、安定するのは自身とは反転した位置に相手がある状態。
となれば、色々な意味で善悪どっちかに片寄っている方が
が、ご覧の通り今の『星女神』様は大分ややこしい状態。
渾然一体ではなく、されど二面性を持たないわけでもなく。一人で安定するために二つの要素を持っているように見えて、その実相手の存在を否定していない……。
こんな状態の彼女に対し、『月の君』様がどうなっているのかと言うと──恐らく、それら全てを含めて反転しているだろう。
渾然一体であり、されど二面性は無いように見えて。一人では安定しないように見えるが、されどその状態は安定して見える……みたいな。
無論、その子細を私たちが見ることはできないだろう。『星女神』様にしろ『月の君』様にしろ、その性質を支える根幹は目に見えない小さな小さな世界のそれ。
それを認知するには私たちの知覚はあまりに大きすぎる。
ゆえに、その不安定さを理解できるのは恐らく、大きく誇張された
そしてそのペルソナは──現在、公私という形で私たちに触れあっている。
それは恐らく、『月の君』様の方も同じであり……。
「ええい、話が相変わらず長いのよ!結論だけ述べなさいよ結論だけ!!」
「えー……じゃあ簡潔に。『星女神』様の『星の死海』が反転したものを『月の君』様も持ってるし、今回と同じように彼女に謁見する際はそこに潜らされるだろうって話」
「……はい?」
「ついでに言うと、お二人は対だからそこに宿した意味合いもほぼ同じ。……自動車免許はどの教習場でも同じものが取れるでしょう?それと同じで、『月の君』様の『星の死海』も【星の欠片】としての試練の意味を持ち合わせるってわけ」
「…………はい?」
「本来なら、そんなことにはならない──基本的に『星の死海』は『星女神』様の
「……………………………はい?」
「更に付け加えると。『星女神』様の『星の死海』と『月の君』様の『星の死海』はそこに込められた意味こそ同じだけど、対としての性質は生きてるから総和が同じだけで構成は異なる。……言い方を変えると、柱の試練に望む場合は優しい『公』が受け持ってくれるけど、受けないのなら厳しい『私』が待ち受けるってことになるね。……まぁ、『公』の側が優しくても試練の内容そのものは変わらないから、結局こっちに今回みたいな逃げ道が無くなる……っていうバッドニュースしかないわけだけど」
「…………か、」
「か?」
「神は死んだ!!」
「……オルタがそれ言うの、色々と皮肉だよね」
まぁ、叫びたくなる気持ちはわからんでもない。
今回だってどうにか試練を回避した感じなのに、次回は強制参加な上回避手段無し・かつ試練を受けない方が厳しいことになるというイジメみたいな構成なんだから。
「……それと、そこで笑ってる二人。忘れてるみたいだから改めて言及しておくけど、君らも強制連行なんやで」
「「…………あ゛」」
「えっと、その……が、頑張ろーね二人とも☆」
「「……神は死んだ!!」」
──神様の集団自殺ですかね?──
「皮肉にもほどがありますよ『星女神』様……」
うーん、誰も幸せにならない……。
そもそもこっから外に戻って五条さんとの追っかけっこ再開なんだけど、大丈夫なんかね色々と?