なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
まるで北風のよう、とでも言えばいいのか。*1
想定される『月の君』様の状態を思えば思うほど、『星女神』様ってまだ甘かったんだなぁと納得するというか。
そういう事情もあり、呼ばれてないと明確に区別できる面々は極力連れていかない、というのが今回の結論になるのだけれども。
「…………」
(滅茶苦茶わかりやすくむくれておるが?)
(そうは言われてもどうしようもないんだが?)
せんぱいの盾を自称するマシュへの説得は、その分難航するのもまた既定路線……みたいな感じなのであった。
あれだ、明らかに酷い目に合うのがわかっているのに、その場所に行くことを止めないのは後輩失格では?……みたいな意味合いも含んでいるというか。
……
甘いなぁ、そんなんで止められるなら最初からやってるよ……。
(……
(そこら辺も対の概念ってやつだね……)
主人公が危険を犯し、それをマシュが見ているだけ……というパターンというのは(メタ的な事情を置いておくと*2)他のカルデアメンバーが大幅に減少したから、というところが大きい。
マシュというキャラクターは盾役としての活躍が主ではあるものの、それ以外の方面でも優秀であるため他に盾役を任せられる人員が居るのなら裏方に回った方がより有効なのだ。
……まぁそもそもの話、マシュは戦闘要員として教育を受けてない・もしくは受けられるわけがなかったというのも大きいのだろうが。
ともかく、
……ついでに、新キャラの描写に幅が持たせられるようになった、とも言えるか。
それはそれとして、である。
こうした背景から、マシュ自身は前線に出られなくても活躍の場がある、わりとオールラウンダーな存在となったわけなのだが……ゆえに、今回みたいなパターンだと彼女が申し出る協力を断り辛い、という状態に陥るわけで。
まず盾役としてとても優秀であるがゆえに、前線への投入が真っ先に提案される。
……今回の場合、呼ばれてない存在に関してはその耐久力がどれほど高かろうと意味がない可能性が高いため却下。
そして次に、オペレーターとしても優秀であるので『星の死海』内の観測などを買って出る。
……こっちに関しては、そもそも【星の欠片】自体が極小──
で、この『気付きにくい』という部分だが、大きく分けて二つの理由が含まれている。
一つは文字通りの『気付きにくさ』。レーダーなどの監視網にとかく引っ掛かり辛く、どうにかして把握しようとするのならばそれを為すために専用の機械などを導入する必要が出てくるだろう。
それでも観測できるかは微妙だ。なにせ相手は『月の君』様──『星女神』様と対である彼女は、それゆえに観測のし辛さも同一なのである。
一応、原理的には今の『星女神』様の逆──全体像が大きすぎるためこちらに把握できるのは一部分……みたいな話を極論化した概念理論を展開しているのだろうが。
これは寧ろ通常の【星の欠片】観測装置では
かといって普通の観測装置では観測など不可能……となれば、彼女用に新しく作る必要がでてくるわけで、あまり現実的ではない。
二つ目は結果として気付けない・ないしは気付くことを知らず知らずのうちに避けているパターン。
こちらは分かりやすく言うと『クトゥルフ神話』の神性達のようなもの。……違うのは、向こうと違いこっち側が知らぬ間に
純粋な『クトゥルフ』の神性達の場合、直視をすると発狂する──という事実からわかるように、
だがしかし、一部の【星の欠片】の場合はそれを認知しようとする人間側が
……まぁ、これは正確に言うとその人間の中にも【星の欠片】が含まれるからこその反発作用、みたいなものなのだが……ともかく、認知することが自身を危険に巻き込むことを無意識で認知し、体の側が意識させないように振る舞っているというのは間違いではないだろう。
そのため、この法則が発動するような【星の欠片】相手の場合、例え目の前に対象となる【星の欠片】が存在しようと、その人間の目には『なにも映っていないように処理される』のである。
……それを単純に言葉にすると『気付き辛い』となるわけだ。
結局自分の体が勝手に見ないふりをしてるだけで、そこに気付いてしまえばピントを無理矢理合わせることは不可能ではないわけだし。
無論、そんなことをした場合『クトゥルフ』の神性宜しくSANチェックの憂き目にあうわけだが。
話を戻して、マシュがオペレーターとして協力を申し出た場合についてだけど。
まず観測用の機材が足りない。そしてその上で、もし仮に観測できてしまった場合に彼女の正気が危ない。
……となれば、前線だけではなく裏方としても彼女を同行させるのは憚られる、という話になるのだった。
っていうか、『月の君』様の許可さえあるのなら前線の方がまだ安全なので、そういう意味でも今のマシュに手伝いをさせるわけにはいかないというか。
「……認知云々の話なら、寧ろ前線の方が危ない気がするのだが?」
「その辺りは意識して認知するか不意に認知するかの違い、ってことになるのかな?いやまぁ、形式の上ではどっちも意識して認知してるのでは、とツッコミが入ることは承知の上で、だけど」
「????」
……あーうん、わかり辛いか。
じゃあもっと簡単に言い換えると、目の前で敵を見付けた時と何処かから狙撃された時、より警戒を必要とするのは果たしてどちらか?……みたいな感じだろうか。
「ふむ……?」
「有効視野と周辺視野*3のどっちが不意を突きやすいか、みたいな話でもあるのかな。相手の一挙手一投足を子細に観察できる状態と、方角以外の全てが不明なスナイパー。より危ないと思ってしまうのはどっち、とも言えるかも」
まぁ、至近距離に居ても得物が危なかったり、スナイパーも豆鉄砲みたいな武器なら危なくないだろうとか、その場その場でそこら辺の危険度は変わるだろうけど……ともあれ、認知の外と認知の内、より致命傷に繋がりやすいのはやはり前者・認知の外からの攻撃であることは間違いないだろう。
で、これを『月の君』様云々の話に当てはめると。
近距離での認知は『相手が危ない』と把握しながら観察できるが、遠距離にある相手の認知は『なにをしてくるかがわからない』──危険度の正確な判定ができない状態で視線を向けてしまう、ということになってしまう。
これだけだと問題点がわかりにくいが、【星の欠片】が無意識に攻撃を行っていると仮定し、かつその攻撃は精神的なもの──相手が『危険である』と感じていればいるほど威力が減衰するものである……とすれば、その危なさもなんとなく理解できるかもしれない。
「……認知の外から、
「簡単に言うとね。危ないと認知していれば危なくないけど、それを確認できるのは近くにいる時だけ。……そんな相手なら、寧ろ遠くにいる方が危ないってならない?」
さっきの『気付けない』理由の二番目が悪さをしている、ということになるのだろうか?
無意識で相手を認知しないようにすることで防御しているわけだから、更にその外側の『無意識という意識を行っていない』状態であれば防御もなにもない……みたいな。
ともあれ、今の『月の君』様を安全地帯から理解しようとするのは全くの逆効果である、ということは間違いあるまい。
ゆえに、それならまだ前線に来た方が安全……などという、なんともあべこべな結果が出力されることとなるのだった。
……まぁ、今回はさらにそれに『招待してないやつは知らん』がくっつくため、『全く関わらない』以外の対処は全部悪手、みたいなことになってるんだけどね!もしくは『招待された人物』は虎穴に入るつもりで突っ込むか!
「……私はそれを止めて欲しいのですが」
「諦めましょう、マシュさん。今回はこのグレートデビルなBBちゃんもお手上げなので、せんぱいにお任せするしかないのです」
「BBさん……」
おお、ナイスアシストBBちゃん!
万能性、という意味ではある種マシュの上位互換めいたところのあるBBちゃんでも無理となれば、マシュも諦めが付くというもの。
……いやまぁ、スペック的にはそうでも人格的には違うだろう、と言われるとあれなのだけれど、ここにいるBBちゃんは通常種とはちょっと違うし……。
ともかく、不満そうなマシュを軽く抱き締めながら頭をよしよしと撫でるBBちゃんの姿に、私は小さくサムズアップを送っていたのでしたとさ。