なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「キルフィッシュ・アーティレイヤー完全復活!」
「…………?」
「……いや、そこで不思議そうな顔をされても困るんだが?これ私の本名なんだけど」
「……あっ、ななななるほど!せんぱいとお呼びすることがほとんどの上、そちらの名前で呼ぶこともまずないので忘れていました!BBちゃん反省です☆」
「BBェ……」
はてさて、日付は変わって次の日。
もう帰っていいよ(要約)、というブラックジャック先生のお墨付きを貰ったため、意気揚々と病院の外に出てきた私は、そこで私を迎えにやって来ていたBBちゃんと鉢合わせることになったのだった。
なので、快癒祝いとしてちょっと景気付けの声をあげてみたのだけれど……うん、知ってた。
自分的にも名前の間は『・』だったか『=』だったかちょっと迷ったし。っていうか、基本的に愛称である『キーア』の方でしか呼ばれないしね。*1
そもそも『キルフィッシュ・アーティレイヤー』って名前自体、元ネタからの逆算で生み出された造語みたいなもんだし。
「あー、そういえば例のノートに書いてありましたね。元ネタとなるのはキリアさんの方で、彼女の名前に語感が近い呼び名を考え、そこに合わせる形で名前を作った……みたいな?」
「世の人達は名前を考えるのに悩むと言うけど、実際そういうのって下手に意味合いとか気にする必要ないんじゃないかなーってキーアん思うわけ」
いやまぁ、緻密に計算された名前……というのも悪くはないと思うけども。
でもほら、その結果として絶対に人の名前じゃないよそれ、みたいな揶揄されるのもあれじゃないと言うか。
キャラクターの特徴を捉えた名前、ってのは覚えやすいけど記号化が進んでいるとも言えてしまうわけだし。
……そんなわけで、キリアに関してはともかく『キルフィッシュ・アーティレイヤー』の名前に関しては語感が最優先となっている、というわけなのである。
なので語感から『キルフィッシュ』の綴りを想像すると『メダカ』になるのは気のせい、というわけなのだ。そんなん気にしてへんからね(目逸らし)
「メダカの方は正確な綴りが
「その場合愛称が『キーア』じゃなくて『キリー』とかになりそう」
「……あ、あー。確かに……別に愛称のルールに従って呼んでいるわけでもなし、日本人的に呼びやすそうなものが優先される可能性は大いに大です……」*2
まぁ語感最優先と言いつつ、全く意味のない言葉なのかと言われればそれもまた別の話でもあるのだが。
……一応、仮に『キルフィッシュ』に意味を与えるのなら『キル』──『殺す』という意味合いの方に傾くのだろうし。
なんとなくだが、この名前を考えた時には『自死』とかについて考えていたような気がするし、となれば『
実際、【星の欠片】は絶えず欠けていくものなので、そういう意味でも似合うと言えば似合うわけだし。
……それはそれとして、確かにメダカを小魚と捉えるのなら、そこからスイミーよろしく『群れるもの』イメージを取り出す、というBBちゃんの発案も悪くないように思える。
思えるが、思えるだけ。……キリアに対してのキーア、という語感からの逆算であることが前提である以上、最終的な呼び名がキーアでなくなりそうなその案は、例えその時思い付いていたとしても採用しなかっただろう、と私は考える。
いやまぁ、名字に相当する『アーティレイヤー』が『アート』+『レイヤー』、すなわち世界というキャンパスになにかを描くもの、としての意味合いを込めたものだと解釈するのなら、そっちの方が穏便な意味になりそうな気もしないでもないのだが。
……今のままだと『自死の有り様を世界に刻む』みたいな、何処のアーティストだテメーみたいな意味合いになりそうだし。
「……いや、それは間違いではないのでは?【星の欠片】的に」
「そりゃそうだけど……名乗る度に自殺志願者とか言われたらかなわんでしょ、マジで」
「それは確かに」
っていうか、この辺りの話は全部裏話……いわゆる黒歴史であり、公共の場で名前の由来とか語ったことないし。
……というわけで、意味があったのか無かったのか曖昧な会議を打ち切りつつ、私は彼女を連れて目的地へと歩き始めたのだった。
「……ねぇ、私今回休んじゃダメかしら?」
「ダメです。『逆憑依』としてはもしかしたら一番先に進んでるかも、みたいなことを言われた以上、今回の同行は拒否権無しです」
「そんなぁ」
はてさて、目的地のゆかりんルームにて。
どうにか自分の気持ちに折り合いを付けたらしいマシュと合流し、中に入って今後の行動についての会議を始めたのだけれど、いつもならこっちに文句を言いながら絶叫してるイメージの強いゆかりんが、ずっっと机に突っ伏していたのだった。
……まぁ、無理もない。
なんか知らんけど唐突に横合いから電車にぶつかられたようなものだし、今回の話。*3
そう、今回の議題である『月の君』様の居城へ向かうメンバーの選定だが、『星女神』様の居城へ向かった面々は確定として、その他に五条さん、相方さんもといメレオロンさん、それから途中で話題に上がったゆかりんの三名もまた、同行が半ば強制的に決定していたのだった。
前者二人に関しては、『星女神』様に並ぶもう一つの
……言い換えると緊急性が低いようにも見受けられるため、どうにか回避できないかと足掻いているということでもある。
まぁ、確かに?
単に確かめたいというだけならば、彼女の休みを待ってもいいような気がしてくる。
……無論、それはあくまでもゆかりん側を優先した場合の話。
現状『星女神』様が表に立っていることを思えば、そもそも出会えるのかわからない相手となっている『月の君』様を優先する方が正解だろう……という、至極もっともな意見が(主に私から)出たため彼女の意見は無視される形となっていたのだった。
「なんなのよぅ、その傍迷惑な性質ぅ……」
「お、いいのかな?そんなこと言って。言っておくけど性質的に対になるから今は『月の君』様の方が厄介に聞こえるけど、本来トラブルメイカーなのは『星女神』様の方なんだぜ?」
「……うへぇ」
で、そうなった原因と言うのが、『星女神』様との会話の中で彼女の話題が飛び出したから。
……一応『星女神』様と面識があるので、彼女が確認を『月の君』様に譲ったからこうなった、とも解釈できるわけである。
みんな纏めて顔を見せに来い、と仰ったのは『月の君』様自身なので勘違いしそうになるが、そもそもその起因自体が『星女神』様が話題に出したからであることを勘違いしてはいけないのだ。
分かりやすく言うなら、『月の君』様の行動はある種の山びこのようなものとも言える……みたいな?
その辺りの意味合いを私の言葉から察したのか、ゆかりんはなんとも言えない呻き声をあげながら再び机に突っ伏したのだった。
「……その、私が同行するというのは……」
「それに関してはさっきも言ったように承服しかねるかな。『星女神』様のところならともかく、『月の君』様のところは性質の反転した場所。……言い換えると死ににいくようなものだし下手に人数増やして変なフラグを踏むのもよくないから、呼ばれた人間以外は行かない方がいいんだよね」
「むぅ……」
そんな主の姿を見て、私が支えねばと奮起するジェレミアさんは流石だが……今回その忠義は寧ろ悪い結果を引き寄せかねないので抑えて貰いたい、というのが私の本音である。
……うん、最初は『星女神』様の居城なんて行きたくないと思ってた私だけど、今の『月の君』様の状態を聞いたあとだとそっちの方がよっぽど天国だった、と発言を翻したくて仕方ないというか。
先の会話で何度か触れたが、『月の君』様は父性の象徴、みたいなところがある。
ここでいう父性は家族を守るもの、みたいな意味合いも含むが……『星女神』様が母としてそれを優先している現状、その対である『月の君』様は父性の
その過激な面と言うのが、いわゆる試練としての父性の発露。
越えるべき壁としての父性の君臨であり、言い換えるなら獅子がその子を谷底に突き落とすが如く……ということになる。
それが正しい場合、『星の死海』に足を踏み入れた途端に大連続狩猟みたいなとんでもをやらされる可能性が高い、というか。
……っていうか私とオルタに関してはもう確約されているというか(白目)
そしてその厳しさは、なにも【星の欠片】達だけに発揮されるモノではない。
わざわざ呼びつけた以上、『死ななきゃなにを課してもよい』みたいなことをされてもおかしくはないのだ。
生憎、その場合私たちも自分のコトに必死で助ける暇なんてない……みたいなことになりかねないため、余計なトラウマを負う人間が出ないように配慮するのは当然の話なのだ。
……っていうか、今の状態だと下手をすると『呼んでないやつは知らん』ってことで試練ではなく攻撃になる可能性もあるというか。
そういうわけで、今回の会議のほとんどは再び拗ねたマシュとジェレミアさんの説得、という意味合いの方が強いのでしたとさ。